微妙な10センチ。〜最終〜
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#631 [あき]
『貴方が、そっちで生きてきて作り上げた生活があるように、私にも18歳から過ごしてきて作り上げた生活があるの!』

《そんな事はわかってる!!》

『わかってないっ!!来いって言うのは簡単じゃんよっ!!言われてる方は、はいそうですか。じゃ行きます。で済む話じゃないんだってば!』

《そんな事言ってたら、いつまでも来れんだろうがっ!!》

『だから、待ってって言ってるじゃんかっ!どうして、直ぐに答えを欲しがるのよっ!!』

⏰:09/10/17 23:56 📱:W64S 🆔:e8FuzoDQ


#632 [あき]
《お前が、フラフラしてるからだろう!?》

『またそれ?私が何をしたって言うのよっ?毎日会社と家の往復だけじゃん!!』

《そうゆう意味じゃねーわっ!!》

『いい加減下らない妄想やめてよ!!妄想されて、毎日毎日怒鳴られて…たまんない!!
私にだって、仕事があって、付き合いがあるの!』

《ほらなっ!結局それだ!!付き合い付き合いって、チャラチャラしてるだろーがっ!それが気にいらねーって言ってるんだろ!!》

⏰:09/10/18 00:03 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#633 [あき]
西条さんは、もう歯止めが利かなくなっていた。
私の周囲に存在する、全ての異性に、嫉妬し、怒りに満ちた。
異性の友人なんて持っての他で。
相手がたとえ、ただの仕事仲間であったとしても、それが、たとえ父親程のオジサンでも、お爺さん程の還暦を過ぎた人でも。
許さなかった。
いや、許せないみたいだった。

今夜もまた、発端はそこだった。

⏰:09/10/18 00:10 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#634 [あき]
今夜、私はまた彼の逆鱗に触れたのだ。
些細な事だった。
街で偶然に出会した、取引先の課長さん。
推定年齢45歳。勿論妻子持ち。
仕事上よく顔を会わす、慣れたおじ様だ。
出会したからには、無視する訳にも行かず、私から声を掛けた。
軽い挨拶が、話は盛り上がり、一杯どうだと社交事例。
相手は取引先の課長さん。自分から声を掛けておいて、断る訳にも行かず、私は付いていった。
二時間ばかり、私は席を共にして、帰路についた。

⏰:09/10/18 00:20 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#635 [あき]
勿論、私にとって、この席は【会社人の付き合い】であり【個人の付き合い】ではない。
今後付き合っていく上での、互いの利益を考えての席なのだ。
二時間ばかし、ビールを飲み、焼鳥と数本つまみながら、世間話の中に仕事話を挟みつつ、円滑な関係を作り上げ、それではまた、と別れたのだ。
恐らく、今後、この課長と顔を合わした際には、スムーズに事が運ぶだろう。
この前はどうもなんて言いながら、焼き鳥美味しかったですなんて言いながら…
仕事はスムーズに終えられる。

⏰:09/10/18 00:30 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#636 [あき]
そう、そこには私情的感情は一切、蟻の脳みそ…いや、ミジンコの脳みそサイズもない。

確かに?
年功序列?
男女差別?

ビール一杯と、焼き鳥数本。
ご馳走にはなったけれど。

強いて言うならば、接待である。

【付き合い】

の何物でもない。

⏰:09/10/18 00:34 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#637 [あき]
しかし、やはりと言うべきか、西条さんには、私のこのやり方は通用しない。

【そんな仕事】をしている私が許せないのだ。

【そんな仕事】をしていからこそ、出会った私達で、【そんな仕事】をしている私と一週間の時間を共にして、私達は始まった。

職種は違えど同業者。
互いの仕事を十二分に理解し合え、だからこそ支え合えるはずだと、彼には求めたけれど、それは通用しなかった。

⏰:09/10/18 17:18 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#638 [あき]
そして、彼が私に求めるものは一つ。

彼の住む街に一人、彼だけの為に生きるあき。

である事だった。

私が、命懸けながら守り抜こうとした【仕事】を【そんな仕事】と呼び。

この街に一人生きて、苦しい時、悲しい時、支えてくれた【友人達】を【そんなもの】と呼んだ―…

ただ、彼の独占欲だけに、私の歩いてきた人生を奪おうとした。

⏰:09/10/18 17:30 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#639 [あき]
【本当に別れて下さい。もう無理。】

一方的に切られた電話に、初めて自らの言葉で伝える。

今夜は私から文章を一方的に送りつけて、携帯電話の電源を落とした。

今度は―…
今度こそは―…

そう誓う。

⏰:09/10/18 18:22 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#640 [あき]
私達の間には、幾度となく、俗に言う別れ話というのが、持ち上がってきた。

過去の切っ掛けは全て、私が《約束》という名の拘束に私が背いたという彼の怒りからであり、その彼が突発的に言い出した事がある。

怒りに満ちた彼に
怒りに満ちられる私。

私は頷くだけで、一方的に切られる電話。

切れた電話に、これで解放されると感じてきたのだ。

しかし翌日には、怒りが溶けた彼の、何事もなかったと言わんばかりの恒例電話。
これからは気をつけてくれたらいいから。
と言う、また一方的な彼の許してやるという言葉で、やはりかと諦める。いつも彼が中心であり彼の言葉が全て。
それの繰り返し。

⏰:09/10/18 18:30 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


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