WHITE★CANDY
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#480 [ぎぶそん]
―バシッ。
気持ちのよい音が私の頭上で生まれた。
両足が床に着くと、上手くバランスを取れず後ろに倒れ込む。
相手コートに向かったボールがどうなったのかは見えなかった。
その数秒後、ピッというホイッスルの甲高い音が鼓膜を一瞬刺激した。
「アウトっ!試合終了!」
次に、審判係のおじさんの太い声が聞こえる。
私が初めてやってみせたスパイクは、大きくラインを越えてしまっていたようだ。
試合が終了した。
:09/08/17 23:45
:SH705i
:Mg/GY9K.
#481 [ぎぶそん]
「皆、ごめんね。私のせいで負けちゃった。」
試合終了後の挨拶が終わってすぐ、私は皆に詫びを告げた。
「何言ってんのよ真希!
この試合は大きな収穫よ!
スパイクにおけるフォームは完成しつつあるみたい。
本番では正確なアタックが打てるようになるって!」
エリが興奮ぎみに、私の肩を叩きながら話す。
他の皆も「惜しかったね」とか「形が綺麗だったよ」などといった言葉を掛けてくれた。
:09/08/17 23:52
:SH705i
:Mg/GY9K.
#482 [我輩は匿名である]
:09/08/18 00:24
:F01A
:☆☆☆
#483 [ぎぶそん]
昼の12時を過ぎた所で、元基と優平がバスケの練習がてらに体育館にやって来た。
優平は黒のノースリーブに白いジャージズボン、灰色のヘアバンドを身につけていた。
腕についた程よい筋肉が、スポーツマンを感じさせた。
元基は白のノースリーブに白の短パンと、頭に白いタオルを巻いて、全身白で統一していた。
:09/08/18 22:54
:SH705i
:OGl/Xc/o
#484 [ぎぶそん]
「ねえ2人共、今から1対1で勝負してみなさいよ!
先に相手ゴールにボールを入れた方が勝ちね。
私は優平が勝つに1票〜。」
エリが思いつきで2人にゲームを進める。
「ちょっと、俺の強さを見くびってるなぁ?
確かに優平はサッカー部のエースだけど。」
元基が持っていたバスケットボールを回し、人差し指だけで支える。
エリの一言で、ちょっとしたミニゲームが行われることとなった。
:09/08/18 23:00
:SH705i
:OGl/Xc/o
#485 [ぎぶそん]
エリが審判係となり、ボールを高く上げる。
最初にボールを取ったのは優平だった。
その後、奪い奪われの接戦が続く。
元基がシュートを決めようとすると優平が上手く阻止し、優平がドリブルをしている途中で元基が素早くボールを取る。
日頃部活で身体を鍛えている2人だ。
少しやってみせただけで、バスケのコツを掴んだのだろう。
2人の動きの機敏さに、時々目が追い付かなかった。
私は男同士のバトルにくぎづけとなった。
:09/08/18 23:10
:SH705i
:OGl/Xc/o
#486 [ぎぶそん]
優平がゴール目掛けてシュートを入れようとした時、
「ブレイブマン参上〜!!」
元基の弟・栄基率いる子供たちが優平のプレーの邪魔をしにやって来た。
優平は「うわっ。」と小さく叫ぶと、子供たちの波にのまれる。
ボールがコロコロと転がる。
その隙に元基がボールを取りに行き、急いで優平側のゴールにボールを入れた。
―パシュ。
ボールと網が擦れる音がした。
「イエーイ。俺の勝ち〜!」
:09/08/18 23:19
:SH705i
:OGl/Xc/o
#487 [ぎぶそん]
「ちょっとぉ、今のは反則じゃない?
コラ栄基!お兄ちゃんたちのゲームの邪魔しない!」
栄基にげんこつをするエリ。
怒られた彼は膨れっ面をしている。
「いや、俺の負けでいいよ。
ハァ、疲れた。もう動けない。」
優平が床に倒れ込む。
息が荒く、全身汗だくだ。
元基も優平に続くように、息を切らしたままその場に座り込んだ。
私は自分たちの試合と同じくらい、男子バスケの本番がどうなるか楽しみになって来た。
:09/08/18 23:26
:SH705i
:OGl/Xc/o
#488 [ぎぶそん]
月日は重なり、いよいよ大会前夜となったその日。
私は大会の日程が決まってからの、これまでの出来事を振り返ってみた。
全日本バレーの試合は欠かさずチェックした。
「アタック革命」というコミックも全巻読み上げた。
バレーの歴史についてもインターネットで調べてみた。
部活並の練習量も、ほぼ毎日こなしてきた。
とにかく毎日バレーのことばかりを考えた。
:09/08/18 23:32
:SH705i
:OGl/Xc/o
#489 [ぎぶそん]
この日々を通して、私も部活をやっていたらまた違う人生だったのかなと思った。
夏の全国高校野球を毎年TVで観る度、勝利をひたすら追いかけ、
一試合一試合にチーム一丸となって真剣勝負を挑むことの素晴らしさを感じる。
青春で流す汗は一生ものだ。
少なくとも今だけは、帰宅部の私も彼らと同じ気持ちになれているかも知れない。
明日の勝敗は明日になってみないと分からないけど、きっと後悔はないだろう。
それほど毎日を駆け抜けたのだから。
:09/08/18 23:41
:SH705i
:OGl/Xc/o
#490 [ぎぶそん]
次の日。
天候に恵まれ、涼しい秋風に包まれながら大会は開催された。
最初に体育館で開会式が開かれ、準備体操や校長先生の挨拶などが淡々と順番どおりに行われた。
そして式の終わりに、体育の細野先生がステージ場に立つ。
ラグビー部の監督も務めている人で、真っ黒に焼かれた肌とプロテインでムキムキに鍛え上げた全身の筋肉が特徴的だ。
冬でもノースリーブ1枚で過ごす為、よく生徒からボディビルダーの真似をしてくれとせがまれる。
先生はステージの中央に立つと、スタンドマイクの高さを合わせる。
:09/08/19 00:00
:SH705i
:pzdb7g66
#491 [ぎぶそん]
「皆、優勝したいかぁ〜!」
「オーッ!」
「長野のスキー旅行に行きたいかぁ〜!」
「オーッ!」
毎年お馴染みの、宗教じみた掛け合いが体育館の熱気を上げる。
私も抑揚のない表情で、周りと同じタイミングで拳を挙げる。
このやり取りをする度、昔こんなクイズ番組があったことを思い出す。
:09/08/19 00:02
:SH705i
:pzdb7g66
#492 [ぎぶそん]
私たち女子バレーは、生徒会の説明により第2体育館で試合が設けられることとなった。
まず、A・B・E・F組が第1ブロックでそれぞれ他の3クラスと対戦をし、
C・D・G・H組が第2ブロックで同じように試合をする。
そして、各ブロックからそれぞれ白星の多かった2組が準決勝進出となる。
:09/08/19 00:09
:SH705i
:pzdb7g66
#493 [ぎぶそん]
私たちB組の第1試合の対戦相手は、隣のA組であった。
相手チームは小柄な子が多く、おどおどと動く球を怖がる子ばかりだった。
多分、運動に自信のある子は他の種目に回って、余った子たちがバレーに寄せ集めといった感じになったのだろう。
勝敗が決まるのにそんなに時間は掛からず、私たちは25対10という圧倒的な形で最初の勝利を収めた。
:09/08/19 00:15
:SH705i
:pzdb7g66
#494 [ぎぶそん]
続いて、優平のクラスのF組との試合。
最初の号令で1列になった時、相手のチームに竹下さんの姿があることが分かった。
私と目が合うと、彼女が"負けないわよ"と口を動かした。
そして、相手チームのサービスから試合が始まる。
4対6。
押しつ押されつつの試合が、初めは繰り広げられた。
:09/08/19 00:24
:SH705i
:pzdb7g66
#495 [ぎぶそん]
22対25。
約30分後、試合が終わった。
ラストを決めたのは、F組のチームで1番背が高い子の後衛のライトに向かったレシーブだった。
F組の子たちは後ろのコートのラインぎりぎりにボールを落とすのが上手かった。
私たちがボールカットに間に合わないことで、敵チームに点を入れる結果に繋がってしまった。
私たちに最初の黒星がついた。
第2試合とまだまだ試合は始まったばかりだ。
皆の顔に不安が過ぎった。
:09/08/19 00:34
:SH705i
:pzdb7g66
#496 [ぎぶそん]
「皆、暗い顔しない!
次の試合で勝てば準決勝に進めるんだし。
過ぎた試合のことなんか忘れましょ!」
試合終了後、エリが明るく皆に声を掛ける。
周りにじめじめとした空気が漂うと、彼女は率先してその空気を取り払う役に回る。
本心なのか頑張ってそうしているのかは分からないが、彼女はどんな時も落ち込んだりはしなかった。
彼女のあっけらかんとした性格が、これまで何度もチームの危機を救ってきた。
:09/08/19 00:48
:SH705i
:pzdb7g66
#497 [ぎぶそん]
その後1試合空いて行われた、E組との第3試合。
25対13で私たちは第1ブロックで2勝1敗という成績を残した。
E組はA組同様、運動に自信のなさそうな子が多かったので、
相手チームのグタグタなプレーがそのまま彼女らの自滅を呼んだ。
A組が0勝3敗、E組は1勝2敗、F組は3勝0敗。
準決勝進出は、私たちB組と全勝したF組に決まった。
:09/08/19 00:53
:SH705i
:pzdb7g66
#498 [ぎぶそん]
「皆、とりあえず準決勝進出おめでとう〜!」
昼休み、私たちのチームは教室の机を固め、皆で輪になって昼食を取ることにした。
「長谷部さんと雨宮さんの仲良し2人が息ピッタリで、こっちまでびっくりしちゃった!」
「正にあ・うんの呼吸だね!」
皆がこれまでの試合の内容を振り返りながら、弁当に手をつける。
:09/08/19 01:01
:SH705i
:pzdb7g66
#499 [ぎぶそん]
「本当、雨宮さんって凄く頼りになる!
部活動やってないのに運動神経抜群だし。
午後からの試合でも活躍を期待してます。」
私の隣に座る高山さんが、私に向かって小さく微笑んだ。
彼女も同じ帰宅部で、放課後下駄箱で一緒になった時は、笑顔で挨拶してくれる印象がある。
ママさんバレーでの試合の時も、「雨宮さん凄いね!」などといった台詞を何度も言ってくれていた。
他人の良いと思う部分があれば、正直にそれを口にするタイプの人間なのだろう。
:09/08/19 01:08
:SH705i
:pzdb7g66
#500 [ぎぶそん]
「準決勝までまだ時間があるわね。
真希、男子バスケの方観に行ってみようよ!」
昼休みが終わり、チーム皆で少し談笑した後、
私とエリは男子バスケの試合が行われている第1体育館へと足を運んだ。
ちょうど体育館はB組対C組の試合がやっていた。
私たちが2階の見やすい席に移動したと同時に、
ますちゃんが元基にボールを奪われ、そのままゴールを決められてしまっていた。
:09/08/19 01:15
:SH705i
:pzdb7g66
#501 [ぎぶそん]
「ちょっと増山ぁ〜!何やってんのよ!」
エリが下に落ちそうな位柵から身を乗り出し、
下で試合をしているますちゃんに野次を飛ばす。
「ゴメン長谷部さん。羽田君すばしっこくて。」
「こりゃあ男子バスケの優勝は期待出来ないわね。
真希!私たち女子バレーがB組に最初の勝利を持って帰りましょうね!」
他の種目は当てに出来ないと、ますますエリの闘争心が湧いた。
:09/08/19 01:21
:SH705i
:pzdb7g66
#502 [ぎぶそん]
それから30分後、女子バレー準決勝が始まった。
第1ブロックから勝ち進んだB組とF組、
第2ブロックから勝ち上がったD組とH組の4チームが激突する。
準決勝の仕組みは、別のブロックの1チームと1試合し、それぞれ勝った2チームがそのまま決勝に進出する。
つまり、負ければそこでベスト4止まりとなる。
たった1つの勝負が全ての鍵を握るのだ。
:09/08/19 01:32
:SH705i
:pzdb7g66
#503 [ぎぶそん]
私たちの準決勝の相手は、くじの結果H組となった。
エリと私の宿敵(?)鈴川姉妹率いるD組とは、23対25と接戦だったらしい。
決して油断は出来ない相手だ。
注目すべきはバスケ部エースの中原由利。
ベリーショートの髪型に男盛りな性格の、ボーイッシュなクール美人だ。
身長177cmと運動選手としては恵まれた体格を持つ。
バスケ以外の運動も、すぐにコツを掴んで何なりとプレー出来るらしい。
:09/08/19 01:39
:SH705i
:pzdb7g66
#504 [ぎぶそん]
相手チームのサービスから試合は始まった。
向こうのコートにレシーブでボールを返す。
前衛レフトにいた中原由利が、3回目でスパイクを決めにかかった。
前衛ライトにいる私は、身長を生かしブロックに回る。
しかし私の読みを外すように、中原はボールを強く打たなかった。
私がさっきまでいた空いたスペースに、ひょいとフェイントボールを入れた。
ピッ。
まずは相手チームに1点が入る。
:09/08/19 01:50
:SH705i
:pzdb7g66
#505 [ぎぶそん]
6対0からやっとのことで1点得た所で、
私のサービスが回って来た。
トスもレシーブもスパイクも、数え切れない程練習したけれど、
一番練習したのはこのサービスかも知れない。
サーブミスが一番もったいないと思ったからだ。
ピッと笛が鳴った後、ボールを少しばかり上に上げ、
一瞬押し出すように手の平に当てる。
勢いを増したボールは、私から見て相手コートの後ろ左のラインに瞬時に落ちた。
よし、まずは1点。
:09/08/19 02:00
:SH705i
:pzdb7g66
#506 [ぎぶそん]
相手チームは私のサーブが上手くカット出来ずに、立て続けにミスが続く。
私のサービスだけでチームは5点入手し、いよいよ同点になった。
「真希ー!その調子!」
「雨宮さん頑張れー!」
私がサーブコートに立つ度、味方の声援が色濃くなる。
:09/08/19 02:08
:SH705i
:pzdb7g66
#507 [ぎぶそん]
そろそろ危機感を感じたのか、中原由利が後ろに下がり、私のサービスをそつなくカットする。
そして、2回目に上げられたボールをジャンプアタックした。
後衛ライトにいる林さんがレシーブをしようとしたが、間に合わなかった。
一瞬の出来事だった。
6対7。
結局、大きく差を開けずに相手チームにサービス権が渡った。
:09/08/19 02:14
:SH705i
:pzdb7g66
#508 [ぎぶそん]
「ドンマイドンマイ!
真希、ナイスサーブだったよ!」
「雨宮さん差を縮めてくれて有り難うね。」
相手チームに点が入る度、私たちは声を出し合う。
それは先程の昼食の時に皆で決めたことだった。
弱った時こそ皆で声を掛け合ってその場を乗り切ろう、と。
その後、16対15と接戦が続く。
点差がそんなに開かなかったのは、中原由利以外の子がサーブが上手くなく、サーブミスが目立ったからだ。
サーブ練習に力を入れて正解だと思った。
:09/08/19 02:20
:SH705i
:pzdb7g66
#509 [ぎぶそん]
19対17になった時、珍しくラリーが何度も続いた。
「真希っ!」
2回目でレシーブをしたエリが、私にパスを渡す。
スパイクが打ちやすい、綺麗なボールの上げ方だ。
相手コートの中原がブロックに回る。
私は強く打つと見せかけて、フェイントボールを投げ入れた。
最初に中原がやってみせたのを、見よう見真似でやってみた。
:09/08/19 02:31
:SH705i
:pzdb7g66
#510 [ぎぶそん]
19対18。
フェイントボールは見事に決まった。
私に2回目のサービスが回って来た。
前衛にいた中原が下がる。
他の子たちも、どこからボールが飛んで来てもいいように構えをしている。
私のボールに注意することが、相手チームの暗黙のルールになったようだ。
:09/08/19 02:35
:SH705i
:pzdb7g66
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