微妙な10センチ。〜最終〜
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#641 [あき]
だけど、今夜こそはと、電源を落とした携帯電話を眺めて、そう誓う。

初めての
私発信の《別離》

これで終われる。
そう思えた。

しかし…
この行為は、プライドと彼の想いを粉々に傷つけた。

怒りに満ちた彼が、予想を遥かにぶっ飛んだとんでもない行動に出る。それは、早かった。
翌日の事だった。

⏰:09/10/18 18:39 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#642 [あさか]
応援してます

⏰:09/10/18 21:18 📱:SH906i 🆔:rlIVzBVA


#643 [あき]
あさかさん、ありがとう!
――――――――

昨夜、深夜まで起きていたので、目覚めた時には、お昼を回っていた。しかし目覚めたからと言って、特に何があるわけでもない。

残業中とはいえ、社内で倒れたのはまずかった。おまけに、あの若手医師ったら、会社に提出する診断書に[過労とストレスによる…]なんて但し書きをつけたもんだから、上司は慌てふためいた。
詳しい事は、わからないけれど、このままでは、労働基準法なんちゃら…に引っ掛かるらしい。
入院を機に、貯まっていた有休を私に、ここぞとばかりに与えてきた。
お陰で、私は退院してからも、こうしてのんびりと暮らしている。

⏰:09/10/19 00:29 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#644 [あき]
かと言って与えられても、無趣味のしがない一人暮らしには、何もする事がない。
仕方なく、私は、休養と名のつくサボりに徹していた。
リビングに移動して、テレビを付けて、時折煙草をふかして、だらだらとするだけ。
入院生活からこっち、完全なる昼夜逆転生活だった。

今日もまた、そんな一日が始まると、そう思った時、一本の連絡が入る。

⏰:09/10/19 00:33 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#645 [あき]
出なきゃいいのに指が反応してしまう。
いつもいつも、私のこの弱さがまた同じ事を繰り返す切っ掛けになってしまうのは、解っているのに、どうしても反応をしてしまう。

――
『…はい』

《やっと電源入れたのか。もう昼だぞ。》

『……』

《昨日のメール何?》

『……』

《黙るんだ。》

『…もう無理だって…』

勇気を振り絞りそう言った。

⏰:09/10/19 00:40 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#646 [あき]
《俺は別れないぞ?》

『……』

携帯電話を耳から離そうとした。

《ふざけんなよっ!馬鹿にしてんのか!?別れ話はメールや電話でするもんじゃねーだろ!!》

『…じゃ、会いに来る?会って話したら、納得してくれる?』

無理な事はわかっていた。ただそう言っただけ。

もう怒鳴られる事にも慣れた。
そう感じながら、終話ボタンを押そうとした時―…

⏰:09/10/19 00:54 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#647 [あき]
《だから来てやったよっ!》

確かにそう聞こえた。
慌てて、また耳に当て直す。

『今なんて言った?』

なにか、とんでもない事を言われた様な気がして、聞き間違いかと、再度、聞き直す。

《だから、来たって言ってるだろ?》

『…どこに?』

《〇〇に。》
※私の住む地名


西条 祐介……
ぶっ飛びすぎ…

⏰:09/10/19 00:59 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#648 [あき]
―――――――

開けた玄関の前に見えるまだまだ信じがたい光景に、心臓がバクンと鳴った。

『どうぞ。散らかってるけど…』

『…俺の家よりか、いい部屋だな。』

『そう?これ履いて?』

この部屋に越した時、来客用にと用意したものの、そもそも来客なんて滅多にない為、使ったためしがないスリッパを彼に勧める。

棚の一番上。
私愛用スリッパと色違い…なおちゃん用スリッパを靴箱に隠したのがチラリと見える。
だけど、周囲をキョロキョロとしている西条さんは、それには気付かなかった。

⏰:09/10/19 01:32 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#649 [あき]
廊下を進み、リビングのドアを開き、彼を招き入れる。
ソファーに促して、彼がソファーに座るのを確認すると、私はキッチンに戻った。

『珈琲でいい?』

返事を聞きながら、ヤカンに火をかけて、100円均一で買った来客用客用のシンプルなマグカップを二つ準備した。

私が愛用しているカップは、また棚にそっと片付ける。
絵柄がとっても可愛くて、持ち手のデザインがちょっとお洒落で。
淡いピンクと、淡いブルーのペアマグカップ。これもまた、いつしか、片方は、なおちゃん専用となっていたマグカップ。

⏰:09/10/19 01:51 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#650 [あき]
西条さんに、後ろめたい気分になるけれど、やっぱり、あのスリッパも、このマグカップも、なおちゃん専用であり、たとえそれが[彼氏]である西条さんであっても、使いたくなかった。
マグカップを見つめ、この部屋には、所々に見え隠れするなおちゃんの香りがある事を改めて痛感する。
本来の[彼氏]の突然の訪問に、[友人]である、なおちゃん専用の隠しきれなかった代物はないかとビクリとしながら、リビングに座る見慣れない光景にただただ、戸惑っていた。

⏰:09/10/19 02:03 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


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