先輩と旅立ちの唄
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#101 [あかり]
「亮太とかも俺らの中学に越してきたよな〜?」

「あぁーあいつ面白い奴だったわ!(笑)」

身内話で盛り上がる大樹先輩とタクロウ先輩。

オオノリョウタ、顔どんなだったっけ、と頭の中で記憶を辿る私。

⏰:08/10/29 09:19 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#102 [あかり]
先輩たちが話しているように、私の住んでる島から、先輩たちの通っていた中学に転校する人は何人かいた。

私の同級生も、結構な数が島を後にした。

島から来た人は皆キャラクターが個性的らしく、
すぐにその中学のムードメーカーになるみたいだった。

⏰:08/10/29 09:23 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#103 [あかり]
ちなみに、島の同級生で、この高校に入学してきたのは
私と翔馬という男の子二人だけ。

大樹先輩と翔馬は同じサッカー部で
私もそこからちょくちょく大樹先輩の話は聞いていたから
この時初めて会話したが、彼の顔と名前は一致していた。

⏰:08/10/29 09:31 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#104 [あかり]
離島出身ということで
珍しい目で見られたり、入学当初から噂が立ったりするのは毎年恒例。

「あ、島の子のあかりちゃんだ。」
と、私も知らない同級生や先輩から
話しかけられることも何度かあった。

今回もそのノリだな、と解釈していた。

⏰:08/10/29 09:36 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#105 [あかり]
「あそこの島の方言、怖ぇよなあ〜。」
そう言い出すタクロウ先輩。

「何やったっけ、
『おい』と『わい』かな。」
付け加えて言う大樹先輩。

「えー何それ!(笑)」
これまで二人の身内話で黙っていた順也先輩という人が、
タイミングを狙っていたの如く、話に割り込む。

⏰:08/10/29 09:52 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#106 [あかり]
「自分のことを『おい』、相手を指す時『わい』って言うんぞ。なあ?」
大樹先輩が私の方を見て、確認を促してきた。

「あ、はい!…」
私は取り繕った笑顔で答えた。

「アハハハハ!」
改めて笑い出す順也先輩。

タクロウ先輩も、ニヤニヤしていた。

⏰:08/10/29 09:57 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#107 [あかり]
「あかりちゃん、寒いんじゃないの?こっち来たら?」
それまで黙っていた保健室の先生が口を開いた。

話す時、一人だけ遠くというのもあって、そう言ってくれたのだろう。

「いえ…」
小さくポツリと言った。

本当は少し寒かったのだが、先輩たちの近くに寄るのが恥ずかしくて、先生の言葉を遠慮した。

⏰:08/10/29 10:06 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#108 [あかり]
ソファーの上で、足をしっかり閉じて、両手を膝の上に置いていた私。

寒気から体は少しぶるぶる震えていた。

そんな私を、タクロウ先輩が体を全く動かさずじっと見ていた。

後の先輩二人と、保健室の先生は楽しく話をしていた。

「本当は寒いんでしょ?」
と、彼だけには見抜かれてる気がした。

⏰:08/10/29 10:14 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#109 [あかり]
キーンコーンカーンコーン…

昼休み終了のチャイムが鳴る。

「ほら、掃除の場所に行きなさーい!」
先生がストーブの前で、ぬくぬくとくつろいでいた三人に言う。

先生がそう言わないと、
三人は休み時間が終了しても居座りそうな勢いだった。

私はその間にそそくさと自分の教室に戻ろうとした。

⏰:08/10/29 10:22 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


#110 [あかり]
保健室を後にして、ドクンドクンと鳴る心臓音のリズムに合わせて廊下を歩いた。

つい先程の、先輩たちとのやり取りが浮かぶ。

「ああ、恥ずかしかった…」

⏰:08/10/29 10:27 📱:SH705i 🆔:Ttf/sAA6


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