微妙な10センチ。〜最終〜
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#507 [あき]
呼び出し音が緊張を増す。
なかなか繋がらないコールは留守番電話に繋がった。

『お疲れ様ですっ。あきです。いろいろあって、連絡出来ませんでした。また連絡します』

そうメッセージを残す。
助かった…
正直、そう感じる。
苦笑いをしながら、なおちゃんに携帯を返した。
すると、直ぐ様、なおちゃんの携帯電話が鳴り響く。
画面を見つめ、私に手渡す。

『あきじゃねーの?』

画面を見ると、おそらく先程私がプッシュした、西条さんらしき番号。

『…ごめっ。借りる!』

私は、慌てて通話ボタンを押した。

⏰:09/09/25 02:50 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#508 [あき]
『もしもしっ…』

《ああっ?》

明らかに不機嫌な西条さんの声は、私の心臓をえぐり抜いた。

『…ごめんなさい。』

《…何回掛けたと思ってんだよっ。電源切って、何してんだよ!?何?この番号?》

私の話はさて置き、彼はまず怒りを私にぶつける。

『帰りにね、寄り道したら…車上荒らしに合って。携帯盗られた。これ、今、借りてるの。』


《はあ??》

『…だから…交番に行ってて……』

⏰:09/09/25 02:55 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#509 [あき]
《それならそうと、電話してこいよっ!!》

『だからっ…携帯も盗られちゃって…パニックなっちゃって…連絡忘れてた…。ごめんなさい…』


あの時。
なおちゃんの顔はすぐに思い出せても。
西条さんの事は、すぐに思い出せなかった。


《で?今どこにいるの?》

『家。で、さっき会社にかけたの。西条さんの番号教えて下さいって…』


なおちゃんに迎えに来てもらったなんて、死んでも言えなかった。

⏰:09/09/25 03:00 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#510 [あき]
それから、西条さんは、何やらごちゃごちゃと御託を並べた。

どれだけ、心配したか。
とか。

何をしてんだ。

とか。

警察にはきちんと出来たのか。

とか。

私は、ただ返事をするのみで

私のこれからの行く末なんて。
私の不安なんて。
私の涙なんて。

気付いちゃくれなかった―…

⏰:09/09/25 03:03 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#511 [あき]
『…じゃ。明日にでも、また携帯買うから。そしたら、また連絡します。』


《わかった。とにかく、今日は早く寝るんだぞ。》

『…はい。』


電話を切ると、溜め息が出た。
何かが違う。
その何かが、わからないけれど。

何かが違った。

なおちゃんに携帯電話を返すと、ボスリとソファーに座る。


もう、何もかもを壊してしまいたかった…

⏰:09/09/25 03:07 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#512 [あき]
『…なおちゃん…私、これからどうしたらいい…?私、どうなんだろうね…』

黙ってテレビを眺める彼に、そう呟く。
仕事の事。
西条さんの事。
見えない暗闇に
私は立たされたようだった。
今にもポキンと折れてしまいそうだ。
そんな私に、なおちゃんは

『さぁっ…』

視線をテレビに移したまま、そっけない返事。だけど、私の横に、しっかりと座っていて。
ただ、不安と恐怖に脅える私を、見えない手で、しっかりと支えてくれていた。
肌で感じるその空間。
そして感じてしまう。

私達の止まっていた時計が静かに動き出してしまった事に―…

⏰:09/09/25 03:16 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#513 [あき]
この小説大好きです!
続きが気になります♪
待ってまーす

⏰:09/09/25 19:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#514 [あき]
あきさん、いつも有り難うI
――――――

時計と、テレビの雑音だけが聞こえる部屋で、私はソファーに横たわった。

自然と瞼も重くなる。

自分でも知らないうちに、心も体も、すごく疲れていた。

自然と体中の力が抜けて、クッションを抱えてソファーに横たわった私に、おちゃんは、ありえない姿だと笑ってた。

本当に、本当に自然な時間だった。

⏰:09/09/27 15:35 📱:W64S 🆔:CejYoAqQ


#515 [あき]
『…ねーっ…明日から、私どうなんだろぉねぇ…』

『さぁ。』

『損害は大きいだろうし…間違いなく、クビだろうなぁ…』

『かもなー。』

『……あぁ〜あ。お先真っ暗!!!』

⏰:09/09/27 15:38 📱:W64S 🆔:CejYoAqQ


#516 [あき]
憧れたこの職業。
いざ就いてみると表側のイメージとは裏腹に、とにかく大変で。
沢山いた同期も次々と辞めていった。
それでも私は歯を食い縛って耐えてきた。
年数を重ねる事に、与えられる仕事は、大変さを増すばかりで、やりきれない思いも沢山した。会社、上司、仲間…不満は沢山あった。
だけど、この私が愚痴は一切溢さなかった。
それだけ楽しかったんだと思う。つい漏らす不満に〈疲れた〉とは言っても、〈辞めたい〉そうは言わなかった。思わなかった。

大好きな仕事だった。
だけど。もう終わりだろう。そう感じる。

⏰:09/09/28 18:37 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


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