それでも君が
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#200 [
]
『友梨出てく』
祖母は泣きながら頷いた。
何度も何度も・・・
この家にいたら
友梨はそのうち壊れちゃう
『今日休むで学校に電話して』
そう言うと
祖母に電話をかけさせた
頭痛のため欠席――。
:07/01/09 18:58
:D902iS
:☆☆☆
#201 [
]
文博から家に電話が来た。
親がいないから
かけてきたんだろう。
「仕事が終わったら駅まで迎えに行く」
駅に着いたら
公衆電話から電話するようにって言われた。
それから・・・
文博の女友達が
友梨を匿ってくれるって。
:07/01/10 17:40
:D902iS
:☆☆☆
#202 [
]
別れたのに・・・
文博の優しさに
涙が出た。
見ず知らずの友梨を
匿ってくれるその人にも
感謝の気持ちで
いっぱいだった・・・。
迷惑かけてるって
わかってる。
:07/01/10 17:46
:D902iS
:☆☆☆
#203 [
]
でも・・・
助けてください・・・
幼い友梨は
まだ一人じゃ生きていけない
そのための家族。
そのための友達。
だけど全てを失った今
友梨の頼りは
文博だけだった――。
:07/01/10 17:49
:D902iS
:☆☆☆
#204 [
]
部屋を掃除した。
もう二度と
この場所に帰ってくることはないから・・・
綺麗にしとかないとね
いつもは汚い机の上も
埃のかぶったような棚も
全部全部
掃除した・・・
:07/01/10 17:53
:D902iS
:☆☆☆
#205 [
]
父が昼休みで
家に帰ってきた。
当然友梨は学校に行ったことになっている。
だから
部屋で物音をたてないように
静かに過ごした。
父が再び仕事に行ったのを確認すると
荷造りを始めた。
:07/01/10 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#206 [
]
旅行鞄に必要最低限のものを詰め込む。
衣類はもちろん、
ドライアー
洗面用具
それから・・・
思い出が詰まった
アルバムとプリ帳。
意外と荷物って少ない。
携帯料金の支払いのために
必死で稼いだ4万を
財布に入れた。
:07/01/10 18:01
:D902iS
:☆☆☆
#207 [
]
祖母が
『何があっても生き抜くんだよ。持って行きなさい』
そういって5万を
友梨にくれた
いらないと言ったけど
実際お金がいるのは確か。
『ありがと・・・』
向こうに着いたら
連絡するから。
:07/01/10 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#208 [
]
辛くても生きる。
死んだら負け。
逃げたら負け。
逃げない。
負けない。
親なんかいなくたって
立派な大人になってみせる
強くなるよ
ううん、
ならなきゃいけない
:07/01/10 18:23
:D902iS
:☆☆☆
#209 [
]
バスは
お母さんが帰ってくるのと
入れ違いになる時間のに乗る
そしたらどこ探したって
見つかんないから。
探すわけないか・・・
いらない子だもんね。
疫病神だもんね。
せいせいするでしょ?
:07/01/10 18:27
:D902iS
:☆☆☆
#210 [
]
バスがくるまで
あと一時間半・・・
綺麗に片づいた机の上には
白い封筒の手紙が3通。
綺麗に並べて置いてある・・・
友梨がいなくなったら・・・
何人の人が
涙を流して悲しむのかな?
:07/01/10 18:36
:D902iS
:☆☆☆
#211 [
]
そんなとき電話が鳴った
友梨は思わず出てしまった・・・
電話の相手は
母方の祖母
祖母から話は聞いたと
言われた。
今から行くからまだ行かないでと言われた。
:07/01/11 07:29
:D902iS
:☆☆☆
#212 [
]
飛ばしてきたんだろう・・・
五分ほどして
母方の祖母が家にきた。
何で話したんだよ!!
と言わんばかりに
祖母を睨んだ
「さっきはあんな風に言ったけどやっぱり出ていって欲しくないから・・・お母さんに相談したんだよ」
涙をためて話す祖母を
無視して
冷たい態度をとる。
:07/01/13 12:49
:D902iS
:☆☆☆
#213 [
]
「友梨ちゃん・・・おばあちゃん泣かせて・・・そんなにこの家が嫌なの?」
は?
黙れ。
何も知らないくせに・・・
あんたの娘は
母親失格だよ!!!
『ばあちゃんには関係ない』
さらに苛立ちを感じる
:07/01/13 12:53
:D902iS
:☆☆☆
#214 [
]
母方の祖母は
家を出てその先どうやって生きていくのか
とか
学校は中退しちゃいけない
だとか
友梨の気も知らないで
グチグチうるさい
:07/01/13 12:55
:D902iS
:☆☆☆
#215 [
]
―ガラガラガラ―
玄関の戸が開き
父が居間にはいってきた。
『は?何でおるん?』
父は無言で座る。
理解できない友梨は
黙ったまま俯く
重い空気が四人を包む
:07/01/13 12:58
:D902iS
:☆☆☆
#216 [
]
友梨は確認するため口を開いた
『もう一回きくけど・・・おとん何で帰ってきたん?仕事行ったばっかやに』
その質問に答えたのは
父ではなく
母方の祖母。
「お母さんから電話があって・・・二人じゃ説得できんって思ったんと・・・お父さんは知っとるんかと思ってな・・・会社電話したんよ」
:07/01/13 13:04
:D902iS
:☆☆☆
#217 [
]
友梨が全身から放つものに
おびえながら
申し訳なさそうに話す姿が
さらにイライラする。
『よけいなことすんな!!
あ"ーもう!!!ふざけんなよ!!
もうきめたんやわ!!!
あんたらがなんて言ったって友梨は出てく。
あんたらに友梨の気持ちなんかわかるわけない。
てかわかってもらおうとも思ってないけどね!』
もう・・・
限界だよ・・・
:07/01/13 13:10
:D902iS
:☆☆☆
#218 [
]
それまで黙って座っていた父が口を開いた。
「学校はどうするつもりだ」
滅多に怒らない父だけあって
その言葉は重みがあり
ものすごく怖い・・・
自分の気持ちを確かめるかのように静かに答えた。
『中退・・・』
:07/01/15 07:11
:D902iS
:☆☆☆
#219 [
]
ふと時計を見た・・・
バスが来るまで時間がない!!
友梨は立ち上がると
『いままでどーもっ!!』
それだけ言うと
部屋を出ていこうとした
『・・・・!!痛い!!!』
:07/01/15 07:14
:D902iS
:☆☆☆
#220 [
]
『放して』
父が・・・
友梨の腕を掴んだ
「待ちなさい。」
『そんな時間ないし』
「話し合おう」
話し合う?
今更何話せって?
今まで家のことから目反らしてきたくせに
今更親面すんなよな!!
:07/01/15 07:17
:D902iS
:☆☆☆
#221 [
]
『今更親面すんなよ。おとんに友梨の気持ちなんかわかるわけないし!!ばっかじゃないの!?』
父は殴ることもせず
黙って腕を放した
言ってはいけなかった言葉
だけど
そんなこと考えらんないくらい友梨はボロボロだったんだ
:07/01/15 07:20
:D902iS
:☆☆☆
#222 [
]
バンッ!!!
外れるぐらい思い切り部屋の戸を閉めた。
ムカつくはずなのに
悲しくなんかないのに
溢れる涙を拭って
大きな荷物を
いきおいよく手に取った
:07/01/15 16:15
:D902iS
:☆☆☆
#223 [
]
同時に
父が部屋に入ってきた。
『何?』
「座りなさい」
それから一時間にわたって
父との話し合いが行われた
最終バスが
行ってしまった・・・
:07/01/15 17:22
:D902iS
:☆☆☆
#224 [
]
せっかく学校休んだのに
意味ないじゃん。
もうすぐお母さんが
帰ってくる。
「ただいま〜」
ほら来た。
最悪。
友梨の計画が・・・台無し
:07/01/15 17:24
:D902iS
:☆☆☆
#225 [
]
友梨が学校サボったこと
誰も口にしなかった
みんな黙っててくれた
無言でご飯を食べる友梨に
母が冷たく言った
『あんた部活休んだの?』
「頭痛かったで」
「あんな部活辞めなさいよ」
また説教かよ・・・
:07/01/16 11:00
:D902iS
:☆☆☆
#226 [
]
食べ賭のまま
箸を置き
『ごちそうさま』
そう言って立ち上がると
「いつまでも調子乗っとんやないよ!!」
母の甲高い叫び声に
食卓が静まり返る
「お腹空いてないんやろ?」
と優しく問いかける祖母。
:07/01/16 18:02
:D902iS
:☆☆☆
#227 [
]
庇ってくれたこと
本当は嬉しかった。
嬉しかったのに
今は・・・
反抗的な態度しかとれない
周りのこと考えてる
余裕はない
『食欲失せた』
パンッッ!!!
:07/01/16 18:04
:D902iS
:☆☆☆
#228 [
]
部屋中に響いた
頬をたたく音
『・・・・・!!』
言葉にならない
この気持ちは
怖いとか
悲しいとか
そんな感情じゃなく
憎い。
他でもない怒りだった
:07/01/16 18:07
:D902iS
:☆☆☆
#229 [
]
そのあと完全に友梨の携帯を取り上げると
長々と始まった説教。
軽く三時間。
耳にたこがが出来るほど聞かされてきた罵声に
友梨はもう
慣れてしまった・・・
母はまた
「あんたなんか生まなきゃよかった」
そう言った・・・
:07/01/16 18:10
:D902iS
:☆☆☆
#230 [
]
しびれて感覚のない足
腫れた頬
それでも友梨は
泣かなかった。
泣き虫だけど
めちゃくちゃ低いけど
プライドぐらい
友梨にだってある。
"泣くもんか!!"
キュッと唇をかみしめ
涙をこらえた
:07/01/16 18:13
:D902iS
:☆☆☆
#231 [
]
母が落ち着きを取り戻す頃には
もう何のことで怒っていたのかわからないくらい話は横にズレている。
右から左へと
説教を聞き流し
考えてたのは
博のこと。
"助けて・・・"
なんど心で叫んだだろう
:07/01/16 18:16
:D902iS
:☆☆☆
#232 [初]
:07/01/16 18:17
:N902iX
:☆☆☆
#233 [
]
やっと説教から解放され
部屋に戻る。
鏡を手に取り
まだじんじんと痛む
自分の顔を見つめた。
『あ〜ぁ・・・ぶっさいく!!』
我慢してた涙
あいつには絶対見せたくなくて必死に我慢してた涙は
言葉とともに
ボロボロと流れた
:07/01/16 18:24
:D902iS
:☆☆☆
#234 [
]
お風呂に入ると
鏡に映る自分の体
体を洗う度
痛みが走る・・・
髪も洗うだけで
太股にまとわりつくように
大量に抜け落ちる
それを見て
友梨の家出願望は
より強くなった
:07/01/16 18:37
:D902iS
:☆☆☆
#235 [
]
助けて欲しかった。
支えが欲しかった。
博に傍にいて欲しい・・・
震える膝を抱いて
湯船で小さく丸まった
きっと話したら
ひかれるんだろうな・・・
こんな家族
こんな体
そしてなによりも
自分自身
:07/01/16 18:39
:D902iS
:☆☆☆
#236 [
]
お風呂から上がると
ざっと髪を乾かし
まだ少し濡れてる髪のまま
布団に入った。
絶対出てく
こんな家
後悔させてやる
追い出したこと
強く強く思って眠りについた
:07/01/17 07:48
:D902iS
:☆☆☆
#237 [
]
―学校―
明るく明るく
バレないように・・・
ガラガラガラッ
『おはよ〜』
いつも通り教室に入る
「風邪やったん?」
「友梨おらんと寂しいぢゃんかぁ〜もう大丈夫なん?」
何人もの友達が声をかけてくれた。
:07/01/17 07:51
:D902iS
:☆☆☆
#238 [
]
『バカでも風邪ひくみたいやわぁ〜』
なんて茶化して
ごまかした。
つまんない授業と
くだらない部活を終え
帰宅する。
「今日お母さん帰り遅いって」
と弟が言う。
:07/01/17 17:52
:D902iS
:☆☆☆
#239 [
]
『まじで!?』
通りで姿がないわけだ
てか
チャンスじゃん!!!
出てくなら今日しかない
流し込むようにして
ご飯を食べると
台所にあったパンを一つ持って部屋に戻った。
:07/01/17 17:55
:D902iS
:☆☆☆
#240 [
]
お父さんが部屋から顔を出し
友梨の姿を確認してた。
仕事のはずなのに
家にいたのは
友梨が家出しないよう
見張ってただけ。
そんな父に気づかない振りをして部屋の戸を閉めた。
:07/01/17 18:00
:D902iS
:☆☆☆
#241 [
]
急いでお風呂の準備をして
再び部屋から出る。
カラスの行水のように
お風呂から上がると
バスタオルで髪を拭き
また束ねた。
『よしっ!!』
気合いを入れると
脱衣所を後にした
寝間着から私服に着替えると
マフラーとコートを着て
髪をほどいた
:07/01/18 15:48
:D902iS
:☆☆☆
#242 [
]
昨日詰めた大きな荷物。
それから・・・
家電の子機
一度しまった三通の手紙を
再び机の上に置き
友梨は部屋を後にした
静かに玄関を出て
秋の夜道を
一人歩きだした
:07/01/18 18:11
:D902iS
:☆☆☆
#243 [
]
友梨が出ていったことは
誰も気づいていない。
でもすぐにバレるだろう・・・
下手に歩き回らない方がいい
家から少し離れた
小さな小屋の陰に身を潜め
友梨は裕クンに電話した。
〜♪〜♪
:07/01/18 18:15
:D902iS
:☆☆☆
#244 [
]
「はいはい?どした?」
『今日遊ぼ』
あ〜ぁ・・・
博がいてくれたらいいのに
そしたら迷わず
博の所へ行くのに・・・
また裕クン利用して
友梨最低。
:07/01/18 18:53
:D902iS
:☆☆☆
#245 [
]
「なんかあったろ」
『別に〜何となくやけど?』
強がって嘘ついたけど
裕クンには通用しない
「嘘つきとは遊んであげんぞ。何あったよ?正直に言いなさい」
『・・・』
『家出しました。寒いのでかくまって下さい』
:07/01/18 19:51
:D902iS
:☆☆☆
#246 [
]
「はっ!?笑 友梨なかなかやるなぁ〜」
冗談だと思ったのか
笑い飛ばされた
『本気やよ。昨日学校休んで荷造りした。』
電話の向こうの
笑い声が消え
真剣な声に変わる
「今どこ?」
:07/01/18 19:54
:D902iS
:☆☆☆
#247 [
]
『植村さんちの車庫の裏。』
「本気かよ・・・」
『うん・・・』
静かな夜に
友梨の声が響いた。
「でも今日夜勤やから・・・」
『終わったらでいい。来てください・・・』
この寒さの中
野宿なんて出来ない
:07/01/20 14:53
:D902iS
:☆☆☆
#248 [
]
「遅いよ?」
『何時?』
「一時くらい。」
淡々と進む二人の会話。
『いっ!!!1時!!!??』
「てか寒いろ?やっぱ今から行くゎ。」
『いいよ

仕事中じゃん。終わるまで待っとくで。』
:07/01/20 15:05
:D902iS
:☆☆☆
#249 [
]
ほんとは寒くて
辛かった
だけど裕クンに
これ以上の迷惑かけちゃ
いけないと思ったから
断ったんだけど・・・
「・・・バカ、風邪ひいたらどうするんよ。ちょっと待っとけよ。今すぐ行くで!!」
『でも仕事・・・』
「いいでそこ動くなよ!!!わかったな!!」
:07/01/20 15:13
:D902iS
:☆☆☆
#250 [
]
それだけ言うと
一方的に電話を切られた。
『・・・』
しばらくプーップーッていう
音を聞いてた
その音も切れる頃
友梨は立ち上がり
裕クンの言葉を無視して
場所を移動し
近くの工場の駐車場にある
小さな階段にうずくまった
:07/01/20 15:20
:D902iS
:☆☆☆
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