微妙な10センチ。〜最終〜
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#257 [あき]
何もかもを失って、廃れて、泥のような生活をしていた頃に。何もかもを失った彼が現れた。
月日を重ねて出した答え。
《なおちゃんが好き。》
《ごめんな。答えてやれない…》
《友達でいようね〃》
《そうしような〃》
笑って言った十代最後の約束。
そして、彼は、私の前から消えた。
:09/08/10 02:07
:W65T
:AU/RUY7o
#258 [あき]
新しい恋をしようとした。幾度となく到来したチャンスを、自ら潰してきた。彼がまた現れた頃には
若干お肌の曲がり角。
お手入れ大変です。
なのに
私はやっぱり彼だけが好きだった。
《嫁…くるか?》
《まだ行けない。》
《なら、いい女になれっ!〃》
あの、涙の約束。
あの時、私は間違いなく幸せだった。
:09/08/10 02:14
:W65T
:AU/RUY7o
#259 [あき]
それが今になって。もはや、お肌も、ぐにゃぐにゃに曲がりきって。夜の蝶として飛び回っていたのが、嘘のよう。もう取り返しのつかない年齢…。
だからこそ?
気持ちが揺れ動いた。
なおちゃんをこのまま待っていいのか。
西条さんに託して新しい人生を歩くのか。
どちらも、一歩を踏み出す力を私には与えてくれない。こっちに来いよと、引っ張ってはくれないのだ。
どちらを選ぶかの選択肢は私に委ねられているように思えた。
それが、私なりの結論だった。
:09/08/10 02:30
:W65T
:AU/RUY7o
#260 [あき]
『…もしもしっ?』
《おうっ。生きてたのかっ。》
『生きてますっ!…今、いい?』
《んんっ?》
『最近どう?』
《特に変化なしっ。》
『私ね……』
:09/08/11 01:23
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:Dy86vzVI
#261 [あき]
《んんっ?》
『…私ね…プロポーズされた……結婚を前提に付き合ってって言われてる人がいるの。……私、どうしたらいい??』
お願い。
少しでいい。
少しだけでいいから…
アナタの気持ちを見せて?
:09/08/11 01:29
:W65T
:Dy86vzVI
#262 [あき]
卑怯だと思う。
本当に卑怯だと思う。
こんな事して…
試すような事して…。
だけど。
知りたかった。
アナタの気持ちを知りたかっただけ。
:09/08/11 01:32
:W65T
:Dy86vzVI
#263 [あき]
何でもいいから。
アナタの気持ちを見せて欲しかった。
またいつものように
くだらない理由をつけて。
今すぐ来いって…
言って欲しかった。
そしたら、私は救われた。もう迷わなかったのに。
:09/08/11 01:38
:W65T
:Dy86vzVI
#264 [あき]
《……良かったじゃんっ。〃》
アナタは笑って、そう言った。
そこには
動揺も、焦りも、怒りも。
何も見せてはくれなかった−…
:09/08/11 01:43
:W65T
:Dy86vzVI
#265 [あき]
『…うん。そだねっ…』
《あきもいい歳だし、最後のチャンスだろ。》
『うんっ。…そだねっ…』
《良かったな。》
『うん…』
そうなんだ…。
良かったんだ…。
なのに
どうして胸が痛いんだろう。
どうして、涙が溢れてくるんだろう。
ねぇ。なおちゃん。
どうしてなのかな…。
:09/08/11 01:50
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:Dy86vzVI
#266 [あき]
相変わらず、出勤しても、大した仕事は割り当てられず、唯一割り当てられた初歩的仕事、雑用、雑務を淡々とこなす。こんな日々にはもう慣れた。デスクの上、カレンダーを見る。西条さんが来るのは、二日後からの四日間。
小さくつけた丸印をなぞってみる。
あの後、新事実が発覚。
実質、彼の出張期間は二日間だった。
週末の二日間は、彼は、リフレッシュ公休としてそのまま、留まる予定となっていたのだ。
彼は初めから、この出張を利用して私の住む街に来るつもりだった。
だから、あの時あんなにも怒ったんだと、ようやく理解した。
:09/08/11 02:12
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:Dy86vzVI
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