先輩と旅立ちの唄
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#334 [あかり]
舞台がまた真っ暗に染まった時、皆それぞれ決められた位置へとスタスタと向かっていった。
その時である―
クラスのぽっちゃりした木田くんという男子が、どういう訳か私の位置でスタンバイをしていた。
―ちょ、ちょっと…。
舞台がまたパッと明るくなった。
私は仕方なく、最後列の右端へと急いで移動した。
:08/11/07 08:41
:SH705i
:Xo6TOlQk
#335 [あかり]
ああ、きっと私は、今一番目立たないポジションにいる―
元々決められていない配役にいたから、より一層悲しくなった。
自分が目立ちたい訳じゃない。
ただ、タクロウ先輩に、自分のことを見てほしいだけ―。
それでもその思い一つだけで、体いっぱいを使って精一杯ソーラン節を踊る。
突如、それは起こった。
:08/11/07 08:48
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#336 [あかり]
突然、音楽が止まったのだ。
皆の動きが少しずつ止まり出す。
どうして…?
これはまたやり直し…?
私も心の中で困惑した。
すると、客席にいた三年生たちが、「頑張れーっ!」などの声を送ってくれていた。
音楽が再び流れ始めた。
客席も私たちに合わせて拍手を叩いてくれたり、「ソーラン!ソーラン!」と一緒に言ってくれていた。
今、会場全体一つになって、ソーラン節を表現している。
:08/11/07 08:55
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#337 [あかり]
「ヤァッ!」
最後に両手に持っている鳴子を掲げ、大きな声を出し、この場を締めた。
お、終わった…。―
やるだけのことは、全て出し尽くした。
幕が下り、私たちは舞台を後にした。
鳴り止まない観客席からの拍手が心地良かった。
:08/11/07 09:02
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#338 [あかり]
「ちょっと木田くん!私の所で踊ってたでしょ!」
私がステージ発表が終わって、一番にやったことは、
私を一番冴えない所へと追いやった、張本人を責めることであった。
「え、あ、そうなの?」
彼は上手いことはぐらかした。
私には分かる、心の中では目立ちたがり屋の彼は、隅の方で踊りたくなかったのだと。
私は普段、気が小さい為、人に怒鳴ったりという経験があまりないのだが、
この時ばかりは本当に怒りが来た。
翔馬から以前、木田くんは同級生から好かれていないと聞かされていたが、
きっとこういう姑息な行動と態度が、反感を呼ぶのだろう。
:08/11/07 09:12
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#339 [あかり]
でも、ついさっきの出来事ではあるが、過ぎたことはしょうがないのである。
気を取り留め、私は先輩が自分のことを気付いてくれたことだけを願った。
でも、あんな場所じゃ…と、ネガティブにならずにいられない。
「あかりちゃん、お疲れー。」
いのちゃんのいつもの笑顔を見て、あまり深く考えるのをやめることにした。
:08/11/07 09:17
:SH705i
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#340 [あかり]
文化祭二日目も、終盤に迫ろうとしていた。
司会の三年生二人だけとなった。
「最後に、先程のステージ発表の結果を報告します。
1位は、二年五組!」
同時に、ワァー!っという声が広がる。
私たちのクラスもそれとなく拍手をした。
:08/11/07 09:22
:SH705i
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#341 [あかり]
「2位は、二年三組!」
えっ!、という声を私も周りも発していた。
私たちは満面の笑みで、自分たちに歓声の拍手を送った。
やった、2位だ…!
一生懸命にやれば、きっと何事も伝わるんだ。
:08/11/07 09:27
:SH705i
:Xo6TOlQk
#342 [あかり]
「おめでとう!」
帰りのホームルームで、先生が賞状を、クラスを代表とした翔馬に渡す。
私たちは、もう一度教室内でその結果に喜んだ。
1位であることに越したことはないが、
音楽が突然止まるというハプニングも乗り越えたクラスの結束力が何よりも大きかった。
:08/11/07 09:32
:SH705i
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#343 [あかり]
「翔馬、うちらやったね!」
帰りの船の中、二人でまた今日一日を振り返る。
「音楽が聞こえなくなった時は、本当どうしようかと思ったよ〜…。」
「俺も、まじでびびったわ。
でも、隣の方見たら、城山さんがそれでも踊り続けよんけん、
『え?やり直しじゃないんだ』って思った。」
「え、そうなの…?」
藍美、一人で凄いな…。
彼女を先頭にしたのは、クラスとして、かなり間違いではなかった。
:08/11/07 09:39
:SH705i
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