俺がホストじゃなかったら
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#286 [ゆう]
ここに来るのは何年かぶりだった
インターフォンを鳴らすとタツミさんが走って来てドアを開けてくれた
「ナオキ?どうしたん?」
タツミさんは俺を本名で呼んだ
なんか懐かしくて癒された
:07/08/14 16:14 :D902iS :☆☆☆
#287 [ゆう]
「まぁ飲めよ」
俺をリビングのソファーに座らせたタツミさんがオレンジジュースを出してくれた
「いただきます‥うわっ」
オレンジジュースじゃなかった
「酒入ってる、最悪っすね」
俺は笑いながら言った
:07/08/17 02:51 :D902iS :☆☆☆
#288 [ゆう]
「バカか!この俺がソフトドリンクなんか出すと思うな!俺お手製のスクリュードライバーだよ」
タツミさんは自信満々にそう言った
「あはは、タツミさん、スクリュードライバーはウォッカっすよ。これ多分、ジン入ってます」
俺は笑った
昔からタツミさんはどこか抜けてる
それが素直に面白かった
:07/08/17 02:57 :D902iS :☆☆☆
#289 [ゆう]
「‥なんだ、ナオキちゃんと笑えるじゃん」
タツミさんは安心したように言った
「何があったか、言いなさい」
タツミさんが優しく俺に視線を向けた
タツミさんはやっぱり、俺の父親的存在だなぁ
この時改めて思った
:07/08/17 02:59 :D902iS :☆☆☆
#290 [ゆう]
「俺、ずっと前から好きな女がいるんです。多分、俺が19歳の時から」
俺は静かに話し始めた
ひとつひとつ、大切に思い出しながら
「俺が好きになった女は、ホストにハマってキャバで働くようになった子でした。セイヤってわかりますか?○○の代表の。担当はそいつでした」
「あぁ‥わかるよ」
タツミさんはたまに相槌をうった
:07/08/17 10:39 :D902iS :☆☆☆
#291 [ゆう]
「その時ぐらいに俺、自分の客が店に来るためにソープで働いてるって知ったんです。ハタチのバースデーの時でした」
俺はエリコさんを思い出した
「他に俺の客で風俗の子とかキャバの子って沢山いるけど、その人は違いました。その人、俺と出会った時は普通のOLさんでした。俺のせいで、ソープで働くようになって、俺の太客になりました。俺がその人を変えてしまいました」
:07/08/17 10:50 :D902iS :☆☆☆
#292 [ゆう]
タツミさんは何も言わないでずっと俺を見ていた
「それで俺、すげー落ち込んで。俺がホストじゃなかったらこの人の人生は狂わなかったんだって、そう思いました」
「そんな時、ずっと俺を支えてくれてたのは、レナでした。それからちょっとして、成り行きでレナは俺の家に住むことになって、ちょっとの間二人で暮らしてました」
俺は、溶けていくグラスの氷をずっと見ていた
:07/08/17 11:59 :D902iS :☆☆☆
#293 [ゆう]
「でも二人暮らしはすぐ終わりました。レナの電話を聞いちゃって。俺は都合良く使ってるだけだって、寝床にしてるだけだって、そう言ってました」
タツミさんの表情が曇った
「で、部屋出てってもらいました。しばらくの間めっちゃ落ち込んだし女癖も前よりもっと悪くなって。だから、刺されたこともありました」
俺は笑って言った
タツミさんは苦笑いだった
:07/08/17 13:32 :D902iS :☆☆☆
#294 [ゆう]
「だけどしばらくしてレナが店に来ました。謝りに。あの電話は誤解だって言ってました」
「本当に誤解なのか?」
タツミさんの問いに俺は
「わかりません。でもその時の俺は、好きな女は信じるしかねーだろと思って、許して、また一緒に住み始めました」
そう言った
:07/08/17 13:35 :D902iS :☆☆☆
#295 [ゆう]
「それからまた成り行きで、付き合うことになりました。その時レナはキャバ辞めてて、昼間働いてました。だけど付き合って少し経って、またキャバ嬢に戻りました。でも本当は、セクキャバでした」
「お前の店に通うために?」
タツミさんは静かに俺に聞いた
:07/08/17 13:41 :D902iS :☆☆☆
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