先輩と旅立ちの唄
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#91 [あかり]
一人の人がタクロウ先輩にパスを渡した。
タクロウ先輩が球を蹴りながら走る。
方角的に、私のいる方へとそれは向かっていた。
先輩が私とぶつかりそうになる。
:08/10/28 13:51 :SH705i :dtU0GNBU
#92 [あかり]
「あ!ごめ〜ん!」
私にそういいながら、衝突になりそうになる寸前で、走る方向を変えた先輩。
先輩たちはサッカーに夢中で、そのまま楽しそうに走り続けて、渡り廊下を後にした。
「びっくりしたあ…。
ぶつかるかと思ったあ…。」
動悸がずっと止まらない。
「先輩、すごく近かった…。」
:08/10/28 13:57 :SH705i :dtU0GNBU
#93 [あかり]
先輩からしてみたら、
何気ない一瞬だとしても、私にとっては嬉しかった。
こんな小さな出来事でも
「先輩に話しかけられた」と私の中でカウントされる。
:08/10/28 15:30 :SH705i :dtU0GNBU
#94 [あかり]
「ずっと掃除区域がここだったらいいのになあ…!」
実現しないと分かっていても、
中高生らしい願いを抱いていた。
床をモップで磨き上げれば上げるほど、
私の先輩に対しての思いはより輝きを増した。
:08/10/28 22:07 :SH705i :dtU0GNBU
#95 [あかり]
全校集会があると、必死で先輩の姿を探したり、
二年生たちが教室移動してるのを見かけると、その中に先輩の姿もないか目で追ったり…
今の私には、これ位が精一杯で、これ位で十分満足だった。
:08/10/28 22:12 :SH705i :dtU0GNBU
#96 [あかり]
季節もすっかり冬になり―マフラーやカイロが手放せなくなった。
私はその日の昼休み、
生理痛のため保健室へと向かった。
冷たい廊下を体を少し丸めた状態で、
早歩きで歩いた。
:08/10/28 22:44 :SH705i :dtU0GNBU
#97 [あかり]
「失礼します。」
伏し目がちにドアを開けたが、正面を向いてなくても、室内の状況が理解できた。
タクロウ先輩と先輩と仲良しの男の先輩二人が、ストーブを囲って座っていた。
その近くに立っている保健室の先生。
:08/10/28 22:48 :SH705i :dtU0GNBU
#98 [あかり]
とりあえず私は、ドアの近くのソファーに座った。
四人からは離れた距離にいる。
性格が明るくて、イケてる感じの子なら、
笑顔で一緒に暖まろうと近くに行くのだろうが、
至って普通で、喋りもうまくない私にはそんな勇気は毛頭なかった。
:08/10/28 22:55 :SH705i :dtU0GNBU
#99 [あかり]
私は生理痛の時や、精神的に嫌なことがあった時、保健室を利用する。
その度に二・三年生の男子が
明らかにサボりにここを利用しているのが見受けられる。
タクロウ先輩やその友達たちも、その代表だった。
先輩たちはいうなれば、学年の中では派手で目立つ方だった。
:08/10/28 23:05 :SH705i :dtU0GNBU
#100 [あかり]
「君さあ、あの離島出身の子だよね?」
その中にいた大樹先輩という人が、私に話しかけてきた。
大樹先輩とタクロウ先輩は、同じ中学の友達である。
話はそこから私の住んでる島のことになった。
:08/10/29 09:13 :SH705i :Ttf/sAA6
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