微妙な10センチ。〜最終〜
最新 最初 全 
#481 [あき]
『…気持ちはわかるよ。酷い事をしたもんだよね。』
お巡りさんは、そう言って、私の目を見つめた。
『…見るからに、会社の物だってわかるじゃんっ!…盗られた者の人生狂わせると思わないのかなっ…』
お巡りさんに、当たっても仕方のない事だとは解ってはいても、このやり場のない怒りをどこに持って行けばいいのか、わからなかった。
『そんな良心がある奴は、こんな犯罪をそもそもしないよ…。』
お巡りさんの言葉に、私は何も言えなかった。
:09/09/16 05:19
:W64S
:pph25.Ww
#482 [あき]
結局、私はプロに狙われていたらしい。
あの日、私が隙間を埋める様に駐車したあの時から、私はカモだったのだ。
あのスペースは、防犯カメラの死角になっていた。横、数台と私の車だけが映らないのだ。両サイドを埋めて、カモが止まるのを口を開けて待っていたのだ。
そこに私がやって来た。
駐車し、バックを助手席にしまい込み、手ぶらで店内へと消える。
犯人達はニヤニヤとそれを見ていたんだ。
お巡りさんに、両サイドの車を覚えてはいないかと聞かれた時、あのスペースは、過去に何度も被害者が出ていた事を、後になって知らされた。
そう言われてみれば、あの時、私が、青ざめて薬局に飛び込んだ時、店長らしき人は淡々と電話機を差し出しただけだった。
店も解っていながら、何の対策も取っていなかった。
私にすれば、あの店もグルだ。
今となれば後の祭り―…
:09/09/16 05:31
:W64S
:pph25.Ww
#483 [あき]
両サイドを埋めて、カモが止まるのを口を開けて待っていたのだ。
そこに私がやって来た。
駐車し、バックを助手席にしまい込み、手ぶらで店内へと消える。
犯人達はニヤニヤとそれを見ていたんだ。
お巡りさんに、両サイドの車を覚えてはいないかと聞かれた時、あのスペースは、過去に何度も被害者が出ていた事を、後になって知らされた。
そう言われてみれば、あの時、私が、青ざめて薬局に飛び込んだ時、店長らしき人は淡々と電話機を差し出しただけだった。
店も解っていながら、何の対策も取っていなかった。
私にすれば、あの店もグルだ。
今となれば後の祭り―…
:09/09/16 05:32
:W64S
:pph25.Ww
#484 [あき]
もう二度と、車の中に荷物は置いては行かない。
あの事件がなければ、今も、私は仲間に囲まれて、笑い合いながら、大好きな仕事をしていた。
あの事件が無ければ、封印していた、なおちゃんへの想いが、溢れ出なかった。
あの事件がなければ、西条さんを、こんなに壊しはしなかった。
あの事件が無ければ。
私の、こんな―今―は無かった。
そう思う。
また一つ。
私は、人間の汚いエゴによる犯罪被害で。
一生涯消える事のない傷を追った。
:09/09/16 05:41
:W64S
:pph25.Ww
#485 [我輩は匿名である]
読んでてすごく悲しくなってしまいました…
これからの展開も楽しみにしてます
:09/09/16 13:29
:P904i
:GllBguhA
#486 [あき]
匿名さん、ありがとうございますI
―――――――
交番に来て、もうどれくらいの時間が経ったのかわからなかった。
冷静さを取り戻した私に与えられた形式的な手続きは、淡々と続いた。
壁にかかった時計が、時間の流れを教えてくれる。
―ガチャ
交番の出入口が開く。
お巡りさんが、突然の訪問者に視線を移す。釣られるように何気なく、私も背中を翻えし、出入口に顔を向けた。
『…ど…どうしたの?』
思いもよらない訪問者だった。
:09/09/16 22:58
:W64S
:pph25.Ww
#487 [あき]
『大丈夫なのか?』
『…だ…大丈夫な訳ないじゃんかっ……悲惨だよっ…』
その姿を見た瞬間
張りつめていた胸がパンと弾けた。
また涙が溢れる。
『まだ泣いてるのかよっ〃』
『……来てくれたんだっ…』
『仕方ないだろっ。』
憮然とした顔で、仁王立ちしたスエット姿の、なおちゃんが―…
そこにいた。
:09/09/16 23:05
:W64S
:pph25.Ww
#488 [あき]
そのまま、なおちゃんは、お巡りさんにペコリと頭を下げると、私の背中の後ろに立つ。
無意味に泣き出す私に、しっかりしろと、小さくパンチした。
その手は暖かくて、優しくて、私の全身を安堵させた。
お巡りさんの、どちら様?の質問に、私は友人ですと答えるのが、精一杯で。
お巡りさんは、ニコリと微笑み、では続きをしましょうと書類に目を移した。
なおちゃんがいる―…
私には、この耐え難い空間を、たったこれだけで。
乗り越えられた気がした。
:09/09/16 23:11
:W64S
:pph25.Ww
#489 [あき]
突然のなおちゃん登場から数十分で、全ての手続きが終了。
『では、また何かあれば連絡しますので。遅くまで引き留めましたね。』
『お世話になります…』
私は頭を下げて席を立った。
相変わらず、私の後ろで、仁王立ちをしていたなおちゃんに、視線を移すと、小さく息をして、外に出る。
振り返り、再度頭を下げて、私は彼の背中を追うように外へ出る。
空には、どんよりした厚い雲が覆っていて、無言で歩く私達の間を生ぬるい風がすり抜ける。
空の下月明かり。
目の前をぺたぺたと歩くなおちゃんの背中に…泣けてきた。
:09/09/16 23:23
:W64S
:pph25.Ww
#490 [みみ]
:09/09/16 23:29
:P905i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194