微妙な10センチ。〜最終〜
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#350 [あき]
『この店、久しぶりだよねっ〃懐かしい!
なのに、なんか気使わせてごめんねっ。』
『なにそれっ。〃』
沢山いた同期の中、たった数年で私達だけが生き残った。
そのまま、数年であれよあれよと、互いに似合った部署へ移動を命じられた。
おまけに、互いに忙しくなり、社内でも顔を合わせる事も減った。
昔は、よく二人で日、時間を合わせてはこうやってランチに出かけたもんだ。
:09/08/25 20:28
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#351 [あき]
『二人の子供は、私の子供同然なんだからっ!!私だって、赤ちゃん大切にしなきゃっ〃』
あははと笑う、私にさえちゃんは、ありがとう。と、また言って微笑んだ。
『おたく様の旦那は元気!!?〃最近、会わないんだけどっ〃』
『元気だよ。彼も会いたがってるよ?〃』
さえちゃんの旦那様は、うちの会社の提携会社の社員さん。
ただ、私が部署移動してしまった為に、なかなか彼とも会わなくなってしまったのだ。
昔は、夜、よく二人のデートに乱入しては、三人で朝まで飲んだくれたけれど、それすらここん所、ご無沙汰だった。
:09/08/25 20:40
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#352 [あき]
お気に入りのパスタに、お気に入りのリゾット。
お気に入りのピッツア。
ちょっとしたサラダにちょっとしたスープ。
それらを久しぶりに堪能しながら、久しぶりの対面は、バカな話に盛り上がるだけ、盛り上がった。
さえちゃんの幸せ全開の話は、心底、私をニヤニヤさせた。
私の仕事の愚痴話は、彼女も一緒になって怒ってくれた。
久しぶりに彼女と食べる
チョコレートケーキは、本当に美味しかった。
私自身、本当に久しぶりに
心底楽しい時間だった―…
:09/08/25 20:53
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#353 [あき]
『あきは?最近どうなのよっ?』
食後の珈琲の湯気に包まれながら、さえちゃんは言った。
『うーん…とくに?何もないっ〃』
なおちゃんの事。
西条さんとの事。
本当は沢山報告しなきゃいけないけれど、幸せ全開の彼女には、どうしても言い出せなかった。
『そう?なんか言いたげじゃんっ。なおちゃんとは、相変わらず?』
:09/08/25 23:23
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#354 [あき]
『…相変わらず…ってか、最近は全くかなっ〃』
はははと視線を外し、またスプーンで、温かいカフェオレをくるりと回しす。
『んー?また喧嘩してんのっ?』
さえちゃんの天使の微笑みは、私の胸のダムを決壊させる。
だけど、この気持ちを、彼女にどう伝えればいいのか言葉が見つからないでいた。
『喧嘩…した方がラクだよっ。喧嘩すらしなくなった。』
『んっ?』
『…ううんっ〃』
出てしまった言葉を、私は、紅茶と一緒に喉に流し込んで、美味しいと微笑んだ。
さえちゃんは、少し不安げな顔で、珈琲を手に取り、そうだねと微笑んでくれた。
:09/08/25 23:36
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#355 [あき]
紅茶ー×
カフェオレー○
――――――――――
そんな時、バックで携帯電話が振るえた。相手は予想がつく。
この電話に出なかったら、大事になってしまう。
とっさに携帯電話を探した。
案の定、ブーンと不愉快な音を立ててる画面が記す名前に、私は、静かに小さくため息をついた。
『ごめんねっ〃ちょっとだけっ。いい?』
さえちゃんに声を掛けて、私は携帯電話を指す。
私が慌てて受話ボタンを押すと同時にさえちゃんは、気にしないでと微笑むと、御手洗を指差し席を立った。
ー西条さんー
画面にはそう記されていたのだった。
:09/08/26 00:08
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#356 [あき]
『はいっ』
《何してる?》
突然に始まるこの言葉。
『今はカフェ!〃友達とランチに行くって昨日言ったじゃんっ〃』
それでも、私は彼の機嫌を損ねないように、細心の注意を払った言葉で答える。
《といいつつ男といるんだろ?あきは、ちょっと放っておくと、すぐに遊びに行くからなっ。》
もう、ウンザリ。
せっかくの楽しかった時間が、一瞬にして泣きたい気分になる。
『女の子だって。元同期で、結婚して辞めた子!〃話た事あるでしょぉ?〃』
:09/08/26 00:16
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#357 [あき]
《どうして、そんな意地になる?まさか、本当に男といるのか?》
しまった…!!
彼は冗談のつもりだったのかっ!ミスった!!
『あははは〃なってないしっ〃』
不機嫌モードに入るっ!!
やばいやばいやばい…
《……ならいいけど。》
ああ。アウトだ…。
完全にスイッチオンだね。
ご不満モードだよね?
ご立腹モードになるんだよね?
でも、さすがに今はやめてよね?あとでまた、きっちり聞くから。
今だけは、私のこの楽しい時間を取り上げないでよね…
:09/08/26 00:24
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#358 [あき]
《何時頃帰るんだ?》
『…わかんないっ。』
《んな訳ないだろっ?》
『だって、久しぶりに会うから。この後も、どこか行くかもっ…』
《で、朝帰りか?》
『そんな訳ないじゃんっ。』
小さく、こそこそと言い合いをしていると、さえちゃんが御手洗から戻ってきた。
私の前に座り、不思議そうな顔をした。
聞かれたくない!
とっさにそう感じた。
:09/08/26 00:29
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#359 [あき]
『ともかくっ!帰ったら、また電話するからっ〃友達いるし、切るね?』
《おいっ。待て!どうして切りたがるんだよっ?何時に帰るのか聞いてないぞ?》
『だからっ…今、遊んでるからっ。また帰ったら電話するから〃』
《…そうかよ。そうやって男と遊んでろよっ!!》
『だからっ!!そんなんじゃないってばっ…』
ーピッ。プープー…
また切られた。
いつもこうなる。
いつも、いつも、いつも、いつも……イライラして、咄嗟に煙草に手を伸ばす。はたと、自分が居る場所、目の前の彼女に、気づいて、私は、またバックにそれをしまう。グビリとカフェオレを飲んで、気分を落ち着かせると、目の前の、彼女に笑いかけた。
:09/08/26 00:38
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