俺が一番と思った女2
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#200 [しゅん]
みんなはどうかわからんけど、俺はしたら自分が辛くなるっちわかっとることをわざとしてしまう。
こんな歌聴いたら、自分を追い込むっちわかっとって聴いてしまうん。
極限まで自分を追いこまな気が済まんたちたんやろーね。

倍疲れて寮に戻ると、みんなが俺の部屋に集まっていた。

⏰:08/04/28 17:01 📱:PC 🆔:w9G5zJnw


#201 [しゅん]
野球部のみんなには、特別に未来と別れた話をしたわけやねぇけど全員知っていた。
ただ俺に気を使って、あえて話してこんやっただけ。
そんな気ぃ使わせて、悪いんやけどな・・・

⏰:08/05/01 13:52 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#202 [しゅん]
俺が部屋に入ると、何となく雰囲気が微妙になって「ん?」っち思った。
みんな慌てたっぽい感じで、何かを隠している様子。

「お前ら、何隠しとん?」

そう聞いても、みんなは冗談っぽく俺をなだめた。
そんなんで、なだめられん俺。

「俺の部屋におってその態度はねぇんやね?さっさ言えちゃ!ボケ」

⏰:08/05/01 13:53 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#203 [しゅん]
そう言うと一人の野球部が口を割った。
野球部の中で一番ふざけキャラの良太っちゅーやつ。

《見つけた俺らがわりーけど、お前は見らんほうがいいもんが出てきた。言っとくけど、まじで見らん方がいいぞ》

そんなん言われたって、そう言われた以上、見る気になるし。

「何それ?いいけん見せろや」

そう言うと、そいつが嵐の机の引出しから一冊のアルバムを出してきた。

⏰:08/05/01 13:53 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#204 [しゅん]
出してきた瞬間俺は固まった。

赤のアルバムで、表紙には<想い出>っち書かれた未来の文字があった。
俺は見たこともない。
何で嵐の引出しの中に入っているのかさえわからなかった。

でも、なぜかドキドキした感じもなく普通の俺。
自分でもビックリした。
今考えると、絶対焦る状況やと思うし、動揺せんわけがない。
でも、そん時の俺はやけに冷静だった。

⏰:08/05/01 13:54 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#205 [しゅん]
静かに開けると、1ページ目に俺と未来の二人の写真が貼ってあった。
その写真は見たことがない。
二人とも思いっきり笑っていて、幸せそうだった。
そこに写っているのは俺自身なのに、他人のように微笑ましく感じた。

⏰:08/05/01 13:57 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#206 [しゅん]
ゆっくり次のページにいくと

【2年記念】と言う文字が書かれていた。
俺ら二人の写真とか、プリクラとかそんなんがいっぱい貼られとって
未来のイラストとかコメントも書かれている。
売り物みたいにめっちゃうめーし、未来のセンスの良さが全面に表れていた。
そして、ページを進むと俺と嵐の写真が出てきた。
ユニフォーム姿の俺ら。
そーいえば、前に硬球が出来たときに二人で撮った写真。
このためにあいつは撮ったんかなと思った。
その写真の下には、嵐からの手紙があった。
でも、読めなかった。
ちゅーか読む自信がなかった。

⏰:08/05/01 13:58 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#207 [しゅん]
その次のページには野球部のタメの奴らの写真が切り抜きで貼ってあって
それに一言コメントが書かれていた。
みんないつ頼んだのか、俺に内緒でこんなのを作っていたのかとビックリした。

⏰:08/05/01 13:59 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#208 [しゅん]
そして、最後に未来からの手紙。

それも、俺は読めなかった。

ふと我に返り、目の前のみんなを見ると下を向いてうつむいている。
俺の目からは、自然と涙が落ちていた。

「やっぱ見らんがよかったな〜」
苦笑いをしながらそう言っても、みんなからの反応はなかった。

良太が
《何つよがっとるんか?アホやなお前。こんなん見らんがいいにきまっとるやん。無理矢理、冗談にするなや。》

その言葉に、また一気に涙が出そうになったが必死にこらえた。

⏰:08/05/01 14:00 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#209 [しゅん]
「これ、誰が持っとったん?」

《嵐。たまたま嵐の机を開けたらこれが出てきたん。》

「そーなん。んで、お前らが見よるときに俺が入ってきたっち話?」

《おう。ごめんな。俺が見ようやっち言ったんちゃ。それでこうなってしまった。ほんとごめん》

「お前らは悪くねぇー。タイミング悪いけどな」

そんな会話をしていたが、こんな状況がそこにおった周りのみんなに悪いっち思ったし
部屋の中の雰囲気も悪りーで息がつまりそうやった。

⏰:08/05/01 14:00 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#210 [しゅん]
「俺、気にしてねぇけん!未来のことで気ぃ使わせたりで、まじみんなには迷惑かけとるな。ごめんな」

そう言うと、みんなそろってこう言ってくれた。

{お前には俺らがおるけさ!!}

こんなありきたりな言葉なんに涙が出た。
みんなが俺を支えてくれて今の俺がいる。
そう思えた。
こいつらはほんとに俺に力をくれた。

涙を拭いて
「おっしゃー!!!明日から、また野球頑張るわ〜頑張ろうな!!」
そう言うと

みんな
{おっしゃ〜〜〜〜〜!!!!}
とか言って、団結した。

俺を支えてくれるみんながいてほんとに心強かった。

⏰:08/05/01 14:01 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#211 [しゅん]
嵐が帰って来て、良太が謝っていた。

勝手に引出しを開けたこと。
嵐の物を勝手に見たこと。
そして、アルバムが出てきたこと。

そんな良太に嵐は予想以上の態度をとった。

良太の胸倉を掴みながら、部屋の外に出る。
慌てたみんなの静止を振り切って、嵐は良太の顔をぶん殴った。

俺もみんなも嵐を必死に止める。
良太は何も抵抗せず、そのまま立っていた。


《お前、まじ何考えとるんか?何で開けた?何でこれ見たんか?まじいい加減しとけよ》

怒鳴る嵐にみんなが驚いていた。

⏰:08/05/01 14:01 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#212 [しゅん]
もともと嵐は感情を表で出すタイプやねぇし。
俺でさえ、あんまり怒鳴ったりした嵐を見た記憶がねぇ。
よっぽど機嫌が悪かったか、嵐を動かす何かがあったとしか考えられなかった。
机を開けたぐらいでキレるこまけぇ奴なんか、野球部にはおらんやったしね。

みんなが、冷静になれ!っちなだめてちょっとは落ち着きを戻した嵐。
そんな嵐が言った次の言葉はこれだった。

《ちょっと来い!》

そんな嵐を見て、やっぱいつもの嵐やねぇと俺が思い止めに入った。

「お前、何にそんなんキレとるんかちゃ!ひつけぇぞ。
良太も反省してこうやってお前に謝りよんのに、一方的に責めてどーするんかちゃ!」

《うるせぇちゃ!お前に関係ねかろ?ちょっと良太に話があるだけちゃ!二人にさせろ!》

⏰:08/05/01 14:03 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#213 [しゅん]
目が真剣な嵐を見て、俺は嵐の前を開けた。
あんな目を見たのは初めてやったかもしれん。
そんぐらい、俺を動かした目やった。

みんなは、俺に何で止めんのかちゃとかゴチャゴチャ言いよったけど…
そのまま、良太と嵐は談話室に入った。

良太も抵抗するわけでもなく、嵐についていった。

⏰:08/05/01 14:03 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#214 [しゅん]
この中で何があったかはわからない。
でも、多分嵐は俺の気持ちを考えて良太に話をしたんと思う。

アルバムを見た俺。
その俺の気持ちを一番に考えてな。

未来を引きずっている俺にとって、あんなアルバムを見せられたら益々忘れられなくなる。
せっかく、野球も上手くいって友達とも毎日すげぇ楽しいで満たされている。
そんな俺にまた最初からやり直すようなことをした良太が許せんかったんやねぇかな…

良太もわかっていたと思う。
自分がしてしまったことを。
やから抵抗せんやったんやねぇやか。

⏰:08/05/01 14:03 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#215 [しゅん]
帰ってきた嵐は、次に俺を呼び出し外に連れて行った。
そこで、あいつは涙を流した。

《ごめんな。ほんとごめん》
そう謝る嵐に、訳が分からん俺。

「ん?ちょっと待てちゃ!何が?」

《未来からのアルバム見たやろ?》

「あぁー見てしまったわ!良太達が見つけたみたいでからさ」

⏰:08/05/01 14:04 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#216 [しゅん]
《俺、あのアルバムに手紙書いてっち未来に言われてさ。書き終わって未来に渡すだけにしとったんやけど、未来に渡す前にお前ら別れたんちゃ…。それでどうしたらいいかわからんでそんまま俺が持ってたん。ごめんな》

「そうやったんやな。別にお前が謝ることやねぇよ!ましてや泣くな!仕方ねぇ!!良太も悪くねぇし。
俺が、未来のことこうやって引きずっとるが一番よくねぇけね。みんな気ぃつかっとるんわかるし…
俺が一番みんなに迷惑かけとるけん!ごめんな嵐。」

《いや、お前は悪くねぇやろ!未来のこと引きずるんは、気持ちの問題やし。そう簡単になかったことになんかできるわけねぇやん。みんなもそれはわかっとると思うぞ?
それに、その気持ちに拍車をかけたんは俺やし、俺がどうにかしとけばこうはならんやったし…ごめん》

「お前に謝られた方がつれーんやけど?そんな自分責めんなや!俺は大丈夫やって!!」

⏰:08/05/01 14:04 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#217 [しゅん]
《中身見た?》

「ん〜ちらっとな!でも、お前からの手紙?も未来からの手紙も読めんかった。」

《よなー。当たりめぇよな。読みたい気持ちは?》

「そりゃーでたん読みてぇよ!でも、読む自信がねぇ。今読んだら俺、誰の言葉も耳に入らんくなると思う」

そう言うと、嵐は黙った。

⏰:08/05/01 14:13 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#218 [しゅん]
「でもさ、未来こんなん俺に内緒で作りよったんやなー。野球部の奴らにまでほぼ強制やろ?」

《強制っちゅーか、あいつらもノリノリでしよったけね。それがあいつの影響力の大きさやね?
あいつらしいやん?これ、作ったっちゅーより売り物みてぇやし。
未来らしいプレゼントやね?あいつやから、出来ることと思うばい》

「やなー。こんなんあいつ好きやもんね!作りよる時の姿が想像できるわ。」

⏰:08/05/01 14:13 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#219 [しゅん]
そんな会話をしながらも、未来に対する思いが冷めてないことを再確認していた。

こんなアルバムを2年記念日の為に作っていた未来の気持ちを考えると
あの時、自分がしてしまった未来への行動が更に腹立つ。
後悔や苛立ちというより、涙が先に溢れそうになった。

⏰:08/05/01 14:13 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#220 [しゅん]
一つ一つ、これを作っている間、俺は友達と遊び呆けて未来の相手すらしてやってなかった。
どんな気持ちで作りよったんやろ?

これを渡す時を楽しみに作りよったんか?
いや、泣きながら作りよったんか?
それとも、もう別れると決めて作りよったんか?

どんな気持ちだったのかはわからない。

でも…
本とのところはわからんけど
未来は俺との仲が前と戻れるように願いながら作っていた。
俺はそう思う。

そんな気持ちをぶっ潰した俺には、中身を見る資格なんかあるわけが無かった。

⏰:08/05/01 14:14 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#221 [しゅん]
《いつかさ、お前の中で未来が思い出に出来たら、過去に出来たら、これ見てもいいんやね?
今、充分に反省はしとると思うし、未来の気持ちも察しれとると思うんよな?
やから、俺はこの中身を見て、自分を最後まで追い詰めろとは言わん。
未来がどういう気持ちで作ったんかも、お前ならわかっとるやろーけね。
でも、俺はこれをいつかはお前に見せないけんなっち思いよった。
今のタイミングは早すぎたけどな…
お前がそうなるまで、俺は持っとくな!いつになるかわからんけど、そうなった時は中身見てみろ。》

嵐の言葉に納得し、俺は笑顔で嵐に返事をした。

⏰:08/05/01 14:14 📱:PC 🆔:THJMWUEs


#222 [しゅん]
ここでは、成人式のことに触れてないけど…
っちゅーか、書くの忘れとったんやけど…

成人式で、未来に会うかもしれないという期待もあったが、結局会わなかった。
まぁ、北九州市内の二十歳軍団が広いスペワに集まるんやけ、そんな簡単には会えるもんやねぇけど。
わかっとっても、どっかで期待はしていた。
同じ時に同じ場におるんに、会えんやったことというか…姿を見かけることも出来なかったのは何となく寂しかった。


そんな成人式の記憶も遠くに追いやった頃。

↑うまいことまとめたやろ?笑

⏰:08/05/10 16:45 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#223 [しゅん]
足の怪我も順調に回復し、また元の練習に戻れるようになった。
やっぱ今まで出来なかったことが多かっただけに、普通の練習に戻るだけでもきつかった。

未来と別れてから半年近くが経とうとしていた。

未来が何をしているかもわからない。
嵐は知っていたかもしれないが、俺には言わなかった。

ゆーちんは地元の歯医者に就職したっちゅーのを嵐から聞いていた。
あの時会って以来、ゆーちんとは会っていない。

未来は就職したのか、それとも何かやりたいことを見つけてそれに向かって歩いているのか
そんなことを考えることも多かった。

⏰:08/05/10 16:45 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#224 [しゅん]
大学3年にもなれば、就職のこともちょくちょくは考えんな行けんし、野球も後悔なくやりきりてぇし。
監督やコーチからは、プロという道を目標に頑張らんか?と言われていた。
同じく嵐も。
もちろん、小学校から野球を続けてきた俺にとって「プロ」という道は憧れだった。
小学校の時の夢はプロ野球選手。
ただ漠然と、そう思っていた。
でも、今は違う。
今、チャンスが俺の目の前に立ち止まっている。
挑戦してみたい。
その気持ちがなかったと言えば嘘になるかもしれない。
でも、俺の中にはプロの道に進むという選択肢はなかった。

⏰:08/05/10 16:46 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#225 [しゅん]
運よくプロの道に進めたとしても、その中で光を浴びるのはほんの一握りの人間や。
その中でも常に一流と呼ばれる人間になるのは、そのまた一握り。
俺は、高校野球、大学野球で死ぬほど脱落していく人間を見てきた。
でも、プロはそんなレベルなんかやない。
同じチームも個人となれば敵同士なんや。
その中で自分の位置を維持するのは、並大抵なことなんかやない。
今まで、学校内や部内で明らかに抜け出した選手でも、プロの世界に行けば目立たない。
あの先輩が?そう思ったことが何回あったことか。
結局は、結果が物を言うんや。

シビアな世界。

それを俺は痛いほどわかっていた。
もちろん、運よく進む人間もおるけどね。
運も持って生まれた才能やから。

⏰:08/05/10 16:46 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#226 [しゅん]
腕(野球センス)

努力(練習)

結果

実力

自信

指導者




これだけやねぇけど、これを兼ね備えた奴だけが浴びれる光。
どれが一番とか言えんけど。

努力しても結果がついてこんければ、意味ねぇし。
努力が足りず、腕に頼りっぱなしもダメや。
自分にあった指導者に出会えて芽が出る奴もおれば、いい選手なんに指導者のせいで潰される奴もおる。
練習は自信に繋がるし、それが結果として残る。運だって立派な武器になる。
まだまだ、怪我をしにくい体とか肩が強いとか足が速いとか色々あるんやけどね。

⏰:08/05/10 16:47 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#227 [しゅん]
某球団の監督が言いよった言葉なんやけど…

【バッティングや守備は練習すれば誰でも上手くなれる。
でも、足が速いとか肩が強いとかそんなんは持って生まれた天性なんや。
やから、俺はそういう奴を見つけて来いとスカウト人に言う。】

確かに。
天性っちあるもんな。
そいつが持った才能。

⏰:08/05/10 16:47 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#228 [しゅん]
監督が言ってくれるように、俺には才能はあるかもしれない。
自分でも少なからず野球センスはあると思う。
自信もあった。

でも、それよりも不安が大きかった。

⏰:08/05/10 16:47 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#229 [しゅん]
親父が死んでから、ずっと一人で育ててくれたお袋。
女で一つで育てるんは、並大抵やない苦労というのを俺自信が痛いほどわかっていた。
なんに、大学まで出してくれて野球をやらせてくれて。
他のスポーツにしてもそうやけど、野球っちまじ金かかるんよな。
想像以上に。
これだけ恵まれた環境で野球が出来たのも、全部お袋のお陰だった。

⏰:08/05/10 16:48 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#230 [しゅん]
そんなお袋に「プロに挑戦しようと思う。」
そう伝えれば、確実に応援してくれると思う。

しゅんが一番やりたことを精一杯頑張りなさい。

そう言うに決まっている。
でも、俺にはその先は見えなかった。

⏰:08/05/10 16:48 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#231 [しゅん]
プロで活躍する姿。
それが一番お袋にとって嬉しいことかもしれない。
自慢な息子なのかもしれない。
親孝行が出来るかもしれない。

けど、もしそうやなかった時。
そうならなかった時。
絶対、お袋は涙を流す。
その姿を想像すると、俺は考えられなかった。

⏰:08/05/10 16:48 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#232 [しゅん]
正直に言うと、プロの世界は大学に入ったときから興味があって、兄貴に相談したりしてたんな。
はじめの方に書いたけど、兄貴は結構有名でからさ。
野球も、俺よりもはるかにうめぇし。
俺にとって一番の憧れでもあり、目標でもある。
そんな兄貴でさえ、プロの道には進まなかった。

⏰:08/05/10 16:51 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#233 [しゅん]
まぁ、もともと兄貴はプロの世界に興味がなかったのもあるんやけどね。
あんな、果てしない金額が行き来するところで野球をしたくねぇんやって…
これは兄貴の意見やけん、プロ野球選手がどーのこーのっち訳やねぇけ!!

⏰:08/05/10 16:51 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#234 [しゅん]
兄貴にこのことを相談すると
【お前が100%したいと思うなら、挑戦してみ?1%でも、自信がねぇならするな!
たった1%でも、あそこに行けばそれが何百倍にもなってお前に跳ね返ってくる。
プロに進んでねぇ俺が言っても、真実味なんかねぇかもやけど…
まぁそんなん誰が言ったって、結局は本人のやる気やけな。お前のやる気や!】


こう言われた。
結局どーしたと思う?俺。

⏰:08/05/10 16:52 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#235 [しゅん]
俺は…
プロの道には進まなかった。
まぁ。実際目指したけっち言って、進めとったかっちゅーのはわからんのけどね…
高校のときに漠然と思った夢。
その夢の方が俺を動かした。


高校の教師になって、野球を教えたい。


俺にはそっちの方が似合ってる。


未来もそう言っているような気がした。

⏰:08/05/10 16:53 📱:PC 🆔:cNeQONG.


#236 [しゅん]
嵐。
あいつもプロの道には進まなかった。
あいつは、ケガしやすい体でからね…。
しょっちゅうケガに悩まされとったし、まぁそんなんじゃプロでは通用せんわ。
自分自身が一番わかっとったことやろーけどね。
嵐は、社会人野球をしたがっていて、大手の企業に入ることを目指し頑張っていた。

⏰:08/05/16 15:15 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#237 [しゅん]
初めて俺と嵐がバラバラに道を歩む。
寂しいような、嬉しいような。。。
お互いそう感じていたと思う。
だって、17,8年一緒におるんやからなー。
おって当たり前の存在やし。
そう考えると、やっぱ嬉しいよりもめちゃめちゃ寂しかったと思う。

⏰:08/05/16 15:18 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#238 [しゅん]
そんな毎日はマッハで過ぎた。
そう過ごしていたある日。
俺には、想像もしていない光景を目の当たりにしてしまった。

梅雨前でなんとなく、着る服に迷う季節。
嵐と買い物に行こうという話になり、野球部の奴ら4人で福岡まで出た。
平日だけあって土日に比べれば人も少なく、どの店も割と見やすかった。

⏰:08/05/16 15:19 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#239 [しゅん]
最近服と言うものを全く買ってなく。大量にまとめ買いし、ありえん荷物を抱えながら歩くのがだりーで、一旦車に荷物を置きに行った。
その後飯を食う為に、また街をブラブラしていた。
飯屋が決まり、注文をしている時。

一組のカップルが店に入ってきた。
俺らの目の前にカップルが歩いてくる。
俺はその姿を見て心臓が止まるかと思った。
向こうは俺らに目もくれず、楽しそうに話しながら席に着く。

⏰:08/05/16 15:19 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#240 [しゅん]
そのカップル。


女は未来や。
そして、男は浅田さん。


正直、店を出たかった。
注文さえしていなければ、確実に出ていたと思う。
嵐も、二人に気付き焦っていたらしい。
そん時は俺自身がテンパって、それどころやなかったけんわからんかった。
あとの野球部二人も未来は知っとるし、気付いとったみたいや。

⏰:08/05/16 15:20 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#241 [しゅん]
テンパっている俺に嵐はこう言った。

《向こうは俺らに気付いてねぇけん。でも、もし気付いてもお前テンパるなよ!》

「わかっとる」

そう返したはいいものの、心臓の音がみんなに聞こえよるんやねぇかっちぐらいドキドキしよって
嵐の言葉もいまいち理解していなかったと思う。

色んな気持ちが入り混じって、おかしくなりそうやった。

⏰:08/05/16 15:21 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#242 [しゅん]
でも、よく考えてみれば付き合いよるかもわからんし。

そんな少しの期待をして、自分を言い聞かせながらも、ショックはショックだった。

ここに俺がおることを、未来は気付いていない。
俺は気付いた。
もし、ここで未来が俺に気が付くと何かとややこしくなるのが目に見えて
少し冷静になって考えようと一息を付いた。

一時、沈黙の中考えた結果、やっぱり俺はこの場をなるべく早く離れた方がいい。
未来が気付く前に。
そう思った。

⏰:08/05/16 15:22 📱:PC 🆔:7bbzJeZY


#243 [しゅん]
未来が俺の存在に気付いたら…
色んな想像が膨らんだ。

俺に好きとかそういう感情がなかったとしても、自分は彼氏とおって。
俺は友達とおって。
気まずくならないわけがない。
ましてや、自分の彼氏は俺が知っている相手。
自意識過剰とかそんなん抜きにして、相手に気持ちがなくても
俺が未来の立場やったら、申し訳ないっち気持ちになると思う。

⏰:08/05/19 15:40 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#244 [しゅん]
未来は気持ちに嘘をついて、浅田さんと付き合っているわけやない。
浅田さんに対しての気持ちはちゃんとあると思う。
例え、その好きになった理由が俺との過去を忘れたいということであっても
気持ちがあるなら、それは何の問題もない。
そんな理由でも、一人の人を好きになってお互いの気持ちが繋がったならそれはすばらしいことだと思う。

未来の気持ちが中途半端なまま付き合っていることは、有り得ないと思った。

少なくとも、俺が知っている未来なら。

⏰:08/05/19 15:40 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#245 [しゅん]
でも、それが事実だとしたら…
俺のことはもう過去の思い出として心の奥にしまわれたということになる。
それはそれで、かなり堪えることだった。


浮気した相手は浅田さんか?
浅田さんそんなんする人やねぇっち思ってたんやけど…
やっぱそうやったかなー。
とか思ったり。

⏰:08/05/19 15:41 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#246 [しゅん]
そう悪いほうに考える反面、
未来はやっと俺という男から解放され、好きな人が出来て幸せになっている。
これでよかったんかもしれん。
俺のことを引きずって毎日泣いて過ごすよりも、はるかにいいことやん!
未来が今幸せなら、それが幸せにしてやれんやった俺にとって一番の願いやったんやないんか?
そして、何よりも俺が未来を忘れられる一番の材料なんかもしれん。


そう思いながらも、どっかでバイトの先輩、後輩として飯を食いよるだけかもしれんしっち期待があった。

色んな考えが一気に俺の頭ん中を駆け巡り、パニック寸前の状態…。

⏰:08/05/19 15:41 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#247 [しゅん]
でも…
そう思った瞬間。
未来が俺に気付いてしまった。
多分便所に行こうとしたんと思う。
未来が席を立ち、振り向いた瞬間、目と目が合ってしまった。

⏰:08/05/19 15:42 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#248 [しゅん]
「やべっ!!!」

心の中でそう思い、咄嗟に目をそらしたが、時既に遅し。
未来は立ったまま動かなかった。

俺は目をそらしたまま、普通に友達と話をはじめたが
未来の姿は視界に入っていて、立ったままだ。
気になるけど、見れない。

こういうとき、俺はどうしたらいいのか考えても考えてもわからなかった。

⏰:08/05/19 15:42 📱:PC 🆔:F1bagc/2


#249 [しゅん]
未来に、浅田さんが何か話しかけたのか…
未来は便所に向かった。
席に戻ってきた未来が何となく背景にうつり席に着いたのがわかった。

俺たちは急いで飯を食い、足早に立ち去ろうと、レジで会計を済ませ店を出た。

息が詰まるぐらいの緊張から開放されて、ホッっとして息をついた。
正直、店におるときは飯の味さえせんやったけんね。

⏰:08/05/23 15:19 📱:PC 🆔:CMkYwh2Y


#250 [しゅん]
「嵐ー。俺、どーすればいい?もうわけわからんわ。何でこんな時にアイツに会わんないけんの?しかも、浅田さんが新しい彼氏か?俺、もう無理かも。」

そんな俺に嵐はムカツクぐらい元気に返してくる。

《仕方ねぇやん!!未来は思い出に出来たんちゃ!お前とのこと。お前らは終わったんやから!!
未来が幸せになってくれたら、それ以上の望みなんかいらんはずやね?しっかりしろ!お前が萎えてどーするんかちゃ!》

そう言われると何も言えず、モヤモヤしたまま歩き出した。

⏰:08/05/23 15:19 📱:PC 🆔:CMkYwh2Y


#251 [しゅん]
未来が俺に気付いたのは確かなこと。
あの時、未来の行動が止まり視線は俺にあった。
でも、あそこで話しかけてくれなかった。


未来なりに何か考えがあったのだろうか。

ってか浅田さんおるんに話しかけにくるわけねぇか。

浅田さんに、行くなと言われたのか。

未来自身が、行かんと決めたのか。


そんなことが頭ん中に浮かんでいた。

⏰:08/05/23 15:20 📱:PC 🆔:CMkYwh2Y


#252 [しゅん]
飯食ったら、買い物の第二弾を回るつもりやったんやけど
それどころやなくて、みんなも今日は退散やなとかボヤキながら車まで歩いた。

買い物自体は満足したし、いいもんも買えた。
これで、さっきのがなかったら、最高に気分欲帰れたんになーーー。

⏰:08/05/23 15:21 📱:PC 🆔:CMkYwh2Y


#253 [しゅん]
その途中、いっつも行く靴屋の前を通った。
俺、めっちゃ靴好きでからさー。
スニーカーマニアなんちゃね…。
多分実家のも合わせたら、50足ぐらいはあると思うんやけど…。
そこの定員さんとめっちゃ仲良しで。
気分転換にちょっくら寄ってくかーみたいなノリになりみんなで店内に入った。

⏰:08/05/30 09:48 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#254 [しゅん]
そこで色々入荷したスニーカーを見回し、定員さんと色々マニー話をしたりして
一足めちゃめちゃ気に入った新入りを購入した。
他のみんなは、またスニーカー?アホや…っちあきれとったけみたいやけど…
俺にとって靴は、まじ大事なオシャレ要素やからさー。
そんなん無視無視!!笑

とりあえず、また一人でゆっくり来ます!!っち定員さんに言い残して店を出た。

⏰:08/05/30 09:51 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#255 [しゅん]
その時。




『しゅん!』




久しぶりに聞いた未来の声は、俺の心に突き刺さった。

ゆっくり振り向くと、未来が突っ立っている。

⏰:08/05/30 09:57 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#256 [しゅん]
ちょっと離れた所の壁にもたれかかり浅田さんがタバコを吸ってるのも視界に入った。

未来はタバコが嫌いなんに。

俺はタバコを吸わん。
周りに吸ってない奴なんかおらんやった。
もちろん進められたり、吸う姿がかっこよく見えたりもした。
女の子も多いんやねぇかな?
タバコは嫌いやけど、吸う姿はかっこいいっち思う人。
でも、俺は人と違うことがしたい性格なんよな。
みんなが吸っているタバコを、自分一人が吸ってないのはかっこいいと思うし。
流されてないんが!!
吸わんっち言ったら、みんなからウソやんっち言われるけどね。

まぁこんなん語っても、所詮、全部俺の自己満なんやけど。
吸いたいと思ったこともねぇし。
吸ったせいで野球を犠牲にしたくねかったし。

⏰:08/05/30 09:59 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#257 [しゅん]
それを一番に理解してくれていたのが、未来やった。


やっぱり、好きな人が吸うんやったら受け入れられるようになるんやな…
何か寂しかった。
あれほど、未来はタバコが好かんやったんに。
路上で吸う人を見ると、あんなん絶対許せんっち言いよったんに。

「お前の男しよるやん」

そう心の中で思った。

⏰:08/05/30 10:01 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#258 [しゅん]
「おっ久しぶり!元気か?」

そう返すと、未来は黙った。

「向こうで連れの人待っとるで?こんなんしよう場合やねんやね?」

連続で俺がしゃべった。わざとに浅田さんの名前は出さなかった。気付かんフリ。
すると未来は、困った顔をしながら

『しゅんこそスニーカー馬鹿はかわらんね!』

そう答える。
浅田さんのことには触れてほしくなかったのか。
俺が気付かないフリをしたことも未来はわかっていたみたいだった。

⏰:08/05/30 10:03 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#259 [しゅん]
「まぁなー。お前元気そうやな!」

「うん…元気やけど…しゅん、ちょっと話せるかな?』

詰まりながら、そう俺に言った。

「話?何も話すことねぇよ!俺。」

『あたしが話したいことあって。ちょっとだけ時間ない?』

⏰:08/05/30 10:04 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#260 [しゅん]
そう言われた時。

未来の右手の薬指に光るものをみつけた。

俺の視線を感じたのか、手を後ろに回す未来。
グッチのGリングだった。
俺らが買おうとしていた指輪。
それを見た瞬間、浅田さんと未来の関係は彼氏彼女だと確信した。

淡い期待をしていたものが一気に崩れ落ちていくのがわかった。

⏰:08/05/30 10:05 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#261 [しゅん]
俺が買ってやれなかった指輪。
買ってやれなかったっちゅーよりも、欲しいと言っていた未来に買ってあげなかった。
未来は今それをはめている。

相手は俺やねぇけど。

浅田さんが未来を幸せにしてくれるんなら、それが一番未来にとっても幸せなことや。
そう思った。
買うのは、いつでもいい。そう思って先延ばしにしていたのは俺自身や。

⏰:08/05/30 10:08 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#262 [しゅん]
「いや、向こうで待っとるやん!早く戻り!」

『大丈夫。行って来いっち言われたけん。』

「まじ?ダメやろー。今更、何話すん?ごめんけど、俺聞く気ねぇよ?友達もおるしな。」

『そっか…』

「さっき、飯屋で会った時はどうしようかと思ったけど。よかったわ!お前に会えて。
ちゅーか、幸せそうなお前を見れて。安心した!幸せにしてもらえよ!!じゃあなー」

今にも泣きそうな未来を横目に
そう言って、浅田さんに軽く礼をしその場を去った。

⏰:08/05/30 10:24 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#263 [しゅん]
泣きそうな未来の表情。
必死に涙をこらえていたのがわかった。
出来ることなら、思いっきり抱きしめて頭を撫でてやりたかった。


ごめんな。


そう心の中で何回も叫んだ。

⏰:08/05/30 10:25 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#264 [しゅん]
話聞く気はねぇ。
そう言った俺は、怖かったのか。

未来が何を話すつもりでおったんかはわからんけど、もしかしたら浅田さんと付き合っていることを、自分の口から俺に言ってくるかもしれない。
そうやったとしたら、事実を目の前にした上、言葉でも言われると俺はどうなるんやろ…
そんな不安や、未来と話せばせっかくもう忘れられるかもしれない。と思った気持ちから、また元に戻りそうで聞けなかった。

聞く気ねぇ。

そういうよりも

聞く自信がねぇ。

そう言ったほうが的確やな。
情けねぇね。

⏰:08/05/30 10:25 📱:PC 🆔:fB5fFPjc


#265 [しゅん]
その後、未来がどうしたのかは俺は知らなかった。
ただ、友達が
【未来ちゃん泣きよるで?いいんか?】
こう言ってきたが、泣きたいんは俺だって一緒や。
そう思いながらも
「いいんやって!これがあいつにとって一番吹っ切れる方法と思うけん」
俺はそう信じていた。

⏰:08/06/03 15:29 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#266 [しゅん]
俺がじゃなーと言った後、
泣きじゃくる未来に浅田さんが未来に寄りそい、肩を抱き寄せ、頭を抱えてあげていたらしい。
俺が背を向けるまで、涙を流さず我慢した未来は頑張ったと思う。

何を浅田さんが言ったかはわからない。
でも、言って来い!そう言った浅田さんは凄いと思う。
俺は、たとえ彼女が元彼と話がしたいと言われても言って来い!そんな言葉は死んでも言えん。
浅田さんがどういうつもりでそう言ったのかはわからんけど。
自分に対して自信とか未来が自分に戻ってくるっち自信、気持ちの上で上回っとるっち自信がないと出来んことと思うしね。
そういう相手が未来の新しい彼氏で、少しホッとした部分もあった。

⏰:08/06/03 15:29 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#267 [しゅん]
車に戻り、荷物を整理した。

「嵐ー。ごめんけど運転して。俺、助手席乗りてぇ」

《はいはいちゃ!お前はただ単に、未来のことで頭がいっぱいなんやろ?ばーか!正直に言え!》

そう言わんでもいいやんね。
はいはい!で止めとけばいいんに。
まぁ確かに、図星なんやけどさ…
そこまではっきり言わんでもっち感じやね?
そんなんに答える気にもなれず、キーを渡して助手席に乗った。

⏰:08/06/03 15:30 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#268 [しゅん]
窓の外の風景を見ながら、頭ん中は未来のことでいっぱいな俺。
未来に会うまでは気にも留めんかったのに、街にはカップルが溢れていてみんな楽しそうだった。
今、おかれた俺の状況は複雑すぎて今の今整理なんかできるわけがない。
それでも、必死に一個一個片付ようとする自分自身に嫌気がさしていた。

⏰:08/06/03 15:31 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#269 [しゅん]
未来が言った『しゅん、スニーカー馬鹿はかわらんね』

未来の中に俺がどう写っていたのか…
未来と付き合っていた頃の俺とちっとも変わっていないと思う。

⏰:08/06/03 15:31 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#270 [しゅん]
よく未来とも買い物に来ていた店。
その日に限って定員さんに【今日は未来ちゃんはお留守番なん?】そう聞かれた。
読者モデルしよる時にそこの定員さんとも仲良くなり、辞めてからもその続きで仲良くさせてもらいっていた。
未来とも買い物に来たときは必ず店に顔出しよったし。

未来と別れてから買い物行くことも減って、何となく足が遠のいていた。

「別れたんすよ。あいつとは」

そう言うとめちゃめちゃビックリした顔で
【は?まじ??】
っと口が開いていた。

⏰:08/06/03 15:32 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#271 [しゅん]
「もう別れてから結構なるんすけどね。顔見せんですんまっせん」

【いや、まじで…ビックリしすぎて何も言えん】

「いや、まぁ色々あってから…また今度飲み行きましょ!話はそん時に!また一人でゆっくり来ます!」

そう言って店を後にした。

やっぱり、はたから見守ってくれていた人からすると
俺らが別れたことは、ビックリしたみたいで…

⏰:08/06/03 15:32 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#272 [しゅん]
特に、店長さんは読者モデルやらしてもらいよる頃から知っとる相手やけね。
店のみんなと俺と未来で飲み行ったりも結構しよったし。

今はまだ何が原因かは知らんけど、俺が原因なことは話すつもりやし、いずれわかること。
陰ながら俺らを応援してくれていた人達の期待を、俺がぶっ潰したことも苛立ちと後悔に繋がった。

そんな後悔をしながら、寮に戻った。

⏰:08/06/03 15:33 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#273 [しゅん]
それからは未来と会った日が毎日のように夢に出てきた。
目の前で未来が泣き崩れた瞬間目が覚める。
そんな毎日に自分でも嫌気がさし、寝るのが苦痛だった。

⏰:08/06/03 15:34 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#274 [しゅん]
その代わりっち言ったら変かもしれんけど…野球に打ち込んだ。
未来のことから早く開放されてぇで。
宿も死ぬほど頑張り、死ぬほど食って、死ぬほど騒いだ。
後輩もおもろい奴ばっかで楽しかった。

でも、開放されたいっち思う前に
自分の中で整理が出来てないまま曖昧な気持ちでおるから、自分が苦しかったんや。
それを当時の俺は全くわかっていなかった。

⏰:08/06/03 15:34 📱:PC 🆔:ZoghfcJU


#275 [しゅん]
OFFに入る前、嵐と一緒に色んなバイトを探した。
大学最後の最後まで一緒のバイトをするか!っち話になり一緒に探した。
コンスタンスに稼げて自給のいいとこは、やっぱ限られていて…
野球が体力勝負なんに、更にマッスル系のバイトとかはしたくねぇよなーとか言ったり。
かといって、ガードマンとか立っとくだけのも暇そうで時間が経つのおせーよねっち言ったり。
わがままな俺ら。

⏰:08/07/22 12:03 📱:PC 🆔:gawgSAZI


#276 [しゅん]
結局、深夜まで開いとって自給がそれなりにいい居酒屋ですることになった。
何か、かっけーし!!
一回はやってみたい仕事やったのもあって、店が決まるのもとんとん拍子やった。
野球部の奴らと海外に卒業旅行に行くことを計画しとって。
その金も貯めていかないけんやったしね。

⏰:08/07/22 12:07 📱:PC 🆔:gawgSAZI


#277 [しゅん]
そんなん言いながら、OFFは毎週のようにスノボに行った。
中学の時から、嵐のにーちゃんと俺の兄貴に連れられて行っていたのもあってか、スノボがめちゃめちゃ得意な俺。もちろん嵐もな。
結構、上手い方と思う。
↑完璧自慢やな笑
でも、本とやけん!!!!

⏰:08/07/24 16:00 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#278 [しゅん]
いつもは兄貴のを借りたり、兄貴の友達から貰ったおさがりで行ったりしよったんやけど、
その年に兄貴が全部新しいのに替えたけん、今まで兄貴が使っていたのを貰った。
スノボの道具、まじたけぇけね…買えません…笑
嵐も兄貴に貰ったのを使いよったし、二人で行くこともあった。

⏰:08/07/24 16:01 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#279 [しゅん]
野球部の奴らも俺らが行きよるのがきっかけで、みんな行きてぇみたいなノリになってから。
俺ら意外はレンタルして、ツアーに申し込みバスに乗り込んで行った。
結構、金かかるんやけど楽しいでからさ…
そん時よければそれでよし!みたいな?
まぁ…それで後から痛い思いするんやけど…


何回も行ったツアー。
そのツアーの中の一回に、嬉しい出来事が起きたことがあった。

⏰:08/07/24 16:01 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#280 [しゅん]
冬本場で、雪山もいい雪が積もってきた頃。

その日は確か芸北に行った。
俺、嵐、野球部の良太、他6人。
それから、学部の友達3人やったと思う。
全部で12人。
めっちゃ大人数やな…多分、バスの中はほぼ俺らが占めていた。
メインシーズンなんに、その日はバスが満員やなかった。
カップルが何組かおったぐらいで、家族連れはおらんやった気がする。

行きも帰りも同じメンバー。
俺らのグループの前の席に女の子4人組が乗っていた。
同じ小倉から乗り込んだ中の一グループ。
結構、みんな可愛い感じの子たちで、野球部の奴らは初っ端から騒いでいた。

⏰:08/07/24 16:02 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#281 [しゅん]
消灯する前。そん中の一人の女の子がいきなり、
【あの…現地着いたら、一緒に滑ってもらえませんか?】

良太を筆頭に、キター!!!!的な表情を浮かべる奴ら、約6人。
既に、学部の友達の2人は爆睡していて、もう一人も音楽を聴いていて俺らの会話にはまるで興味なし。

⏰:08/07/24 16:03 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#282 [しゅん]
良太が
{初めてなん?俺らは全然いいよー}
そう返すと

【ほんとですか?初めてなんです。滑り方教えてください!よろしくお願いします。】
と返ってきた。

{あ〜俺らはまだ全然うめくねぇけど、ここ二人がめちゃめちゃ上手いけさー!任しとけっち感じやんな?}

俺と嵐は、はぁ〜?!みたいな感じで、もうため息すら出なかった。

⏰:08/07/24 16:04 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#283 [しゅん]
何で、俺らが金払ってスノボ教えにいかないけんの??
みたいな…
俺らは滑る気満々でゲレンデに行きよるんに。てか既にもう気持ちはゲレンデにあるんに…
何で、見知らぬ女にスノボ教えないけんの???
みたいな…

でも、そんなこと言えるはずもなく
俺も嵐も
「《あーーーー》」
とだけ返した。

⏰:08/07/24 16:05 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#284 [しゅん]
野球部の奴らが女の子達と話している間、俺はふと未来のことを思い出した。
嵐はゆーちんとメールしよったしな。
話し相手おらんし…笑

こんな時に考えるのはいっつも未来のこと。

ipodで音楽を聴きながら、外の景色を見ているとまた自然に未来のことを考えていた。

⏰:08/07/24 16:09 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#285 [しゅん]
未来はスノボが得意と話していた。
バイトの先輩に連れて行ってもらいよったらしーで。
いっつも自慢げに、『しゅんが想像しとるのとは全然違って、絶対上手い!』と言っていた。

「冬なったら、一緒行こうな!その滑りみせてもらわんないけんしな!」

俺はそう未来に言っていた。
連れて行く!そう約束しとったんに、それも叶えてやってない俺。
口ばっかやな。
未来とこの場におれとったらどんだけ楽しいやろう…
そんなことで頭はいっぱいになった。

⏰:08/07/24 16:10 📱:PC 🆔:I08QcwPk


#286 [しゅん]
浅田さんと未来が続いているのかも俺は知らない。

未来と会って、ちょっとやけど話して、振り切って。
それで二人の状況は変わったのか。

少なくとも、俺の心境は変わったと思う。
まだ時々、未来のことを思い出して涙が出たり後悔したりすることもあるけど、確実に回数は減った。
未来には悪いけど、いい意味で勉強させてもらったな。
そう思う部分も出てきたのが事実や。

⏰:08/07/25 16:15 📱:PC 🆔:.jParxuw


#287 [しゅん]
時間が解決してくれる。いろんな人からそう言われた。
実際、時間が経つにつれて気持ち的にも楽になってきた部分はある。

でも、そうなればそうなるほど、未来とのいい思い出さえも全て薄れていくような気がして怖かった。
少しは成長できとるんかな…

そんなん考えよったら自然に涙が滲んできて、みんなにばれたらやべーと思いながらながら、隠すように眠りについた。

⏰:08/07/25 16:15 📱:PC 🆔:.jParxuw


#288 [しゅん]
現地に着き、眠たい目をこすりながらも、目の前の銀世界を目の当たりにすると一気に目が覚めた。
長時間一定の体制でいたせいか、まだ体が怠けたまま。
背伸びをし体を伸ばすと、一気にテンションが上がった。

更衣室でウエアに着替え、ブーツを履き、ボードを持ってリフトに向かう。
早く滑りたくてウズウズしていた。

⏰:08/07/25 16:16 📱:PC 🆔:.jParxuw


#289 [しゅん]
でも・・・
俺らには女の子を教えんといけん使命があって野球部の奴らに止められた。
何時間かワンツーマンで教えたあと、その時間を取り戻すかのように滑りまくった。
女の子たちもそれなりに形になったけんね。
まぁ俺らの教え方が上手かったんやろーけど!笑

⏰:08/07/25 16:16 📱:PC 🆔:.jParxuw


#290 [しゅん]
集合時間ぎりぎりまで粘り、ヘトヘトになるまで滑って、後はバスで寝るだけ。
行きと同じ場所に座ろうとすると、そこにはもう野球部の奴らが座っていた。
一緒に滑った女の子たちもバラバラに座っていて、何か一緒のグループでツアーに参加したみたいになっていた。
一々移動したりするのもめんどくせーで、俺は一番後ろの5人席の窓側に座った。
隣に良太が座り、気付いたら俺は爆睡していた。

⏰:08/07/25 16:16 📱:PC 🆔:.jParxuw


#291 [しゅん]
ふと目が覚め起きると、隣にいたはずの良太は反対側の窓側で爆睡しとって、俺の隣には滑り方を教えた女の子が寝ていた。

心の中で「何で俺の隣にこいつがおるん?うぜー」そう思いながら、また寝ようと寝やすい体制を探していた。
でも、何か隣に女がおるっちわかったけか寝付けず、そのまま音楽を聴いて外の景色を見ていた。

⏰:08/07/25 16:17 📱:PC 🆔:.jParxuw


#292 [しゅん]
一時して。
隣の女の子が起きたらしく、ゴソゴソと荷物をあさっていた。

体を起こし隣を見ると女の子と目が合い、向こうが会釈をしてきた。

俺も軽く会釈し
「俺の隣、良太やったよね?」
そう言うと、
[あっ、良太くんが窓際がいいらしくて変わってっち言われて…]
そう言った。

⏰:08/07/25 16:17 📱:PC 🆔:.jParxuw


#293 [しゅん]
心の中では、良太いい加減しとけよ!っち思いながらも口では
「そーやったんや!俺、爆睡しとったやろ?いびきとかかいてねかった?」
そう聞くと
[大丈夫。気持ち良さそうに寝とったよ!]
そう言われた。
続けて
[今日は、勝手にあたしたちが中に入ってごめんね。せっかくスノボしに来たのに。迷惑かけてごめんなさい]
そう言った。

⏰:08/07/25 16:18 📱:PC 🆔:.jParxuw


#294 [しゅん]
まさか、こんな反応が返ってくるとは思ってもねかったし呆気に取られた感じ。
「あ!全然いいで!まっ最初は正直ウザっち思ったけど、覚えもよかったし意外に楽しかったけんな!気にせんでいーばい」

[ありがとう。そう言ってもらえるとほんと来てよかったっち思える。教えてくれてありがと!楽しかった]

「そ?俺らの教え方がうめーけね!また続ければもっと上手くなるばい!そんで多分ハマる笑」

[うん!また来たいなーっち思うし、いっぱい練習せんとね!!みんなみたいに上手く滑れるようになりたいし。]

「そう思えるなら、教えた甲斐があったわ!よかったよかった」

[あの…小彩くんっち野球ずっとしてるよね?]

⏰:08/07/25 16:18 📱:PC 🆔:.jParxuw


#295 [しゅん]
そう言われ、ゾクっときた。

普段、小彩くんとか言われることはほとんどねぇし、みんな俺のことは「しゅん」と呼ぶ。
中学とか高校の仲良くねぇ女の子とかは小彩くんっち呼びよったかもしれんけど、あんま話したこともねかったし…
後輩はみんな「しゅんさん」っち呼ぶし…

久しぶりに呼ばれた小彩という自分の苗字に偉く緊張した。


それに、一番は何で俺の名前を知っとるんかっち話。

⏰:08/07/25 16:19 📱:PC 🆔:.jParxuw


#296 [しゅん]
「俺の名前知っとるん?」

そう聞くと、俺にとっては意外な答えが返ってきた。

[うん。あたし野球大好きで結構見に行ったりしてたん。あたし達の代で小彩くんと斉藤くんの名前知らん人とかおらんと思うよ]

ウソ?っち感じ。

「いやーーそんなことねぇやろ。中学はそれなりやったけど、高校ん時とかそこまで結果は残してねぇし。」

[そんなことないよ!絶対有名やし!!]

「いやいやーもう俺の話はいい!笑 野球好きなんやな。」

⏰:08/07/28 16:13 📱:PC 🆔:4TmlXR5Q


#297 [しゅん]
[うん!大好き!!野球やってる人はもっと好き。]

「おお!!てか、そしたら今日とかまじヒットやんけ。ほとんど野球部やし。」

[うん!!ビックリしたよ!まさかやったもん]

野球が好きな女の子を目の前にして、一瞬未来の姿がよぎった。
姿、形、話し方も仕草も全然違うけど、心なしか未来の姿が浮かぶ。
結局、俺は未来を忘れられてなんかいなかった。

⏰:08/07/28 16:13 📱:PC 🆔:4TmlXR5Q


#298 [しゅん]
[実はね、ぶっちゃけるけど…あたし、小彩くんのこと好きやったん。高校野球見に行ったときに一目ぼれ?してしまって、そっから三年間ずっと。でも、小彩くんはあたしの存在すら知らんし、高値の花っち感じで近づくことすら出来なかったけどね…
女の子を近づけんオーラ出てたし…
そんなんモタモタしよったら、彼女出来て。めっちゃオシャレで可愛い女の子の。
一緒にいるところ何回も見たもん。
小彩くんにお似合いな彼女やなーって。
でも諦めれんやったから、結局思うだけの三年間で終わってしまったーーー]

⏰:08/07/28 16:14 📱:PC 🆔:4TmlXR5Q


#299 [しゅん]
「いやいや…」

どうしていいのかわからなかった。
その一言しか出ず、ビックリした俺の横で照れながらほっぺたをさわる女の子。

[ん〜!本当!やけん、今日会ったときビックリして腰が抜けるかと思ったもん。運命かとも思った笑]

「こっちもビックリで何も言えんけど。ごめん。俺名前も聞いてねかったよね?」

[あたしも名乗ってなかったね。澤田優歌って言います。サワダユカ]

「澤田さんね!了解」

⏰:08/07/28 16:14 📱:PC 🆔:4TmlXR5Q


#300 [しゅん]
[あー澤田さんは嫌やなー]

「ん?」

[苗字で呼ばれるの何か壁があって嫌やなぁっち思って。優歌がいい]

「あーー…ごめんけど、澤田さんでいくわ!」

下の名前で呼ぶのは、特別扱いしているように感じる。
俺はな。
やけん、何となく俺にとっては初対面やし名前で呼ぶんはかなりありえないことやった。
澤田さん。妥当な呼び方やと思うけど…

⏰:08/07/28 16:15 📱:PC 🆔:4TmlXR5Q


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