俺がホストじゃなかったら
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#315 [ゆう]
鍵を開けて中へ入ると、微かにレナの匂いがした

シャネルの香水の匂い

久しぶりのその匂いに俺は胸が締め付けられた

まだ、嫌いになれていない

まだ俺はレナを愛したままだった

⏰:07/08/20 23:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#316 [ゆう]
部屋にレナはいなかった

だけど荷物がまとめられている様子もなく、レナはまだここにいることが分かった

待っていれば帰って来るかもしれない

そう思った俺は店に、同伴で遅れると電話を入れた

⏰:07/08/20 23:47 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#317 [ゆう]
ソファに座ってテレビをつけて待っているといつの間にか寝てしまった

ここ最近ろくに寝れなかったから、起きたら3時間ぐらいは経っていた


目を覚まして振り返るとレナがテーブルに肘をついてこっちを見て座っていた

⏰:07/08/20 23:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#318 [ゆう]
「あぁ‥ひさしぶり」

俺は寝起きの声でレナに言った

「え、てゆーか、なんでいきなりナオキがいんの?しかも何で寝てんの?」

「だってここ俺の家でもあるし。まだレナいるかなと思って見に来た」

「いたら何なの?」

「ちゃんと話し、まだしてないから」

⏰:07/08/21 00:04 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#319 [ゆう]
「レナは、どうしたいの?」

少しの沈黙後、俺が口を開いた

「それどういう意味で?」

「なんで堕ろしたん?別れたかった?」

俺の言葉にレナは黙った

⏰:07/08/21 00:07 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#320 [ゆう]
「‥うん」

随分黙った後レナがそう言った

「ナオキのこと好きじゃなかったし、子供とか面倒じゃん。だから早く別れてよ」


「‥‥‥わかった」

俺はそれしか言葉が出なかった

現実はそう簡単に俺の頭に馴染もうとしない

⏰:07/08/21 23:12 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#321 [ゆう]
「じゃあ、そういうことだから。ここはちゃんと近いうち出てくから」

レナは淡々と言うとそのまま家を出て行った

取り残された俺はソファに深く座ってただ呆然としていた


携帯を取り出して見ると、客から何件か着信やメールが入っていた

俺はその中から適当に客を選んで電話をかけた

⏰:07/08/22 23:37 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#322 [ゆう]
「あ、もしもし?今どこ?あのさ、今から同伴してくれない?いつものお礼で、今日は俺のおごり」

その客はすんなりオッケーしてくれた

どんな状況でも仕事は行かなきゃいけない

どんな状況でも仕事中は笑ってなきゃいけない

何で俺っていつでもこんなに仕事優先なんだろう

⏰:07/08/22 23:42 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#323 [ゆう]
店が終わった後また俺はタツミさんの家に帰った

心配してくれてたタツミさんに、レナとの会話を話すと

「ナオキ、お前とんでもない女に引っかかったなぁ」

と笑ってくれた

悲しい反面、ずっと騙され続けたのかと思うと情けなくて、俺まで笑えてきた

⏰:07/08/23 12:55 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#324 [ゆう]
一週間くらい経ったある日

夕方に目を覚まして携帯を見ると、客の他に『レナ』の文字が受信ボックスにあった

俺は急いでメールを開いた

『部屋でてったから』

内容はそれだけだった

受信時間はとっくの前なのに、俺はタツミさんの家を寝起きのまま飛び出した

⏰:07/08/23 18:09 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


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