微妙な10センチ。〜最終〜
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#220 [あき]
甘くて、大好きだった蜜の味に飽きた、小さな虫は、欲が出たんだろう。
その小さな虫は、違う味を求めて、フラフラと飛び立ってしまったのだ。
そこで、綺麗な模様の花に出会う。
バカな小さな虫は、あれは旨そうだと、吸い寄せられるように、その花にとまってみた。
とまったらもう最後。
その蜜は、ネバネバしていて、もがけば、もがく程に、体にまとわりついた。

永遠に逃げる事の出来ない。
大好きだった甘い蜜にも。
大切だったあのお花畑にも。
もう帰れない。

⏰:09/08/07 20:46 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#221 [あき]
《お疲れ様!》

『うん。お疲れさまでしたっ。』

《家?》

『そうですよっ。』

またいつもの電話。
今から小一時間は、この電話が続く。聞きたい事は、沢山あるのに、言い出せない自分に、腹立たしささえ覚える。
わかってる。
彼は悪くない。
悪くないけど…
どうしよう……

彼の声も遠い空の上だ。
そんな私に、彼はしばらくして気付いた。

⏰:09/08/07 20:51 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#222 [あき]
《何かあった?元気ないけどっ。》

『そうっ?疲れてるからかな…』

《ちゃんと寝ないとダメじゃん〃》

『……寝てるしっ!!最近は特にっ!!』

《……》

『あ…ごめんなさい…』

⏰:09/08/07 20:55 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#223 [あき]
これは、完全なる八つ当たり。
西条さんは、あのホテルの夜と同じだとすぐに気づいた。

《…イライラしてんねっ…。また男?》

また?
またって何?

『違いますよっ。ちょっと仕事でねっ…〃ごめんなさいっ。』

《…隠さなくてもいいじゃん。》

『そんなんじゃないってばっ!!』

⏰:09/08/07 20:59 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#224 [あき]
《………》

無言の電話口。

嫌な空気。
この流れ。
完全にアレじゃん。

『…あははは〃本当に、そんなんじゃなくて、仕事でトラブルあって、イライラしてましたぁ〃ごめんなさいっ。そっちはぁ?雨ですかっ??』


私は、明るく切り返した。この流れを断ち切ろうとしたんだ。

⏰:09/08/07 21:02 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#225 [あき]
なのに、彼は、小さく溜め息をついた。
その溜め息が、気分を変えようとした私の気持ちを、さらに苛立たせる。

《……今日、どうして何も連絡くれなかった?待ってたのに。》

連絡…
ああ。メールの返事か。

あれ以降、私達は、仕事中、合間を見てはメールのやり取りをしていた。
今日は、そういえば、一度も返信していなかった。

『仕事で…』

《なら終わってからでも返信くれりゃいいのに。》

これ以上、苛立たせないでっ!!
そう叫びそうになった。

⏰:09/08/07 21:07 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#226 [あき]
《男と会ってたの?》

『何言ってんですかっ!?〃仕事終わって、真っ直ぐ帰ってきましたよっ。』

《じゃ、どうして返信が無かった?》

『だからそれはっ…たまたま携帯を見なかっただけでっ。』

《何で見ないのっ?》

『だからっ……』

ああ。
ダメだっ。
イライラマックスだっ…

⏰:09/08/07 21:11 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#227 [あき]
『ねぇ。西条さん…?職場で、私の事何か話た?』

《何を?》

『だからっ。私とこうやってプライベートで連絡してるって事!』

《言ったよ?》

『言ったのっ!?』

《まぁね〃仲良い奴に話てたら、そこに、上司がいてね、良かったなって!うちの会社の専属になってくれんかなぁって言ってたよっ!あははは〃》


…あははは…〃
じゃねーだろっ!!

⏰:09/08/07 21:16 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#228 [あき]
『それっ…かなり困るんですけど…』

冷静さを保ちながら、やっと出た言葉だった。

《えっ?どうしてさ?》
脳天気な彼は、聞き返してくる。

『あのね…うちの会社は、そうゆうの、かなり厳しくてね。仕事関係者と、プライベートでうんぬんは、バレたら、かなりマズいのよ。だから言わないでっ。』


《…でもさ、こっちでは話広まったとしても、そっちまでは届かないっしょっ。》


こいつ。
どこまで素っ頓狂なんだっ!!

⏰:09/08/07 21:21 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


#229 [あき]
『届いてるから、止めてって言ってんでしょっ!?』

思わず、叫んでいた。
そんな私に、彼は、一瞬たじろいだように見えたけれど、さすが大人だ。
冷静に切り返してくる。

《…そっか〃早いねぇ…〃》

『…笑い事じゃないんだけどっ。』

《でも、どうして、そっちに流れたんだろ?》

『あのさ、西条さんと私がペア組んだように、その他にも、うちからそっちに行く事、あるでしょ!?
そっち側の誰かが、こっち側の誰かに話たんでしょっ…名前は出さなくても、そんなの調べりゃ、すぐわかるって。』

こいつ…
事の重大さに気づいちゃいねぇ…

⏰:09/08/07 21:30 📱:W65T 🆔:pu1DvuhY


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