先輩と旅立ちの唄
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#321 [あかり]
「そっか…。」
私は敢えて、怜香にはタクロウ先輩に彼女がいることを言わなかった。
これ以上、人に会う度に説明するのが煩わしくなった。

「自分の好きな人に、彼女が出来たらどうする?」
今の自分の状況を、怜香に投げ掛けてみた。

「えーっ、時と場合によるけど、私だったら辛いけん諦めるかもー。
彼女にも悪いし。」

⏰:08/11/07 03:29 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#322 [あかり]
それが出来たらどんなに楽だろうか、と思った。
私も実際、少し前までは怜香と同じ意見であった。

未だに半分は、今の現実を飲み込めきれない思いが混じっている。

毎日毎日、ただ先輩の姿だけを、追いかけていた。
それが今、何故音を立てて崩れていかなければならないのかが、納得出来ずにいる。

⏰:08/11/07 04:25 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#323 [あかり]
怜香から送られてきたばかりの先輩の写メが、画面いっぱいに表示されている。

今まで、これといって先輩に何をしてもらった訳ではないが、
私はその存在に、深く感謝をしている。

それは彼女の有無一つで変えてはいけない気持ちだと思った。

「思うだけなら、ね…。」

⏰:08/11/07 05:08 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#324 [あかり]
次の日―
文化祭二日目。

学校から少し離れたところにある、公民館で行われた。

この日は、主に二年生のステージ発表であり、それ以外はカラオケ大会や、
ゲスト出演、劇団のお芝居などが披露される。

⏰:08/11/07 05:20 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#325 [あかり]
私たち二年三組の発表は、くじ引きで最後から二番目と決まっていた。

司会のMC、他のクラスの発表を、そわそわした様子で見る。

面白いと思ったものはありのまま笑い、凄いと思ったものには心から拍手していた。

⏰:08/11/07 05:25 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#326 [あかり]
私は去年のこの日を思い出した。

当時の二年四組の発表の時―
種類は分からないが、足でリズムを取るダンスを、クラス全員で踊っていた。


クラスの中央で、恥ずかしがりながら踊るタクロウ先輩。

私には、彼の姿しか映っていなかった。
ふいに涙も出ていた。
心の中で頑張れ、頑張れとひたすら声援を送っていた。

あれからもう一年か―
あの頃は、先輩の名前くらいしか、知らなかった気がする。

⏰:08/11/07 05:32 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#327 [あかり]
私たちの出番の前のクラスがステージに登場した時、
クラス一斉に席を立ち、準備室に直行していった。

「いよいよ、だね…。」

「ホントに。ドキドキするわ〜。」

いのちゃんと通路を歩きながら、高揚を抑えようとしていた。

⏰:08/11/07 07:35 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#328 [あかり]
舞台衣装のはっぴに着替え、自分たちの出番が来るまでの時を過ごしていた。

周りからは「どうしよう〜!」という声や、
数人で固まって、踊りの最終チェックの確認をしあったりしている。

私も藍美や他の子たちと一緒になって、ギリギリまで振付の練習をしていた。

⏰:08/11/07 08:05 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#329 [あかり]
「そろそろ時間です。」
生徒会の人からの、合図が来た。

私たちは、舞台の袖口までと静かに移動した。

会場は暗闇に包まれ、客席もシーンとしている。

遂に、その時が来た…。

⏰:08/11/07 08:10 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


#330 [あかり]
今まで、本当に頑張って来た。
土日も学校に来て、体育館や屋外の渡り廊下を使って、皆でとことん練習に励んできた。

タクロウ先輩に、いいものを見せたくて必死でいた自分がいた。

先輩、私の思いはあなたに届きますか?―

⏰:08/11/07 08:16 📱:SH705i 🆔:Xo6TOlQk


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