双子の秘密
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#120 [ゆーちん]
いつもの私なら告白されれば大体OK。
来る者拒まず。
誰にでも足開いててさ。
でもね、最近はちょっと違うんだ。
上辺だけの恋人とかSEXとか…面倒なんだよね。
もし先生に告白されても、今の私なら断ると思う。
って、自惚れすぎか。
:08/12/08 20:54 :SH901iC :xLeVnYmI
#121 [ゆーちん]
ファンの子に屋上から突き落とされかねないね。
変な妄想をストップさせ、私も屋上を降りた。
ちょうどチャイムが校内に鳴り響いた時だった。
:08/12/08 20:55 :SH901iC :xLeVnYmI
#122 [ゆーちん]
その2日後。
また屋上で、私の隣で美味しそうに煙草を吸う由良先生の姿があった。
「先生さぁ。」
「ん?」
「いつから煙草吸ってんの?」
「斗美ぐらいの時から。」
「ふーん。」
:08/12/08 20:55 :SH901iC :xLeVnYmI
#123 [ゆーちん]
最初は、先生が隣にいるから昼寝できないじゃんって思ったけど、話をしてるうちに睡魔なんか飛んでっちゃった。
他愛もない話をしながら空を見上げる二人に、今日も優しい風が吹く。
:08/12/08 20:56 :SH901iC :xLeVnYmI
#124 [ゆーちん]
「何で教師になったの?」
「さぁ?自分でもわかんなーい。」
「アハハ。変なの。」
「昔の俺はさ、両親や担任や警察に迷惑かけまくりな少年だったの。」
「不良?」
「俺は不良だと思ってないんだけど、周りはそう呼ぶ。」
:08/12/08 20:57 :SH901iC :xLeVnYmI
#125 [ゆーちん]
「アハハ。自覚なかったんだ。バカじゃん。」
「斗美よりバカはいないって。」
「はぁ?」
私の顔を見てクスッと笑ってから先生は言った。
:08/12/08 20:58 :SH901iC :xLeVnYmI
#126 [ゆーちん]
「更正しなきゃなーと思って、頑張って勉強とかしたの。そん時、担任に助けられたから俺も教師になるかぁと思って…今に至る。でも教師なんか俺には向いてなかったのかも。性に合わなくて毎日息が詰まるよ。」
誰にでも、悩みはあるんだと思った。
当たり前の事だけど、誰しもが悩み事を抱えてるんだと思い知った。
:08/12/08 20:59 :SH901iC :xLeVnYmI
#127 [ゆーちん]
「で、ここで息抜きですか。」
「ここは俺の場所だったのに、誰かさんが昼寝場所に使い出すから迷惑極まりないないね。」
「エヘッ、ごめん。」
:08/12/08 20:59 :SH901iC :xLeVnYmI
#128 [ゆーちん]
「お前が初めてだわ。入学して1ヵ月なのに堂々と屋上でサボって昼寝してるやつ。」
「先生も昼寝すれば?すっごい気持ち良いんだよー。」
「いいよ。起きれなかったらヤバいし。」
:08/12/08 21:01 :SH901iC :xLeVnYmI
#129 [ゆーちん]
「アラームかけて寝ればいいんじゃない?」
「また今度な。斗美が昼寝してる隙に隣で添い寝しといてやるよ。」
「何で私が寝てる隙なの。」
「目が覚めたら王子様が隣で寝てるってロマンチックだろ〜、このこの〜。」
「アハハ。キモいし、王子様って誰だよー!バ〜カ。」
:08/12/08 21:01 :SH901iC :xLeVnYmI
#130 [ゆーちん]
こうして見つけたおさぼり友達。
次にサボった時には先生は来なかった。
その次も来なかった。
だけどその次は来た。
:08/12/08 21:02 :SH901iC :xLeVnYmI
#131 [ゆーちん]
いつも一緒にサボれるって訳じゃない。
先生だって授業があるんだから、いつもいつもサボってられないもんね。
だけど一緒にサボるとなれば、なぜか楽しくなれた。
昼寝せずに、くだらない話をする。
たったそれだけなのに、楽しくて安らげる時間だった。
:08/12/08 21:03 :SH901iC :xLeVnYmI
#132 [ゆーちん]
梅雨入りをした6月は屋上ではサボれない。
他にサボれる場所を探さないと。
先生はいつもどこでサボってんだろ。
屋上で話ている時に聞いておけばよかった。
学校内で先生とすれ違ってもお互い無視するし、連絡先ももちろん知らない。
:08/12/08 21:04 :SH901iC :xLeVnYmI
#133 [ゆーちん]
しばらくは先生とおさぼり出来ないのかなー、なんて思っていたら梅雨明けが訪れた。
驚く事に梅雨中、私は一度もサボらなかった。
迷っているうちに終わった梅雨期間。
授業に出ているのに、ちっとも賢くならない私。
太陽が暑く輝きだした。
:08/12/08 21:04 :SH901iC :xLeVnYmI
#134 [ゆーちん]
せみが鳴く。
うるさい。
屋上に上る。
暑い。
「久しぶりー。」
「やっぱり居た。居るような気がしてた。」
太陽より眩しい笑顔が煙草を手に持って、私を待ってくれていた。
:08/12/08 21:05 :SH901iC :xLeVnYmI
#135 [ゆーちん]
「しばらく見ない内に太ったんじゃない?」
「うるさい!」
「アハハ。嘘うそ。梅雨の間ずーっとサボらないで授業受けてたのー?」
「うん。屋上以外サボる場所知らないし。」
「俺も知らない。だから授業がない時はずーっと職員室で引きこもってた。」
:08/12/08 21:06 :SH901iC :xLeVnYmI
#136 [ゆーちん]
乾き過ぎて暑いくらいの屋上の床に座って、こう聞いた。
「私に会えなくて寂しかったでしょー?」
期待していたふざけた答えが返って来る事はなく、先生の笑顔がスッと消えた。
:08/12/08 21:06 :SH901iC :xLeVnYmI
#137 [ゆーちん]
「何でわかんのー。」
こうやって語尾を少し伸ばして喋る癖のある先生。
私はその口調が心地よくて安心できるの。
「何で俺が寂しかったって知ってんの?斗美も寂しかったの?」
「え?あ…いや、そうじゃなくて…えっと…」
:08/12/08 21:07 :SH901iC :xLeVnYmI
#138 [ゆーちん]
先生は煙草を携帯灰皿に捨てた。
「前にも言ったよね。」
「え?」
「俺も男なの。」
頭の後ろに先生の手が回ったと思ったら、次の瞬間には目の前に先生がいた。
:08/12/08 21:08 :SH901iC :xLeVnYmI
#139 [ゆーちん]
私の唇は先生の唇と重なっていて…教師と生徒の壁を越えてしまった瞬間だった。
驚いて開いたままだった目を、ゆっくり閉じて、キスに答えた私。
甘く長いキスだった。
:08/12/08 21:08 :SH901iC :xLeVnYmI
#140 [ゆーちん]
〔斗羽〕
高校生になってバイトを始めた。
駅前のカフェ。
人見知りをするというコンプレックスがあるからこそ、あえて接客業を選んだ。
どんな時でも笑顔を作ってなきゃいけないという役割。
:08/12/08 21:09 :SH901iC :xLeVnYmI
#141 [ゆーちん]
最初は恥ずかしかったものの、1ヵ月もすれば自然に笑顔を浮かべる事ができていた。
「斗羽ちゃん!」
「あ、いらっしゃいませ。来てくれたんだ。」
このバイトのおかげで人見知りが少しは治ったのか、中学時代なんかと比べられないくらい友達が増えた。
:08/12/08 21:10 :SH901iC :xLeVnYmI
#142 [ゆーちん]
「カフェオレ1つね。たっくんは?」
友達の恵は彼氏と来てくれた。
「俺アイスカプチーノ。」
「カフェオレ1つとアイスカプチーノ1つですね。合計720円になります。」
「はいよ〜ん。」
「あ、俺出すわ。」
たっくんと呼ばれる彼氏がお金を払うと、恵は甘えた声で『ありがとう。』と何度もお礼を言っていた。
:08/12/08 21:10 :SH901iC :xLeVnYmI
#143 [ゆーちん]
彼氏ねー…。
聡志以来、彼氏はいない。
欲しいと思うけど、今度付き合うならHなんかしない人がいいなー、なんて。
そんな性欲ゼロの人なんていないか。
:08/12/08 21:11 :SH901iC :xLeVnYmI
#144 [ゆーちん]
「ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとね、斗羽。」
商品を受け取ると恵たちは奥のテーブルに向かった。
その後、店はなかなか忙しくて恵たちが、いつ帰ったのか気付かなかった。
いつの間にか上がる時間になっていて、店長から『上がっていいよ。』と言われたので、店の制服から学校の制服に着替え、家へと歩き出す。
:08/12/08 21:11 :SH901iC :xLeVnYmI
#145 [ゆーちん]
駅前は明るく賑わっているので怖くない。
だけど駅前から少し離れると急に暗くて不気味な道があり、いつもビクビクしながら帰ってた。
こんな時、送り届けてくれる彼氏とかいたらなー…。
:08/12/08 21:12 :SH901iC :xLeVnYmI
#146 [ゆーちん]
梅雨が明けると夏が来る。
店内は涼しくて、お客さんは涼みついでに来店してくるので毎日忙しかった。
「桜井さん、申し訳ないんだけど1時間延長してもらえる?」
店長に頭を下げられちゃ断るにも断れないよ…。
夜道が怖いから、出来るだけ早く帰りたいけど…仕方ないよね。
「はい、わかりました。」
:08/12/08 21:13 :SH901iC :xLeVnYmI
#147 [ゆーちん]
いつも21時に上がるけど、今日は22時上がり。
「お疲れ様でした。」
店を出ると、ムッとした暑さが私を待ち構えていた。
明るい駅前を歩き、嫌いな暗い道を歩く。
一人ぼっちだと怖い。
だけど誰かいても怖い。
どっちにしろ、この道は怖い。
:08/12/08 21:13 :SH901iC :xLeVnYmI
#148 [ゆーちん]
やだ、やだ。
早く帰ろ…。
と、その時だった。
「桜井さん。」
心臓が跳ね上がった。
誰もいないと思っていたのに後ろから声をかけられ、私は慌てて振り返った。
:08/12/08 21:14 :SH901iC :xLeVnYmI
#149 [ゆーちん]
「あ…園田さん。」
後ろにいたのは園田さんだった。
バイト先の正社員の人。
確か25歳って言ったかな。
「ごめん、驚かしちゃった?」
無邪気に笑う園田さんと、10も歳が離れてるなんて思えない。
:08/12/08 21:15 :SH901iC :xLeVnYmI
#150 [ゆーちん]
「あの、何してるんですか?こんな道で…」
「さて問題。園田さんは何をしてるんでしょーか?」
園田さんは歩き出した。
私は園田さんの隣を歩く。
「まだ勤務中ですよね。あ、わかった!買い出しだ。」
「お〜、さすが頭のいい高校行ってるだけあるね。正解。」
:08/12/08 21:15 :SH901iC :xLeVnYmI
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