僕しか知らない君へ
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#252 [太郎]
退屈で、ふと、まわりの店を見渡す俺。

「ねーねー純ちゃん、これとこれ、どっちの色が好き?」

「…。」

「ねぇ!純ちゃーん!」

舞の声は聞こえていないわけじゃない。

「…」

「純ちゃん聞いてんの??」

その場で俺だけが時を止めていた。

何故なら、視線の先に伊月を見つけてしまった。

夢だと言ってた美容部員として働く伊月を。

⏰:14/05/07 09:02 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#253 [太郎]
「伊月…。」

「ん?伊月…?」

俺の視線の先を見つめる舞。

伊月は接客中で、俺には気付いていない様子だった。

3年ぶりに見る伊月の姿。

今までずっと、忘れようと必死だった。その伊月が目の前にいる。

今まで無理矢理考えないようにしていた過去の事や自分の想いが一気に脳を駆け巡り、ショート寸前の俺。

⏰:14/05/07 09:06 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#254 [太郎]
嘘だろ。

自分で自分に幻滅する。

いい男が、こっぴどく振られた女に未練たらたらなんだ。

もう、いい加減気持ちに整理つけれたと思ってたのに、伊月を一目みた瞬間、今まで無理していた自分が崩れた。

いまだに俺は伊月の事を忘れられないんだ。

⏰:14/05/07 09:21 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#255 [太郎]
「舞、ごめん、ここ出よ!」

「え?!純ちゃん!?」

舞の手を引いて、俺は伊月に見つかる前に店を出た。

その瞬間一瞬だけ伊月と目があった気がしたけどすぐに違う方を見ていたから気のせいだと思う。

久しぶりの再会が女連れなんて気まずすぎる。

すぐさま立ち去る俺たち。

⏰:14/05/07 09:47 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#256 [太郎]
「はぁ…マジ焦った。ごめん!舞!この店はやめよ!違うとこにもないの?お前の欲しいのあるとこ。」

「…。」

ふくれっ面の舞。
そりゃそうか。ちゃんと説明しないとな。

「あの子が長年付き合った元カノの伊月ちゃんなんだ?」

意外にも舞は冷静に言った。

「え!舞に伊月の話なんてしたことあったけ?」

「純ちゃん、酔っ払ったらいつもしてんの!名前は知らなかったけど、いっつも泥酔すると、元カノの話ばっかり。」

「マジか…。痛いね、俺。笑」

「まだ好きなんだね。」

「いや、好きってゆうか、もう3年以上前に振られてるし…自分でもよくわかんないんだけど、久しぶりすぎて動揺してしまった。…なんかすまん。せっかく来たのに。」

⏰:14/05/07 09:53 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#257 [太郎]
「もういい。今日は帰ろ。」

「ちょ、怒ってんの?悪かったって。じゃ飯行くか!好きなもん奢るって!」

こんなことで、怒ったりする奴じゃないのに、何ムキになってんだよ。

実際、舞と遊び出してからも違う女とやったりして、その事が舞にバレたこともあった。

それでも舞は笑いながら、チャラいな〜って言って怒ったりしなかったから。

俺たちはそうゆうドライな関係なんだと思ってた。

「帰るっつってんの!早く家まで送って!」

⏰:14/05/07 09:58 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#258 [太郎]
なんかすげーキレてる。

さっきまで伊月の事で動揺してたけど、今度は舞のご機嫌取りに必死になる。

でも、車に乗ってからもずっとプリプリしてる舞にだんだんイライラしてしまう俺。

「悪かったって言ってんだろ!なにお前今日どうしたの?そんな事でそんなにキレるか?」

「は!?マジうざい。逆ギレかよ!」

この言葉にカチンと来て俺は言ってはいけないセリフを言ってしまう。

「なんだよそれ。彼女でもないくせに。」

「っ。…。」

⏰:14/05/07 10:02 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#259 [太郎]
うわ。

言った瞬間にやべーって思った。

舞の表情がだんだん怒りから悲しみに変わっていく。

しばらく沈黙。

「いや…俺が全部悪いな。ごめん。…マジでごめん。」

そういうと、今まで堪えていたのか、一気に涙を流す舞。

自分のしてきた事に改めて情けなさを感じる。

⏰:14/05/07 10:08 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#260 [太郎]
結局舞の家に着くまでずっと無言の俺たち。

舞はずっと泣いていた。

俺も気の利く言葉をかけてやれなかった。

家の前に車を止めて、舞が降りる瞬間に言った。

「なんかごめん。キャバ嬢のくせに本気で純ちゃんに恋してた。純ちゃんが私に興味ない事くらいわかってたのに、バカだよね。…今まで付きまとってごめん。もう会うのやめよ。」

そう言って車を降りようとする舞を止める。

「ちょっと待てって、勝手に決めるなよ。」

「だってこれ以上一緒にいると、私どんどんめんどくさい女になるだけだもん!」

⏰:14/05/07 10:15 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


#261 [太郎]
チャラついてた時の俺は今まで散々、舞にめんどくさい女とは一緒にいたくないって言いまくってたから。

舞にそんな事を言わせてんのは俺だ。

「舞…。」

「とりあえず、ほんとに今日は帰らせて。お願いだから今は1人にさせて。じゃあね。」

そう言って車を降りる舞。

俺も素直にその日は帰ることにした。

⏰:14/05/07 10:19 📱:iPhone 🆔:snUPAuxU


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