冷たい彼女〔続編〕
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#501 [ゆーちん]
「凜ちゃんはお父さん達に何て言ったの?」

「行きたくないって言ったよ。」

「だったら…」

「心。あの時とは違うんだよ。島から本島に行くのと、本島からアメリカに行くのは訳が違う。」

⏰:09/02/26 18:20 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#502 [ゆーちん]
凜は続けた。


「それに私まだ未成年だし。親のすねかじりながら生きてるんだから、お父さん達の言う事も聞かなきゃいけないんだよ。久しぶりにまた3人で暮らせるんだから、本当は喜ばなきゃいけないの…」

⏰:09/02/26 18:30 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#503 [ゆーちん]
まさにその通り。


俺は何も言えなかった。


「こんな事になるなら、最初から連れてって欲しかったよ。」

「何で?」

「心たちに会わずに済んだのに…離れたくないって、思わずに済んだのに…」

⏰:09/02/26 18:30 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#504 [ゆーちん]
凜の声が震えた。


「心、私どうしたらいいんだろ。」

「…凜ちゃん。」

「心や香奈たちと一緒にいたいよ。でも…お父さんとお母さんと一緒にいたい気もするの。」

「うん。」

「どうしよう。心と離れたくないよ。」

⏰:09/02/26 18:31 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#505 [ゆーちん]
そう言って抱き着いてきた凜は、泣いていた。


どうする事もできない。


「俺だって離れたくない。」


寂しい、行くな、離れたくない、って伝えても敵わない場合もあるんだ。

⏰:09/02/26 18:33 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#506 [ゆーちん]
「心も一緒に来てよ。」

「うん、行きたい。」

「香奈も澪も千夏も美穂も…みんな連れて行きたい。」

「佐奈ちゃんも、おじいちゃんおばあちゃんも、トメばあちゃんも、心の家族も…離れたくないよぉ。」

⏰:09/02/26 18:35 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#507 [ゆーちん]
弱った声でそう言った凜を抱きしめてあげる事しかできなくて、もらい泣きした。


「泣くな、バカ心。」

「凜ちゃんが泣くからじゃんかぁ。」

「誰のせいで泣いてると思ってんのよぉ。」

⏰:09/02/26 18:35 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#508 [ゆーちん]
誰のせいでもない。


これは神様が決めた運命なんだって思った。


泣きじゃくる俺と、綺麗な涙を流す凜。


結局、話は中途半端なまま凜のマンションを後にした。


夜空が腹立たしい程、明るかったのを今でも忘れられない。

⏰:09/02/26 18:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#509 [ゆーちん]
凜の事でへこんでる時に、さらに追い討ちをかけられる俺。


「江森、このままじゃマズイな。」


担任にマズイと叱られたので、俺はしばらくバイトを休み、テスト勉強に集中する事にした。


留年なんて洒落にならないからね。

⏰:09/02/26 20:15 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#510 [ゆーちん]
テスト勉強だと理由を作り、俺は凜のマンションに毎日通った。


バイトの時間まで、というタイムリミットのない夕暮れ時、俺は真面目に勉強を教わった。

⏰:09/02/26 20:19 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#511 [ゆーちん]
二人して泣いたあの日から、凜の両親の話には触れなかった。


まだ、どうなるか100%わかった事じゃないし、俺が口を開けばわがままばかり言ってしまうだろうから。

⏰:09/02/26 20:23 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#512 [ゆーちん]
行かないで、と言ってもまだわからない。


前の時と同じだけど、気持ちを伝える事で凜は安心してくれる。


だから正直に言った。


でも今回ばかりは…まだわからないんだ。


凜の未来にはアメリカが待っているのかもしれないんだ。

⏰:09/02/26 20:27 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#513 [ゆーちん]
テスト勉強と名付けた口実で、マンションに転がり込んだ4日目。


俺は寂しさや不安などが限界を迎え、凜を抱いた。


キスを求める俺に、勉強しろと怒った凜も、最後は受け入れてくれた。

⏰:09/02/26 20:28 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#514 [ゆーちん]
キスするたびに、不安になった。


白い肌に指が触れるたびに、寂しくなった。


凜の声が零れるたびに、時間が止まれって願った。


このまま一緒にいたいだけなのに、神様はずるすぎる。

⏰:09/02/26 20:36 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#515 [ゆーちん]
そんなテスト期間が過ぎ、結果発表を迎えた。


「んー、何とかギリギリセーフってとこかな。」


担任の言葉に安心したのもつかの間。


油断するなと念を押された。

⏰:09/02/26 20:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#516 [ゆーちん]
「凜ちゃんのおかげだよ。ありがと!」

「あと一歩のところで誘惑に負けないで頑張れば、油断するなって叱られなかったのに。」


まぁ、そうだよね。


でも、欲望に勝てず、凜を抱いた事を除けば結構頑張ったよな、俺。

⏰:09/02/26 20:37 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#517 [ゆーちん]
バイトを休ませてもらったおかげも大いに関わっている。


いつもならバイトをしている時間に、俺は凜に勉強を教えてもらってたんだから。


【しょうゆ】や【とんこつ】じゃなく、【x】や【y】を書いていた自分がちょっと歯痒かった。

⏰:09/02/26 20:42 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#518 [ゆーちん]
周りのみんなのおかげで頑張れた。


だから次も頑張らないと。


ご褒美のキスは自分からねだった。


「私さ、最近心に甘いような気がするの。」

「気のせいだよ。」

⏰:09/02/26 20:44 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#519 [ゆーちん]
そう言って長く甘いキスをした。


気のせいなんかじゃないんだ。


凜は、確実に俺に優しくなってきている。


時々、甘えすぎる凜を見て思う。


凜ってこんな子だっけ?って。


複雑だけど、こればっかりはやっぱ嬉しいもんだよ。

⏰:09/02/26 20:45 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#520 [ゆーちん]
自分の好きな人がココロを開いて、性格まで穏やかになっていくってのは。


甘いキスは二人の息が乱れるまで交わし合った。

⏰:09/02/26 20:46 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#521 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/26 20:46 📱:SH901iC 🆔:RwRUDo6M


#522 [ゆーちん]
○●○●○●○

キョウダイ

○●○●○●○

⏰:09/02/27 23:13 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#523 [ゆーちん]
『アメリカに行く事にする。』と言ったのは冬休みに入る1日前だった。


「ハタチになったら帰って来る。それまでも夏と冬には帰って来る。」

「うん。」

「だから…」

⏰:09/02/27 23:16 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#524 [ゆーちん]
どうやら江森家は遠恋家系らしいんだ。


父ちゃん達も遠恋だったけど、じいちゃん達も遠恋だったらしい。


最近知ったんだけどね。


「アメリカと日本。年に2回の帰国。3年後にはまた日本に戻って来る…んだよね?」

「…そ。」

⏰:09/02/27 23:18 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#525 [ゆーちん]
切なげな顔をする凜に言った。


「待ってるから。」


凜の顔はパッと明るくなった。


俺の一言なんかで。


「…いいの?」

「うん。夏と冬に帰って来てくれんなら俺大丈夫だから。」

「…本当に?」

⏰:09/02/27 23:20 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#526 [ゆーちん]
「俺には凜ちゃんしかいないから。」


今も不思議に思う。


凜みたいな美人で素敵な女の子が俺を好いていてくれてるって事。


嬉しいし自惚れちゃうし幸せだし…だけど疑問も多くて。


俺が彼氏でいいの?とかね。

⏰:09/02/27 23:21 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#527 [ゆーちん]
「よかった。嬉しい。別れようって言われるかもって覚悟してたんだ。」

「何の覚悟だよ。別れようなんて死んでも言わないし。」

「…ん。」


笑ってた凜。


だけど目元は潤んでた。

⏰:09/02/27 23:22 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#528 [ゆーちん]
俺は見て見ぬフリをして、凜にキスした。


目を閉じれば、泣いたってわかんないから。


凜は今、泣いてる?


俺は今、泣いてるよ。


キスが終わって目を開けると、きっと凜にまた泣いてる、って笑われるんだろうな。

⏰:09/02/27 23:23 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#529 [ゆーちん]
嬉しさとか寂しさとか不安、疑問、誓い、愛しさ…そんな全てが入り混ざったキスだった。


一生のさよならじゃないし、遠距離恋愛する自信だってある。


それなのに、なんでこんなに泣けて来るんだろう。

⏰:09/02/27 23:24 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#530 [ゆーちん]
数日後。


「いらっしゃ…あ、剛さん。佐奈ちゃんも。」


バイト先に愛しの剛さんと腐れ縁の佐奈が来てくれた。


「心くん久しぶり〜。俺、塩ラーメンね。」

「はい、佐奈ちゃんは何にする?」

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#531 [ゆーちん]
「心の本音。」


佐奈の声は俺の心臓に突き刺さった。


「へ?」

「あんたの本音を注文します。だから早く聞かせてくださーい。」


凜の事だろうか…


うん、きっとそうだ。

⏰:09/02/27 23:37 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#532 [ゆーちん]
「バイト終わりに電話するよ。」

「…そ、わかった。じゃあ変わりに味噌ラーメンね、私。」

「…了解。」


上手く笑えない俺に、剛さんは優しく微笑んでくれた。

⏰:09/02/27 23:43 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#533 [ゆーちん]
剛さんも知ってるんだ、凜の事。


俺の本音なんて聞かれても…別にない。


凜がアメリカで両親と暮らせる事はいい事なんだし、たまに会えるんだし、いずれ戻って来るんだし…


だから…

⏰:09/02/27 23:44 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#534 [ゆーちん]
バイト終わりに電話すると言っときながら、結局佐奈から連絡をもらった。


「バイト終わった?」

「うん、さっきは食べ来てくれてありがとね。」

「あんた今から剛んち来て…って場所知らないか。迎え行くからラーメン屋で待ってて。」

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#535 [ゆーちん]
と、いうわけでなぜか佐奈に迎えに来てもらい、剛さんの家に到着。


「お邪魔します。」

「あっ、おかえり〜。さっきはごちそうさま。」

「いえ、ありがとうございました。」


久しぶりの剛さんの家。

⏰:09/02/27 23:46 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#536 [ゆーちん]
適当に座れと佐奈に指示され、腰を降ろさせてもらうと、さっそく佐奈から質問が振り掛けられた。


「あんた本当は嫌なんでしょ?」

「…凜ちゃんのこと?」

「他に何があるのっ。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#537 [ゆーちん]
剛さんは黙って煙草を吸っていた。


「嫌じゃないよ。両親と暮らせるんだからイイ事だよ。」

「遠恋できんの?」

「できるよ。自信あるもん。メールや電話だってマメに取れば寂しくない。」

⏰:09/02/27 23:47 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#538 [ゆーちん]
「他に好きな女できたらどうすんの?」

「それはありえないから。」

「凜ちゃんが向こうで違う男に惚れたら?」

「俺に魅力がなかったんだよ。でももし本当にそうなったら絶対諦めない。俺、凜ちゃんしかいないもん。」

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#539 [ゆーちん]
照れも恥じらいもなかった。


ただ本音を答えるだけ。


なのになぜ苦しいのかな。


佐奈に質問され、答えるたびに泣きそうになる。


何が引っ掛かってんだろ。

⏰:09/02/27 23:48 📱:SH901iC 🆔:EBwlc3dk


#540 [ゆーちん]
「あのさ、心くん。」


ずっと黙ってた剛さんが口を開いた。


「余計なお世話かもしんないけどパーティーしない?凜ちゃんの送別会。場所なら俺が用意するから。」

⏰:09/02/28 12:14 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#541 [ゆーちん]
「送別会?」

「うん。せっかくだから派手に騒いで笑顔で送り出してやった方がいいんじゃねぇ?」

「笑顔で…」

「俺が今、勝手に思い付いた案だから、迷惑なら遠慮せずに断ってくれていいよ。」

⏰:09/02/28 12:15 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#542 [ゆーちん]
「いいじゃん。やろうよ。で、そのパーティーで心、誓え。」

「誓えって何を?」

「みんなの前で宣言すんだよ。凜ちゃん以外の女は興味ないって。凜ちゃん嬉しいだろうし、あんただってたぶんケジメ付けれんでしょ。」

⏰:09/02/28 12:18 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#543 [ゆーちん]
それだ、って叫びたくなった。


ずっと引っ掛かってた何かが取れる気がした。


笑って凜を送り出してあげれそうな気がした。


「喜んでくれるかな?」


ウジウジしていた俺に、きっと佐奈はイライラしていたんだと思う。

⏰:09/02/28 12:19 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#544 [ゆーちん]
そんな俺に一問一答してくれて、自分の気持ちと向き合わせてくれた。


納得したのかしてないのかはわかんないけど佐奈の表情は、さっきより晴れていた。


「当たり前じゃん。ね、やろうよ。」

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#545 [ゆーちん]
そんなこんなでパーティー決定。


ちょっと落ち込みぎみだった気分も、少しはマシかも。


パーティーに向けての準備も楽しかったし、剛さんと会話するのも刺激的で気分も上がる。

⏰:09/02/28 12:21 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#546 [ゆーちん]
日時は凜がアメリカに経つ2日前の夕方に決まり、地元の奴らに声をかけて準備も手伝ってもらった。


竜や大輝はもちろん、島の同級生は全員に声かけた。


凜の高校の友達は千夏や澪に頼んで声をかけてもらう。

⏰:09/02/28 12:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#547 [ゆーちん]
当然、凜の耳に入らないわけがない。


私も準備するとかって騒いでたけど主役が準備しちゃ意味ないでしょ?


だから全力で拒否しておいた。


準備はしなくていい!って。


つまらなさそうに、でも嬉しそうに笑う凜が可愛かった。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#548 [ゆーちん]
準備期間中、いろんな奴に心配された。


でも本当に大丈夫だから。


引っ掛かってるモヤモヤも送別会で解決するから、ちゃんと。


誓うから、本気で。

⏰:09/02/28 12:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#549 [ゆーちん]
バイトのシフトも減らそうと思ったけど、そればっかりはどうにもいかなかった。


何しろ寒い夜はラーメンが食べたくなるのが人間だからね。


店が忙しいので休んでる暇がなかったんだ。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#550 [ゆーちん]
俺がバイトの時は、佐奈が陣切って頑張ってくれた。


大輝は彼女のデートより準備を優先してくれた。


理解ある彼女で感謝しないと。

⏰:09/02/28 12:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#551 [ゆーちん]
竜はバイトがない時は必ず手伝ってくれた。


「好きな女の子ほったらかしてていいの?」

「あの子も大事だけど凛ちゃんも大事だし。」

「ヘヘッ…そりゃどうも。」

⏰:09/02/28 12:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#552 [ゆーちん]
みんな優しかった。


積極的に手伝ってくれて本当に助かった。


パーティーの準備ばかりじゃなく凛との時間も大切にした。


毎日充実して、愛しさが増すばかりで…

⏰:09/02/28 12:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#553 [ゆーちん]
ある晩。


剛さんの家で佐奈と3人して、ビンゴゲームの景品を包装紙で包んでいた時だった。


「お腹痛〜い。」


佐奈がぼやいた。

⏰:09/02/28 13:22 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#554 [ゆーちん]
「アイス2個も食うからじゃん。」


そう言って笑った剛さん。


「だって食べたかったんだもん。」

「加減して食えよ。」

「冷たいなぁ、剛。彼女がお腹痛いって苦しんでるのにお説教?もう…トイレに引きこもってやる!」

⏰:09/02/28 13:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#555 [ゆーちん]
佐奈がトイレに立てこもった。


「あんな事言って、あいつ絶対うんちしてんだぜ?」


俺に笑いかけながら呟いた剛さん。


わがままで自由奔放な佐奈。


お似合いだと改めて思った。

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#556 [ゆーちん]
「大変でしょ、あの佐奈の彼氏って。」

「大変。すぐ浮気したって騒ぐし暴力的だし暴走人だし。」

「アハハ。」

「でも可愛いだろ?アイス2個食って腹壊すなんてさ。」

⏰:09/02/28 13:24 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#557 [ゆーちん]
剛さんの優しい笑顔は、何だか俺に安心感をくれる。


「なぁ心くん。」

「はい?」

「本当に大丈夫?不安な事とかあるんじゃねぇの?佐奈に言いにくいなら俺、話聞くし。男同士のが話しやすいかもしんねぇから。」

⏰:09/02/28 13:26 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#558 [ゆーちん]
この人はどこまでいい人なんだ。


佐奈は幸せもんだな、こんなカッコいい彼氏がいて。


「ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですよ。」

「そ?ならいいけど。」

⏰:09/02/28 13:27 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#559 [ゆーちん]
「あぁ〜、俺が女だったら間違いなく剛に惚れてただろうなぁ。」

「えっ、困るよ。俺には手のかかる子いるから浮気なんてする暇ないもん。」

「アハハ。確かに。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#560 [ゆーちん]
キョウダイのいない俺にとって、佐奈も剛さんも、キョウダイみたいな存在だった。


安らぐんだ、すごく。


「心くん。俺、ちょっとパーティーでしたい事あんだけど。」

⏰:09/02/28 13:28 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#561 [ゆーちん]
「…何すか?」

「まだ秘密。でも最初のほうでいいから俺に時間くれる?」

「いいですけど…気になる!」

「まあまあ。俺なりのけじめ付けようと思って。」

⏰:09/02/28 13:29 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#562 [ゆーちん]
「…それって。」

「あぁー!引きこもり終了。」


引きこもり犯がトイレから出てきたので、その話は終了。


だけど…何となくわかったかも。

⏰:09/02/28 13:29 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#563 [ゆーちん]
聞きたかったけど秘密だって言われたし、楽しみにしておこう。


「心、雑だよ!ここ折れ曲がってんじゃん。やり直し。」

「はいはい。わかりましたよ。」

⏰:09/02/28 13:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#564 [ゆーちん]
俺の態度が気に食わなかったらしく、ブーブー怒ってた佐奈。


剛さんが手のかかる子というのも、わかる気がする。

⏰:09/02/28 13:30 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#565 [ゆーちん]
●○●○●○●

>>2

●○●○●○●

⏰:09/02/28 13:31 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#566 [ゆーちん]
○●○●○●○

誓い

○●○●○●○

⏰:09/02/28 18:01 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#567 [ゆーちん]
送別会当日。


つまり凛の出国2日前。


夕方から始まるパーティーに、たくさんの人が来てくれた。


正面には手作り感出まくりの【いってらっしゃい凛ちゃん】と書かれたポスターが貼ってある。

⏰:09/02/28 18:02 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#568 [ゆーちん]
主役は、喜んでいた。


目をキラキラさせて、笑っていた。


「…嬉しい。」


そう呟いた凛の言葉を俺は聞き逃さず、耳で拾った。

⏰:09/02/28 18:02 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#569 [ゆーちん]
パーティーと言ってもセレブなんかじゃないから、普段着で楽しむもの。


みんないつもより少しお洒落して、食べたり飲んだり笑ったり、凛との別れを惜しんだりしていた。

⏰:09/02/28 18:03 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#570 [ゆーちん]
ビンゴやカラオケの準備が大変な主役の彼氏は、バタバタと動き回る。


そんな俺を見て佐奈は笑ってた。


「よく動くね〜さすが私の奴隷ちゃん。」

「佐奈ちゃんは関係ないもーん。俺、凛ちゃんのためなら這ってでも動き回れるからさ。」

⏰:09/02/28 18:04 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#571 [ゆーちん]
ふと凛のほうを見ると、見知らぬ女の子たちが凛にすがりついて泣いていた。


きっとC高校の友達だろう。


凛は、泣かずに笑顔を浮かべていた。

⏰:09/02/28 18:04 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#572 [ゆーちん]
そういえば、中学の卒業式も凛は泣かなかったっけ。


目に焼き付けたいんだって言ってたっけ。


今日もそうなのかな。


そうだといいな。

⏰:09/02/28 18:05 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#573 [ゆーちん]
俺らのこと絶対忘れないように焼き付けておいて欲しい。


そうでありますようにと願い、俺はカラオケの準備に向かった。


ちょっぴり泣きそうになりながら…。

⏰:09/02/28 21:10 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#574 [ゆーちん]
カラオケは大盛り上がりだった。


大輝たちがふざけたり、香奈や美帆たちが物真似したり。


泣く奴なんかいなくて、みんな笑ってた。


でも俺は楽しすぎて泣きそうだったけどね。

⏰:09/02/28 21:11 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#575 [ゆーちん]
カラオケしながら飲み食いして、凛にプレゼント渡したりして。


島の女子チームはアルバムみたいなもんを渡してた。


あとで見せてもらおうって思った。

⏰:09/02/28 21:11 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#576 [ゆーちん]
高校の友達であろう女子たちからは、ぬいぐるみだとかアクセサリーとか可愛らしいもんプレゼントされてた。


で、俺たち男子チームからは日本セット。

⏰:09/02/28 21:23 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#577 [ゆーちん]
米5sと箸、それにお茶葉なんかも入ってる。


俺は買いに行ってないからわかんないんだけど、竜たちが選んでくれた。


凛はインパクトあるねって笑ってた。

⏰:09/02/28 22:03 📱:SH901iC 🆔:ZoVblPx.


#578 [我輩は匿名である]
>>327->>550

⏰:09/03/01 10:23 📱:D904i 🆔:r1WqUD36


#579 [ゆーちん]
いつのまにかプレゼントタイムって感じだったけど、そのプレゼントタイムが終わり、お次はビンゴゲームタイム。


剛さん家のビンゴゲーム用のオモチャを回す俺。

⏰:09/03/01 10:24 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#580 [ゆーちん]
番号をスラスラと叫んでいく。


「もうそろそろリーチ出るんじゃなーい?」

「いいから心、さっさと回せって!」


大輝に野次られながら次を回した。

⏰:09/03/01 10:24 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#581 [ゆーちん]
「23番〜。」

「リーチ!」

「俺もぉ。」

「あっ私もリーチだ。」


たくさんのリーチが飛び出る中、凛や香奈たちはまだリーチじゃなさそうだ。

⏰:09/03/01 10:25 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#582 [ゆーちん]
「はーい、次は11番。」

「やった〜ビンゴだ!」


一抜けはC高校の女の子だった。


そのあとも続々とビンゴ者が出て、結局俺らの身内仲間は誰一人ビンゴしなかったっていうオチだった。

⏰:09/03/01 10:25 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#583 [ゆーちん]
ビンゴゲームが終わると、パーティーも終わるって感じの雰囲気になった。


「心くん。」

「あっ剛さん。」


遅れていた剛さんがやっと駆け付けてくれた。

⏰:09/03/01 10:26 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#584 [我輩は匿名である]
>>357-550

⏰:09/03/01 10:27 📱:D904i 🆔:r1WqUD36


#585 [ゆーちん]
「最初に時間ちょうだいって言ったけどもう最後だね。」


バイトで遅れていた剛さんが、残念そうに笑った。


「いいじゃないですか。最初でも最後でも。けじめ付けるんでしょ?俺も、付けたいんです。」

⏰:09/03/01 10:27 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#586 [ゆーちん]
「だったら先に心くんがどうぞ。主役の彼氏のが優先だよ。」

「えっ…いいんですか?」

「もちろん。」


てなわけで、いっちょけじめってもんを付けさせていただきます。

⏰:09/03/01 10:28 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#587 [ゆーちん]
マイクを持って前に立つと、たくさんの声援が贈られた。


「えーっと、ちょっと彼氏らしくカッコいい事してもいいですか?」


笑い声とか野次が飛んだ。


「熱い声援どーも。それじゃあ俺なりの凛ちゃんへのけじめっての付けるからね。」

⏰:09/03/01 10:28 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#588 [ゆーちん]
みんなが何だ何だと騒ぐ中、俺はポケットから取り出してもう一度マイクに向かった。


「凛ちゃん。俺、絶対他の女の子に目移りなんかしないから。凛ちゃんいないと俺は無理。ずーっと好き。ていうか愛してる。」

⏰:09/03/01 10:29 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#589 [ゆーちん]
凛は口に手を当て、驚いていた。


「一生杉浦凛ちゃんラブだから!…どう?こんな大勢が証人だから浮気なんか絶対できないよ。つーか、しないけどね。」

⏰:09/03/01 10:30 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#590 [ゆーちん]
「いいぞー、心!」

「江森カッコいい〜。」


俺はマイクから離れ、凛のそばに歩み寄った。


「言葉だったら忘れちゃうかもだけど、形にしてなら忘れないでしょ?無くさないでね。」

⏰:09/03/01 10:30 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#591 [ゆーちん]
左手の薬指に愛してるをはめた。


「まじ、キザ。恥ずかしくない?」

「別に?凛ちゃんを愛してる事は恥ずかしいだなんて思わないから。」


凛が笑ったから俺も笑った。


キスしたかったけど、それは我慢した。


だって、あんな可愛い凛の姿、他の奴らに見せたくないもん。

⏰:09/03/01 10:35 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#592 [ゆーちん]
場内が騒ぎ立つ中、マイクから次に響いたのは、このパーティーを主催してくれた俺の尊敬する人だ。


「どうも〜、みなさん盛り上がってる中悪いんですけど、俺も心くん凛ちゃんのラブラブな波に乗っちゃいたいと思いまーす。」

⏰:09/03/01 10:35 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#593 [ゆーちん]
会場は高校生だらけなだけに、剛さんはちょっと遠慮がちだった。


まぁでも佐奈にいたっては遠慮の【え】の字もなかったけどね。


そんな佐奈の彼氏である剛さんが、けじめを付けるんだ。

⏰:09/03/01 10:36 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#594 [ゆーちん]
緊張と不安と…それから楽しみと。


「心くんカッコよかったねぇ。だから俺もカッコいい事しちゃおっかなぁって。しちゃってもいいっすか?」


会場はもちろん『いいとも〜。』と響き渡る。


「えっと、俺は付き合ってかなり長い彼女がいます。俺はその彼女が好きだし目移りなんかしない。でもその彼女はすぐに俺が浮気するって疑うんだ。」

⏰:09/03/01 10:37 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#595 [ゆーちん]
騒がしかった場内が静まる。


「俺は絶対浮気なんかしないのに、疑ってくるってことは信用されてないんだなって考えたわけ。だから、信用してもらいたく今日この場をちょっと借ります。」


剛さんの低い声は佐奈に向けられた。


「難しい言葉とかよく知んねぇし佐奈もわかんないだろうから簡単に言うわ。あのな、佐奈。俺と結婚しよう。」

⏰:09/03/01 10:38 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#596 [ゆーちん]
キャーとかヒューとかおだての声が湧いた。


俺はきっとニヤけてただろう。


なんとなくわかってたけどプロポーズなんて、こりゃまたビックリ。


だけど純粋に嬉しかった。

⏰:09/03/01 10:38 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#597 [ゆーちん]
自分がプロポーズされた気分。


カッコいい、と誰かが甘い声を漏らしていた。


「心くんの真似になっちゃうけど、みんなが証人。俺は佐奈だけだから。浮気なんてするわけないんだから。」

⏰:09/03/01 10:39 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#598 [ゆーちん]
俺みたく剛さんもマイクの前から佐奈のところに移動した。


俺より様になってて、どんなシチュエーションでもカッコいい剛さんに憧れる。


佐奈は、泣いてた。

⏰:09/03/01 10:40 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#599 [ゆーちん]
「こんなガキんちょの前でプロポーズするなバカぁ。」

「あはっ。ごめんね。俺せっかちだから。」


全く可愛げのない泣き方。


ウワーンって、自分が一番ガキんちょなのに気付いてないのかな。


剛さんは佐奈に指輪をはめた。

⏰:09/03/01 10:41 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#600 [ゆーちん]
もともと左手の薬指には指輪がいたんだけど、その上にまた指輪。


剛さんの愛してるが2つもはめられてるなんて羨ましいじゃん、佐奈の奴。

⏰:09/03/01 10:41 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


#601 [ゆーちん]
「佐奈ちゃぁん、よがっだねぇ。」

「香奈ぁ!」


姉妹揃って大泣きしてた。


なんか笑えた。


会場は幸せオーラが溢れてた。

⏰:09/03/01 10:42 📱:SH901iC 🆔:JjL1vwsA


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