微妙な10センチ。〜最終〜
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#791 [あき]
【話にならない。】

走り書きで、なおちゃんに渡す。
なおちゃんは、無言でそれを見つめ、またさらさらと何やら書き出した。

【ごちゃごちゃ言わずに、はっきり言え。】

なおちゃんの目は、強く強く私を見守ってくれている。

私は、頷き、電話の向こう。私を非難し続ける西条さんに再び向き合った。

『だから、私が許せないんでしょ?だったら別れてくれればいいじゃん…。もういいって…』

⏰:09/12/14 01:04 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#792 [あき]
《はぁ??悪いのはどっちだよ!?開き直るのかっ?!》

西条さんの怒号に再び小さく小さくなった体。震える手を必死に押さえ、なおちゃんを見る。なおちゃんの口が

〈大丈夫だ〉
静かに動いた。
そして
〈頑張れ〉
そう動いた。

私は頷き、また大きく深呼吸をする。
負けない。そう思った。惨敗続けたこの勝負も。今は、なおちゃんがいる。

それだけで強くなれた気がしていた。

⏰:09/12/14 01:21 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#793 [あき]
『お願いだから、私を解放して下さい。…わ…私はっ…!!貴方の物じゃないの!!ちゃんと意思があるのっ!!もう別れてよっ!!!うんざりだしっ!!!』

その言葉を発した時、興奮したのか、何故か涙が溢れてた。
すぐに、なおちゃんの気配を感じる。

【よく言った。あとは、もう電話を切ればいい。】

そう走り書きをした後、ソファーの前にしゃがみこみ、震えながら、泣き出す私のヘタレっぷりを覗き込んでは、指差し笑っていた。

⏰:09/12/14 01:38 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#794 [あき]
《おまっ…!!何だその言い種っ…》

『だから別れるっ!!ばいばいっ!!』

慌てて電話を切る。
恐怖をソファーに投げ、逃げるように目の前にしゃがみ込んだ体に震える体を埋めた。

『大馬鹿者。』

すっぽり収まった私の体をそう言って、頭をポンポンと叩くその手は、優しくて暖かくて。また涙が出てきた。

『うぇ……ごめん……怖かったよぉ…』

『知るか』

そう言いながら、なおちゃんは、黙って私の震えを受け取めてくれていた―…

⏰:09/12/14 01:53 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#795 [あき]
――――――――

『…まただ…しつこい…』

『まじもんだな。』

『……うん。』

『はぁ。俺が出る?』

『却下。余計ややこしい。』

あの別れ話から、数時間。ソファーの上では、分刻みで、携帯電話が震えていた。見なくても相手は誰かわかる。
震える携帯電話をちら見しながら

『私、刺されるかな。』

『刺されちまえ。』

『……はい…すみません…』

さっきから、なおちゃんとは、こんな会話ばかり。

⏰:09/12/14 01:59 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#796 [あき]
西条さんは、もう意地になっているしか思えなかった。私と別れたくないんじゃない。
ただ、意地になっているだけ。

『…どうしよ…』

一向に、鳴り止まない携帯電話。

『さぁ。でも、このまま無視してたからって、収まるとは思えないけどな。』

『…私も思います…』
二人でそれを見つめる。


どうしろってんだよ!!くそーっ!!!

⏰:09/12/14 02:03 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#797 [あき]
西条さんが、諦める事はひとつ。聞いてきた過去の恋愛経験。
《俺さ、浮気されたら、もう許せない。》
彼の性格。異常な束縛心。それらを総合すると、やはりこれしかない。どうせ怒ってるんだ。怒り狂って、私が捨てられた事にすりゃ、話は早い。
《俺、女運なくて…いつも浮気されちゃう。》
まさかまさかだけれど?過去の彼女達も、もしかしたら、これが最終的手段だったのかもしれない。私が、挑もうとしている事で、今はそう思えてならないけれど。
どうせ傷付けたんだ。
とことん傷付けて、恨まれなきゃ。
私は西条さんからの呪縛も解けないし。
震える携帯電話を見つめ、西条さん自身にも申し訳ないような気がしてきた。

⏰:09/12/14 02:27 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#798 [あき]
『あの…』

この決断をなおちゃんに言うか言おまいか悩みながら声を発した。なおちゃんは、私の顔を見るなり、呆れたように笑った。

『はぁ…だから、俺は初めから言ったろ?』

『……でも…やっぱり、傷付けるよね。トドメ刺しちゃうよね…』

もじもじと、ライターを鳴らす私に、なおちゃんは、言った。

『だろな。』

『…これしかないのかな…』

『知らん。』

『………』

⏰:09/12/14 02:34 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#799 [あき]
携帯電話を見つめる。
相変わらず、分刻みで震え続けるそれは、西条さんの怒りでもあり、叫びにも聞こえた。
このままじゃいけない事だけは、わかる。

『……やる。』

『ほーか。』

携帯電話を握りしめ。
次の電話を待つ。
握りしめて直ぐ様、それは鳴った。

『鳴ったぞ?出るか?』

『よしっ…出る。』

なおちゃんの部屋で、ジャッジが着かなかった勝負。これが、本当の最終ラウンド。
心の中で、ゴングが鳴り響いた。

⏰:09/12/14 02:42 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#800 [あき]
―――――――

『はいっ。』

《…どうして電話に出ないんだよっ!!》

『…出先だって言ったしっ。それに、もう別にいいでしょっ!!関係ない!!』

先ずは、強気作戦。
しかし、相変わらずのびびりヘタレっぷり満開の私の手は、しっかりと、なおちゃんの膝を掴んでいた。

《…はぁ?本気なのか?》

『まだ言ってんの?本気だってば!!』

膝を握る手に力が入る。なおちゃんは、いてぇわとジェスチャー。
そして、貸せと手を差し出した。

⏰:09/12/14 02:47 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


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