【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
最新 最初 🆕
#74 [あんみつ]
 
「フィン!」

俺がその笑顔に見とれていると、男の声がした。

声の主は、俺の視界の右端の木の上から飛び降りてきた。

緑の短い髪をした背の高い男。

俺より少し年上だろうか。

走ってこっちにやって来る。

「フィン!大丈夫か!?」

近づくなり男が言った。
.

⏰:08/11/03 13:48 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#75 [あんみつ]
 
フィンと呼ばれた茶髪の女の子は、ふぅと息を吐く。

「大丈夫。一匹だけだったから」

フィンが冷静に言うと、男は安心したのか、胸をなで下ろした。

次の瞬間、男が緑の光に包まれる。

光が消えた時、そこには、黒髪の男と緑の髪をした小柄な男の子がいた。

女の子の時と同じように。

(・・・なんなんだ)
.

⏰:08/11/03 13:49 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#76 [あんみつ]
 
俺が呆気にとられていると、小柄な男の子が、地面にへたり込んだままの俺に気づいた。

「あー!」

そして、俺の胸にぶら下がるペンダントを指差して叫ぶ。

その声で、フィンも男も女の子も、一斉にこっちを見た。

「え!?こいつもしかして・・・」

男が、驚きを隠せない表情でフィンを見る。

フィンはコクリとうなずくと、自分の胸元から青い石がはめ込まれたペンダントを取り出して、俺に見せた。
.

⏰:08/11/03 13:50 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#77 [あんみつ]
 
続いて、男も緑の石がはめ込まれたペンダントを取り出す。

俺は、自分の赤い石がはめ込まれたペンダントとそれらを見比べた。

「レジー!さっさと出てこいよ!」

そうしていると、男の子が俺に近づいてきて、いないはずのレジーに向かって言った。

その時、俺は赤い光に包まれる。

光が消えると、俺の隣には、まるで当然のような顔をしてレジーが立っていた。

俺の髪は、もとの短髪に戻っている。
.

⏰:08/11/03 13:51 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#78 [あんみつ]
 
「久しぶりだな。ウェリアス、カルジャ」

言いながらレジーは、女の子と男の子の顔を見て嬉しそうに笑う。

「針獣一匹に手間取るなんて、レジーらしくないんじゃない?」

ウェリアスと呼ばれた青髪の女の子が、いたずらっぽく言った。

「なんか久しぶりだと感覚が鈍っちゃってさ」

腕をぶんぶんと振って見せるレジー。

俺は状況が飲み込めずに、楽しそうに話す三人を見ていた。
.

⏰:08/11/03 13:53 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#79 [あんみつ]
 
そんな俺に気づいたレジーが、今度は全員を見渡しながら言う。

「こちらアーク、俺のパートナー」

俺は反射的に頭を下げた。

全員の視線が俺に集まる。

「私は水の神のウェリアス。こっちはパートナーのフィン。よろしくね」

「俺は森の神のカルジャ。こいつはパートナーのリク」

ウェリアスとカルジャが、順番に言った。
.

⏰:08/11/03 13:54 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#80 [あんみつ]
 
フィンは笑顔で頭を下げ、リクは、「こいつって何だよ」とカルジャを小突く。

(・・・水の神と、森の神?)

他にも理解できないことはたくさんある。

俺は必死で頭を回転させる。

そこで、リクが口を開いた。

「俺たちも、もとはアークと同じ世界にいたんだ。でも、このペンダントが光って・・・」

「・・・気づいたらこっちの世界にいた?」

俺が言うとリクは、その通りとうなずいた。
.

⏰:08/11/03 13:55 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#81 [あんみつ]
 
自分と同じ世界にいた、それだけなのに、親近感がわいてくる。

そこで俺は、ペンダントを置いていった男のことを思い出した。

「このペンダント、知らない男が俺の所に置いてったんだよ。あの男は?何か関係あんの?」

胸にぶら下がったペンダントに触れながら言うと、今度はレジーが口を開いた。

「そいつは、以前闇が暴走した時の俺のパートナー。俺がアークを選んだから、そいつが代わりにペンダントを渡してくれたんだ。そのペンダントは、俺たち神の分身みたいなもんだからな」
.

⏰:08/11/03 13:56 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#82 [あんみつ]
 
言った後レジーは、あいつらしいなと静かに笑った。

風が吹いて木々が揺れる。

俺の頭の中に、小さい頃に聞いた物語が浮かんだ。

.

⏰:08/11/03 13:57 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#83 [あんみつ]
 

『闇の暴走を止めるべく、国々は、それぞれの土地にまつわる神の協力の下、闇を封印することに成功した。

しかし、それは一時的なもので、闇が暴走しようとした時、再び封印の儀式を行う必要がある。

封印するためには、一人の神につき、一人の選ばれた他の世界の人間の力が必要であった。

それぞれの国からの神と、それに選ばれた人間たちが集まった時、真の力を発揮する。

そうして、神々と人間たちは、協力しあって生きてきたのだ』

.

⏰:08/11/03 13:58 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194