【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#234 [◆vzApYZDoz6]
>>232-233
『断罪する女』

自殺者を裁く女の子。
自殺は最も重い罪…

⏰:08/11/03 19:21 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#235 [No.008(1/2)◆vzApYZDoz6]
「よぉ」

「……誰? どこにいるの?」

「お前の後ろだ」

「後ろ…? 誰もいないじゃないか」

「当たり前だろ。俺は、お前の『影』だ」

「影…?」

「ここはお前の精神世界だ。お前は青く、俺は真っ黒で長い。お前は今、心に深い闇を抱えている。だがそれは不変的なものではなく、変えようと思えば変えられるものだ」

「……つまりは僕次第、か……」

「言ってみろよ。俺にはお前が何を抱えているかまでは判らない」

⏰:08/11/03 19:22 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#236 [No.008(2/2)◆vzApYZDoz6]
「……話したところで…君に何かできるのかい? この寂しさを救えるのかい?」

「甘ったれるなよ。さっきも言っただろう、変わるかどうかは他ならぬお前次第だ」

「判っているさ。でも、僕は君ほど強くなれそうにない」

「んなこたぁねーよ。俺はお前の影だぞ? 俺は、お前だ。俺にできることはお前にもできるんだよ。全てはお前次第だ」

「………」

「立ち上がれ。でなきゃ俺は…ひいてお前はいつまでも小さいままだ。前進しなくちゃ始まらないんだ。それでも不安なら一度後ろを向けよ。俺は、いつだってそこにいる」

「……そうだね。全ては僕次第なんだ…」

「たまに落ち込んだって誰も何も責めやしねーよ。だが、ずっとそのままじゃできることもできないんだぜ?」

「うん…思い出したよ。僕にはまだやることがあるんだ」

「1人でいたくなったらまた来な。ここにいるのはお前1人だが、独りぼっちじゃない」

「……ありがとう。もう起きるよ」

「そうしとけ。精々気張れよ」

「それじゃ」

「ああ。達者でな」

⏰:08/11/03 19:23 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#237 [◆vzApYZDoz6]
>>235-236
『僕と影』

影って意外といいヤツなんです。

会話だけだと行規制がウザいわw

⏰:08/11/03 19:25 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#238 [No.009◆vzApYZDoz6]
白い雲のはるか上、おとぎ話でよく見る空に浮かぶお城の庭に、2人はいた。

肩を並べて庭の端から足を投げ出して、今日も下界を眺めていた。
向かって右の気だるそうな男が悪態をつく。

「ひでぇよなー、神様にしてくれるっつーもんだからお願いしたら、その代償が『一生童貞』だもんな」

「ひどい…」

「神様つっても童貞卒業する権利くらいあるよな?」

「あると思う…」

「待てよ、神様なんだから何でもできるだろ? 女の子を作ればいいじゃん」

「試したけど無理だった…」

「試したのかよ…まぁでも、地上の女の子を拐えば問題ないよな?」

「拐ったけど無理だった…」

「拐ったのかよ…つうか何で神様を童貞にできるの? この話、誰に持ちかけられたんだっけ?」

「知らない…」

「あれ? あれは確か俺が女子更衣室に行こうとしたときに…あれ?」

「デジャヴ…」

2人は今日も童貞。
明日も明後日もその次も、2人はずっと童貞だ。

⏰:08/11/03 19:26 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#239 [◆vzApYZDoz6]
>>238
『the・童貞』

童貞はどこまで行っても童貞でした。

⏰:08/11/03 19:27 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#240 [No.010◆vzApYZDoz6]
日射しが強い。

見渡す限りの砂漠。渇いた砂粒が吹き荒ぶ中、幾重にもうねる砂丘の中腹に彼女はいた。
焼き付くように照りつける太陽の光を背に受けて、彼女はうずくまっている。

やがて小さなため息をつき、目の前にある中身のない宝箱の蓋を静かに閉じた。

「これもハズレかぁ……」

手にしていた巻き紙を広げ、目を細めて繁々とそれを眺めた。


1人の男が残した置き手紙。
祖国の英雄であり、実の父親でもあるその男が彼女の前から姿を消したのは、およそ2年前。

早朝、彼女が男を起こすために向かった時には、すでにもぬけの殻と化していた部屋。
その中央に置かれた羊皮紙には、ある大陸の地図に加えて男の筆跡で一文が記されていた。

『近く蛻と成るその日までここにいる。願わくば捜し当てよ』

当時は祖国から捜索隊が編成されもしたが、消えた目的すら不明なために暫くして捜索は打ち切られた。

だが彼女は捜し続けた。
『蛻』とは死者の事。つまりそれは、男の死期が近い事を示唆する手紙だった。

彼女は手紙が自分宛であると思っていた。
俗世を嫌った父親の最初で最後の我儘に、自分を付き合わせたのだろう、と。


「……次は何処だっけ」

物思いに耽る思考を振り払い、紙を丸めて立ち上がる。
コンパスを取り出して目指す指針を確認した。
次は、北だ。

「絶対に見つけてやるんだから」

果てなく続く砂漠の道を、彼女は1歩踏み出した。

⏰:08/11/03 19:28 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#241 [◆vzApYZDoz6]
>>240
『父を求めて三千里』

これは作者の中で設定が浮かびまくって、泣く泣くSSSにしました
なんか親父の手紙の暗号を考えたりしたなー

⏰:08/11/03 19:30 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#242 [No.011◆vzApYZDoz6]
先日、中学の同窓会があった。
僕は出席したけど、同じクラスのサラは諸事情で行けなかった。

「また机に座って…胸見えてるぞ」

「いいじゃねーか。触りたきゃ触ってもいいんだぜ?」

「馬鹿。…ほら、写真。みんなサラに会いたがってたよ」

「おおー、みんな元気そうだな…誰だこれ? え、岸田? すごい変わりようだな…やっぱ女は変わるもんだなぁ」

「あとは、水嶋と黒崎が付き合ってるんだってさ」

「そういや卒業前に告ってたなアイツ! そうか、うまくやってんだなぁ…」

「それで、今度サラんちに遊びに行きたいって言ってたんだけど…」

「あー…まぁ無理だな。ばーちゃんの事もあるし」

「様子は? どうなんだい?」

「あいっかわらず。俺が誰なのかもわかってねぇよ」

「……良くなるといいね。そしたら今度はサラも……」

「いや、いいんだ。良くならない病気だしな。

……俺さ、働くまでばーちゃんに恩返しなんてできやしねーとか思ってて、早く大人になりたいとか思ってたじゃん?

でも今さ、高校生のままで恩返しできてるわけじゃん? 超ラッキーじゃね?」

その言葉が強がりなのは痛い程に判っていて、僕は何も答えられなかった。
いくらか本心が混ざっていたとしても、掛ける言葉が見つからなかっただろう。

僕はこの粗野で乱暴で愛に溢れる口の悪い少女を、今のクラスメイトと同じように嫌うなど、考えられなかった。

いつまでも一緒にいたいと、そう強く願った。

⏰:08/11/03 19:31 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#243 [◆vzApYZDoz6]
>>243
『クラスメート』

仲良くなるには、何だかんだで時間がいる
高校の友達だって、最初はそういうもんだと思う

⏰:08/11/03 19:33 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


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