先輩と旅立ちの唄
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#284 [あかり]
「先輩にこの踊りが届けばいいのになーっ!」
私は両手に持っていた鳴子を天井にかざしながら、二人に言った。
「私も克次先輩の為に踊るーっ!」
私に続くように、藍美も同じポーズを取る。
「アハハ。二人とも熱いねえ。
うちは片思いってほどじゃないからー。
顔ファンって奴かな。」
名美佳が私たち二人を、見届けるような感じで言った。
:08/11/04 03:10
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#285 [あかり]
名美佳は笑っていたが、私のその気持ちは、彼女が思ってる以上に真剣であった。
生まれてこの方、学校でのイベント事などには、
「他の誰かがやってくれるだろう」という気持ちで、自分から積極的に取り組むことはなかった。
本番はタクロウ先輩たち三年生が、ステージの目の前の席で座っている。
下手な踊りは見せられないと焦った。
:08/11/04 03:20
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#286 [あかり]
「翔馬っ!
そっちの練習の方はどう?」
帰りの船の中、間食に菓子パンを食べていた翔馬に話し掛ける。
「んーっ。やっぱり難しい。」
いつもより低いテンションで、彼は言った。
翔馬を含むクラスの一部男子で、ソーラン節の前に、ダブルダッチという長縄を使ったパフォーマンスも、やることが決まっていた。
ソーラン節だけでは尺が短いということと、
クラス全員で踊れるほどステージが広くないということと、
会場を一際湧かせるためということからだった。
:08/11/04 03:32
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#287 [あかり]
「お互い頑張ろうねっ。
私、タクロウ先輩の為に踊るんだ。」
今日藍美が言った台詞を、そっくりそのまま発した。
「何だそれ(笑)。
本番、二つとも上手くいくといいよなー。」
「うん。」
明日の練習は、今日よりもっと打ち込もうと思った。
:08/11/04 03:37
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#288 [あかり]
文化祭も目前に差し迫った頃―
帰りのホームルームで、そのパンフレットが配布された。
放課後、藍美の席でそれを一緒に眺める。
各ゲームのメンバー紹介、体育祭の団長紹介など、様々なことが書かれていた。
「あかり、これ見て。」
藍美がある所に指を差した。
:08/11/04 03:44
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#289 [あかり]
『Dr.塩見タクロウ』
そこには意中の先輩の名前があった。
どうやら友達とバンドを組んで、ライブを行うようであった。
ボーカル、ギター、ベースの名前もそれぞれあった。
他にも数組のバンド名と、そのメンバーの名前が書かれていた。
同級生の名前もあった。
:08/11/04 03:49
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#290 [あかり]
「先輩、ライブするんだぁ…。」
「何か見た目も楽器出来そうな感じだよねーっ。
アハハっ!バンド名『インキン・パーク』だってさー!
まじウケるーっ。」
それは大人気洋楽バンドの名前を、一文字変えた総称であった。
自分の好きな人の下品で小学生みたいな一面を感じると、私はあまり笑えなかった。
:08/11/04 03:56
:SH705i
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#291 [あかり]
「あ、そろそろ行くー?」
藍美が時計を見て言った。
「あ、うん。そうしよっか。」
パンフレットを閉じる私。
先生が今日のホームルームの時間で、
「生徒会が食べ物の販売員を募集しているらしい。」
と言っていたのに対して、
私たちは興味をそそられ、それをやることにした。
二人で集合場所となっている教室まで行く。
:08/11/04 04:03
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#292 [あかり]
既に、教室にはたくさんの人でにぎわっていた。
販売員希望の中に、他のクラスの男子たちの顔も見える。
「きゃあっ、あかり。
あそこに克次先輩がいる!」
私にだけ聞こえるように、藍美は話した。
藍美が見つめる向に目を向けると、藍美の好きな克次先輩の姿があった。
「先輩もこのメンバーにいるんだあ!ラッキ〜!」
:08/11/04 04:09
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#293 [あかり]
二人で係まで登録をし、また教室へと戻った。
「一生の思い出に残る文化祭にしようね。
あかりも塩見先輩ともっとお近づきになれるといいねっ。」
「うん―。」
彼女のたくましさに、私は背中を押されたようだった。
文化祭は、先輩に絶対声を掛けるぞ―
決心した。
:08/11/04 04:14
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