先輩と旅立ちの唄
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#24 [あかり]
そして、今
私の目の前にいる人。

黒いニット帽を被っている。

帽子…
瞬時にあの時の先生の話を思い出した。


―この人が作文の人…!?―

⏰:08/10/27 06:16 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#25 [あかり]
先輩は、もう一人の人と
楽しそうに話しながら
渡り廊下を過ぎていった。

おそらく、教室のゴミ出し当番なのだろう。

先輩の姿が
ずっと脳裏に焼き付いていた。

⏰:08/10/27 06:20 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#26 [あかり]
小説を読む時、
登場人物を自分なりにイメージするように、
私も作品の人の人物像を
頭の中で作りあげていた。

なんとなく、身長は低くて、
がき大将みたいな感じを想像していた。

実際の先輩は、
高身長で、黒ぶち眼鏡をかけていて、
雰囲気も騒がしい感じではなかった。

⏰:08/10/27 06:25 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#27 [あかり]
それからは、
掃除時間にその先輩が通り過ぎるのを
楽しみにしながら、やり過ごしていた。

ごみ袋を片手に、
友達と話しながら歩く先輩の姿。

あの人は、どんな人なんだろうか?
私の中で興味が湧いた。

⏰:08/10/27 06:30 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#28 [あかり]
「あの帽子被ってる人、
いい匂いするよねぇ〜。」
先輩たちが消えて行った後、そう言い出すもう一人の子。

「うん、私も思った!」
同じ気持ちだったので、
笑顔で答えた。

渡り廊下には、まだ
先輩が身につけているであろう
香水の残り香が漂っていた。

⏰:08/10/27 06:35 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#29 [あかり]
向こうは私の存在を知らないが、
私は先輩のことを知っている。

先輩を初めて見た人は、
「あの人、何で帽子被っているんだろう?」
と、きっと疑問に思う所を、私は理由をだいたい把握している。

なんとも不思議な関係だった。

⏰:08/10/27 06:47 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#30 [あかり]
月も変わり、
掃除区域も変わった。

私のささやかな楽しみは、
区域移動とともになくなった。

「まあ、あの先輩が
作文の人って分かっただけでいいか。」

⏰:08/10/27 22:43 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#31 [あかり]
梅雨に入り―
やがて、台風の時期になった。

私の住んでいた離島は、
一度停電が起こると、ひどい時は一日中電気がつかない。

台風が接近した日曜日―
私は暗闇の中、通常の生活が送れることをじっと待っていた。

⏰:08/10/27 22:51 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#32 [あかり]
真っ暗な部屋で、退屈しのぎに
停電に備えて、あらかじめ充電しておいた
MDウォークマンを聴く。

孤独に耐える時間。
あの先輩を初めて見た時のことを思い出す。

⏰:08/10/27 22:58 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


#33 [あかり]
なんとなく思い浮かんだ、のではなく、
あの人の姿を思い出したかった。

「先輩は、この台風をどう過ごしてるかな?」

「大丈夫かな、心配だな…」

⏰:08/10/27 23:02 📱:SH705i 🆔:JJ7BuDlA


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