【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#369 [8]
 
「素敵…」
揚羽は花を見上げながら呟いた。
『お嬢様はあの花がとてもお好きなのですね。』

「ええ。もっと近くで見てみたい。」

『ならば私が取って参ります。』
真也は胸を張りつつ言った 

⏰:08/11/04 01:02 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#370 [8]
 
「…いいえ、あの崖を登って万が一真也さんの身に何かあったら私は…
ごめんなさい、ワガママばっかりで、」

揚羽の瞳が涙の膜でうっすらと滲んでいた

『お嬢様…』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「アゲハって呼んでくれませんか?」

『え?…』
 

⏰:08/11/04 01:03 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#371 [8]
 
それから数日とたたぬ内に揚羽様の容体は急変し今に至る


真也はあの花を揚羽様に届ける為、崖の僅かなくぼみに指をかけ登っていた
下は真っ暗闇で地面を見ることはできない
ただ波の音だけが闇の中に響き渡っていた。
 

⏰:08/11/04 01:04 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#372 [8]
 
花まであと数メートル、
登っていくにつれ体がどんどん重くなっていく。
腕がもう吊りそうだ

だが俺は諦めない。
俺はまだ揚羽様に、いやアゲハに想いを伝えていないんだ!
例えこの身に何かあろうと花をアゲハに!!
 

⏰:08/11/04 01:05 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#373 [8]
 
腕に力を込め再び登りだした真也
先程までの体の痛みは気にはならなくなっていた。

そして遂に花に手を伸ばし、真也は花を手に入れたのだ。

『やった…やったぞ!!』

歓喜にわく真也
と、その刹那!

⏰:08/11/04 01:06 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#374 [8]
 
ガラッ…

『う、うわぁぁぁぁぁ!!』
突如手を掛けていたくぼみが崩れ、真也は闇の中に落ちていく…


この高さから落ちれば間違いなく待っているのは死、
真也はその現実に身をゆだねる事しか出来なかった。

だがその時、
真也の周りを白い光が包んだ

「シン…ヤ…サン」
 

⏰:08/11/04 01:08 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#375 [8]
 
 
 
 
「午前1時24分…
 ご臨終です…」

『そ、そんな…揚羽、
 アゲハァァァァ!!』

揚羽の両親はその夜まだほのかに暖かい娘を抱きしめ泣き続けた。
 

⏰:08/11/04 01:09 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#376 [8]
 
夜が明け水平線から太陽が出てきた

『ん、ここは…』
真也は崖の下に倒れていた。

『そうか、俺は崖から落ちて…しかも助かったどころか怪我ひとつしていない。
それにあの光は…』

そう考えてる時に真也は手元にある花に触れた。

『! 急がなくては!!』
 

⏰:08/11/04 01:10 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#377 [8]
 
真也は屋敷への道をひた走った。

その途中真也は一匹の蝶が花の周りを飛んでいるのに気付いた。




  ―揚羽蝶―

bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/129
真也は走るのを止めこの蝶に見入っていた。
 

⏰:08/11/04 01:12 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#378 [8]
 
鮮やかな極彩色の羽が今日はなぜか狂おしい程に愛しかった。



真也の瞳から流れる一筋の涙

全てを悟ったかのように、真也は道の脇に花を挿し、一言
『ありがとう』と言い屋敷へと去っていった。



「アリガトウ…シンヤサン」
 

⏰:08/11/04 01:14 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


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