WHITE★CANDY
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#420 [ぎぶそん]
「弥生さん、新しい学校にはもう慣れたかな?」

コップの水を飲み干した後で、父が隣の弥生に質問をしてきた。
今日集まったのは、彼女との親睦をより深める為でもある。

「はい、おかげさまで。」
弥生が気品漂う感じで返事をする。

「そうかぁ、そりゃ良かった。何かあったら、皆を頼っていいからね。」

「はい。ありがとうございます。」

弥生がニッコリと微笑む。
彼女は食事にほとんど口をつけていなかった。

⏰:09/04/20 13:41 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#421 [ぎぶそん]
肉や野菜がほとんどなくなった頃、私はトイレへと向かった。

洗面所で手を洗い、リビングに戻ろうと振り返った所、弥生が腕組みをして立っていた。

「真希ちゃんは幸せ者だね。
かっこよくて優しくて、何よりも真希ちゃん思いのパパがいて。

今日アタシを誘ったのって、嫌味のつもりなのかしら?」

先程リビングで皆に見せていた時とは、似ても似つかないような顔をしていた。

⏰:09/04/20 13:51 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#422 [麗]
>>01-240
>>241-500

⏰:09/04/20 18:42 📱:SO905i 🆔:mUTX4e12


#423 [ぎぶそん]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

>麗さん

アンカーありがとうございます!(o^-^o)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:09/04/20 19:39 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#424 [ぎぶそん]
「そんなつもりはないよ。
それに、弥生ちゃんにもお父さんがいるじゃない?」

「…アタシが少6の時だったわ。
つい魔が差してね、ある日本屋で万引きをしちゃったの。
でも、あっけなく店の人に補導されてね。

保護者として迎えに来た父は、必死こいて店員に謝ってた。

でも、帰り際に私に放った言葉は『何てことをしてくれたんだ。これが会社の人にバレたら大事だ』だったわ。
娘のことより、世間体の方が気になるみたいよ。」

⏰:09/04/20 19:50 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#425 [ぎぶそん]
「…若気の至りで、避妊もせずに快楽に走るから、私なんかが産まれたんでしょ!」

誰に言う訳でもなく怒鳴ると、弥生は再びリビングへと戻った。

初めて見た、彼女のヒステリックな表情。
彼女は実の父親を憎んでいるようだ。

私と弥生は家族構成は似ているが、家族環境はどうやら正反対のようだ。

幼い頃にぞんざいに扱われた経験が、彼女の心にひたすら闇と空虚さを生んだのかも知れない。

⏰:09/04/20 20:00 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#426 [ぎぶそん]
その日の夜、これまでの弥生とのやり取りを父に相談してみることにした。

「…今日彼女を呼んだのって、かえって逆効果だったのかなあ。」

クッションを抱き抱え、ソファーに座った。

「そんなに落ち込むことはないぞ。
逆に、皆に見せない顔を見せるってことは、それほど真希に心を開いてるってことじゃないか?」

父は私の前にしゃがみ込み、ポンッと軽く私の頭を叩いた。

⏰:09/04/20 20:47 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#427 [ぎぶそん]
「ありがとうお父さん。
私、弥生ちゃんの心に潜む影を取り除いてあげたい。」

「それでこそ我が娘だ。」
そう、この時はまだ、私は彼女の心の暗雲を知る由もなかったんだ。

私自身、生きるということが希望に満ち溢れていたから。

それと全く正反対の人がいるということを、理解していたようで出来ていなかったんだ。

この時から彼女は、生きるという希望を失っていたのかも知れない。

Chapter05 END.―

⏰:09/04/20 21:00 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#428 [ぎぶそん]
Chapter06
「真希のアタックNo.1」

⏰:09/04/20 21:06 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#429 [ぎぶそん]
私の通う学校では、年に一度、体育祭とはまた違う大きなスポーツイベントがある。

『クラス対抗スポーツ大会』
それぞれのクラスが一丸となり、様々なスポーツを用いて勝敗を競い合う。

優勝したクラスには、学校から長野のスキー旅行がプレゼントされる。
したがって、この業者を煙たがったりサボろうと思う者はほとんどいない。

そして、その季節が今年もやって来た。

⏰:09/04/20 21:16 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#430 [ぎぶそん]
スポーツ大会の日にちが決まった放課後、級長を中心に話し合いが行われた。

級長が、黒板に数種類の球技名を書く。

そして、これから友達と話し合う時間を設けるから、10分後のチーム決めの際、一番やりたいものに挙手をするようにと指示した。

「真希ー!一緒にバレーやろー!」

級長の話が終わると、エリが私の席に近づいてきた。

⏰:09/04/20 21:27 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#431 [ぎぶそん]
「エリって、卓球やバドミントンが好きじゃなかった?」

「最近全日本バレーで賑わってるじゃん。その影響。」

エリはバレーのトスの振り付けをしながら、ウキウキとしていた。

彼女は流行やその時の話題に敏感な子だった。
好きな芸能人も今注目を浴びている人だし、ケータイの着信音も今話題の曲だ。

彼女の胸ポケットからはみ出していたケータイのストラップも、今人気のキャラクターの物だった。

⏰:09/04/20 21:37 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#432 [ぎぶそん]
バレーか。体育の授業でしかやったことないけど、たまにはいいかも。
中学の時、バレー部に入ろうかと考えたこともあったしね。

「それに…D組の鈴川姉妹覚えてる?」

「去年、うちらがバドミントンの決勝で対戦した双子の姉妹?」

「そう!奴らは今年、再び姉妹揃って今度はバレーをやるって噂よ!」

⏰:09/04/20 21:45 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#433 [ぎぶそん]
「奴らのお陰で、去年はバドミントン女子一位を逃したのよ〜!
このまま黙って寝過ごすエリ様じゃないわ!真希、リベンジするよ!」

「え?私は何とも思ってないよ。
彼女たち強かった…」

「とにかーく!今年は真希と私の黄金コンビで、クラスを優勝に導くわよー!」

私が言い終わる前に、闘志に満ちたエリが私の肩を抱く。
半ば強制的に、私はエリの私情に飲み込まれた。

私には、彼女の額に"闘魂"の二文字が浮かび上がったように見えた。

⏰:09/04/20 21:57 📱:SH705i 🆔:L/GbGVZM


#434 [ぎぶそん]
「元基も優平もバスケにしたの?
へぇ、じゃあもしかしたら2人の対戦が見れるってことね。」

翌日の昼休み、いつもの4人でベランダに集まった。
話はスポーツ大会のことで盛り上がる。

「俺、サッカー以外のスポーツには自信がないよ。
公平さを求める為とかで、所属してる部活の種目には参加できないのが、この大会の決まりだからなぁ。」

優平が困ったように、髪の毛をワシャワシャと掻く。

⏰:09/04/21 13:12 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#435 [ぎぶそん]
「またまたそんなこと言ってー、去年ハンドボールで大活躍して、女子から黄色い声援を貰ってたくせに〜!」

「そうそう。元基のアホの失点を、上手くカバーしてくれたのよね〜。」

「ムッ…。そういうエリこそ、今年は真希の足手まといになるなよ!
去年の決勝、後半のミスが目立ったぞ。」

「ハァ…、そうなのよ。
でも、2人には悪いけど、今年は私と真希率いるB組が優勝なんだからね〜!」

エリが左手を腰に当て、右手でガッツポーズをする。
多分、彼女がクラスで一番張り切っているに違いない。

⏰:09/04/21 13:14 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#436 [ぎぶそん]
その週の日曜日、私とエリはとある小学校の体育館へと足を運んだ。

それは、ほんの数日前のことだった。

『元基のお母さんが、最近ママさんバレーにハマッてるんだって。
私たちも参加させてもらってさ、クラスマッチに向けて猛特訓しようよ!』

教室に入ると、朝一番にエリがこんなことを伝えに来た。

そして今、体育館シューズや体操着を持って、ママさんバレーとやらが行われている場所に向かっていった訳である。

⏰:09/04/21 13:22 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#437 [ぎぶそん]
体育館に入ると、沢山のお母さんたちで賑わっていた。

数人で座って談笑していたり、ウォーミングアップを始めていたり、試合前の自由な時間を過ごしていた。

『ママさんバレー』というネーミングだけれど、中年男性もちらほらいるのが見えた。

「私たちも、あっちでジャージに着替えよっかー。」

玄関先で体育館シューズに履き換えると、エリがステージ近くにある着替え室を指を差す。

⏰:09/04/21 13:30 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#438 [ぎぶそん]
体育館の左隅を一直線に、着替え室まで歩く。

「きゃあっ!」

その途中で、履いていたスカートをめくられる感触があった。

「こら栄基、ダメでしょう!」

エリが、走り回る小学生位の男の子の腕を掴んでいた。
どうやらこの子の仕業らしい。

「エリ、この子と知り合い?」

男の子を掴んで離さないエリに尋ねてみた。

⏰:09/04/21 13:40 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#439 [ぎぶそん]
「羽田栄基。元基の弟よ。」

「えっ、そうなの!?」

元基は3人兄弟の長男だったけ。
そう言われてみればこの子、元基に目元が似ている気がする。

「エリのブ〜ス。ペチャパイ。」

「何ですってー!!」

エリの腕を払いのけ、栄基は子供たちに人気の『ブレイブマン』の立ち去るポーズをしながら、私たちの元を走り去っていった。

⏰:09/04/21 13:47 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#440 [ぎぶそん]
「もー!相変わらず生意気なガキなんだから!」

「お母さんについて来たのかな!?」

「そっちでやってる、ちびっこバレーってのに参加してんのよ。
マセたガキのくせに、あれでもなかなか上手いらしいわよ。」

丁度私たちのいる真横では、子供たちがソフトバレーを楽しんでいた。
ネットの高さは大人たちの半分以下だった。

体育館を横半分に区切り、ステージ側のコートは子供たちの、後ろの玄関側のコートはお母さんたちのスペースとなっているそうな。

⏰:09/04/21 19:38 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#441 [ぎぶそん]
着替え室で、エリは水色のTシャツに紺色の短パン、私はピンク色のTシャツに黒色の長ズボンジャージに着替えた。

そして着替え室を出てから、お母さんたちの元へ駆け寄る。

「あなたが羽田さんの知り合いの娘さん?
うーん!やっぱ若い子がいると活気が溢れるわね〜!」

「いえいえ、おば様も十分若いですってー!」

「まー、お世辞が上手な子ねー!」

愛嬌のあるエリは、すぐにお母さんたちと打ち解けていた。

⏰:09/04/21 19:46 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#442 [ぎぶそん]
午前10時、ようやく最初の試合が始められることとなった。

チーム分けのじゃんけんの結果、私とエリは偶然にも同じチームになった。

試合は本格的なスタイルにこだわらず、前衛に3人、後衛に3人の形でローテーションをする。

最初の礼を済ませ、私は前衛のレフトに移動した。
エリはその隣のセンターに位置している。

試合開始は、私たちのチームからのサービスとなった。
試合の人が、笛を鳴らす。

⏰:09/04/21 19:56 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#443 [ぎぶそん]
「真希ー、いくよっ!」

「はいっ!真希っ!」

エリは試合中、回ってきたボールを必ず私の方に渡す。
どうやら彼女は、私にアタックを決めさせたいらしい(全日本バレーの影響をされすぎだ)。

身長はそこそこ高いが、バレーについては素人なので高度なプレーは無理だ。

それでも相手チームの穴となっている所にひょいと投げ込んで、次々と点数を入れていった。

⏰:09/04/21 20:03 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#444 [ぎぶそん]
「お嬢ちゃんたち、若いだけあってなかなかやるねぇ!」

相手チームに5点差をつけた所で、私の同じチームの中年男性が、私たち2人に声を掛けてきた。

「そうなんです!特にこの雨宮真希は、クラスの女子一足が速いんですよ!」

エリが私を名指し、自分のことのように得意げな顔をして話し始める。
それは関係あるのかと思いながら、私はバレーボールの楽しさを味わっていった。

⏰:09/04/21 20:11 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#445 [ぎぶそん]
審判の人が、ピーッ!と笛を長く吹いた。
24対16で、私のエリのママさんバレー初試合は、勝利を収めた。

10分後に他のチームたちが試合を始めたので、自販機でジュースを買って休もうとした。

そう思った時、エリがバレーボールを片手に、私の行く手を封鎖する。

「さあ真希、試合がない間は、2人でパスの練習をしましょう!」

「…。」

彼女に抜かりはなかった。

⏰:09/04/21 20:23 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#446 [ぎぶそん]
その後も試合を重ね、3勝1敗と、まずまずの試合成績を残した。
午後2時、ママさんバレーは終了した。

皆でコートの片付けを済ませ、お母さんたちに来週もまた来ることを約束した。
それから、再び着替え室へと向かっていった時だった。

「おい。そこのペチャパイ星人と白パンツ星人。」

元基の弟・栄基が私たちを指差してきた。
私は勝手に"白パンツ星人"とやらに命名されていた。

⏰:09/04/21 20:40 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#447 [ぎぶそん]
「何よ、何か用?このハナタレ小僧。」

バストアップの為、毎朝牛乳を飲んでいるエリは、胸のことを言われ、明らかに勘に触っているようだった。

「お前ら、俺たちと勝負しろ!俺たちに負けたら、皆にジュースを奢ること。」
栄基の周りを、5人の子供たちが囲っていた。

彼らも栄基に続くように、"勝負しろー!""勝負しろー!"と金切り声で叫ぶ。

⏰:09/04/21 20:47 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#448 [ぎぶそん]
「ハハーン。クソガキの分際で、このエリ様に盾突く訳ェ!?
いいわよ、その代わりあんたらが負けたら、すんなりとエリ様の配下になること!分かったわね!?」

エリが栄基たちの要求を飲み込む。
エリは半分キレ切み、半分ノリノリだった。

「ちょっとエリ、大丈夫なの?負けたら奢りだよ?」

「なーに弱気になってんのよ。私と真希の黄金コンビなら、こんなクソガキ共コテンパンにやっつけられるわよ。」

こうして、あっさりと子供たちと2対6の試合をすることとなった。

⏰:09/04/21 20:55 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#449 [ぎぶそん]
「ブレイブアタッーク!」

「うわっ!」

エリの放ったアタックを、栄基は受け止めることが出来ずに、ボールは次々遠くに飛んでいく。

「あらあら、最初の意気込みはどうしたのかしら、羽田栄基くん。」

「…くそっ…。」

本気と化したエリは、強くたくましくなっていた。
小学生相手と言えども、容赦しなかった。

⏰:09/04/21 21:03 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


#450 [ぎぶそん]
「白パンツ星人、今度はお前だっ!」

「真希、ボール来たよっ!」

栄基はエリばかり狙うと油断していた時、栄基がボールをこちらに飛ばしてきた。

咄嗟に、エリにパスを出さず力強くアタックしてみた。
ソフトボールなので、通常のボールより威力を増す。

⏰:09/04/21 21:12 📱:SH705i 🆔:aLafzO6E


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