もう二度と・・・
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#101 [林奈]
「俺も散々悪い事して、今もこんなんだけどよぉ、自分の嫁や子どもに手上げた事はない。俺がお母さんに言ってやるから」



「いいよ。オジサンが言ったあともどうせ殴られるんだし」


「我慢することないんだからな」



ヤクザの人は冷たい人ばかりだと思ってた。見た目はむちゃくちゃ怖くて、こんな事言ってくれるなんて思わなかった。

⏰:07/04/20 13:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#102 [林奈]
大人への偏見が少し変わったような気がした。



母が帰ってきて、畑中さんを見て、逃げるように部屋に帰った。
そんな母に畑中さんは怒鳴った。

⏰:07/04/20 13:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#103 [林奈]
「お前、この子に何した?」


「何って?」


「この子のアザ、お前がやったんだろうが?」


「私は知らないよ」

その言葉で畑中さんがキレた。

⏰:07/04/20 13:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#104 [林奈]
「この子がお母さんにやられたって言ったんだぞ」



畑中さんの言葉で、うちをものすごい顔でニラむ母。
畑中さんの帰ったあとの事を想像したら、ゾッとした。



畑中さんはまた怒り始める。


「お前なぁ自分の子どもに手を上げるなんて最低だぞ」

⏰:07/04/21 21:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#105 [林奈]
「あんたに関係ないでしょ!今月の分は渡すから帰って」


ものすごい形相でニラみつけ、母は家の中に帰ってった。
それはまるで鬼のようだった。


案の定、母はうちを殴る。


「あんたさえいなければこんなみじめな思いしなくてよかったのに」


母は目にうっすらの涙をためた。


あの時の涙は本物だった。

⏰:07/04/21 21:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#106 [林奈]
あの時、何度も思った。


“何でうちは死ななかったんだろう”


うちさえいなければ母をこんな苦しまなくて済むんだ。


胸が痛くて痛くて仕方なかった・・・。あの時の痛み以上のモノはない。

⏰:07/04/21 22:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#107 [林奈]
その日の夜、父から言われた一言。


「お父さん達離婚するから」


驚かなかった。いつかそうなるだろうって思ってたから。


そして次の日、母は家を出た。

⏰:07/04/23 00:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#108 [林奈]
憎むべき母が家を出ていく姿はどこか悲しそうだった。
ほんとは喜んでいいはずなのに、何か心に引っかかるモノを感じていたんだ。



“もう会えないのかな?”



去ってく母に何回も聞いてみたかった。

けどできなかった。

⏰:07/04/23 01:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#109 [林奈]
何か分からないわだかまりを抱えて、うちはその日から毎日家の事をした。


料理、洗濯、それまで家事なんて無縁だった分、めちゃくちゃ苦労した。


けど何よりも辛かったのは、祖父に毎日繰り返し言われる事。



「お前は母親そっくりだな」


複雑だった・・・。

⏰:07/04/23 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#110 [林奈]
目つきや言い方が似てるらしい・・・。

娘は母親に顔が似ると幸せにはなれないと聞いた。


“やっぱりそうなのかな?”



母親に似るうちもこの家を出た方がいいのかもしれない。

⏰:07/04/23 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#111 [林奈]
うちは、家を出る事だけを考えて生活するようになってた。中学を卒業したら絶対に家を出るんだ。

かすかな夢だった。

そんな小さな小さな夢を叶えるために見つけたバイト。


―援助交際―


援助交際をしようと思ったきっかけ。
それは本当に些細な事だった。

⏰:07/04/23 01:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#112 [林奈]
テレビで援助交際を取り上げている特番がやってた。


「一回3万かなぁ。それ以下の値段だったら絶対ヤらない」

元援交をしてた女の子のインタビュー。

うちは高額なお金に目がくらんだんだ。

本当にバカだよ。
あの頃、自分の価値が分からなかった。

⏰:07/04/23 01:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#113 [林奈]
うちは夜な夜な父達に隠れて、外に出るようになった。


駅前から少し奥に入ったとこにある公衆電話。
そこに貼ってあるチラシ。いわゆるピンクチラシだ。
うちはそこに電話してみた。

⏰:07/04/23 01:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#114 [林奈]
「もしもし。私19歳だけど・・」


「若いねぇ。オジサンは32歳だよ。今から会う?」


「うん」


緊張した。いっぱいっぱいで電話を切ったあと、少し恐怖感が出てきた。

⏰:07/04/23 02:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#115 [ちー]
読んでるよー!
がんばッ

⏰:07/04/23 02:22 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#116 [林奈]
“山の中でいきなり降ろされたどうしよう”


“複数で来て襲われたらどうしよう”


色々考えて広がる不安と恐怖。

でも後戻りはしたくなかった。
ただお金のためだけにうちはそのオジサンと会った。

⏰:07/04/23 02:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#117 [林奈]
ちーさんこんな夜中に読んでくれてありがとうI

⏰:07/04/23 02:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#118 [林奈]
高級車で現れた。
顔は若くてなかなかのイケメン。
うちは車に乗り込み、適当にあいさつしてみた。



「名前なんて言うのかな?」


「アユミだよ」



とっさに出た嘘。
何となく亜由美の名前を使わせてもらった・・・。


「アユミちゃんはこういうの何回目?」

「初めてだよ」

⏰:07/04/23 02:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#119 [林奈]
「ほんとに初めて?かなり落ち着いてるから見えないね?」


「そんな事ないよ!めちゃくちゃ緊張してるんだから」



うちの言葉に笑った。それを見たうちも笑ってみた。
その人は、ノブヒロと言うらしい。

⏰:07/04/23 02:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#120 [林奈]
これがノブヒロとの最初の出会い。


ノブヒロは初めてと言ううちの頬に軽くキスをした。
10歳以上も年が離れてる人からのキスなのに、何か嫌な感じがしなかった。


きっとあの時からもう気付いてたのかもしれない・・。


“運命”だって事を・・。

⏰:07/04/23 02:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#121 [林奈]
少しドライブをしてから向かったホテル。
初めて行くラブホに心臓バクバクになってた。
そんなうちに気付いて、ノブヒロはうちの手を握る。
大きくて男らしい手。うちはすごく暖かく感じた。


“このドキドキなんなんだろう”


言葉では表せれない感覚。


うちは何かを感じ取ってたんだと思う。

⏰:07/04/23 04:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#122 [林奈]
部屋に入って事を済まし、ベットでノブヒロはうちをギュッと抱きしめた。


「どうしたの?」


うちの問いかけにノブヒロは逆に聞いてきた。

⏰:07/04/23 16:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#123 [林奈]
「何でこんな事しようと思ったの?」


「お金がほしいからだよ」


「それだけ?」


「うん」


ノブヒロは不思議な顔をしてきた。


「他にも理由あるんじゃないの?」


うちはすぐに答えられなかった。

⏰:07/04/24 09:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#124 [林奈]
けどどうせ一度しか会わない人だから、話してもいいやって思った。


家族の事、前田くんとの事、イジメ、レイプ、母からの暴力。うちは包み隠さず話した。
泣く事もしない、冷静なうちにノブヒロはまた強く抱きしめてきた。

⏰:07/04/24 09:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#125 [林奈]
「辛かったなぁ。だからこんなアザがあるんだな。聞かないつもりだったけど気になって。ごめんな。話させてまって」


ノブヒロの目に涙がたまってた。


うちの話で自分以外の人が泣くなんて思いもよらなかった。

⏰:07/04/24 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#126 [林奈]
「こんな事してる俺が言うのは説得力ないけど、もうこんな事するなよ。俺ももうやめる。だから約束しよう?同情じゃなくてアユミちゃん自身に惹かれた」



うちはノブヒロはおかしい人かと思った。だって10歳以上も離れてる子に、たった一回の出会いでそんな事を言うから。

⏰:07/04/24 09:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#127 [なな]

読んでて
すごく惹き付けられる
ものがあります
読んでるので
頑張ってください

⏰:07/04/24 09:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#128 [林奈]
ななさんありがとI

続き↓↓


ノブヒロはうちに携帯番号を書いた紙を渡してきた。


「もし何かあったら電話して」


「うちが悪用したりするかもしれないんだよ?」


「アユミちゃんはしないよ」



まっすぐなノブヒロの目に偽りはなかった・・・。

⏰:07/04/24 12:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#129 [林奈]
うちはノブヒロに二つの嘘ついた。


名前が林奈だという事。
ほんとの年齢は14歳だという事。



今ここで話すべき事なのか迷った。



だからうちは最後まで隠し通したんだ。

⏰:07/04/24 22:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#130 [林奈]
うちはノブヒロに二つの嘘をついた。


名前が林奈だという事。
ほんとの年齢は14歳だという事。



今ここで話すべき事なのか迷った。



だからうちは最後まで隠し通したんだ。

⏰:07/04/24 22:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#131 [林奈]
↑↑連続しちゃいました。ごめんなさい


続き↓↓


帰り際、ノブヒロはうちに10万という大金をくれた。



“こんなに?”


驚くうちにノブヒロは言う。


「少ないけどもうこれでこんな事やめてね」


うちはただお礼だけを言った。

⏰:07/04/24 22:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#132 [林奈]
“電話なんてするわけないよ”


うちは帰り際思ってた。
でも初対面のノブヒロに、何かを感じていた。けどそれが何かは、あの時は分からなかった。

⏰:07/04/25 10:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#133 [林奈]
10万なんて大金をどうすればいいか分からず、家に帰りとりあえず部屋の中に隠した。



しばらくうちは援助交際をやめた。
そして新学期になり、イジメも何故か分からないけどなくなった。



ノブヒロに電話をすることなく時が過ぎて、あっという間に卒業。

⏰:07/04/25 10:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#134 [林奈]
中学最後の年はほんとにあっという間だった。
家事をして祖父に嫌みを言われ、しかも友達もいない。


何かあったとしてもうちはそれに気づきもしないくらい、時間が早く過ぎた。



父に言われるがままに入った私立の高校。行く気はなかったんだ。

⏰:07/04/25 10:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#135 [林奈]
義務教育から解放され、やっと自立ができる。それを夢見て過ごしてた分、高校なんてバカみたいに感じてた。



行きたくなくなったら辞めればいいや。

軽く考えてた。

⏰:07/04/25 10:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#136 [林奈]
高校へ入学。
友達なんて作らない。ほんとにどうでもよくて、いつ辞めよう。そればっかり考えてた。


入学式。


うちは見た目も茶髪で春休みにピアスも空けてた。けど中身は全然子どもで、見た目ばかり気張ってたんだ。


そんなうちに近付いてきたのは、サオリとマサ。
二人は明らかに浮いてる。


男女で近付いてきた二人に警戒心丸出しだった。

⏰:07/04/25 22:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#137 [林奈]
「アンタ名前は?」


「最初に自分の名前言うのが常識でしょ!」



自分の名前より先にうちの名前を聞いてきたサオリに腹が立った。


そんなうちの答えにサオリとマサは爆笑。


“は?”


そう思いうちは睨みつけた。

⏰:07/04/26 09:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#138 [のり]
林奈ちゃん早く続き見たいです気になる、気になる

⏰:07/04/26 15:24 📱:N702iD 🆔:☆☆☆


#139 [林奈]
のりさんありがとI今から少し書くねメ

続き↓↓


うちが睨んだのにも関わらず二人は、笑いながら言う。


「ごめんごめん。そうだよね。うちはサオリ。こっちはマサ。うちら同中でさぁ。あんたと友達になりたいなと思って」

満面の笑みが何かうちの心も明るくさせた。


「うちは林奈だよ」

「仲良くしよう」


マサも笑顔で言ってくれた。

⏰:07/04/26 16:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#140 [林奈]
見た目とは違って、笑顔が似合う二人。

この二人となら長く続くような気がした。


何か二人の笑顔に吸い込まれそうになった・・・。

⏰:07/04/26 16:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#141 [林奈]
友達なんて作らない。いらない。


けど表面上ならいいと思った。
どうせ辞めるから。


うちはサオリとマサと帰りにファミレスに行った。

⏰:07/04/26 22:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#142 [林奈]
好きな歌手や俳優、好きなタイプ、たわいもない話で笑った。


だから不思議な感じがしてた。


それでもうちはこの二人を信じる事はないだろう。


あの時強くそう思った。

⏰:07/04/26 22:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#143 [林奈]
次の日、学校に行くなり笑顔で駆け寄ってくる二人。
この二人とは毎日一緒に過ごすようになった。


けど、家族の事、過去の事は話すことはできない・・・。


きっとこの二人に話したら引くんだろうな。


心の境界線・・・


すごく寂しい感じがしてた頃でもあった。

⏰:07/04/27 21:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#144 [林奈]
相変わらず家の雰囲気は悪かった。
兄はまだ引きこもりで、父や祖父達はもう諦めてた。


うちが高校入学してから一週間くらいしてから、母から父への手紙を見つけてしまった。
見てはいけないって思ったけど、興味半分で見た。


うちがもっともショックだった事実。

⏰:07/04/27 21:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#145 [林奈]
母の手紙にはこう書かれてた。


うちを今まで一度も可愛いと思った事がない事、その理由がアイツの子どもだからだという事だった。


“アイツって誰?”

うちは父と母の子どもじゃないの?
どういう事なの?


頭が真っ白になった・・・。

⏰:07/04/27 21:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#146 [林奈]
うちはまず祖父に聞いた。
けど知らないの一点張りだった。


帰ってきた父にも問い詰めた。
気まずそうな顔。


一瞬で分かった。
あの手紙が事実だという事が・・・。

⏰:07/04/27 21:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#147 [林奈]
「座りなさい」


いつも以上に真面目な顔の父は、話を切り出した。


兄が生まれてすぐ、母は前の恋人と駆け落ち。そして何年かして戻って来た時に、うちが母のお腹の中にいたらしい。恋人は無職。そんな母を置いて出て行き、仕方ない母は家に戻りうちを産んだ。
そんな母を、祖父達は許すはずがない。けど父は、兄のためにと離婚はしず、母をまた家に入れる事にした。


それから15年。
うちがだんだん母みたいになると同時に、父も知らない恋人と言う男にも似てきた事に、戸惑いを隠せなかったそうだ。

⏰:07/04/28 00:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#148 [林奈]
逃げた恋人を恨み、そしてその人と血を分けたうちの事も憎い母。


だからうちは可愛がってもらえなかったんだ。
この時今まで母や祖父達にされてきた事が全てつながった。


ただただショックだった・・・。


うちは望まれなかったんだね・・。

⏰:07/04/28 00:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#149 [林奈]
うちは父に聞いた。

「ねぇ、じゃあお父さんもうちの事可愛く思わなかったんだよね?」



「そんなことない」


言葉とは逆に、しっかり可愛くないと顔に書いてある。


父のあの表情は今も目に焼き付いてしまってる・・・。

⏰:07/04/28 11:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#150 [林奈]
この複雑な気持ち。うちはどこにぶつけたらいい?
気づいたらノブヒロの携帯番号が書かれてる紙を握りしめてた。



“もう忘れてるよね?一年も経つし”



うちはそう思いながら誰かに聞いてもらいたくて電話した。

⏰:07/04/28 11:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#151 [林奈]
コールが鳴り、手が震えた。


5回目のコール。


「はい。高島です」

「ノブヒロさんの携帯ですか?」


「そうですけど、あなた誰?」


「アユミです。一年前に会った」


一瞬無言になったノブヒロ。


うちは電話を切りたくなった。

⏰:07/04/28 11:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#152 [林奈]
けどノブヒロはすぐに声を変えた。


「久しぶり。元気にしてる?電話ないからもう諦めてたよ」

優しい声。


うちはその声を聞いた途端に涙が出てきた・・・。

⏰:07/04/28 11:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#153 [林奈]
溢れ出す感情。
何から話せばいいのか分からずただ泣くだけ。


ノブヒロはそれでも泣きやむまで待ってくれてたんだ。



少し落ち着いてうちから話す。


「ごめんね。忙しいのにね。切るね」


「ちょっと待って!明日会おう!19時に駅前で」


ノブヒロはうちと会う約束をしてきた。

⏰:07/04/28 11:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#154 [林奈]
学校からすぐ帰り着替え、待ち合わせ場所に行く。
その足取りは軽やかで、一年振りに会うノブヒロにドキドキしてた。


そして駅前で待つスーツ姿の、ノブヒロ。うちは近付くにつれて何て声をかければいいのか迷ってた。

その時うちの姿に気付き寄ってくるノブヒロ。

⏰:07/04/28 13:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#155 [林奈]
「久しぶりだね。アユミちゃん何かちょっと痩せたね?」


「そんな事ないよ。ノブヒロさんは変わらないね」


久しぶりなのに、何か暖かい気持ちになってく・・・。


車に乗りうちは気付いた。


ノブヒロの左手にある指輪。

⏰:07/04/28 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#156 [あやめ]
はじめまして読ませてもらってますこれは本当にあった話ですか

読んでて涙がでます…今は大丈夫なんですか

⏰:07/04/29 00:39 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#157 [林奈]
あやめさんへ
読んでくれてありがとう
これは全部ほんとにあった話だよ!今の事もこれから少しずつ書いてくので待っててください

⏰:07/04/29 01:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#158 [林奈]
「ねぇ、その指輪って・・」


「俺去年結婚したんだ。会社の子でね」

「子どもは?」


「いないよ」


うちは何だかショックだった。
恋とかではなく、ただ何となく寂しい気持ち。
素直にオメデトウが言えなかった。

⏰:07/04/29 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#159 [林奈]
「なんだよ!オメデトウくらい言ってくれてもいいやんか」

笑いながら言うノブヒロに負けて、嫌みっぽくうちはオメデトウを言った。


でもあのオメデトウは、本心だったんだよ?ノブヒロ・・。

ノブヒロは車を海まで走らせた。

⏰:07/04/29 01:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#160 [林奈]
海辺に着き、まだ春だから風は冷たかった。
車の中でノブヒロはうちの話を聞いてくれた。



うちには別の父がいて、両親から愛されていない事・・・。話しながら涙が溢れ出てた。

⏰:07/04/29 01:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#161 [林奈]
どうしようもない寂しさと悔しさ。
色んな気持ちが交差してた。


そんな時ノブヒロがしてくれた事は、頭を撫でる事だけだった。


“何か言ってくれてもいいじゃん”
そう思い、ノブヒロを見た時、ノブヒロから出た言葉・・。

⏰:07/04/29 01:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#162 [林奈]
「アユミちゃんはお父さんもお母さんも大好きなんだね」



意外な言葉だった。思わずうちは返してた。


「大好きなわけないやん!めちゃくちゃ恨んでるよ」



「恨みもあるかもしれない。でも大好きだからこんなに涙が出るんだと思う。寂しいって言う感情は、好きな相手にしか現れないと思うけどな・・」

⏰:07/04/29 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#163 [林奈]
ノブヒロの言葉がうまく飲み込めなかった。
そしてノブヒロはまた言う。


「お子ちゃまにはまだわかんないかな」


“え?”


「ほんとはまだ16とかだろ?」

⏰:07/04/29 01:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#164 [林奈]
「何で?」


「分かるよ。アユミちゃんと別れて考えたらさぁ、やっぱり年偽ってるなって思った」


全部バレてた。

⏰:07/04/29 01:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#165 [林奈]
「ほんとはいくつなの?」


「今高1だよ」


「そっかぁ」


「怒らないの?」


「俺が怒れるわけないやん。俺もやったんだし」


ノブヒロは苦笑いで答えてた。

⏰:07/04/29 03:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#166 [林奈]
いつの間にかたわいもない話で盛り上がってた。
気付いたら親の事なんてどうでもよくなってた。


また車を地元へと走らせた。
車中でノブヒロは真面目にまた聞いててきた。


「あれから援助交際はしてない?」


「してないよ」


「よかった」


ノブヒロが笑った。

⏰:07/04/29 03:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#167 [林奈]
ノブヒロといると安心してる自分がいた。けどそれは、恋愛とかじゃない。
お兄さんのような安心感だった。


帰り際、うちはノブヒロに聞いた。


「また会える?」


「いいけど仕事とかあるし嫁もいるから、アユミちゃんが会いたい時に会えないかもしれないよ?」

「いいよ」


ノブヒロは少し困った顔をしたけど、うちのワガママを聞いてくれたんだ。


ノブヒロはほんとに優しい人だった。

⏰:07/04/29 03:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#168 [林奈]
家の近くまで来ると、頭をなでて笑ってくれたノブヒロ。


うちは思った。


“ノブヒロの家庭を壊したらいけない”って・・・。


家に着いた時はもう日付が変わってた。

⏰:07/04/29 03:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#169 [林奈]
“きっとお父さんも起きてるわけない”

そう思いながら玄関に入り電気を付ける。すると玄関にうずくまりながらウトウトしている父がいたんだ。


“なんで?”


嬉しいのに素直になれずに父の横を通り過ぎた。

⏰:07/04/29 10:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#170 [林奈]
気配に気付いた父が起きた。


「こんな時間まで何してたんだ。でも帰ってきてよかった」

小さく言った、“よかった”の言葉。
ちゃんと聞こえた。

今までどれだけ夜中になっても言われなかった一言。

⏰:07/04/29 17:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#171 [林奈]
“この言葉が欲しかった”


心の中でとっさにつぶやいてたのを今もはっきり覚えてる。

でもだからと言って恨みが消えたわけでもなく、嬉しさと憎しみが半々の中でうちはまた、父にはむかった。

⏰:07/04/29 17:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#172 [我輩は匿名である]
>>1-175

⏰:07/04/29 18:44 📱:SH903iTV 🆔:☆☆☆


#173 [我輩は匿名である]
>>100

⏰:07/04/30 00:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#174 [林奈]
「どこに行こうが関係ないやん。ほんとはどうでもいいくせに」


父は少し寂しい顔して寝室に帰ってた。あの顔は“本当の父の顔”だった。



うちは父の顔を思い出すだけで今も切なくなる・・。

⏰:07/04/30 09:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#175 [林奈]
次の日、うちは何食わぬ顔でサオリとマサに会った。
いつもの自分。
うちは昨日の事は考えないようにしてたのに、うちの変化をマサは気づいてた。

「なんかあった?」

「何もないよ」


マサは不思議な顔をした。

⏰:07/04/30 12:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#176 [林奈]
けどその場のノリで作り笑い。
精一杯の作り方で、あの時マサは何を思ったんだろう。


悲惨な“運命”を聞いてからうちは親から縛られる事をあきらめた。何を言われたっていい。むしろこんな娘なんて追い出してくれ。
そんな気持ちを抱えて生きてくと決めた15歳の春だった。

⏰:07/04/30 12:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#177 [林奈]
うちは学校終わりにバイトをしようと思った。
情報誌で見つけたバイトは、オシャレなカフェ。
うちとかけ離れたようなオシャレさだけど、時給高いしまぁいいやと思った。

⏰:07/04/30 13:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#178 [林奈]
面接に行ったら即採用。
次の日からもうバイトを始めた。
うちに指導してくれると言う怖そうなお姉さんの、“ノリコ”さん。そしてもう一人バイトをしてた“トモミ”。ノリコさんはうちより4つ上の大学生。トモミは2つ上の高3。
接客業なのに最初、二人は無愛想で怖がった。

⏰:07/04/30 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#179 [林奈]
↑↑『怖がった』
じゃなくて『怖かった』です!ごめんなさい。


続き↓↓


怖かろうがうちは仕事を早く覚えて、時給を上げて欲しかった。毎日バイトをして、お金を貯めようと思ったんだ。
そのために、サオリとマサと遊べなくて、でも二人はバイトをしてるうちを応援してくれてた。

⏰:07/04/30 13:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#180 [林奈]
二人は週に何回もカフェに来てくれて、店長も二人を可愛がってた。
見た目はチャラチャラしてそうに見えるけど、二人の素直さに店長は気付いてた。


ノリコさんも次第に優しくなり、うちにとって店は安らぎだった。

⏰:07/04/30 13:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#181 [林奈]
トモミとも仲良くなり、バイト帰りによくご飯を食べに行くようになった。

そしてトモミは急にうちに聞いてきた。

「変な事聞くけど、林奈は援交したことある?」


「ないよ」


「うちはあるよ!簡単にお金稼げるし。今も時々してるんだよね」


以外だった。
真面目そうなのに、以外過ぎて言葉が出なかった。

⏰:07/04/30 13:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#182 [林奈]
「そうなんだ」


それしか言えずにうちは下を向いた。
すると、トモミはうちに言う。


「林奈もやってみない?お金ほしいって言ってたじゃん」


「そうだけどさぁ」

「林奈ならいっぱい稼げるよ」


ノブヒロと約束したはずなのに、揺らいだ自分。


あの時しっかりとした意志を持ってら・・・。
今こんなに情けなく思わずに済んだのに。

⏰:07/04/30 17:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#183 [林奈]
その日にうちは携帯を買った。
トモミはやるなら携帯は必需品と言ってきた。


トモミは仲間ができたと喜んでた。
けどうちは複雑。
もうやらないって決めたはずなのに、お金のために、自分の気持ちは半分決まってた。

⏰:07/04/30 17:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#184 [あやめ]
またまた書いちゃぃましたぁ★

スペースを使ってしまってごめんなさい!それならコメントすんなよって話しですけど…

このことを本にしたらどうでしょうか??多くの人に読んでもらいたいです…ぁたしが言う立場じゃないですけど…

⏰:07/05/01 00:10 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#185 [林奈]
あやめさんコメントありがとうI
本にしたいってまでは思ってませんmでもうちの今までを読んでくれて何か感じてほしいのは事実です。
ただの自己満にしかすぎないけどねI

⏰:07/05/01 07:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#186 [林奈]
トモミがお決まりのテレクラに電話。約束を取り付けたあと、うちも電話した。久々に緊張。
トモミと別々に会い、終わったらメールする事を約束して、待ち合わせ場所に向かった。
着いた時に非通知で相手に電話する。非通知を許可しない相手とは絶対に会わないようにってトモミから言われた。

⏰:07/05/01 07:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#187 [林奈]
番号を悪用されるかもしれない。トモミは頭がいい。


うちは待ち合わせ場所に着いた時、非通知で電話した。
車で来た相手は、普通のオッサン。明らかに妻子あるような人。
けどそんなの関係ない。


オッサンは性欲、うちは金欲を満たしたくて会うだけ。


こんな簡単な事はない。単純にうちは思ってたんだ。

⏰:07/05/01 07:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#188 [林奈]
車に乗り向かうのはラブホしかない。
オッサンは以外にも気さくで色々話してくれて、こっちも和みやすい。
ホテルに着いて、関係を一度だけ持ってあとはお喋り。
それで3マンももらえるなんて、こんな簡単な稼ぎ方はない。

⏰:07/05/01 08:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#189 [林奈]
帰り際、番号を聞かれたけど教えなかった。
一度だけの関係だから。

そのままトモミと会い、相手の事を語り合う。
うちとトモミの親密な関係が、この日から始まった。


『エントモ』


援交友達の略。


うちらはエントモと名前を決めた。

⏰:07/05/01 09:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#190 [林奈]
トモミとのエントモは、サオリにもマサにも、ノブヒロにも秘密。言えるわけがない。


バイトと援交の掛け持ち。これが結構楽しかっんだ。


ほんとに狂ってた。自分を大事にするとか、そんな事考えられなかったんだ。


あの頃は・・・。

⏰:07/05/01 10:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#191 [林奈]
そしてうちは学校をサボりがちになっていった。
予想はしてたけど、まさかこんなに早くこうなるとは思わなかった。


夜遅く帰る生活が慣れ、父達ももう何も言わなくなった。
サオリやマサから電話がしょっちゅうあり、それがほんとにウザかったんだ。

⏰:07/05/01 10:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#192 [あやめ]
そぅですか

つらいと思うケドがんばってくださぃっ応援してます

⏰:07/05/01 21:03 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#193 [林奈]
あやめさんありがとねIまた更新します

⏰:07/05/01 21:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#194 [林奈]
そんな日々が1ヵ月続き、うちはもう高校を辞める決心を着けた。


将来の事なんて何も考えなかった。


“今さえよければいい”


典型的なパターン。

ほんとにほんとに幼い甘い考え方しかできなかった。

⏰:07/05/01 21:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#195 [林奈]
父にうちは高校を辞めることを話した。高い入学金を出してくれたのに、うちはたった1ヶ月で辞めてしまう。
今思えば、ただただ申し訳ない気持ち。

けどあの時のうちは、自分の将来に、“光”があるんだって勘違いしてたんだ。

⏰:07/05/01 21:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#196 [林奈]
うちの衝撃の発言に父は驚きもしなかった。
きっと予想してたんだろう。


「お前は何を言ってるんだ」


少しでいいから叱って欲しかった。


けど何も言わない父に諦めを感じてしまってた。

⏰:07/05/01 22:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#197 [林奈]
うちは父と一緒に退学届を出しに行った。担任は止めたけど、うちは先生に汚い言葉を吐いてしまったんだ。


「引き止めるのはどうせお金のためでしょ?」


困った顔をしてた。図星だ。

所詮世の中、自分を本気で心配する人なんていないから。


虚しい感情を持った15歳だった。

⏰:07/05/01 22:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#198 [林奈]
退学届が受理され、うちはみんなに挨拶もなく学校を後にした。


その日の夕方、サオリに電話。


「サオリごめん。うち学校辞めたから」

「は?まじで言ってんの?」


「まじだよ」


「どんな理由か話聞かせてよ」


「わかった」


うちの家の近くの、思い出の川原。
サオリは一人で来た。

⏰:07/05/02 00:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#199 [林奈]
うちの顔を見るなりサオリは聞く。


「何で学校辞めるん?もったいないよ」

「バイトだけがしたいんだ。お金ほしいから」


「バイトなら学校行きながらでもできるじゃん。もったいないよ」


サオリの目は真剣だった。


「もう決めたから」

「わかったよ」


少し寂しそうなサオリの横顔。

⏰:07/05/02 10:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#200 [林奈]
一瞬後悔した。
けど、もう後戻りはできないから。


「辞めても友達だからね?」


サオリの顔は寂しそうだけど、優しかった。


マサにも伝えるからと言い、サオリと別れた。

⏰:07/05/02 10:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#201 [林奈]
その日の夜、母が家に来た。


「あんた学校辞めたんだって?」


「だからなに?」


「恥ずかしいと思わんの?」


“恥ずかしい?意味分からん”


うちは母の言葉に腹が立って言い放った。

⏰:07/05/02 10:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


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