微妙な10センチ。〜最終〜
最新 最初 🆕
#551 [あき]
勤めて数年、この担当職に就いて数年が経とうとも。

私はまだまだ新人。駆け出しだ。
重々理解していた。

だからこそ、私は必死に働いた。お陰で担当も増えた。担当エリア広がった。
いや…
だからこそなのか。

社内では、最高部署だと言われている。
この部署に異例のスピードで配属になった。私が気に入らなかった。
……
………
私は、ここぞとばかりに叩かれ続ける。
地獄の日々だった。

⏰:09/10/03 23:10 📱:W64S 🆔:NSE6Ond6


#552 [あき]
『え?今更、何を言ってんの?』『何してんの?そんな事今までしてたの?』事ある事に、難癖をつけられた。
怒鳴りつけられる事も度々あった。

『ついでに、これもお願いね〃』
担当外までの押し付けられた雑務に雑用を、何度も休憩時間返上で、走り回った。そしてそれらを、珈琲ルームで談笑する人達に届けた。
だけど、こんなのは、気にもしなかった。いや、本当は、カッとなった。胸ぐらを掴んで怒鳴り返してやろうかとも思った。だけど、ガキ臭い奴等だと、相手にするなと、自分に言い聞かせ耐え続ける。

こんな事で、逃げ出したくない。
そう言い聞かせた。

この仕事が好きだった。

⏰:09/10/03 23:17 📱:W64S 🆔:NSE6Ond6


#553 [あき]
一向に、上からの、人事的処分通達は来ない。
毎日増え続ける仕事。
益々気にくわない猛獣達。
緊張に緊張を張り巡らす日中に、心労、ストレスは、図りしれない程の、数値になったに違いない。

そんな日中を過ごすに辺り、唯一の安らぎである夜。
見計らった様に、じゃんじゃん鳴る携帯電話に苦悩した。
それでも一回、一回きちんと対応する。
一度でも、出ないもんなら、大変な事態になり、更にストレスが加わるのだ。

案の定。


徐々に、私の身体が悲鳴を上げ始める―…

⏰:09/10/03 23:46 📱:W64S 🆔:NSE6Ond6


#554 [あき]
――――――

『いたっ…いたたた…』

朝目覚めると、いつもの偏頭痛。
私の病原であるストレスからくる偏頭痛は、最近痛みを増して頻度も増えた。
頭痛で目覚める程気分の悪いものはないが、最近ではもう慣れてしまった。
よろよろとベッドから立ち上がり、キッチンに立つ。
冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出しグラスに一杯入れて、引き出しから、薬を出した。

プチンプチン。

小さな錠剤を二錠。
私は一気に飲み干した。

⏰:09/10/03 23:52 📱:W64S 🆔:NSE6Ond6


#555 [あき]
ずきずきする頭を首から上に乗せたまま。
洗面所に向かい、顔を洗って、顔面ペイントを施しスーツに身を通す。

ズキン…ズキン…

今日の頭痛はしつこいな。

そう思いながら、またキッチンに立った。
出勤前に、もう一杯、ミネラルウォーターを飲むのが、私の日課。
飲み干した途端に

『だめだっ…気持ち悪い……』

頭痛が酷い時は吐き気すら覚える。
咄嗟に、トイレに駆け込み、指を喉奥に突っ込む。

ミネラルウォーター二杯分を、トイレで吐き出した。

⏰:09/10/04 00:00 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


#556 [あき]
吐いてしまった為に頭痛は益々痛みを強めてしまう。
ミネラルウォーター三杯目をぐびぐびと飲み干しながらふと目に入った錠剤。
寝起きに飲んだ白い錠剤の残りは、あと四錠。
私はポケットにそれを押し込み、ヒールに足を入れた。

外に出て携帯電話を取り出す。
恒例なので、【仕事行ってきます】と片手で鍵を閉めながら、片手で文章を打ち込んで、簡単に送信クリック。

鍵が閉まったのを確認して、地獄へとまた私は歩き出す。

今朝は、いい天気だった。

⏰:09/10/04 00:14 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


#557 [あき]
アパートから駅までの道程。すこし歩いただけで、汗ばむこの季節は本当に嫌いだ。
その間も、ピロピロなり続ける携帯電話に慣れた手つきで返事をする。
【じゃ。電車乗るからっ!今日も頑張ってね。】

そして、まずは一段落。入ってきたいつもの電車に乗り込み、冷ややかな空調にホッと一息ついて、座席に座った。

⏰:09/10/04 13:52 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


#558 [あき]
キリキリと痛む頭痛は、出社の意欲をますます失わされた。

数十分の乗車で、私はまた歩き出す。

途中、駅前コンビニで、ミネラルウォーターを一本買って、直ぐ様ポケットに入れた錠剤をまた二錠。ゴクリと飲み干した。

駅を南に抜けて左に折れる。大きな通り。
華々しいオフィス街。
その一画。
天にまでも届きそうなそびえ立ったビル。
それが、私の愛してきた会社だ。
すぅーっと蒸し暑い空気を胸一杯に吸い込んで。
重い重い自動扉を抜ける。

⏰:09/10/04 14:04 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


#559 [あき]
自動扉を抜けて、警備員さんに声を掛ける。

夜勤明けのおじさんは、早くからご苦労様とくしゃりと笑顔を向けてくれた。

今の私には、このおじさんの笑顔だけが救い。
少し立ち止まり、おじさんと会話を楽しむ。

この後、私は誰とも会話をしない。
今から退社するまでの数十時間。
私は誰とも笑い合う事はないのだから。
いや…無くなったのだから。
そして帰宅すれば…
また携帯電話の向こう側に、作り笑顔を作るだけ。

今、笑える時に笑っておかないと。
私は本当の笑顔を忘れてしまう。

⏰:09/10/04 14:19 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


#560 [あき]
カチャリとドアを開けて、誰もいないルームに足を踏み入れる。
シンと静まり帰った部屋は今の私には心地好い。
壁に掛かれたホワイトボードにサラサラとサインをしてペンを置いた。その文字をじっと見つめる。見つめながら、ガンガン響く頭痛。その上にチクリと胃痛がプラスされた。

【AM9時。本会議出席】

昨日、帰社する間際に呼び止められて伝えられた今日の予定。

今日は、スーツのままでいい。ロッカーからネームを取り出し首に掛けた。

⏰:09/10/04 15:32 📱:W64S 🆔:.Nvju5zI


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194