微妙な10センチ。〜最終〜
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#611 [あき]
確かに、あの頃。
彼は【結婚】という言葉を口にした。

《結婚したいと思える相手と付き合いたい。》

あの頃は、何気なく聞き流した彼の恋愛観の一つ。
勿論、この歳にもなると、だいたいの人間が、それを意識しながらの真剣交際になる。
私自身、彼を選んだには、ずるずるした見えない未来より。
見える未来が欲しかった。
そして、私達の交際はスタートした。

⏰:09/10/08 23:51 📱:W64S 🆔:haJuWVKA


#612 [あき]
それは間違いない。
事実、私は彼に愛されていると思える日々だった。

電話代がかかるからと、彼は、わざわざ私と同じ携帯会社に変えた。
そして、恒例の夜の電話は、必ず彼から掛けてきた。私が掛けても、電話代かかるからと、必ず掛け直してきた。


月に一度あるか無いかの、デートは、彼が私の仕事に合わせて調整してくれた。
私が食べたい物。
私が行きたい所。
私がしたい事。
全てに答えてくれようとした。

時折、小包を送ってきては、私にきらびやかな装飾品を与えてくれた。彼はいつも、似合いそうだからと。送ってきてくれた。

そんな愛情表現に、私は甘えていた。

⏰:09/10/09 00:20 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#613 [あき]
甘いルックスに長身のスタイル。そこそこの収入に、大きな車。なにより、全面的に押し出してくれる私だけへの愛情表現。誰かに話をすれば、最高の彼だと褒め称えられるだろう。

だけど愛情は、時に暴走し、本人も気づかぬ所で、嫉妬。束縛。執着。固執。不穏な言葉に言い換えられる…

でも、それ自身が愛情の裏返しとして片付けられ、愛しているが故に、起こる感情なのだと片付けられる。

はたして、それは正しいんだろうか―…

⏰:09/10/09 00:40 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#614 [あき]
そう感じ出したのは…
そう。あれからだ。
私が何を言わなくても何を望まなくても
ただ
全てを失なうかもしれないという絶望と不安の中、恐怖に震える私に、手を差し伸べてくれた。…あの温かさ。

逆風に必死に立ち向かう事に、何も言わずただ見守ってくれた。…あの強さ。

心が折れそうな夜は泣き出しそうな私に、バカ話をしながら、笑わせてくれる。…あの優しさ。

全てに置いて、彼とは違った愛情表現。
それを感じてからだ。

⏰:09/10/09 00:55 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#615 [あき]
勿論、西条さんが私にくれる愛情表現と。
彼が私にくれる愛情表現。言葉は同じでも、そこに生まれている感情は違うもので。

私が求めた物は、確実なる未来。

だからこそ、ストレートな表現を重ねる西条さんの愛を受け止めようと努力した。

だけど―…

西条さんと過ごしてく中で、どうしても、割り切れなかった部分。

時折、私自身が爆発しては言い合いになった。だけど、意見がぶつかるばかりで、何も解決はしなかった。
私達の一番の問題点が、この一連の流れで露呈したように思った。

⏰:09/10/09 01:28 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#616 [あき]
西条さんは、愛を与えてくれる。
このまま行けば確実な未来をも与えてくれるんだろう。

だけど私への

【信頼】も
【尊重】も

そこには存在していなかった。


この夜
電話を切って。

そう痛感した。

⏰:09/10/09 01:43 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#617 [あき]
電話を切って、次にボタンを押したのは。
やっぱり

なおちゃん―…

西条さんにバレたら、大惨事になる事は、目に見えていた。
あれ以降、自然とまた繋がってしまった私達を、彼は知らない。

異常なまでに、私の交友関係に敏感な彼。
なおちゃんと、また繋がっただなんて知ったら私は間違いなく重罪。
即座に逮捕で彼の住む街へと強制送還、そして終身刑に処させる。

※いや、私は至って本気の見解ですが。

⏰:09/10/09 02:02 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#618 [あき]
再びボタンを押して、数回の呼び出しコールを聞く。
なかなか繋がらない電話に、寝てしまったのかと諦めかけたその時

《んー?》

相変わらずのやる気のない返事で出た。

『寝てた?今いい?』

挨拶もしないで、私も相変わらずの答え。

《…いや。なんだよ?》

『…あ…ごめん。起こしちゃったね〃』

さすがに、長年の付き合いだ。否定はされても声でわかる。

⏰:09/10/09 02:12 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#619 [あき]
《どうせ、起きる時間だったし。》

『そっかっ。〃』

分かってるもん。
昔から、いつもいつも、ナイスタイミングだ。

私が落ち込んだり、泣いている時は…
何故かいつも、なおちゃんは暇な時で。

私が突然、思い立った様に深夜に掛ける電話の時は…
何故かいつも、彼が起きる時間。

もういい加減、違う言葉を使えばいいのにと…思ってるんだから。

バカだよねー…

⏰:09/10/09 02:24 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


#620 [あき]
西条さんに話た事と同じ言葉で、今度はなおちゃんに伝える。

なおちゃんなら。
わかってくれるかもしれないと思った。

彼なら私の悲鳴を。

受け止めてくれるかもしれないと。


そう思った。


『あのね…』


私の二度目の

助けて―…

⏰:09/10/09 03:42 📱:W64S 🆔:tD9H2/lM


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