【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#62 [あんみつ]
『・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・』
あの時のレジーの言葉が、必死な目が、頭に浮かんだ。
冷たく突き放した俺を、命がけで助けれくれた。
俺よりも小さな背中は、たくましかった。
なのに、俺は・・・。
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#63 [あんみつ]
座った状態のまま、できる限り手を伸ばして、ペンダントを受け取った。
爪が俺に向かって振り下りる。
もし、もしも俺が、
なんで俺を選んだんだ?
そう聞いたら、レジーはどう答えるだろう。
『んー・・・なんとなく!』
いたずらっぽく笑って、そんな風に言うかもしれない。
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#64 [あんみつ]
けど・・・
・・・そんなことは、どうでもいい。
俺は、助けたい。
俺を必死で助けようとするレジーを。
「アーク!」
レジーが叫ぶ。
その瞬間、ペンダントが輝きを増した。
それに驚いた生き物が動きを止める。
赤い光が、辺りを包み込んだ。
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#65 [あんみつ]
ドクンッ
俺は、自分の中の血液が熱くなるのを感じた。
ドクドクする。
光が収まり、俺は目を開けた。
目の前には、もとの光景が広がる。
ただ一つ違うのは、レジーの姿が見当たらないこと。
レジーがどこに行ったか考える暇もなく、地面を震わす低いうなり声によって、俺の意識は生き物の方へと引き戻された。
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#66 [あんみつ]
再び振り下ろされる爪。
俺は思わず目をつむる。
その時、
『逃げろ!』
頭の中で、レジーの声がした。
その瞬間、俺の体は素早くその場を飛び退く。
生き物の爪は俺の代わりに、背の高い木を一本なぎ倒した。
その五メートルほど後ろで、急に信じられないほど軽くなった自分の体に、俺は状況を把握できずにいた。
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#67 [あんみつ]
動いたのは、確かに自分の体。
だけど、自分だけのものじゃない。
そんな不思議な感覚。
その時、俺は自分の髪が伸びていることに気付いた。
少しじゃない。
短かったはずの金色の髪は、レジーのように赤く染まり、胸の辺りまである。
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#68 [あんみつ]
(・・・なんで)
『アーク!聞こえるか?』
また頭の中でレジーの声がした。
「レジー!お前、どこにいるんだよ!?」
俺は、見えないレジーに向かって話しかける。
その間に生き物の目は、再び俺に向けられた。
レジーの小さい舌打ちが聞こえた。
『詳しい説明はあとだ。アーク、右手に神経を集中させるんだ』
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#69 [あんみつ]
なんで?
そんなこと聞いている暇はない。
そう、今はレジーを信じるしかない。
持っていたペンダントを首にかけて、言われた通り全神経を右手に集中させる。
すると、だんだん手のひらが熱くなり、気が付くと右手には剣が握られていた。
「・・・これって」
『くるぞ!アーク!』
レジーの声に、俺は反射的に剣を構える。
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:08/11/03 13:42 :D904i :3PH3.VE6
#70 [あんみつ]
振り下ろされた爪が剣にあたって、鈍い金属音が響いた。
その反動で、俺は後ろにのけぞる。
『右だ!』
体勢を立て直してすぐに次の攻撃。
剣を構える暇もなく、俺は左に飛び退く。
『おい、戦えよ!』
「無茶言うな!剣術なんかやったことねーのに!」
不満げなレジーに俺は怒鳴った。
その時、怒りが頂点に達したのだろう生き物が、うなり声をあげた。
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#71 [あんみつ]
そして、爪がものすごいスピードで俺の頭上に向かってくる。
(・・・やばいっ)
とっさに剣を構え、目をつむる。
次の瞬間、
「ウェリアス!」
女の子の声が聞こえた。
ほぼ同時に、高い金属音が鳴り響く。
生き物の爪は下りてこない。
俺は恐る恐る目を開けた。
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:08/11/03 13:44 :D904i :3PH3.VE6
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