2006,夏恋
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#37 [主]
加奈は「後で言うねっ」といい、自分のクラスに戻っていった。
あたしもそのあとに続こうとしたが、なぜだか足は教室と逆方向にむいていた。
サボり…?いや、違う。これはサボりじゃない。
ちょっと休憩するだけ
あたしは自分に言い聞かせ、ハンカチで汗を拭いた。
そんな6月の梅雨明け。
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:07/01/07 03:21
:N701i
:s.uGeus6
#38 [主]
あたしが授業をサボったことは後に先生にバレ、こってり叱られた。
そして、今日から7月。
教室にも扇風機がつき、夏を感じさせる。
窓から入ってくる風はちっとも涼しくなく、あたしを一段と困らせた。
加奈がこの前言った続きは聞くことなく、あたしはそのことすらも忘れていた。
「みなみーっ」
:07/01/07 03:29
:N701i
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#39 [主]
あたしを呼ぶ声は窓の外から聞えた。
窓から顔を出し、覗き込むと加奈がいた。
「なーにー?」
と大声で返事をすると、加奈はちょっと‥と手招きした。
あたしは風でボサボサになった髪を手でとかし、窓をしめ
扇風機を少しだけ占領し、教室を出る。
:07/01/07 03:36
:N701i
:s.uGeus6
#40 [主]
下につくと、加奈の後ろ姿がすぐ目に入った。
ポニーテールに少し茶色の髪、すぐに加奈だとわかったあたしって天才?
なんてバカなことを考える白石南16才。
「かな‥」
あたしは加奈を呼ぶ声をとめた。
それは、加奈の隣りに男の人がいたから。
:07/01/07 03:45
:N701i
:s.uGeus6
#41 [主]
「あ、南。おそいー」
加奈はそんなあたしに気が付き、ニコッと可愛い笑顔をみせた。
「ともだち?」
あたしは加奈の隣りの人を見る。
坊主頭に少し汚れたユニホーム、どこかで見たことあると思った。
7月の陽気はあたしの白い肌をピリピリさせる。
:07/01/07 03:49
:N701i
:s.uGeus6
#42 [主]
「南、覚えてないの?」
「えっ?なにが?」
坊主頭の男の子は帽子をとり、あたしに一歩近づく。
そして、あたしと目が合った…。
「……ナカムラ‥クン?」
思わず、口にしていた。確かに目の前にいるのは他の誰でもなく
あの夏に出会った中村達也だった。
:07/01/07 03:53
:N701i
:s.uGeus6
#43 [主]
:07/01/07 03:55
:N701i
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#44 [主]
「な、なんでっ!?」
あたしは動揺した。本当に中村くんが目の前にいるのだ。
しかも、ユニホーム姿で。
「白石さん…?」
「な、なにっ?」
あたしはどもったのと、緊張のせいで顔から出る汗が恥ずかしく、下をむいた。
きっとあたしの顔はりんごのように赤くほてっているだろう。
その顔を冷ますわけでもなく、逆にもっと熱くさせるように
真夏の太陽は熱気を増す。
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:07/01/07 07:09
:N701i
:s.uGeus6
#45 [主]
「中村くん、南のアドレス知りたいんだって♪」
加奈がにやにやしてあたしの顔を覗き込む。
「冗談やめてよ」
あたしは恥ずかしさのあまりにいつもの強がりがでてしまった。
こうゆうとき、素直な子にすごく憧れる。
加奈みたいな子だったら「ありがとう、うれしい」の一言くらい言えたかな‥?
あたしの言ったことを聞いてなかったかのように、加奈は
「教えていいよね?」
と念を押し、あたしのアドを紙に書いて中村くんに渡してしまった。
:07/01/07 07:15
:N701i
:s.uGeus6
#46 [主]
「ちょっ…」
あたしが言いおわる前に中村くんは
「サンキュ。」といい笑顔でグランドへ走っていった。
「かな〜。なんでかってに教えるのっ」
あたしはグランドへ消えていく中村くんを見届けぬまま、加奈に言った。
:07/01/07 07:18
:N701i
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