【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#55 [あんみつ]
あまりの恐怖に足が固まる。
「アーク!」
気付いたレジーが俺の名を呼ぶ。
しかし、俺は固まったまま動けない。
目の前には、見たこともない生き物。
茂みから出てきたそいつは、ライオンの様なたてがみを持ち、それは針金のように固く尖っていた。
銀色の毛皮に覆われ、体の大きさは俺の身長を優に超えている。
そして、この世の悪をすべて集めたような漆黒の目。
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#56 [あんみつ]
・・・そう、その姿はまるで魔物。
恐怖と驚きで声が出ない。
「危ない!」
レジーが叫ぶ。
俺目掛けて、鋭い爪が振り下りる。
ドンッ!
間一髪のところで、レジーが俺を突き飛ばした。
爪が地面に刺さって、鈍い音が響く。
その振動で木々が揺れた。
俺は地面に倒れ込む。
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#57 [あんみつ]
「・・・いってー」
頭をさすりながら起き上がると、目の前にはレジーの背中。
その向こうには、地面に爪が刺さったままの生き物がいた。
体をうねらしながら爪を引き抜こうともがいている。
爪が抜けるのも時間の問題だろう。
レジーは俺をかばうように、俺と生き物の間に立っていた。
「・・・くそ」
レジーがつぶやく。
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#58 [あんみつ]
が、突然意を決したように、生き物の出てきた茂みに向かって走り出した。
そのまま茂みの中に消える。
俺は相変わらず動けなくて、レジーを目で追うだけで精一杯だった。
正直、自分がここまで情けないとは思わなかった。
その時、恐れていたことが起きた。
ザッ!
音ともに爪が地面から抜けて、生き物は自由を取り戻す。
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:08/11/03 13:30 :D904i :3PH3.VE6
#59 [あんみつ]
そいつはシューシューと息を吐きながら、ゆっくりと俺の方を向いた。
(・・・やばい!)
そう思うのに体は動かない。
だんだんと距離が縮まっていく。
(なんで・・・こんな目に・・・)
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#60 [あんみつ]
もとはといえば、あのペンダントのせいだ。
ペンダントを置いていったあの男のせいだ。
選ばれた?
世界を救う?
何なんだよ。
なんで俺なんだよ。
なんで・・・
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:08/11/03 13:32 :D904i :3PH3.VE6
#61 [あんみつ]
生き物が前足を振り上げて、鋭い爪が光る。
俺にはそれが、まるでスローモーションのように見えた。
その時、
「アーク!受け取れ!」
茂みの中からレジーが飛び出した。
そして、俺に向かって何かを投げる。
それは・・・あのペンダント。
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:08/11/03 13:33 :D904i :3PH3.VE6
#62 [あんみつ]
『・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・』
あの時のレジーの言葉が、必死な目が、頭に浮かんだ。
冷たく突き放した俺を、命がけで助けれくれた。
俺よりも小さな背中は、たくましかった。
なのに、俺は・・・。
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#63 [あんみつ]
座った状態のまま、できる限り手を伸ばして、ペンダントを受け取った。
爪が俺に向かって振り下りる。
もし、もしも俺が、
なんで俺を選んだんだ?
そう聞いたら、レジーはどう答えるだろう。
『んー・・・なんとなく!』
いたずらっぽく笑って、そんな風に言うかもしれない。
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#64 [あんみつ]
けど・・・
・・・そんなことは、どうでもいい。
俺は、助けたい。
俺を必死で助けようとするレジーを。
「アーク!」
レジーが叫ぶ。
その瞬間、ペンダントが輝きを増した。
それに驚いた生き物が動きを止める。
赤い光が、辺りを包み込んだ。
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:08/11/03 13:36 :D904i :3PH3.VE6
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