〇ニ番目の四季〇
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#301 [ゆり]
あたしの大好きな手で
どうして他の子に触れたの?
あたしの大好きな声で
どうして他の人の名前を呼ぶの?
あんな隼人の姿
見たくなかった。
「…じゃああたし帰るね」
「ゆり」
服を着てベットを下りようとするあたしを
呼び止める隼人の声。
何か伝えなきゃいけない、
そんな気持ちが伝わってきた。
:06/06/03 11:40 :V703SH :ip8fjOhw
#302 [ゆり]
「俺別れたくない」
「…」
あたしは立ち上がって
バックを手に取った。
もう涙が溢れていた。
隼人に背を向けて言った。
「…好きになってくれてありがと」
ドアノブに手をかけた。
「待って…俺はまだ愛してる」
:06/06/03 11:43 :V703SH :ip8fjOhw
#303 [ゆり]
やっぱり隼人の声は少し震えていた。
愛してる?
そうだね、きっと
あたしから隼人への気持ち。
こんな理解出来ないくらいの想いを
愛って言うんだろうね。
「あたしも…」
少し笑って言った。
これだけしか言えなくて、
あたしはホテルを出た。
:06/06/03 11:44 :V703SH :ip8fjOhw
#304 [ゆり]
許せなくてごめんね。
たいした女じゃないのに
プライドばっかり高くてごめんね。
上手に愛せなくて、
ごめんね。
ホテルから出た道端で
思いっきり泣いた。
息が出来ないくらい、
声を上げて泣いた。
あたしの指に、
もう二人の証は
光っていなかったから。
:06/06/03 15:33 :V703SH :ip8fjOhw
#305 [我輩は匿名である]
:06/06/03 16:56 :N901iS :ukRFxzBU
#306 [我輩は匿名である]
:06/06/03 16:57 :N901iS :ukRFxzBU
#307 [ひLI]
ゆりチャンの気持ちわかる
愛してるッて感情やッたら、些細な事でも自分壊れてしまうモン…
どおでもよかッたら氣になンてしなLIし(・ε・`)
頑張れ…
:06/06/03 18:14 :N901iC :IVv8d/LA
#308 [あやぽん]
:06/06/03 18:53 :SH700i :kqHl5OAQ
#309 [ゆり]
匿名サン☆ひいチャン☆あやぽんチァン☆
読んでくれてありがとぉデスッ(*´`*)続き書きますネ☆
:06/06/03 19:50 :V703SH :ip8fjOhw
#310 [ゆり]
次の日−
重い瞼を開ける。
ベッドから手を伸ばし
バックの中から鏡を取り出し顔を見る。
「うわぁ〜…ブサッ」
腫れた目が
昨日の事は夢じゃないんだって
あたしに思い知らせた。
:06/06/03 19:55 :V703SH :ip8fjOhw
#311 [ゆり]
毎日の日課だから
携帯を開く。
何件もの隼人からの着信。
友達や
岩田くんからの心配のメール。
みんながあたし達の別れを心配するくらい
誰の目から見ても
隼人はやり過ぎてたって事なんだね。
メールを読めば
有り触れた
励ましの言葉。
:06/06/03 19:58 :V703SH :ip8fjOhw
#312 [ゆり]
男なんていっぱいいるよなんて
簡単に言わないで
ゆりチャンは強いからって
お願いだから決め付けないで
雨音が
こんなあたしを責める様に
窓を叩く。
あたしは
隼人だけを求めてた訳じゃないけど
失いたくないのは
隼人だけだったんだよ。
:06/06/03 20:02 :V703SH :ip8fjOhw
#313 [ゆり]
「あーお腹すいたッ!!」
自分を立ち上がらせる様に
大きな独り言を言って
部屋を出た。
外は雨だから
昼間なのに暗い。
相変わらず誰もいない家。
世界に一人になった。
本当
そんな感じ。
:06/06/03 20:09 :V703SH :ip8fjOhw
#314 [ゆり]
「なんもないなぁ…」
冷蔵庫を開けて
呟いて
閉める。
足元に飼ってるにゃんこが
喉を鳴らしながら
擦り寄ってくる。
「お前のご飯はあるからね」
あたしはキャットフードとミルクをお皿に入れた。
:06/06/03 20:13 :V703SH :ip8fjOhw
#315 [ゆり]
しゃがんで
撫でながら
美味しそうに食べる姿をただ眺めてた。
「あたしもさぁ…お前みたいに可愛かったらよかったのにな」
ちょっと笑って
あたしは言った。
昔
高1の時に付き合ってた人に
言われた事があった。
[ゆりって捨て猫みたいだな]
って。
:06/06/03 20:18 :V703SH :ip8fjOhw
#316 [ゆり]
拾って拾ってって
鳴いてばっかいるくせに
いざ抱き上げようとすると
噛み付く
って。
妙に納得したんだ。
甘えるのが
苦手だったから。
「あたしあの頃から
なーんも変わってないね」
あたしはそう言って
リビングを出た。
:06/06/03 20:22 :V703SH :ip8fjOhw
#317 [ゆり]
髪にワックスをつけて
寝癖アレンジして
軽くファンデつけて
でかサングラスつけて
コンビニに向かった。
雨は本降り。
なんか
空が代わりに泣いてくれてるみたいだった。
ご飯買って
家に帰った。
使い慣れた鍵を出して
ドアを開ける。
いつからだろう
「ただいま」って
言わなくなったのは。
:06/06/03 20:30 :V703SH :ip8fjOhw
#318 [ゆり]
あたしはこんな性格だから
不幸自慢みたいなのが嫌いで
自分はこんなに辛いんだよって
言うのが嫌で
平気な顔をする事が
強さだと思ってた。
だけど隼人を見てて思った。
自分の弱さを認めて
全部さらけ出せる
それ以上の強さって
きっとない。
:06/06/03 20:36 :V703SH :ip8fjOhw
#319 [ゆり]
それからのあたしは
隼人にだけ
弱音が吐ける様になった。
過去にあった辛い事も
本当は家に一人で
寂しい事も。
そしたら隼人は
毎日あたしが帰る時間に
「おかえり」のメールをくれた。
毎日。
それだけであたし
めちゃくちゃ救われたんだ。
:06/06/03 20:41 :V703SH :ip8fjOhw
#320 [ゆり]
春も夏も秋も冬も
一緒に過ごした。
隼人との時間は大き過ぎて
埋め方がわかんない。
こんな雨の日も
二人で一つの傘に入って
結局隼人はいっぱい濡れちゃってたよね。
「だから一人づつ傘さそーって言ったじゃーん」
って言うと
「ラブラブっぽいからいーじゃん!」
って隼人は笑った。
本当笑えるくらい
毎日優しかったね。
:06/06/03 20:48 :V703SH :ip8fjOhw
#321 [ゆり]
テレビを付ける気にもならなくて
無音の部屋で
ぼーっとしながら
おにぎりを食べた。
無意識に携帯を気にする自分がいる。
カチカチ…
画面に
隼人の名前を出して
少し眺めて
携帯を閉じた。
:06/06/03 20:53 :V703SH :ip8fjOhw
#322 [ゆり]
ピリリリリ♪
あたしは携帯に飛び付く。
受信メールは迷惑メール。
「はぁ…」
溜め息。
それからもずっと携帯をいじってた。
自分から離したくせに、
来てくれるのを待ってる。
今度こそ出よう。
そう思ってると
夜遅く携帯が鳴った。
:06/06/03 20:55 :V703SH :ip8fjOhw
#323 [ゆり]
着信
隼人
緊張して電話に出る。
「もしもし」
「あ、もしもし」
「何か用ですか?」
「あ、やー何してた?」
「別になんにも…」
「…そっか、えっと明日会えない?」
心臓がドキッとした。
:06/06/03 21:48 :V703SH :ip8fjOhw
#324 [ゆり]
「いいよ、何時にどこ行けばいい?」
平常心を装って
答える。
「じゃあ…昼にいつものとこで。大丈夫?」
「分かった、じゃあね」
ずっと待ってたくせに
素っ気なく終わらせてしまう。
素直じゃないというか可愛くない。
でもこれだけは素直に認めるよ、
あたしはまだ
隼人が好き。
:06/06/03 21:52 :V703SH :ip8fjOhw
#325 [ゆり]
次の日
曇り空の中
いつもの駅に降りた。
春なのに肌寒くて、
あたしは手に持ったバックを肩にかけ直し
ジャケットの前で腕を組んだ。
ホームの階段を上ると
見慣れた後ろ姿があった。
:06/06/03 21:54 :V703SH :ip8fjOhw
#326 [ゆり]
「おまたせ」
後ろから声をかけると
隼人が焦った様に振り返る。
「あ、うん、いきなりごめんね」
「いいよ」
いつも通り歩き出す。
気まずい空気なのに
何故かすごく安心したのを今でも覚えてる。
:06/06/03 21:58 :V703SH :ip8fjOhw
#327 [ゆり]
近くのファミレスに入り
禁煙席に座った。
「吸わないの?」
「煙草吸いながらする話しじゃねーし…」
その言葉で
あたしの心臓はまた早くなった。
メニューを開き
「アイスティー」
と言うと
すかさず隼人が
「ケーキは?」
と聞く。
いつもの会話。
それがなんか嬉しかった。
:06/06/04 09:20 :V703SH :Ecxpdyi.
#328 [ゆり]
「今日はいいや」
「珍しいじゃん」
隼人が少し笑った。
少しホッとした。
アイスティーとコーラがくると沈黙。
あたしは口を開いたけど
正直何言ったか覚えてない。
頭テンパってた。
隼人は
「…謝って済む事じゃないって分かってるけど
ごめん。
あの時、俺にお前引き止める権利なんてなかった。本当ごめんな」
そう言いながら
辛そうな顔をしてた。
:06/06/04 09:23 :V703SH :Ecxpdyi.
#329 [ゆり]
「ごめんはもういいよ…」
謝られるのはあんま好きじゃない
言われる度に自分が可哀相になってくるから。
「…でも俺、本気で好きだよ。お前の事」
「…」
「だから別れたくない」
「…」
あたしは下を向いてた。
正直どうしたらいいのか分からない。
好きだけど…
信じたいけど…
でも…恐い。
:06/06/04 09:26 :V703SH :Ecxpdyi.
#330 [ゆり]
「…これ…」
そういって隼人が
何かをあたしの前に置いた。
視線を上げると
あたしが投げ捨てた
指輪があった。
「…え」
静かに手に取る。
中に記念日が彫られてるシルバーリング。
確かにあたしのだ。
「お前の指輪そんな小さいんだな」
隼人が寂しそうに笑った。
:06/06/04 09:30 :V703SH :Ecxpdyi.
#331 [ゆり]
そして迷いない
いつもの瞳で言ってくれた。
「信じれなくても…俺は好きだから
それだけは分かって。」
その時の隼人の顔を見て
声を聞いて
あたしはもう一度
この人を信じようと決めた。
:06/06/04 09:32 :V703SH :Ecxpdyi.
#332 [ゆり]
理屈じゃない
ただあたしには
隼人が必要なんだ。
信じなきゃいけないって
気持ちじゃなくて
あたし自身が信じたいって
確かに思ったから。
:06/06/04 09:35 :V703SH :Ecxpdyi.
#333 [ゆり]
「つけて」
あたしは手を差し出して言った。
「え?」
「ゆーびーわ!
買った日も隼人がつけてくれたじゃん」
「えっあぁハイ」
隼人は焦って掌から指輪を取り、
震えた指先で薬指に指輪をはめる。
:06/06/04 09:37 :V703SH :Ecxpdyi.
#334 [ゆり]
「何震えてんの?(笑)」
「あ、すいません!」
「敬語だし(笑)」
「うんごめん…ゆり…本当ごめん」
指輪の光ったあたしの手を
両手で包んだ。
温もりは本物だ。
「次はないからね」
泣きそうなのを悟られない様に
強気で言った。
:06/06/04 09:39 :V703SH :Ecxpdyi.
#335 [ゆり]
「次やらかしたら
毛全剃りにするから」
「えッ下も?!」
「当たり前だし。
むしろ下を重点的にツルッツルにするから」
アイスティー飲みながら
真顔で言うあたしに
本気で恐怖感じた顔してた。
それ見て笑った。
「大変な彼女持ったね(笑」
「いえ、最高の彼女です…」
今度は二人で笑った。
また二人で笑い合えた。
:06/06/04 09:45 :V703SH :Ecxpdyi.
#336 [ゆり]
もう自分ばかり守る恋愛はやめるよ。
あたしも本気で
泣いてすがりつける様な
そんな恋がしたいから。
ファミレスを出て
手を繋いだ。
変わらない
あたしの
大好きな手。
二人少し恥ずかしくて
また笑い合ったよね。
愛してくれて
ありがとう。
:06/06/04 09:49 :V703SH :Ecxpdyi.
#337 [ゆり]
そして数日後
学校が始まった。
二人で登校すると
友達も一年も
驚いた顔してた。
「別れないっつーの」
隼人は小声でそう言って
あたしの肩を抱いて校舎に入った。
一年の女の子を見ると
まだ胸が痛んだ。
:06/06/04 09:53 :V703SH :Ecxpdyi.
#338 [ゆり]
その日から
1、2年合同の
男女別れた授業が中心になる。
クラス表を見て
「キッツ〜…」
あたしと隼人は苦笑い。
お昼一緒に食べる約束をして別れた。
教室に入ると
ありえない光景。
1年生の子が
いじめられてた。
漫画の世界みたいに
消しカス投げられたり。
:06/06/04 09:59 :V703SH :Ecxpdyi.
#339 [ゆり]
あたしは指定された1番後ろの席についた。
2年に知り合いの友達はいなかった。
皆静かで読書してるタイプ。
ハッキリ言って
浮いてるのが自分でも分かった。
「まぁいっか」
あたしは椅子にもたれて
とりあえず髪に逆毛立てて
髪だけでもテンション上げさせた。
:06/06/04 10:04 :V703SH :Ecxpdyi.
#340 [ゆり]
いじめられてるのは
本当普通の子。
ハデな訳でも
地味な訳でもない。
いじめてる子達は
新歓では関わりなかった
これまた普通の子達。
リーダーだけはギャルだった。
面倒臭そうなクラスだな…
そう思ったと同時に
先生が入ってきた。
:06/06/04 10:08 :V703SH :Ecxpdyi.
#341 [ゆり]
「オラッ!てめぇら席着け!!」
うわァ〜…
ゴリラ先生だよ。
あたしはまた面倒臭そうなキャラの登場で
溜め息が出た。
「今日から授業始めるから気合い入れろよ!!」
声でかいよ〜
頭ガンガンするよ〜
:06/06/04 10:12 :V703SH :Ecxpdyi.
#342 [ゆり]
みんな大人しい。
あたしの前の前の席にいじめられてる子が座ってた。
黒髪に消しカスいっぱいつけて
下を向いてた。
(可哀相だな…)
そう思っても
あたしは所詮
大衆の中の一人。
知り合いじゃない子を助けて
面倒な事になるのが嫌。
冷めてた。
:06/06/04 10:16 :V703SH :Ecxpdyi.
#343 [ゆり]
授業は無事に終了して
先生が出てった瞬間、
1番前の席のリーダーギャルが立ち上り後ろに歩いてくる。
「あーうぜー!まじうぜーし!」
そしていじめられ子チャンの机をガンッと蹴った。
「お前もうぜぇんだよ!消えろよ!!」
あたしは
怖ぇ〜ッと思いながらバックを持って教室を出た。
:06/06/04 10:21 :V703SH :Ecxpdyi.
#344 [ゆり]
食堂で隼人や友達と合流。
見慣れた顔に安心する。
なんかクラス変えでビビッてた高校の時みたいだ。
隼人と席について
あたしはAランチを食べながら話始めた。
「うちのクラスいじめあんの」
「は?まじで?」
「すごいよ!本当ドラマの中みたい」
「ゆりが一発言えば終わるんじゃね?笑」
:06/06/04 10:25 :V703SH :Ecxpdyi.
#345 [ゆり]
「なにそれ、どーゆー意味?」
「お前が1番怖いって意味(笑」
「あ?」
「ほら怖い(笑」
「そんな事ないし。
ねぇ隼人〜♪ゆりグリンピース嫌いなの〜食べて♪」
「出た。」
「ね?可愛いやら?」
「可愛いっす!」
こんな会話してたらいじめの話もどっかいっちゃってた。
:06/06/04 10:30 :V703SH :Ecxpdyi.
#346 [ゆり]
チャイムが鳴り教室に戻る。
相変わらずいじめられ子チャンの周りはぐちゃぐちゃ。
あたしが席に着くと同時にゴリラ登場。
やっぱりうるさい。
お腹いっぱいでいい気分が台なしだよ。
:06/06/04 10:34 :V703SH :Ecxpdyi.
#347 [ゆり]
しかも
いじめは見てみぬフリ。
これもよくあるパターンだ。
あたしは苛々を押さえながら
うるさい授業を真面目に受けて
その日を終えた。
それから数日もずっと
いじめは続くし
ゴリラはうるさかった。
あたしの苛々も限界。
:06/06/04 10:37 :V703SH :Ecxpdyi.
#348 [ゆり]
いつの間にか貧乏ゆすりとかしちゃってる。
やばいです。
でもこのクラス授業もあと3日だし、
堪えよう。
そう思ってた矢先
ゴリラがあたしを切れさせた。
あれは梅雨のじめじめした日で
余計苛々してたってのもあった。
:06/06/04 10:40 :V703SH :Ecxpdyi.
#349 [ゆり]
「この問題解いてみろ!!」
今日はやたら機嫌が悪いらしく
ゴリラは遠吠えのごとく吠えていた。
あたしの列の1番前
ギャル子ちゃんが当てられる。
「わかりません」
そう言うと
高速で教科書を丸めて
机をバーンッッ!!!!
「んなもんもわからんのか!!」
でた。こうゆうの嫌い。
その後ろも順に当てられ叩かれてく。
苛々ピーク。
:06/06/04 10:45 :V703SH :Ecxpdyi.
#350 [かな]
:06/06/04 10:53 :P901iS :AtWozpH2
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