先輩と旅立ちの唄
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#351 [あかり]
私と名美佳は、玄関で先輩がやって来るのを、待ち伏せすることにした。
三年生はホームルームの終わりか遅いのか、下校する人がぽつぽつとしかいなかった。
私たちは話をしながら、ひたすら先輩の登場を待つ。
「髪型整えなきゃ。」
そう言って二人で一旦トイレに入り、もう一度出てきた時だった。
:08/11/07 10:12
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#352 [あかり]
体操服姿で、タクロウ先輩がスタスタ帰ろうとしている、後ろ姿が見えた。
私は思わず名美佳を置いて、近くまで走った。
名前を呼ぼうとするが、緊張からなかなか声が出ない。
しかし、このままでは先輩が帰ってしまう―
:08/11/07 10:15
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#353 [あかり]
「し…、塩見先輩っ!」
やっと言えた。
思っていたより、小さい声になっていた。
それと同時に、背伸びをして、彼の肩を叩いていた。
先輩の名前を名字で呼んだのは、不快な馴れ馴れしさをなくす為である。
「しゃ…写真一緒に撮って下さい…。」
振り返って目の前にいる彼に向かって、言った。
:08/11/07 10:20
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#354 [あかり]
「はい、チーズ!」
名美佳のシャッター合図と共に、二人並んでいる所が、カメラの中に瞬間におさまった。
先輩はそれから、無言でその場を立ち去るかのように、靴に履きかえ、帰っていった。
「ありがとうございます」と言いそびれた私には、
その態度が怖く感じた。
:08/11/07 10:28
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#355 [あかり]
「やっぱり写真なんて、うざかったかな…。
先輩には、小春先輩がいるしさ…。
先輩、さっき一言も話さなかった…。」
「そんなことないよ!
塩見先輩、写真撮る時あかりの身長に合わせて屈んでくれてたし、ピースもしてたよ。
本当に面倒臭かったら、嫌そうな振る舞いすると思うな。」
「う、うん…。」
とにもかくにも、全ては写真が物語っていることであろう。
私は現像するのが、楽しみな、不安でたまらないような気分であった。
:08/11/07 10:35
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#356 [あかり]
「じゃーんっ。」
文化祭も遠い昔のように感じた昼休み、藍美が一枚の写真を見せてくれた。
藍美と彼女の意中の相手の、克次先輩のツーショット写真である。
その周りには彼女の手で、ハートマークが赤い油性ペンで書かれていた。
「克次先輩とも今メールのやり取りしてるんだあ。」
携帯で文章を作成しだす藍美。
:08/11/07 10:43
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#357 [あかり]
「城山さんが、ラクビー部の高島さん?に、手紙渡してる所を見た。」
と、翔馬から聞いていたので、今の状況は、何となく予測は出来ていた。
それにしても藍美は…
タイミングを上手く掴めるというか、良い方向に持っていくのが巧み、という子である。
一年以上思い続けている私よりも遥かに、好きな人に近づききれていた。
:08/11/07 10:52
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#358 [あかり]
「あかりは?
塩見先輩とどうだった?
せめて写真は撮りたいって言ってたじゃん。」
「あ、うん。
撮ったことは撮ったよ…。」
「やったねぇ!
頑張ったじゃん、あかり!
何せ憧れの先輩だもんねっ。」
「うん…。」
"憧れの先輩"か―
一年以上、私は一体何をして過ごしてきたのか…情けなくなった。
:08/11/07 10:58
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#359 [あかり]
ある日の放課後、職員室まで課題のやり直しを提出しに行った時であった。
「木村先輩っ!」
ふいに誰かに呼ばれた気がした。
「あっ…、竜樹くん!」
振り返ると、一年生の阿倍野竜樹くんという人がそこにいた。
私たちは、前期の体育委員の集まりがきっかけで、
学校で会った時は話す程度の仲になっていた。
:08/11/07 18:25
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#360 [あかり]
「お久しぶりっすね!
先輩たち、もうすぐ修学旅行ですよね?
オーストラリアとか、まじスケールでかいっすよね〜!」
「うん、そうだよ!
だから、準備に大忙しなんだ!」
「お土産お願いします!(笑)」
「うん、分かった!
でっかいコアラ連れて戻ってくるわ(笑)」
:08/11/07 18:33
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