WHITE★CANDY
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#620 [ぎぶそん]
『さあ。これで全てのアイテムが手に揃いましたね。
さあ、そのまま急いでクレア博士の所に行って下さい。
あまり時間を掛けていると、大変なことになりますよ。ふふふ…。』

マンションから出ると、不吉な声色でアイリーンが意味深な言葉を発した。

私と優平は、クレア博士のいるというオレンジハウスに向かってオートバイを走らせる。
地図によると現在地から東に5キロ、駅の近くにある大学の付近にある。

いつの間に時間が経っていたのか、外はすっかり暗くなっていた。
アンデッドの量も明らかに増している。

⏰:09/09/25 19:22 📱:SH705i 🆔:t8prEB2s


#621 [ぎぶそん]
大学が目前としてきた所で、学生がアンデッド化したのか、他の場所より目に見えて彼らがうようよしていた。

目的地のオレンジハウスの敷地内にも、何かの集まりかのように密集していた。

「…どうする?」

「…やるしかないわね。」
ここを通り抜けなければ、先へは行けない。
私は銃器店から入手していた、2本のアーミーナイフをそれぞれの手に持った。

⏰:09/09/26 00:19 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#622 [ぎぶそん]
「俺はこれでいくぜ。」

優平が敷地内に落ちてあったたスコップを手に取った。
とある映画でも、少年がゾンビ化した隣人をこれで何度も叩いて殺していた。
武器としては十分使える代物だ。

「…行くわよっ!」

左右にそれぞれ散らばり、目にした奴らを片っ端から頭部、胴体を主にして切り裂いていく。

優平もスコップで頭部を激しく叩いて一撃していた。
奴らの血飛沫が顔や衣服にかかる。
しかし何も考えずに、何も思わずに、ただただ彼らを機械のように狩っていった。

⏰:09/09/26 00:30 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#623 [ぎぶそん]
今の私は無双というゲームの中にいる気分だ。

攻撃性が強く、足の速いタイプのアンデッドであれば勝ち目はなかったと思う。
動きが鈍いので、数が多くてもそんなに闘うのに苦労はしなかった。

しかし動き回るにつれ体力はどんどん奪われていき、私のあらゆる感覚も次第にリズムを崩す。

敷地内にいた7割近くを攻撃し終えた頃、私は息を整えるべく一旦膝を抱えた。

「…真希、危ないっ!」

⏰:09/09/26 00:40 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#624 [ぎぶそん]
声のする方に反応して見た時、優平が自分の身を投げて私を抱き、芝生の上にそのまま2人の体が転がった。

どうやら私は、死角となっていた奴らの気配に気がつかなかったらしい。
それに気づいた彼が助けてくれたのだ。

「…ありがとう、優平。」

「後もう少しだ。頑張ろう。」

彼も見るからに大分体力を消耗していた。ぼんやりとはしていられない。

⏰:09/09/26 00:48 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#625 [ぎぶそん]
私は玄関前にいた大柄のアンデッドに、額にナイフを渾身の力を込めて突き刺した。
これで最後。敷地内にいた奴らは一応全員仕留めたことになる。

敷地内一面に転がる奴らの無残な姿を見ると、残酷な世界で生き延びることの残酷さを痛感した。

「…やったわ。
さあ、中に入りましょう!」

息を切らし、拳で汗を拭いながら優平の方を見る。

「…俺は行けない。」

彼は私にとって予想外の言葉を口にし、微笑んだ。

⏰:09/09/26 00:57 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#626 [ぎぶそん]
彼が私に左腕を見せる。
捲った袖のちょっと下に、小さな切り傷があった。

「さっき真希を庇った時に…さりげなく奴らにつけられたみたいだ。」

私を一切責めずに、カッコ悪いよな、と彼は自分自身を嘲笑する。

『4時間36分52秒。
ミスター・ユウヘイ・サクライ。
ゲームオーバーです。』

3度目の死を知らせるアナウンスが流れる。
どんどん薄れていく優平の体。

そんな…。ほんの少しのかすり傷なのに…。

⏰:09/09/26 01:07 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#627 [ぎぶそん]
「ああ…優平…。」

ごめんなさい、ごめんなさい、と泣き崩れるように何度も彼に言う。

「大丈夫、真希なら生き残れるさ。
これは俺からのおまじないだ。」

優平の体が完全に消えてなくなる寸前、彼が私の額にキスをしてくれた。
支えるように顔を持たれても全く感触がなかったのに、そのキスだけはしっかりと感触が残っていた。

⏰:09/09/26 01:15 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#628 [ぎぶそん]
うっ、ううっ…。
玄関前の白い大理石の床に、私の涙が何粒も落ちる。

優平が一緒にいたからここまで頑張れたのに、ここに来て一人なんて嫌だよ。

私が泣き崩れたままでいると、感情を持ち合わせていない筈のクリスが座り込む私の頭を小さな手で撫でる。

「…一緒に博士の元に行きましょう。」

私は彼の手を握り、玄関へと歩き始めた。

⏰:09/09/26 01:25 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#629 [ぎぶそん]
ドアの目の前に立った所で、シュー、シューと小さく機械の操作の音がした。

『確認ノ為、指紋認証ヲ行イマス。
右ニアル画面ニ、人差シ指ヲカザシテ下サイ。』

機械が声に出して指示をする。
私は言われた通りの動作をやってみた。
念のため、クリスの人差し指も私の次にかざす。
機械は順調に我々の確認をしていく。

『認証ガ終ワリマシタ。
マキ・アマミヤ、クリス・クインテット、ドウゾ中ヘオ入リ下サイ。』

機械が言い終わったと同時に、扉が開いた。
この作業だけで、クリスがこの建物の中の関係者の一員であることが読み取れた。

⏰:09/09/26 01:43 📱:SH705i 🆔:IB.t.aT.


#630 [ぎぶそん]
建物内は照明がついておらず、一面真っ白な壁も暗闇の中に包まれている。

銃を持ち、クリスを自分の後ろに歩かせ、辺りを警戒しながら慎重に歩く。

後は博士にアイテムを渡すことが私の任務。
でも何故かこの建物の中は不吉な予感がする。

奥へと進む中で、「C−19」と書かれた部屋に人のいる気配がした。
呼吸を整え、顔を覗かせてみる。

⏰:09/09/27 15:01 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#631 [ぎぶそん]
誰かがこちらに背を向けている。
暗がりで良く見えない。

この人がクレア博士なのか?
私は彼の名を呼んでみた。

「待ってたぜ、マキ・アマミヤ…!」
その人が振り返り、こちらに近づく。
その人の赤い瞳と目が合った瞬間、私の体は凍りついてしまった。

不気味な笑みに、異様な外見。
これまで見たアンデッドとは全然違う、ある種の怪物。
頭部には角のようなものがあり、全員黒色の身体に鞭のようにひょろひょろっとした手。
もはや人間の原型を留めていなかった。

⏰:09/09/27 15:15 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#632 [ぎぶそん]
「ヒャーアーハッハッー!」

怪物の鞭のような手が、勢いよくこちらに向かって伸びる。
一歩手前の所で私は交わした。
私の後ろにあった壁が、あっという間に粉々に破壊された。

「逃げて…っ!」
私はクリスをその場から追いやった。

一体何なのよこれは…。

『このゲームもいよいよ大詰めです。
しかし、夜の8時以内にこのハウスに来れなかったので、今は正にタイプBのストーリーが進行しています。』

アイリーンが状況を説明するように放送を流す。
だからあの時、急げって言ってたんだ…。

⏰:09/09/27 15:30 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#633 [ぎぶそん]
『その男の人間の時の名はドット。
連続殺人の容疑で死刑執行を待つ身分であったのですが、裏の取り引きで人体実験の為にこの場所に引き渡された人物です。

しかし、実験の途中何らかのミスがあり、彼は人間に牙を向ける怪物へと化しました。
そして彼はクレア博士や他の研究者を殺し、この世の支配を企むようになったのです。』

更に詳しく説明するアイリーン。

⏰:09/09/27 15:47 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#634 [ぎぶそん]
「バイオ何とかって雇われ身の分際で、よくぞここまで来たな。
街の至る所に設置してある監視カメラで、お前の勇姿は拝見させてもらっていたよ。

お前がお偉い博士の為にせっせと集めたアイテムはぁ、残念ながら俺の人間支配の為に使われるんだよぉ!
さあ、とっととアイテムをよこすんだ!」

ギャハハハと不気味に笑うドット。

「そんなことはさせない…っ!」
私は銃を構えた。

⏰:09/09/27 15:55 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#635 [ぎぶそん]
一発、ニ発と奴の胴体に撃ち込む。
しかし、相手はピクリとも反応しないまま、私に近づいてくる。

「『そんなことはさせない!』じゃねーんだよなぁ。
そんなチンケな小道具で俺を殺せるとでも思ったのか?ナメてもらっちゃあ困るぜ。」

そして、私の首に巻き付けるように手をかける。
ゆっくりと持ち上がる私の身体。
苦しさのあまり、必死にもがく私。

「一度だけチャンスをやる。正直、お前みたいな美人を殺すのは惜しいんだよ。
どうだ?俺の仲間になってこの世の頂点に立ってみるってのは?」

腐敗しきった歯をむきだしにして笑うドット。

⏰:09/09/27 16:09 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#636 [ぎぶそん]
「誰があんたみたいな奴なんかとっ…!」

右手を上げ、中指を立てる私。

「このクソアマがぁ、自分の状況が分かっていってんのかぁ!?
善人ぶったそのムカつく面、死への恐怖に歪める苦痛の表情へと変えてやるぜ…っ!」

怒り狂うドット。
私の首にかけていた彼の力が更に強くなる。

「ギャアアアア〜!!」

建物内に響き渡る悲鳴。

⏰:09/09/27 16:17 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#637 [ぎぶそん]
それは、私がポケットに入れてあったバタフライナイフで、奴の腕をぶった切ったことによる激痛の叫びであった。
腕の部分はツルのように柔らかかったので、少しの力で切れた。

解放された後、瞬時にその場から逃げるように立ち去る。
私があの男に殺されてしまえば、この世界もろともゲームオーバーになってしまう。

何か策を考えなければ…。
しかし、体力・スピードどれをとっても圧倒的にこちらが不利である。
普通に闘っていては勝てない。

⏰:09/09/27 16:29 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#638 [ぎぶそん]
直感で見つかりにくそうだと判断した室内に入り、隠れるようにテーブルの下に座る。
ハァ、ハァッと乱れた呼吸がすぐには直らない。

こんな時、優平が側に居てくれたら…。
一人は怖いよ…。
私の目から自然と涙が生まれる。

そういえば、クリスを探さなきゃ。
想像上の人物に過ぎないかも知れないけど、あの子の冷めた瞳を見ると子供の頃の自分を見ているようで放ってはおけなくなる。

孤独で、寂しくて、他人を必要としなかった昔の私みたいに。

⏰:09/09/27 16:39 📱:SH705i 🆔:feRkJGIk


#639 [るーちゃん]
>>500
>>600

⏰:09/09/30 07:13 📱:SH904i 🆔:1YBKLq2s


#640 [ぎぶそん]
「…クリスッ!クリスッ!」
再び建物の中を走り回り、少年の行方を追う。

東南の角の通路を曲がろうとした所で、のうのうと歩いているクリスと出くわした。

私は無言のまま、彼を我が子のように抱きしめた。

「マーキー。どこだー?」
ちょっとした再会を喜んでいるのも束の間。遠くからドットの不協和音な声が聞こえてくる。

⏰:09/10/10 16:28 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#641 [ぎぶそん]
「クリス…何でもいいから、とりあえず火の着くものを探して来て。分かる?」

クリスの肩を抱き、その青色の瞳を一点に見続けながら、彼に指示をする。
全く意思表示をしない彼に、独自のジェスチャーでライターやマッチ等の小道具を連想させるよう努めてみた。

「見ーつけたぞー」
私たちの姿を発見したドットが、ゆっくりとこちらにやって来る。

「行って」
私はクリスの背中を押した。
彼の行動がこれからの運命を大きく左右する。
今はただ、信じて待つしかない。

⏰:09/10/10 16:35 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#642 [ぎぶそん]
「なぁマキ。お前は俺のことを随分外道で残忍な奴だと思ってるが、
ここの研究者の奴らもなかなかの非道だぜ?

俺が凶悪犯の身分だからって、死刑の身分だからって、毎日毎日苦痛に耐え難い電流を浴びさせ、妙な薬を大量に打ち付け、同じ人間を実験台動物のモルモットのように扱ったんだ。

おかげさまで、俺はこーんなナイスガイな姿へと変わっちまったんだからよぅ!」

一歩、二歩と私の方へ歩み寄るドット。

⏰:09/10/10 16:46 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#643 [ぎぶそん]
「…確かに、ここの研究者らのしたことは人として間違ってる。
でも、だからと言ってその同じ人間を殺したり、人間支配を企むという理屈はお門違いなんじゃない?

あなたはあなたとして、あなたと同じように悩み苦しむべき人間に優しく手を差し延べてあげるべきなんじゃないの、ドット?」

私は後退りしながら、ポケットに手を入れる。

「しゃらくせぇ、蛆虫がぁぁぁ!」
ドットが、鞭のような手を挙げた。

⏰:09/10/10 16:51 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#644 [ぎぶそん]
「ぎぃやぁぁああ〜!」
私は彼が自分に攻撃をしかけてくる前に、ポケットから出したバタフライナイフを彼の足に突き刺した。

ドットが叫び声を上げ、その顔を歪ませている隙に、退散する。

真っ直ぐに伸びた廊下を、反対方向からクリスが小走りでやって来た。

彼の小さな手には、ジッポーライターが握られていた。
でかしたぞ、クリス。
心の中でそう呟いた。

⏰:09/10/10 17:49 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#645 [ぎぶそん]
「クソアマめぇ〜この俺をコケにしやがってえ!出て来やがれ!」

薄暗く物音一つない静かな建物内で、ドットの怒り狂う声だけが響く。

私はクリスを背負ったまま天井に設置してあった鉄棒を掴み、宙に浮いていた。

「どこだ!マキ!」

ドットが自分たちの真下へとやって来た。
今だ、と思い、天井の中央にある白く円形状の部分に、ジッポーライターの火を近づける。

⏰:09/10/10 17:59 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#646 [ぎぶそん]
一時その火を近づけたままでいると、人工的なスコールが振り始めた。
スプリンクラーが正常に作動したのだ。

「ヒャアッハー!そんな小雨程度のシャワーで、俺がヒビるとでも思ったかぁ!」

ドットが絶え間無く降り続ける水を浴びながら顔を上げ、天井に張り付いていた私たちに気づき声をかける。

私は、今までずっと後ろズボンに挟んでままでいた、あるものを取り出した。

⏰:09/10/10 18:04 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#647 [ぎぶそん]
コルト・ガバメント。
私がこの世で最も愛する拳銃。
マシュー銃器店から拝借したのを、最後の切り札にと今まで隠したままでいた。

一発目、ドットの脇腹をかすめ、壁に着けてあった配電装置のカバーに当たる。
二発目、カバーの外れたその装置へと撃ち込む。

「どこ撃ってんだよ、下手くそ!」
余裕の笑みを見せるドット。

⏰:09/10/10 18:13 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#648 [ぎぶそん]
無数の剥き出しになった電気コードが、ドットの身体に接触する。
十分に滴っている彼の身体に、大量の電気が流れ、彼の身体を蝕む。

「ぎぃやあああー!マキ…貴様ぁっ…」
多大な電流地獄に逃れることが出来ず、その場で踊り狂うようにもがき苦しむドット。

一分ほどして、彼は完全に倒れ果てた。

⏰:09/10/10 18:18 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#649 [ぎぶそん]
騒ぎが静まり返った後、放電に気を使いながら下へと下りる。

終わった…。
…本当に?

終了を知らせるアイリーンの声が聞こえない。
何も起きない。
何もない。

――まだ、終わってない。
エンディングの手掛かりとなるものを探さなきゃ。

⏰:09/10/10 18:23 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


#650 [ぎぶそん]
おそらく、この場所に持ってくるようにと命じられた三つのアイテムを使用しなければならないのではないかと推測する。

私はクリスを連れて歩きながら、「クレア研究室」という小さな部屋に入ってみる。
机の上に置いてあった、一冊の黒い日記帳のようなものを見つけた。
それをパラパラとめくってみる。

『5月21日。
隣人が、友人が、仲間が、次々と醜い姿へと化す。
この地球全体が、暗黒なバイオハザードの世界へと化した瞬間であった。
私ら科学者は、早急にこの混乱の謎の解明に迫らなければならなくなった』

⏰:09/10/10 18:32 📱:SH705i 🆔:ZzNcONIA


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