人生の案内板
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#122 [幸]
『母さんが?』
『ああ、お前の母さんは
なんだろうな…正義感がある人だったよ
イジメとか見かけると
イジメられてる人を
助けようとする人だよ
でもさぁ、イジメって
人生に一度は必ず見かけるだろ?』
:08/12/22 20:51 :W53H :CJ9uPbk2
#123 [幸]
私は黙って父さんの話
を聞いた
『母さんと同じ仕事場
でイジメにあってる子
がいたんだ。
特別仲は良くなかったが
嫌いではない人だったらしくてな
お前も知ってると思うけど
お母さん、頭よくないだろ。
だからその子がイジメられてることに気づかなかったんだ。』
:08/12/22 20:55 :W53H :CJ9uPbk2
#124 [幸]
『それって、頭良い
悪い関係なくない!?』
『……お母さんは大学
まで進学してないだろ
昔は大学進学っていったら
たいしたもんだったんだよ
だから、お母さんは
イジメのことを知らなかった
自分を責めていた』
私はたまらない気持ちになった
:08/12/22 20:57 :W53H :CJ9uPbk2
#125 [幸]
さらに、父さんは語り続ける
『その子は……自殺を
したんだ
まぁ、命には大事なかったが
その子は仕事を止めた』
母さん…
私は無性に母さんを抱きたかった
でも、その母さんは今はいない。
:08/12/22 21:00 :W53H :CJ9uPbk2
#126 [幸]
『“私が…気づいてやれなかったからだよね
なんで私は馬鹿なんだろう
頭…悪すぎだよ”
って母さんが付き合っていた
俺にそう言った。
俺はイジメた奴が悪い
って言ったけど…
やっぱりそういう事に
気づく事は頭悪い奴
はそう簡単に気づかないと思う
って……
頭が良いなら、早く
その子の気持ちを察して
助けられる
だから…今まで教育熱心だったんだよ』
:08/12/23 12:58 :W53H :qB6pGs66
#127 [幸]
『お前は母さん似だな
そういう性格がそっくりだ』
父さんはそう言うと、
ビールをグッと飲んだ
仕事の終わりにはビールが似合う
と笑い、私の顔を見た
『お前も、優しい人間になったな』
と、父さんが私の頭を撫でた
:08/12/23 23:53 :W53H :qB6pGs66
#128 [幸]
『父さん…』
『なんだ?』
『私、弱い人っていうか…
人の気持ちを察してあげられる
人間になるっっ』
きっと
“何になりたい?”
と、聞かれたらこう答えるだろう
私のこの気持ちは誰にも負けない
:08/12/23 23:55 :W53H :qB6pGs66
#129 [幸]
『いいことじゃないか』
父さんはそう呟き、
また私の頭を撫でた
:08/12/23 23:56 :W53H :qB6pGs66
#130 [幸]
翌日。
学校に行く時だった。
駅に募金をしている大人がいる
『盲導犬の〜……
目の不自由な方のために……
ご協力お願いします』
途切れ途切れであったが
私はすぐに反応し、
募金をしている方へ目を向けた。
:08/12/23 23:59 :W53H :qB6pGs66
#131 [幸]
お金を入れる箱に
“障害者”と書かれてある
文字に目が入った。
気づかなかった…
こんな近くに障害があるなんて
そうだよ…
普通の顔をしてる障害者
だっているんだよ。
健常者と全く変わらない
:08/12/24 00:02 :W53H :5tzWFXiw
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