冷たい彼女
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#366 [ゆーちん]
凜は眉を下げたまま笑った。


「何でカッコなんかつけんの。私はバカな心が好きなのに。」


美帆から聞いてた言葉は、凜から聞くとまた一味違った嬉しさが込み上げた。


凜は立ち上がり、俺の傍に来て、指先で鼻を触った。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#367 [ゆーちん]
「こんな風に鼻真っ赤にして、いきなり部屋に上がり込んでくる心が好きなんだよ。」


体は勝手に動いてた。


小さな凜を抱きしめると、すっげぇ温かかった。


「好き過ぎて泣きそう。」

「泣いていいよ。」


そう言ってくれたけど、凜の許可が降りる前に涙は零れていたのは…内緒にしておこう。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#368 [ゆーちん]
「おいてきぼりにされた時、マジで別れちゃうのかと思った。」

「それは私のセリフ。引き止めてくんないし、心の気持ちは冷めたんだって悲しくなった。」

「冷めるわけないから。」

「そりゃどーも。」


初めてキスした時のように、唇が触れた瞬間から俺の涙は止まった。

⏰:08/12/13 16:33 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#369 [ゆーちん]
「私が出てったら寂しい?」

「寂しい。」

「行かないで欲しい?」

「行かないで。」

「本音?」

「うん。」

「ふーん。」


でも凜は行っちゃうんだ。


泣いても喚いても、それは変えられない。

⏰:08/12/13 16:34 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#370 [ゆーちん]
「愛されてるって知りたかったの。寂しいから行くなって言ってもらえると、安心して行けるから。」

「ごめんね。」

「もう大丈夫。泣いてる心見て安心しない方がおかしいもん。」

「愛してるよ?」

「…知ってる。」

「凜ちゃんは?」

⏰:08/12/13 16:35 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#371 [ゆーちん]
「さぁ、どうだろ。秘密。」


こうやってすぐに茶を濁すところも好き。


照れ屋なのか冷たいのかわかんないけど、そこが好き。


「一人暮らしは寂しいから、頻繁に現れてね?」

「毎日現れる予定だけど。」

「それは迷惑だから嫌。」


ほら、俺はそういうとこが好きなんだ。

⏰:08/12/13 16:35 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#372 [ゆーちん]
バレンタインに互いの気持ちがわかってよかった。


だって、その約2週間後の今日には中学校を卒業だもん。


早かったな。


この3年間。


つーか、この1年間もかなり早かった。


凜が来てから毎日毎日、24時間じゃ足りないくらい充実していた。

⏰:08/12/13 16:38 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#373 [ゆーちん]
辛い事もあったけど、楽しい事の方が多かったな。


…なんて考えていると卒業式は終わっていた。


香奈、澪、大輝は笑えるぐらい泣いていた。


美帆や千夏、ほとんどの奴は感動でチラリと涙を見せたり目を潤ませていた。


俺もその一人。

⏰:08/12/13 16:39 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#374 [ゆーちん]
泣かない奴もいる。


それが凜。


強い目で、ずっと前を見ていた。


卒業式でも泣かない凜はかっこよくて、何だかちょっと寂しかった。


「今日が最後の下校かぁ〜。」

「…そうだね。」


卒業式は午前中に終わり、昼からトメ食堂で打ち上げ。


だからこれが最後の下校。

⏰:08/12/13 16:40 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#375 [ゆーちん]
「最後ぐらい手ぇ繋いでいい?」

「…いいよ。」


差し出された小さな手を握り、寄り添った凜と同じ歩幅でゆっくりと歩いた。


「泣いてなかったね。」

「え?」

「式。やっぱ1年足らずじゃ思い入れ無いか。」

⏰:08/12/13 16:41 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


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