先輩と旅立ちの唄
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#582 [あかり]
次の日―
窓から差し込む日の光で、目を覚ました。
隣にいる彼は、まだぐっすり寝ており、寝息が微かに聞こえてくる。
私たちは、クリスマスの夜に、初めて体を重ねた。
二人で一つの布団に被っている中は、産まれたままの姿である。
:08/11/24 06:41
:SH705i
:KS/NgqI2
#583 [あかり]
その日は昼過ぎに買い物をしてから、
夕方頃、また特急列車で地元に帰った。
冬休み―
年末年始は家族と過ごし、私と竜樹くんは電話とメールで、頻繁に連絡を取り合っていた。
そして、三学期が始まった―
:08/11/24 06:46
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#584 [あかり]
「あけおめー、あかり!
年賀状、届いたよん。」
朝教室に入って、新年早々も元気そうな、藍美の声を聞く。
「藍美、何か嬉しそう。
何かいいことあった?」
「ううんー、むしろその逆。私、別れたし。」
「えぇっ!」
私の仰天した声に、近くに座っていた数人のクラスメートが、私の方を見た。
:08/11/24 06:51
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#585 [あかり]
「あの人さー、見た目は頼りがいがありそうな感じなのに、実際は超ナヨナヨしてるからねー。
しかもさ、プレゼントしてくれたのと同じのを、ある店で見つけたんよ。
その値段が315円!
まじありえなくない?」
軽蔑したような表情で、藍美は事情を言った。
「ア、アハハ…。」
彼女の克次先輩に対する態度の激変に、とりあえず笑うしかなかった。
:08/11/24 06:57
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#586 [あかり]
ある日―
その日の午前中に、私は気分が悪くて保健室のベッドで仮眠を取っていた。
一時間ほどした後、うつろながら目が覚めてきた。
カーテン越しに、保健室の先生と、一人の男子生徒の話し声が聞こえる。
「…最近、しおみんの奴、元気ないんだよねー。」
男子生徒のこの一言で、一瞬にして寝ぼけた状態から抜けた。
:08/11/24 07:04
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#587 [あかり]
「元気だけが取り柄のタクロウだから、それは余計に心配ね。」
先生という立場から、意見を述べる保健室の先生。
「うーん、やっぱ彼女と別れたんが大きいんかなあ。」
タクロウ先輩は、今も小春先輩のこと引きずってるんだ…。
:08/11/24 07:11
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#588 [あかり]
「タクロウ、卒業したら東京の方で就職なんでしょ?
そうなったらまた新しい出会いに恵まれるわよ。」
えっ―
保健室の先生のこの一言に、私は布団の中で目を見開いた。
タクロウ先輩が上京―
と、遠い…―
:08/11/24 07:15
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#589 [あかり]
帰りの船の中―
怜香とお喋りをしながら、かばんの中にずっと入れたままでいた、
あのカモノハシのキーホルダーを触っていた。
「怜香、タクロウ先輩、卒業したら東京に行くんだって。」
「そうなの?え、それめっちゃ遠い。」
私が第一声に思ったことを、怜香も言い放った。
:08/11/24 07:22
:SH705i
:KS/NgqI2
#590 [あかり]
「もう会うことないよね…。」
私は、持っていたキーホルダーを見つめた。
相変わらず、惚けた顔をしていた。
「…。
前から思ってたんだけど、あかりちゃんさー。
…。」
「何?」
続きを言わない怜香に、私は聞き返した。
:08/11/24 07:25
:SH705i
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#591 [あかり]
「…塩見先輩への思いを消化しきれてないまま、阿倍野くんと付き合った感じだなあ、と思って。」
「あ…。」
私は動揺し、思わず目をキョロキョロさせた。
:08/11/24 07:29
:SH705i
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