WHITE★CANDY
最新 最初 🆕
#151 [Gibson]
「…はあ、心配だな。
こりゃ、一人にさせられないわー。」

「何言ってるの。
仕事に穴開けるなんてダメだよ!?
私なら大丈夫だから、今日は薬飲んでずっと家で寝ておく。」

私は出来る限り、平気な風に振る舞った。

「ごめんな、真希…。」

⏰:09/01/23 13:07 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#152 [Gibson]
カチカチカチ…―

壁掛け時計の、規則正しく刻む音だけが室内で聞こえる。

私は瞼を閉じて、ひたすら眠り込む体制になっている。

先程、エリから欠席を心配するようなメールが届いていた。

⏰:09/01/23 13:21 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#153 [Gibson]
熱を出したのは、記憶では中学一年が最後だった。

小学校低学年の時は、体調が悪くなったら、父が仕事を休んで病院に連れていってくれたり、看病してくれたりしていた。

父の実家は、遠く離れた県外にある。
だから私は、祖父や祖母に会ったことは、二・三度くらいしかない。

頼りになるべき肉親がそばにいなくても、父は近所の人も全く当てにしなかった。

なるべく、親としての役割を果たしたかったのだろう。

⏰:09/01/23 13:34 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#154 [Gibson]
小さい時は病気の時に付き添ってくれる有り難みに気がつかなかったが、
大きくなるにつれて、次第に申し訳なく感じた。

会社の人に、悪いように思われたりしていないかとか、会社を首になったりしたらどうしようとか。

それからは意識して、健康管理には心を配ってるつもりであった。

しかし、今回はちょっとした自分の不注意で、高熱を発生させてしまった。

でも大丈夫だ。
私も一人でいても特に不自由ない年齢になったから。

⏰:09/01/23 13:47 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#155 [Gibson]
「…お母さん、今自分を悪く思ってる?…」

窓の外に目をやり、梅雨の最中の、灰色のじめじめとした景色に向かって問い掛ける。

―そばにいてあげられなくて、ごめんなさい―

病気になる度に、そんな言葉を何度も叫ばれているような気持ちになる。

「…お父さんもお母さんも、全然悪くないよ…。」

⏰:09/01/23 14:02 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#156 [Gibson]
ピンポーン、ピンポーン―

「…ん…。」

ずっと寝ていたが、夕方近く家の呼び鈴の音で目を覚ました。

ベッドから起き上がり、Tシャツにジャージと部屋着の格好のままで、玄関のドアを開けてみた。

⏰:09/01/23 14:09 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#157 [Gibson]
「…えっ…!」

そこにいたのは、男友達の優平だった。

「エリから休んでるって聞いて。
皆で押しかけるのも迷惑だろうからって、俺が代表して見舞いに来た。」

いつも学校で見ている優平が、そっくりそのまま家の前にいる。

突然の訪問に、私は驚きを隠せなかった。

とりあえず、彼を家に入れた。

⏰:09/01/23 14:16 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#158 [Gibson]
初めて上がった私の家に、若干キョロキョロと辺りを見渡す優平。

「真希が熱なんて珍しいな。
はい、これ今日配られたプリント類。」

「ありがと。」

彼に差し出されたものを、受け取る私。

「今日ちゃんと食べた?」

「んー…ううん。」

⏰:09/01/23 14:27 📱:SH705i 🆔:xMFSml2U


#159 [Gibson]
「じゃあ、今からこれ剥いてあげるから。台所借りていい?」

彼が右手に握りしめている、スーパーの袋を掲げる。

いくつかの赤く丸々とした球体が、かわいらしく透けて見えていた。

そして、彼は袋を一旦キッチンの上に置くと、「とりあえずゆっくり寝てて」と言いながら、後ろから私の背中を押す。

⏰:09/01/24 00:57 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#160 [Gibson]
私は誘導されるがまま、リビングのソファーに横になることにした。

我が家はダイニングキッチンの造りになっているので、彼からも自分からも、目の届きやすい位置にいることになる。

「優平、今日の部活は?」

「早くに上がって来た。」

壮快に切れるりんごの音を挟みながら、彼と会話をする。

⏰:09/01/24 01:18 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#161 [Gibson]
サッカー部の練習は、いつも暗くなるまでやっていると聞いている。

きっと彼は、今日は私の見舞いの為に途中で切り上げてきたのだろう。

申し訳ないという思いに駆られようとした時、

「エリは料理出来ないし、元基の元気さは病人にとっちゃ、かえって煩わしいだけだし。
だから俺が来た。」

と、彼が私の気持ちを察したかのように、細かい訳を冗談混じりに話してくれた。

玄関の前で言っていた"代表"の意味を、そこで理解した。

⏰:09/01/24 02:01 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#162 [Gibson]
細かく切ったりんごを乗せた皿を持ち、彼が寝てる私の目の前に、しゃがみ込んできた。

「はい、どうぞ。」

上体を起こし、彼に差し出されたフォークで一つずつ口に入れる。

痛くて渇いた喉に、りんごの水分が程よく吸収される。

⏰:09/01/24 04:06 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#163 [Gibson]
「…今みたいに、病気になった時は大変そうだな。」

ついさっきまで看病なしで過ごしていた私を、彼が気の毒そうな眼差しで見つめる。

その綺麗な瞳が、ほんの微かに湿り気を帯びる。

「別に何ともないよ。」

無表情のまま、次のりんごを口に運んだ。

何故、自分が人に冷めた印象をよく持たれるか、一番理解できる瞬間だ。

⏰:09/01/24 04:34 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#164 [Gibson]
「…さっきの言葉、気に障ったのならごめん。

でも俺、真希の家庭環境を不幸せだとか思ったことは一度もないよ。

家のことはいつも、生き生きとした表情で話してくれるし。」

彼が軽やかな手先で、りんごの欠片を一つ摘んだ。

父のことはいつも、「うざい」「恥ずかしい」などの表現で紹介しているつもりだったが、
それが愛情と信頼の裏返しだということを、
今ここにいる彼は読み取っていてくれていたらしい。

⏰:09/01/24 05:26 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#165 [Gibson]
その次に彼は皿をテーブルの上に置き、腰を上げた。

リビングの隅に向かい、棚の上に飾ってある、白い写真立てを手に取る。

幼稚園の頃、父とラベンダー畑に行った時の瞬間が収められている。

一面紫の花に囲まれて嬉しそうな私を、満面の笑みで抱き抱えている父。

⏰:09/01/24 06:48 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#166 [Gibson]
「…真希は本当に、大事に育てられてきたんだなぁ。」

写真の中の二人に向かって、彼が微笑む。

「俺ん家って無駄に広くてさ、形式や建前気にして、何か全体的によそよそしいんだよね。

親や兄弟より、使用人と多く接してきた気がする。」

ハハハ、と目を細めて笑う優平であったが、寂しさを押し隠すような、そんな表情にしか見えなかった。

⏰:09/01/24 13:25 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#167 [Gibson]
優平の父は、歴代が設立した会社の社長を務めており、桜井家は由緒正しい家柄だという噂を、ちょくちょく耳にしたことがある。

彼が私やエリらを家に一度も招かないのは、そんな部分に対して、自分と距離を感じて欲しくないからであろう。

繊細さ故、彼も何か思う部分があったということを、今日ここで初めて知った。

⏰:09/01/24 13:45 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#168 [Gibson]
「あっ、俺さっきから病人の前で喋り過ぎだよな。
これじゃ元基のこと、悪く言えないわ。」

写真立てを元の位置に戻し、再びこちらに来て屈む。

「早く良くなれよ。」

優平が、私の左手を両手で取る。
その手のひんやりとした感触が、熱を冷ましてくれるようで心地よかった。

⏰:09/01/24 13:58 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#169 [Gibson]
「俺、お前の母さんの分まで、ずっとそばにいてやるから。」

「え…?うん…。」

「俺、いなくなったりしないから。」

「うん、うん…。」

彼の真摯な姿勢と眼差しが、私の心一点を射る。

その雄々しい態度に、彼もまた一人の男の子だということを、改めて認識する。

⏰:09/01/24 14:18 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#170 [Gibson]
安心感から、目を閉じもう一度眠ろうとする私。

優平はその名の通り、心優しい少年である。

クラスの委員長には、真っ先に選ばれるタイプで、
周りの世話を焼いたり、統率をするのが上手な人間だ。

でも、今私に注いでくれてる温かさが、義理な人情とは別物であってほしいと、独占欲に似た感情で願った。

⏰:09/01/24 14:32 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#171 [Gibson]
次に目を覚ましたのは、夜の8時前だった。

「…。」

直ぐさま視界に映った優平は、右手は私の手を握ったまま、ソファーにもたれ掛かって寝ていた。

寝息一つも聞こえないほど、静かに眠っている。

⏰:09/01/24 16:08 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#172 [Gibson]
髪は耳に掛けられるほどの長さで、艶がいい。
睫毛も長くて、女の子みたいだ。

彼のファンだと総称している子たちは、陰で彼を「王子」と呼んでいるとか。

今こんなに至近距離で、私が彼の眠りを見届けていると知ったら、彼女たち、どう思うかな。

⏰:09/01/24 16:19 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#173 [Gibson]
トクン、トクン、トクン―

自分の心臓が、熱を増して徐にリズムを奏でる。

全身の怠さなら、二度ほどの睡眠で十分なくなっている。

何だろう、この感じ―

優平、今日はわざわざ私の為に来てくれて、ありがとう。
目を閉じた彼に、微笑みを返した。

⏰:09/01/24 16:36 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#174 [Gibson]
ピクリとも動かない彼を、まじまじと目を動かして観察する私。

ドサッ。

その途中、大きな物音がしたので、不意を突かれたと同時に、音のする方向に目を向けた。

そこには、慌ただしく血相を変えた父の姿が。

彼の真下には、スーパーの袋が落ちている。

「高校生での男女不純交際禁止ー!!」

⏰:09/01/24 16:50 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#175 [Gibson]
父の大声で、優平も何事かと飛び起きた。
その後、二人で事の経緯を説明する。

「ごめんごめん。君が桜井くんか。話なら真希からよく聞いているよ。」

彼の存在が分かると、すぐに落ち着きを取り戻した父。
この楽観的な性格が、少し羨ましい。

「すみません、見舞いのつもりが、いつの間にか寝てしまって…。」

⏰:09/01/24 17:51 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#176 [Gibson]
「お父さん、真希のお母さんに挨拶してもいいですか?」

「ん!?おう。」

父が彼を、母の仏壇がある、和室へと案内する。
私も、二人の後ろを着いて歩く。

和室に入ると、仏壇の前で正座をし、深々と一礼をする優平。

お母さん、私にはこの人がいるから大丈夫だよ―

成長しきった男の子の背中を、ずっと見ていた。

⏰:09/01/24 18:24 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#177 [Gibson]
次の日になると体温も平熱を取り戻し、通常どおり学校に通う。

「…日本史の教科書忘れた…。」

休み時間に次の授業の準備をしていると、忘れ物をしていることに気づいた。

元基に借りるか、と思ったが、確か彼のクラスは地歴科目は世界史コースだ。

優平の所は日本史コースだったことを思い出し、少しクラスが離れているが、彼から借りることにした。

⏰:09/01/24 18:42 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#178 [Gibson]
違うクラスを訪ねる時は、いつも入りづらい空気が漂ってる気がする。

開いているドアから、教室内を覗いてみる。
席に座っている優平が、彼の元に来た女の子に、勉強を教えていた。

「…。」

「あ、真希!
もう熱下がったか?」

私の気配に気づくと、彼がいつもの笑顔で声をかけてきた。

⏰:09/01/24 18:54 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#179 [Gibson]
「あっ、竹下さん!
日本史の教科書持ってる?」

優平を無視し、たまたま近くを通りがかった竹下さんの元に行った。

何やってるんだろう、私…―

予定とは異なり、教科書は竹下さんから借りることになった。

⏰:09/01/24 21:30 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#180 [Gibson]
次の授業が始まり、教壇に立つ先生が、頭の血管が切れそうな位、熱く生徒たちに教える。

その言葉も上の空で、先程の自分の行動を思い返す。

優平に悪いことをしてしまった、という気持ちの他に、言葉に表せない何かがある。

昨日から、彼の安心しきった寝顔が焼きついたままだ。

昨日の彼の訪問は、少なくとも私にとって、特別な時間と呼べていた。

⏰:09/01/24 22:23 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#181 [Gibson]
昼食時間、弁当を食べながら、エリにこの胸のわだかまりを打ち明けてみることにした。

「ま、真希…!それって…!」

目を大きく見開き、あんぐりとした口で固まったままのエリ。

「何!?何なの?」と、私は話の続きを催促した。

「ううん、何でもない!
まあ、答えはいつも自分の中にあるから!」

私の気持ちとは裏腹に、彼女は言葉を濁した。

⏰:09/01/24 22:49 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#182 [Gibson]
「でも、真希のお父さんと優平って似てるよねー!
いつも子供の世話するみたいに、『真希、真希』ってさー!
真希ももうちっちゃくないのに。」

ケラケラと笑うエリ。

「…。」

言われてみればそうかも―

⏰:09/01/24 22:58 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#183 [Gibson]
掃除時間も、午後の授業の時も、エリが言った台詞の続きを考えていた。

そして放課後。
パンクしそうな頭を一旦冷やす為、ジュースを買うことにした。

自販機に向かい廊下を歩いていると、後ろから誰かに腕をぐいと引っ張られた。

「あ…、もしかして怒ってる?
昨日は結局、中途半端な見舞いしちゃったから。」

優平だった。

⏰:09/01/24 23:07 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#184 [Gibson]
「…今日、一緒に帰ろ。」
彼の言葉をまたもや無視し、私はこんなことを言った。
私から何かを誘うのは、今までなかった。

「ん!?いいけど、俺部活で遅くなるよ?」

「平気、待ってる。」

⏰:09/01/24 23:18 📱:SH705i 🆔:rMw4yosg


#185 [Gibson]
今日は図書館で勉強するから、門限より少し遅くなると父に連絡を入れておいた。

校門の前で、ひたすら優平を待つ。
次第に辺りがどんどんと暗くなる。

「答え、答え…。」

彼が来るまでに、見つけようと頑張ってみる。

「うーん…。やっぱりわかんないや…。」

⏰:09/01/25 02:33 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#186 [Gibson]
「お待たせ。」

8時過ぎ、息を切らしながら、部活を終えた優平が現れた。

彼はいつもは、同じ部活仲間の元基と帰宅しているとのことだが、今日は二人で帰りたいと私が要求した。

親しい間柄ではあるが、慣れないシチュエーションに、新鮮味を覚える。

⏰:09/01/25 02:39 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#187 [Gibson]
同じ帰り道の、小洒落た大通りを歩く。
ぽつぽつと立つ街灯のオレンジが、淡く街を照らす。

沈黙の雰囲気の中、私たちの目の前を、小さな女の子を母親が手を引いて歩いていた。

通り過ぎる瞬間、「お兄ちゃん、ばいばい。」と、女の子が優平に手を振った。
「おう。」と、手を振って返す優平。
ちらりと見た横顔は、混じり気のない笑顔をしていた。

⏰:09/01/25 02:51 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#188 [Gibson]
トクン、トクン、トクン―

昨日、彼の寝顔を見た後と、同じ鼓動が押し寄せる。

『恋する機会ってね、誰の前でも現れてくれると思う。
でも、それは本当に突然の出来事なんだ。』

以前、ますちゃんがこんなことを言っていたのを、突然思い出した。

…―

⏰:09/01/25 03:04 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#189 [Gibson]
「そういえば、今日誘ったのって何か用事あったからとか?
もしかして、嫌な事でもあった!?」

優平が、不思議そうな心配そうな顔をして言う。

「えっ…。えっと…。」

私、何であの時、一緒に帰ろうって言ったんだろう。
何か、気がついたら言葉が出てた―

⏰:09/01/25 03:13 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#190 [Gibson]
『「会いたい」って気持ち!これが恋よ!』

エリが前に言ってた台詞が、脳裏に反響する。

私は、優平と話がしたかった。
私は、優平の笑顔が見たかった。
私は、優平に会いたかった。

口には出さずとも、頭の中では、色んな欲望が交錯しているのを隠せなかった。

トクン、トクン、トクン…―

⏰:09/01/25 03:23 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#191 [Gibson]
ふと歩く先に、ベーカリー屋が見えた。

店の前で立ち止まり、店内を見渡す私。
閉店間際とあってか、ほとんどの種類のパンが売り切れてた。

2・3個まで残っている、好物のメロンパンを眺める。

「どうした?」と、優平が尋ねてきた。

⏰:09/01/25 03:33 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#192 [Gibson]
「…優平って、メロンパンに似てるよね。」

「へ!?」

「時々苦いの。」

「何だそれ?」

私はキョトンとしている彼の目を見て、この上なく微笑んだ。
父にも見せたことがない、とびきりの笑顔を見せたと思う。

⏰:09/01/25 03:37 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#193 [Gibson]
恋という感情。
それは、一言でも四百字の原稿でも、上手く表現しきれないもの。

…そうなんじゃないかな?

そして、その答えや結論は人それぞれ。

雨宮真希、17歳。
これから私なりの恋愛論というものを、ゆっくりと見つけていきます。

…少し前の自分よりは、見つかりそうな気がします。

Chapter02 END.―

⏰:09/01/25 03:49 📱:SH705i 🆔:arpSz.qI


#194 [Gibson]
Chapter03
「居候」

⏰:09/01/26 00:05 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#195 [Gibson]
青葉が生い茂り、カラッと晴れた天候が続く。

帰路の坂道を上りながら、滴り落ちる汗をハンカチで拭う。
夏の日射しが、容赦なく全身をうだらせる。

7月初旬。
後一ヶ月も経たない内に、夏休みが始まる。

今年は一体、どんな思い出が作れるかな―

⏰:09/01/26 00:15 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#196 [Gibson]
学校から帰宅すると、玄関先にダンボールが2・3箱積まれてるのに気づく。

父が珍しく通販でも頼んだのかなと、特に気に止めなかった。

次に廊下を歩くと、今度はドアの隙間から、リビングの明かりが漏れていた。

父がつけっぱなしのまま、会社に行ったのだろうか。
無用心だ。

⏰:09/01/26 00:32 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#197 [Gibson]
リビングに近づいてみると、明かりだけではなく何か音も聞こえる。
おかしさと不自然さが、今日の家には漂う。

慎重にドアを開けて、恐る恐る室内に入ってみる。

そこには見たことのない20代位の若い男が、TVゲームをしていた。

この辺は住宅地が密集している。
新手の空き巣だろうか!?

恐怖で頭の中が混乱する。

⏰:09/01/26 00:45 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#198 [Gibson]
その時、空の空き缶が入った袋に、無意識に当たって軽く蹴ってしまった。

その音で、男が私の気配に気づく。
しまった、と思った。

「あ、おかえり!」

自分の家であるかのように、馴れ馴れしく挨拶する男。
その上、屈託のない表情をしている。

「…どっ、泥棒!!」

何をされるか分からない、ぶるぶると震える全身。

⏰:09/01/26 01:02 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#199 [Gibson]
「ただいまー!
おっ真希、今日は早いな。」

スーパーの袋を両手いっぱいに掲げた父が、そこでタイミング良く帰宅してきた。

そういえば今日の朝、有給休暇が取れたって言っていたのを、寝ぼけたままの頭で聞いたような。

「お父さん、変な男が家に…!」

我が家でくつろぐ男を指差す。

⏰:09/01/26 01:16 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


#200 [Gibson]


「…と言うことで、しばらくウチで預かることになった、古沢東吾くんだ!

ハハハ、驚かせてすまん。
知らせるのは、真希が帰ってからにしようと思って。」

「よろしく、真希ちゃん!
何も盗ったりしないから!」

さっきの私の取り戻し様が可笑しかったのか、二人がげらげらと笑う。

父と二人暮らしだった家に、突然降ったように現れた居候。
これからどうなるのやら…―

⏰:09/01/26 01:32 📱:SH705i 🆔:keS1jVx2


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194