もう二度と・・・
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#51 [林奈]
拒否した時、警官に言われたこと。
「家族に不満があるならこんな形じゃなくて言葉で伝えなきゃ分からないよ」
確かにそうだと思った。けどこんなちっぽけなうちらの声に親は耳を傾けない。だからうちらは早く“自立”がしたくてしかたなかった。それが“家出”と言う形になっただけ。ただそれだけなんだ。
:07/04/12 19:48 :W43CA :☆☆☆
#52 [林奈]
警官に話しても、分かってくれるわけない。頭ごなしに説教。イライラした。だからうちらは黙ったままになり、派出所に来てから二時間。前田くんが口を開いた。
「家に電話してください」
うちはムカついた。あんなに家が嫌いだって言ったのに、簡単にあきらめる前田くんに対して、一気に冷めた。
:07/04/12 19:55 :W43CA :☆☆☆
#53 [林奈]
そしてうちもあきらめて家の番号を教えた。
警官がまず前田くんのお母さんに電話した。お母さんはすぐに駆けつけると言った。そしてうちの家に電話。父が出た。父と母が来ると言った。
“もしかして少しは心配してるかな?”
今度こそ期待できるかもしれない。。
:07/04/12 20:07 :W43CA :☆☆☆
#54 [林奈]
1時間くらい待った。先に来たのは前田くんのお母さん。
お母さんは前田くんと会話をする前に、ひたすら頭を下げてた。そんな姿が、何か羨ましいと思ったんだ。
:07/04/12 21:12 :W43CA :☆☆☆
#55 [林奈]
お母さんはうちの顔を見て言った。
「あなたがこの子を巻き込んだんでしょう?この子は有名な高校に行かせるんだからもう構わないでよ」
うちはただ謝るしかできなかった。
でも思ったんだ。
こんな風に自分の子をかばう親がいてくれて、前田くんは幸せだよって・・・。
うちには考えられない光景だった。
:07/04/13 10:15 :W43CA :☆☆☆
#56 [林奈]
その後すぐに、父と母が来た。
血相を変えて来た。そして母はうちを抱きしめてきた。
「心配したんだよ」
初めて言われた。
これが『親』の本心なんだよね?
期待してよかった。そう心から思ったのに・・・。
やっぱりうちはいらない子だった。
:07/04/13 10:20 :W43CA :☆☆☆
#57 [林奈]
警官に謝り、前田くんともお母さんとも会話をしずに別れた。車の中。無言が続く。
「ゴメンナサイ」
勇気を出して言った一言。
けど伝わらなかったんだ・・・。
「ほんとはあんたなんてどうでもいいんだけどね。けど捕まって恥かくのは御免だよ」
物凄い悲しさが突き刺さった。
:07/04/13 16:19 :W43CA :☆☆☆
#58 [林奈]
うちは泣くにも泣けずに下を向くしかできなかった。
父も母の言葉に対して怒ることもしない。
ほんとに悲しかった。自分の存在価値なんて、そんなもんなんだと悟った。
:07/04/13 17:44 :W43CA :☆☆☆
#59 [林奈]
家に着き、起きてた祖父にも言われた。
「警察のお世話になんてなりやがって!お前なんかこの家の恥だ」
家族に見放されたうちはどこに気持ちをぶつければいいの?
あの頃のうちは幼すぎて、大切な何かを見失ってた。
そしてもっと大切なモノを、うちは失うことになるんだ。
:07/04/13 18:07 :W43CA :☆☆☆
#60 [林奈]
そのまま年が明け、うちは一人家で冬休みを過ごした。ほんとに外なんて出ずに、亜由美や涼子、そして前田くんとも連絡を取らず過ごした。
家の空気は年を越しても変わらず、その雰囲気を変えられないイライラを、母はうちにぶつける。
それはもう痛くて痛くてたまらない。
ただ我慢するしかできなかった。
:07/04/13 21:08 :W43CA :☆☆☆
#61 [林奈]
―新学期―
何も変わっていないと思ってた。
涼子と亜由美とまた騒げると思ってた。
けど現実は甘くないね・・・。
:07/04/13 21:11 :W43CA :☆☆☆
#62 [林奈]
教室に入り、おはようを言う。
けどクラスの子達はみんなシカト。
・・・ん?
何か変・・・。
:07/04/13 21:13 :W43CA :☆☆☆
#63 [林奈]
うちは亜由美に話しかける。
すると亜由美から思いもよらない事を聞いた。
「あんたさぁ前田くんと家出したらしいね?涼子から奪ったのあんたでしょ?」
全身に鳥肌が立った。返す言葉がない。
「あんたのお母さんがうちのおかんと会った時、言ったんだってよ!前田って子と家出したってね」
何て返事をするべきか一瞬のうちに考えた。
:07/04/15 00:12 :W43CA :☆☆☆
#64 [林奈]
「うちだよ。前田くんと付き合ってたのは」
「は?じゃあうちと前田くんで話した時はもう付き合ってたってこと?」
「うん」
「あんた最低」
当たり前だけど、その時からうちは孤立した。
:07/04/15 23:24 :W43CA :☆☆☆
#65 [林奈]
涼子はショックから学校を休みがちになり、亜由美とクラスの子達からの嫌がらせ。
机やノート、教科書に、『最低』『淫乱女』『死ね』と言う文字を書かれまくった。それだけじゃない。帰り道に川原に呼ばれて、男女合わせて6人くらいから暴行。
そのリーダーは亜由美だった。
:07/04/15 23:29 :W43CA :☆☆☆
#66 [林奈]
家でも外でも殴られ、うちは次第にそれが快感に変わっていったんだ。
普通に考えたら、ありえない事。
けどあの時は、抵抗する資格もない自分は、そう思うことで耐えられたんだ。
“嘘”“裏切り”
自分でまいた種。
完全に自分を見失ってた。
:07/04/15 23:32 :W43CA :☆☆☆
#67 [林奈]
前田くんはうちに言い寄られたからと言い逃げた。
悪者はうちだけ。
頭では分かってる。嫌がらせを受けても仕方ないことをした。友達がいなくなっても仕方ないことをした。
言い訳にしかすぎないけど、あの頃、友達を裏切ってでも、誰かがそばにいてほしかったんだと思う・・・。
:07/04/16 04:05 :W43CA :☆☆☆
#68 [林奈]
そして最悪な日。
うちは頭が悪い。だからテストの補習を受けた。もう夕方。いつもより遅い時間に帰った。
そして校門で待ってたのは亜由美達。
うちは思った。
“こんなくそ寒い中ご苦労さんだね”って・・・。
うちはシカトしようと思った。
:07/04/16 17:20 :W43CA :☆☆☆
#69 [林奈]
亜由美はうちの手を引っ張り、不自然な笑顔を見せた。
「仲直りしたいからさぁちょっと付き合ってよ」
うちは亜由美達に囲まれて付いてった。着いた場所は古い家で、うちはこの薄気味悪さに嫌な予感がした。
:07/04/16 18:48 :W43CA :☆☆☆
#70 [林奈]
誰か読んでくれてますかね
:07/04/17 08:00 :W43CA :☆☆☆
#71 [ちゃァ]
よんでますよ|
頑張ってください
:07/04/17 08:50 :W41CA :☆☆☆
#72 [まい]
うんッッ読んでるで
:07/04/17 09:03 :SH902iS :☆☆☆
#73 [林奈]
ちゃァさん、まいさん読んでくれててありがとう
また更新します!
:07/04/17 09:14 :W43CA :☆☆☆
#74 [みか]
続きが気になる
:07/04/17 09:16 :D902iS :☆☆☆
#75 [林奈]
古い家に入ったけど、めちゃくちゃ寒い。ほんとに古びた状態で、部屋に入り待ってたのは、知らない三人の男。
「亜由美〜さみぃがや!仲直りしたいっていう子は誰?」
「この子」
男達に突き出されたうちを見て、まじまじと見る。
「何するの?」
うちの質問にニヤリと笑う亜由美。
:07/04/17 09:18 :W43CA :☆☆☆
#76 [林奈]
「こいつらの相手してくれたら仲直りしてやってもいいよ」
「意味わからんし」
うちのそんな言葉に聞く耳持たず、亜由美達は、うちと男達を残して帰った。
今から何が起こるのか想像がついた。
:07/04/17 09:20 :W43CA :☆☆☆
#77 [林奈]
みかさんありがとI
:07/04/17 09:21 :W43CA :☆☆☆
#78 [林奈]
“この状況、逃げなきゃヤバいよね?”
うちは心の中で自分に問いかけた。
そして一瞬のすきを見て逃げようと思い、体を玄関に向けた。
その瞬間、うちは男達に腕をつかまれ、床に叩きつけられてしまったんだ。
:07/04/17 09:24 :W43CA :☆☆☆
#79 [林奈]
抵抗しても抵抗しても体を抑えつける。
「おとなしくしろ」
笑いながら言う男達を睨みつけても変わらなかった。
あまりにも怖くて目を閉じた。
その時・・・。
制服を脱がされ、スカートの中に手を入れてくる。
“イヤっ”
叫んでも止めない。
うちは男達の玩具になった。
:07/04/17 17:54 :W43CA :☆☆☆
#80 [林奈]
終わったあと、男達は言う。
「またよろしくな」
吐き気とともに湧き上がる悔しさ。
悔しくて涙が出た。
“死にたい”
ただそう思うしかできなかった。
:07/04/17 17:59 :W43CA :☆☆☆
#81 [林奈]
脱力したままどうやって家に帰ったか分からない。
気付いたら玄関にいた。
うちを見た母は駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
「やられた」
「ふーん。でもあんた初めてじゃないんだからいいんじゃない?」
うちは絶句した。
こんな時にすら優しい言葉をくれない。
うちはほんとに死にたくて死にたくて、また家を出た。
:07/04/17 18:03 :W43CA :☆☆☆
#82 [林奈]
外は冷たい。まるで自分と家族のように思えた。
泣きながら向かった川原。
うちは死ぬことだけを考えて川に入った。冬の水は氷のように冷たくて、それでも入った。
“これで死ねる”
急激な温度変化で意識が遠のいてくのは今も覚えてる。
:07/04/17 18:07 :W43CA :☆☆☆
#83 [林奈]
じっとしてればいつか死ぬだろう。
そう思ってた時、腕を掴まれた。
「何やってんだよ」
暗闇の中見たその人は全然知らない男の人だった。
“コワい”
また襲われるんじゃないか。ふと思ってしまい、叫んだ。
するとその人はそんなことを構わずうちを、川原に引き上げる。
:07/04/17 19:57 :W43CA :☆☆☆
#84 [林奈]
その人はうちに着ていた服を着せて、
「お前何やってんだよ!死にたいんか」
「勝手な事しないでよ!」
「ふざけるな!お前生きてる事を無駄に思うなよ」
その人の言葉が涙を誘う。
うちは子どもみたいに泣いた。寒さか何なのか分からないくらい泣けた。
:07/04/17 20:16 :W43CA :☆☆☆
#85 [みい]
頑張ってください(/_;)
:07/04/17 21:33 :F902iS :☆☆☆
#86 [林奈]
みいさんありがと!頑張るよ!
:07/04/17 21:51 :W43CA :☆☆☆
#87 [林奈]
他人にでもいいから、そんな言葉を言われたかった。
この世の中に、こんなうちに言ってくれる人がいるなんて思わなかった・・・。
その人はうちを支えるように家まで送ってくれた。街灯の明かりでチラチラ見える横顔。うちより少し大人な感じがした。でも寒くて寒くて口が開かない。
名前を聞こうと思っても聞けなくて、情けない声でお礼を言い、その人はすぐ帰った。
うちは家に入りすぐにお風呂に入った。お風呂にいる間、ずっと考えてた。
:07/04/17 22:01 :W43CA :☆☆☆
#88 [林奈]
“何であの人は助けたんだろう?”
“そこまでして何で生きなきゃいけないの?”
答えは見つからなかった・・・。
うちは何のために生まれたんだろう。
そんな事を抱えてまた時間だけが過ぎてった。
:07/04/18 10:32 :W43CA :☆☆☆
#89 [林奈]
うちは次の日学校を休んだ。仮病。
親は何も言わなかった。
その次の日も休み、結局一週間うちはずる休みした。
その一週間の間に分かった事実。
母が借金をしていたという事。
:07/04/18 10:35 :W43CA :☆☆☆
#90 [林奈]
家にしきりにかかる請求の電話。
祖父は母を問い詰めた。
すると母は言った。
「私の借金だよ。私だってストレス溜まるんだよ!働いて返すからいいでしょ」
逆ギレだった。
母はパチンコをしたくて家のお金を使い込んだ。それが借金と言う形でバレ、親戚を集めて家族会議が行われた。
:07/04/18 10:43 :W43CA :☆☆☆
#91 [林奈]
うちも部屋で聞いてた。
母は自分のした事を棚に上げて、父や祖父を責める。
おまけに言い出した捨てゼリフ。
「子どもなんか生まなきゃよかった」
何ともないようでいたけど、やっぱりそんな事を言われると心が痛かったんだ。
締め付けられる心。うちは親達の前で、初めて泣いた・・。
:07/04/18 10:49 :W43CA :☆☆☆
#92 [林奈]
うちや兄は望まれて生まれたんじゃないんだね・・・。
言葉が出てこないくらい大泣きした。
そんな時親戚のおばさんが母に言ってくれた。
「この子達がどんな思いで過ごしていくか考えたことある?生まなきゃよかったなんて口が裂けても言わないで。あんた達親失格だよ!」
おばさんはうちと兄を引き取ると言ってくれた。うちはそれだけで救われた気がしたんだ。
:07/04/18 10:56 :W43CA :☆☆☆
#93 [林奈]
嘘でもいい。嘘でもそんな事を言ってくれる人がいるなら、うちは強くなれるような気がした。
この家で強くなると決めた。
これから起きる困難たちに立ち向かう。
14歳の冬だった。
:07/04/18 10:59 :W43CA :☆☆☆
#94 [林奈]
おばさんはいつでも電話してほしいと言って帰った。
その次の日から、自分の心に大きな爆弾を抱えて学校に通った。
亜由美達からのイジメ。
あんなヒドい事をされて、うちは“復讐”と言う気持ちでいっぱいだった。
:07/04/18 11:03 :W43CA :☆☆☆
#95 [林奈]
そんな気持ちを必死に抑えこんで、春休みに入り、家に閉じこもる毎日。相変わらず家の電話は鳴りっぱなしで、そんな時、怖い人が家を訪ねてきた。
「お母さんいる?」
「いません」
「そうか。君はいくつかな?」
「14です」
「勉強頑張ってね」
笑顔でうちの頭を優しくポンポンと叩いて帰った。
テレビでしか見たことないような怖い人。けど初めだからか知らないけど、優しかった。
間違いなく借金取りだ。
:07/04/18 11:31 :W43CA :☆☆☆
#96 [林奈]
母が帰って来た時、その人の事を話した。優しそうな人だと言うと怒り狂った。
「あんた嫌味?私が大変なのを面白がってるんでしょ?」
「そんな事ない」
何でもかんでも怒る母。
もういい加減何とも思わなくなってた。
:07/04/18 15:10 :W43CA :☆☆☆
#97 [林奈]
叩かれても蹴られても何も思わない。
そんな自分が何だか怖かった。
もう諦めてたのかもしれない・・・。
次の日もまた怖い人は来た。
母はいない事を伝えると、アメをくれた。帰りを待つからと言い、うちに色々話しかけてくる。
ウザい反面、この人は何者なのか興味が湧いてた。
:07/04/19 02:19 :W43CA :☆☆☆
#98 [林奈]
うちと同じ年の姪がいること、勉強は数学が得意だということ。そして“畑中”という名前だってこと。
パンチパーマでグラサン。真っ白なスーツ。いかにもそちらの筋の方。
でも畑中さんはうちに笑顔を絶やさなかったんだ・・・。
“きっとほんとは優しいんだろうな”
そう思いながら、どこか実の父よりも父らしく感じてた。
:07/04/19 05:12 :W43CA :☆☆☆
#99 [林奈]
一時間くらいしてから、チラチラ見えるうちの右腕のアザに気付いた。
「どうしたんだ?」
母にやられたなんて言えずに黙り込んだ。
「学校でイジメられてるのか?誰にやられた?」
「転んだんだよ」
うちの目をジーッと見る。
:07/04/19 05:15 :W43CA :☆☆☆
#100 [林奈]
「オジサンには嘘つけないぞ。そのアザはなんだ?」
「お母さんにやられた」
「一回じゃないな?いつからだ?」
「いつからかも分からない。もう慣れちゃった」
畑中さんは怒りだした。
:07/04/20 13:28 :W43CA :☆☆☆
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