微妙な10センチ。〜最終〜
最新 最初 🆕
#330 [あき]
ハンドルを握りしめて、流れる景色の前を見据える。

これでなおちゃんは、もうかけてこない。
そう感じた。

私もかける事はない。
そう決めた。

これでいい。
そう思った。

私は西条さんを選んだ。
不器用だけど、真っ直ぐな愛を向けてくれる彼を選んだんでしょ?
未来が欲しいんでしょ?
そう言い聞かせた。

なのに涙が溢れた−…

⏰:09/08/17 23:08 📱:W65T 🆔:FF5wDsUw


#331 [あき]
ひとしきり高速道を突き進む。

遥か遠くまで続く直進道路。
流れる景色はとても早い。
そんなのお構いなしに、アクセルを踏み込んで、ハンドルを両手で握り目一杯の操作で突き進んだ。
高速道。何故こんなにも涙が出てくるのかは、わからないけれど、とにかくそのままにしておいた。
小一時間程走ると、一般道へ突入。ただ見慣れた景色が淡くぼやけて見える。
もう涙も出なかった。

そこからはただ、淡々と自宅を目指していた。

⏰:09/08/21 20:26 📱:W65T 🆔:LWywvFt.


#332 [あき]
幸せになりたい。
そう決意した、私の選択。
だからそこ、西条さんを選んだ。

だけど……

そもそも[幸せ]なんて私は知らなかった。
どんな事が[幸せ]かなんて、親も先生も教えてはくれなかった。

だから、幸せというものは、自分の理想や、描いたものでしか図れなかった。
だからこそ、その掴みかけた幸せに固執した。

(違う…)

現実の世界の幸せを知らない私が、そう知った時には、もう後戻りができないまでになっていた―…

⏰:09/08/21 20:56 📱:W65T 🆔:LWywvFt.


#333 [あき]
―――

『…うん』

《どうして、俺の気持ちがわからないんだっ!!》

『だからっ…私にも…』

《そうじゃないだろっ!!約束だろっ!?あきが悪いよなっ!》

『うん……』

彼の独占欲は日に日に増していった。出会った頃は優しかった彼は、あれ以降、よく感情を露わにする。怒鳴りつけられる事に恐怖を感じる私は、ただ頷き、謝り、彼の怒りの炎が消炎するのを待つしか出来なかった。

⏰:09/08/21 21:08 📱:W65T 🆔:LWywvFt.


#334 [あき]
露わにする彼の怒りの原因はいつも一緒だった。それは私が[約束]と言われるものを[破る]からだ。いつも、それが原因。彼は、会えないぶん、密なる連絡をして欲しいと言った。
私は、遠距離恋愛たるものそうゆうものなのかと、とまどいながらも、了承したのは事実。
だけど、いざ、やってみると自由奔放に生きてきた私には、過去の恋愛中も求めた事も、求められた事もない。彼が初めてだった。だから、ついつい忘れてしまう。
おまけに、世には携帯依存症という新たな現代病があるらしいが、私には無関係な話。
逆に、携帯電話に縛られた生活をしているのが仇となり、オフモードに入ると、ますます携帯電話というものを、意識から消し去るクセがある。
おかげで、彼からの連絡に気づかない事も多々あった。

連絡もない。
返事もない。

それが、いつも彼を苛立たせる原因だった。

⏰:09/08/21 21:32 📱:W65T 🆔:LWywvFt.


#335 [あき]
そして彼は言う。
《また男だろ!》
《また遊んでんだろ!》
《何か電話に出られない事してんだろ!》
苛立ちの二言目には、私に疑惑を押し付け、それを爆発させる。この言葉を投げつけられる度に、私は小さく溜め息をついて、またかと思うのだ。

『私、何も悪い事してないのに…少しは信用してよっ…』

そして小さく反論をしてみる。

《はぁ?そんな事わかんないだろっ?》

また同じ言葉を返されて、信用されてないんだと。痛感する。だけど、これは彼の愛情の現れなんだからと自分に言い聞かすんだ。

⏰:09/08/22 01:56 📱:W65T 🆔:ups8JnIw


#336 [あき]
これが、俗に言う[束縛]というものならば、私は仕方がないと諦めるしかなかった。

彼は、過去にとても大きな傷を追っている。
積み重なった小さな傷が、彼の心をボロボロに切り刻み。
臆病になっていた。
自分に自信を失っていた。
結果、もう何年も彼を恋愛から遠ざけていたらしい。
それが、数ヶ月前、彼の前に私が舞い降りた事で、彼は消し去った記憶を呼び覚まし、私と過ごす何気ない日々が、彼の心を目覚めさせた。
ただ、彼は、その経験から、異常なまでに何事にも過剰に反応し、不安になり…何よりも愛を確かめたがった。
その術が[束縛]につながってしまったのだ。
私の1日の行動を把握し、少しでも連絡が取れないと、苛立ち、怒りがこみ上げる。
だからこそ
また男か。
この台詞も、仕方のない事だった。

⏰:09/08/22 02:18 📱:W65T 🆔:ups8JnIw


#337 [あき]
『私は、前の彼女達とは違う…』

《あきの周りには男がうじゃうじゃいるだろっ!!違うかっ?》

彼の言い分は悲しいばかりだけれど。仕方がないのだ。
確かに私は、昔から男性に囲まれる事の方が多かった。
それは、決してモテるといった現象な訳でも、男好きだからと言った訳でもない。
自然とそうなっただけ。
昔からだ。学生の頃から
あの妙な一心同体的連帯感があるくせに、裏ではドロドロした女の世界より、バカバカしい一心同体的連帯感はあるけれど、一匹狼的なサッパリしている男の世界。こっちの世界の方が気持ちが楽だった。
あの特有の質が私には合っていたのだ。

⏰:09/08/22 03:02 📱:W65T 🆔:ups8JnIw


#338 [あき]
だから、自慢にもならないけれど?胸を張って言える。
私が心許し心底喜怒哀楽を共にした付き合いをしたのは…今までも、フタリだけ。
勿論、なおちゃん。
あとは、なおちゃんの街を離れ引っ越した先で、残りの幼少期、学生時代を過ごした第2の幼なじみになる彼女だけだ。
いや…最近は、ヒトリ増えた。
めでたく寿退社を果たした、元同期の、さえちゃん。
彼女も、私の中の友達メンバーに仲間入りだと思う。
めでたく三人になった。

友達なんて沢山いらない。
数人でいいんだ。
負け惜しみでも、ヤケクソでも、遠吠えでもない。
私は、心底そう思っている。

後は、大切な友人ではあるけれど。うん。…やっぱり友人だ。
それ以上でも、それ以外でもない。

⏰:09/08/22 03:33 📱:W65T 🆔:ups8JnIw


#339 [我輩は匿名である]
いつも見てます!
最近の展開は見てると苦しくなっちゃいます(;ω;)
あきさん幸せになってほしいです!

⏰:09/08/22 08:37 📱:P904i 🆔:gcGlCnow


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194