WHITE★CANDY
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#701 [ぎぶそん]
「とにかく、もう明日に賭けるしかないわね。
明日のステージで梅原春佳を見事に演じきって、彼の心をズキュンと射止めるのよ!」
エリが手のひらで私の机を思い切り叩く。
その大きな物音に反応して、ますちゃん含むクラスの皆の視線が私たちに向く。
「スポーツ大会は優勝逃しちゃったから、明日こそ優勝旗を持って帰りたいわねー」
彼女が腕を組んで溜め息をつく。
「私は思い出作りが出来ればそれでいいかな」
荷物を入れ終えた鞄のファスナーを閉める。
「もうっ!真希はもっと向上心を持ちなさいよー!ほらっ、最後の練習に行くよ」
彼女に腕を引っ張られるまま、教室を飛び出した。
:12/04/14 23:47
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:SZG3Mcoo
#702 [ぎぶそん]
文化祭の練習からの帰り、エリと談笑しながら歩いていると本屋が目に止まった。
「あ、ちょっと寄っていい?」
会話を中断して本屋を指差し、彼女に尋ねる。
本屋に入り漫画コーナーに入って、明日優平のクラスが演劇をするという「星くずロック」を探す。
ちょうど最近新巻が出たみたいで、最新巻のコーナーにいくつも詰まれていた。
表紙を手に取り、中央にいる主人公らしき人物の顔を眺める。
「本当だ。パーマ掛けてる」
思わず独り言を呟いてしまった。
「真希が漫画読むなんて珍しいね」
エリがひょいと身を乗り出す。
「ううん、もういい。帰ろうか」
私は手にした漫画を元あった場所に置いた。
漫画を購入して内容が知りたいところだけど、それは明日の優平の劇を観た後にしよう。何も情報が無くて観た方がワクワクするだろうし。
:12/04/15 00:09
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#703 [ぎぶそん]
翌日。
ステージ発表は学校と同じ区域にある市民会館を借りて行われる為、朝のホームルームが終わった後全校生徒が速やかにそちらに移動させられた。
前日に各クラスの委員長を集めて行われた公平なくじ引きの結果、私たちのクラスの発表は三番目となっていた。
元基のいるC組は五番目、優平のいるF組は最後から二番目なので、好都合にも発表による移動時間などを気にせずじっくりと観ることが出来る。
市民会館に入り予めクラス毎に決められてある席に着くと、私は忘れ物がないか鞄の中を確認した。
学校に行く前やここに来る前も見たので、今日だけで五回は鞄の中身を確かめている。
ステージ発表に使う新品のノースリーブ、体操服のズボン、サブバッグの中には部屋に飾っておいたモデルガンのライフル、全てある。
何度見ても物があるのに何度も見てしまうのは、緊張状態で思わずじってしていられないから。
:12/04/15 00:28
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#704 [ぎぶそん]
近くの席の子たちと今日についての話で盛り上がっていると、会場内の全ての照明がゆっくりと消えた。
場内全体でガヤガヤと聞こえていた生徒の話し声が徐々に静かになる。全校生徒の視線が正面のステージに向けられた。
そして、ブーッという開演の合図の音と共にステージの幕が上がった。
今学期新生徒会長に就任したばかりのD組の白川君が上座から現れ、手にマイクを持ってステージ中央に立つ。
「えー、これより文化祭二日目の始まりです」
白川君の少し緊張した様子の声が、会場内の音響を通して耳にする。
ステージ発表中は私語厳禁で、ステージ発表の審査は一年生と三年生による投票制など、大まかな彼の説明の後に十五分ほど各自休憩が入った。
その間にステージ発表一番目のD組の皆が、それぞれの荷物を持ちながら舞台裏へとぞろぞろと向かう。
観客席はクラス内でなら自由な席でいいとのことなので、エリが私の隣にやって来た。
:12/04/15 02:48
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#705 [ぎぶそん]
再びブーッという効果音と共に、ステージの幕が上がる。
少しずつ幕が上がる途中で、大きな和太鼓が目に入った。
幕が全部上がると、D組のクラス全員が白いハチマキに黒いはっぴを着て両手にバチを持っているのが見えた。
彼らの出し物は和太鼓による演奏のようだ。
最前列の中央にいる生徒会長の白川君が「ハッ!」と右手を突き上げると同時に他の生徒も右手を上げ、和太鼓を軽快に叩き始めた。
白川君の両隣にそれぞれいる鈴川姉妹が後ろ向きで太鼓を叩いたりバチの数を増やしてお手玉みたいなパフォーマンスをしたり、一部始終プロ並の動きをする(この姉妹、一体何者なんだ)。
場内からは思わずオーっという歓声が上がったり、称賛の拍手も鳴ったりしていた。
素人目から見てもエンターテイメント性に長けていて、クラス全体の統率が上手くとれている感じだった。
スポーツ大会に引き続きこのステージ発表の優勝もD組で決まりなのかもと、私は少々怖じ気づいてしまった。
:12/04/15 03:19
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#706 [ぎぶそん]
ドドンっ!と最前列の人たちが激しく太鼓を叩いた後、D組の全員が無言で一礼をする。
ステージの幕が下りるまで、会場内からの大きな拍手は湧いていた。
「皆さん、今から一列になって静かに舞台裏に回って下さい」
十分の休憩時間に入ると委員長の篠崎君が立ち上がり、私たちクラス全員に呼び掛ける。
文化祭は時間どおりに行われなければいけないので、次のE組のステージ発表の間にその次の私たちB組は舞台裏で着替えなどの準備をしなければならないのだ。
私は必要な荷物を持って、自然に作られた列の中に並んだ。
「くー、いよいよだね」と、後ろにいたエリが小声で叫ぶ。
:12/04/15 04:19
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#707 [ぎぶそん]
舞台裏にある準備室でまず男子が着替えることになり、その間女子は準備室の前で待つこととなった。
数分で男子が出てくると、ほとんどの女子が思わず彼らの着ている衣装を見て騒然となる。
「何この衣装ー!本格的じゃん!」
エリがますちゃんの衣装を指差す。
上下共にまばゆい銀色の光沢が張り巡らされていて、胸元には「2−B」と刺繍が施してあった。
「ああ、聞いてなかった?高田さんたちが作ってくれたんだ」
ますちゃんが答える。
私とエリはすかさず高田さんにどうやって男子の衣装を作ったのか尋ねてみた。
「私…、実はコスプレが趣味なんだ。衣装も手作りの方が安上がりだからよく作ってて、ターミナルの衣装を参考にして男子から集めた材料費で作ってみたの」
物静かな高田さんの意外な一面を知れた。
女子の衣装の時も真っ先に提案していたのは、こういった事実があったからなのか。
:12/04/15 04:45
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:qfyaBuEI
#708 [ぎぶそん]
次に女子が準備室に入り、舞台衣装に着替える。
舞台衣装といってもノースリーブにズボンと、実にシンプルな格好だ。
「あ…、男子みたいに女子の分も作ったから、良かったら着ませんか…?」
全員がだいたい着替え終えた後高田さんが十畳ある畳の中央に立ち、皆に声を掛けた。
彼女が手にしていた紙袋から、ネイビー色の迷彩柄のパーカーを取り出す。
「高田さんそれも手作り!?すごいじゃん!」
興味津々に彼女の元へ寄るエリ。
「ううん、全然そんなことないよ。道子や絵美たちに手伝ってもらったお陰だよ…。
それに、迷彩柄の生地が大量に余ってて使い道に困ってたし」
女子皆が感激しながら、高田さんたちが作ったパーカーを羽織る。
袖のないパーカーのようで、戦ガーの代表曲「フルメタル・ラブ」の衣装に似ていた。
:12/04/15 05:01
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:qfyaBuEI
#709 [ぎぶそん]
着替え終わった後も女子は準備室に居るまま、それぞれダンスや歌の練習に励んでいた。
私は自分のパートの振り付けを何度も確認した。
一時してドアをノックする音が聞こえたので、皆で声を合わせて「はい」と返事をした。
「B組の皆さん、そろそろ本番です。スタンバイして下さい」
一年生の生徒会役員の女の子が、準備室を開け一声掛けてきた。
私たち女子は最後にもう一度集まり、一つの大きな円になった。
副委員長の寺川さんの指示に従い皆でミサンガを着けた方の手をそれぞれ前に出し、合わせる。
「それじゃあ、皆の健闘を祈って。エイ、エイ、オー!」
寺川さんの元気のいい掛け声に続いて、私たちも掛け声を唱えた。
:12/04/15 05:22
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:qfyaBuEI
#710 [ぎぶそん]
私たちは舞台袖に移動すると、先にパフォーマンスをする男子たちにそれぞれ声援を送った。
暗がりの中、彼らがステージ上でスタンバイを始める。
「頼むよー、男子たち」
エリが祈るように両手を合わせる。
私も心の中で「頑張れ!」ともう一度彼らにエールを送る。
幕が全て上がったとそろで、ターミナルの「サマータイムウェーブ」という歌が流れ始めた。
イントロ部分でメンバー全員が横一列になって波打つようにウェーブをするが特徴で、ターミナルといえばこのパフォーマンスと連想する人も多い。
他二曲の「バーニングファイヤー」、「ドゥユーアンダースタンド?」も息の合ったダンスが繰り広げられて、あっという間に三曲が終わった。
彼らが踊り終わるとステージの照明が落ち、観客席から拍手が聞こえた。
遂に、私たち女子の出番になった。
:12/04/15 05:43
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