【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#359 [向日葵]
私は自分の部屋に行こうとした。

「忘れるわけないだろう」

私は足を止める。
目を見開いて親父を見るが、さっきと体勢は変わっていなかった。
ただ、さっき見た背中よりも悲しそうに感じた。
そして私にはなった言葉も、微かに震えている気がした。

「思い出したら……失ってしまった事に耐えれないと思った。当たり前だろ……、生涯愛すると誓った相手なんだからよ……」

私は知っていた……。

お母さんが亡くなった日、泣きじゃくる私を慰める為、自分は泣くまいと頑張っていた親父を。

⏰:08/11/04 00:07 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#360 [向日葵]
通夜の後、皆が寝静まってしまった頃、もう冷たいお母さんの手を握り締めて、「ありがとう」と涙ながらに呟いていたことを。

でも、お母さんは言った。

「命日には、お母さんとの思い出を笑って話してねって約束したんだからさ、悲しむんじゃなくわらおうよ。そしたらさ、お母さんだって、きっと……」

「……そうだな」

亡くなった人の思い出は、年月と共に悲しくも薄れていく。
だからせめて1年に1度は思い出そう。

大好きな人と過ごした、愛しい時間達を……。

―fin―

⏰:08/11/04 00:08 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#361 [向日葵]
>>353-360
「時間のぬくもり」

ご協力頂いた絵師の皆様、ありがとうございました

次の方どうぞー

⏰:08/11/04 00:09 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#362 [8]
遅くなりました。
投下します(^O^)

⏰:08/11/04 00:55 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#363 [8]
画像No.54

一輪の花

⏰:08/11/04 00:56 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#364 [8]
昔、鎖国から解かれ文明の進歩した国のとある屋敷から始まるこの物語


「手は尽くしましたがお嬢さんはもう…」



真也は走った

病に伏せている揚羽(アゲハ)様のため崖に咲く一輪の花を摘む為に…

⏰:08/11/04 00:57 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#365 [8]
時はさかのぼり、屋敷より二里ほど先の海岸


「波の音が素敵ですね、真也さん。」

『そうですね、お嬢様。』
お嬢様と呼ばれた少女を乗せた車イスを押す少年がキラキラと光る波を見ながら答えた。

⏰:08/11/04 00:58 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#366 [8]
 
「この海の向こうにはこの国とは違う言葉、文化が栄えているのですよ。
その中に私の病を治す方法もあるかもしれないとお父様が言ってました。」

『そうなのですか?』

「ええ、今その文化、風習がこの海を渡って来て私達の国をさらに豊かにしているそうです。」
揚羽は目を輝かせながら言った。
 

⏰:08/11/04 00:59 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#367 [8]
 
真也は少し息を吐き、
『私は屋敷で生まれ、ずっと使用人として生きてきたので難しい事はあまりよくわかりません。

でもこの場所にお嬢様をお連れするとお嬢様が嬉しそうになさるので私も嬉しいです。』

「フフッ、ありがとう真也さ… あっ!ここで止めてください」
 

⏰:08/11/04 01:00 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#368 [8]
 
真也は崖の下で車イスを止めた。

見上げてみると数十メートルはあろうかという切り立った崖の中程には屋敷の周りには咲かない名も知らぬ一輪の花が咲いていた

海岸に散歩に出かけると二人はいつもこの場所で花を見上げるのであった。
 

⏰:08/11/04 01:01 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


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