微妙な10センチ。〜最終〜
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#637 [あき]
しかし、やはりと言うべきか、西条さんには、私のこのやり方は通用しない。

【そんな仕事】をしている私が許せないのだ。

【そんな仕事】をしていからこそ、出会った私達で、【そんな仕事】をしている私と一週間の時間を共にして、私達は始まった。

職種は違えど同業者。
互いの仕事を十二分に理解し合え、だからこそ支え合えるはずだと、彼には求めたけれど、それは通用しなかった。

⏰:09/10/18 17:18 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#638 [あき]
そして、彼が私に求めるものは一つ。

彼の住む街に一人、彼だけの為に生きるあき。

である事だった。

私が、命懸けながら守り抜こうとした【仕事】を【そんな仕事】と呼び。

この街に一人生きて、苦しい時、悲しい時、支えてくれた【友人達】を【そんなもの】と呼んだ―…

ただ、彼の独占欲だけに、私の歩いてきた人生を奪おうとした。

⏰:09/10/18 17:30 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#639 [あき]
【本当に別れて下さい。もう無理。】

一方的に切られた電話に、初めて自らの言葉で伝える。

今夜は私から文章を一方的に送りつけて、携帯電話の電源を落とした。

今度は―…
今度こそは―…

そう誓う。

⏰:09/10/18 18:22 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#640 [あき]
私達の間には、幾度となく、俗に言う別れ話というのが、持ち上がってきた。

過去の切っ掛けは全て、私が《約束》という名の拘束に私が背いたという彼の怒りからであり、その彼が突発的に言い出した事がある。

怒りに満ちた彼に
怒りに満ちられる私。

私は頷くだけで、一方的に切られる電話。

切れた電話に、これで解放されると感じてきたのだ。

しかし翌日には、怒りが溶けた彼の、何事もなかったと言わんばかりの恒例電話。
これからは気をつけてくれたらいいから。
と言う、また一方的な彼の許してやるという言葉で、やはりかと諦める。いつも彼が中心であり彼の言葉が全て。
それの繰り返し。

⏰:09/10/18 18:30 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#641 [あき]
だけど、今夜こそはと、電源を落とした携帯電話を眺めて、そう誓う。

初めての
私発信の《別離》

これで終われる。
そう思えた。

しかし…
この行為は、プライドと彼の想いを粉々に傷つけた。

怒りに満ちた彼が、予想を遥かにぶっ飛んだとんでもない行動に出る。それは、早かった。
翌日の事だった。

⏰:09/10/18 18:39 📱:W64S 🆔:.KfgSycM


#642 [あさか]
応援してます

⏰:09/10/18 21:18 📱:SH906i 🆔:rlIVzBVA


#643 [あき]
あさかさん、ありがとう!
――――――――

昨夜、深夜まで起きていたので、目覚めた時には、お昼を回っていた。しかし目覚めたからと言って、特に何があるわけでもない。

残業中とはいえ、社内で倒れたのはまずかった。おまけに、あの若手医師ったら、会社に提出する診断書に[過労とストレスによる…]なんて但し書きをつけたもんだから、上司は慌てふためいた。
詳しい事は、わからないけれど、このままでは、労働基準法なんちゃら…に引っ掛かるらしい。
入院を機に、貯まっていた有休を私に、ここぞとばかりに与えてきた。
お陰で、私は退院してからも、こうしてのんびりと暮らしている。

⏰:09/10/19 00:29 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#644 [あき]
かと言って与えられても、無趣味のしがない一人暮らしには、何もする事がない。
仕方なく、私は、休養と名のつくサボりに徹していた。
リビングに移動して、テレビを付けて、時折煙草をふかして、だらだらとするだけ。
入院生活からこっち、完全なる昼夜逆転生活だった。

今日もまた、そんな一日が始まると、そう思った時、一本の連絡が入る。

⏰:09/10/19 00:33 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#645 [あき]
出なきゃいいのに指が反応してしまう。
いつもいつも、私のこの弱さがまた同じ事を繰り返す切っ掛けになってしまうのは、解っているのに、どうしても反応をしてしまう。

――
『…はい』

《やっと電源入れたのか。もう昼だぞ。》

『……』

《昨日のメール何?》

『……』

《黙るんだ。》

『…もう無理だって…』

勇気を振り絞りそう言った。

⏰:09/10/19 00:40 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


#646 [あき]
《俺は別れないぞ?》

『……』

携帯電話を耳から離そうとした。

《ふざけんなよっ!馬鹿にしてんのか!?別れ話はメールや電話でするもんじゃねーだろ!!》

『…じゃ、会いに来る?会って話したら、納得してくれる?』

無理な事はわかっていた。ただそう言っただけ。

もう怒鳴られる事にも慣れた。
そう感じながら、終話ボタンを押そうとした時―…

⏰:09/10/19 00:54 📱:W64S 🆔:UVKG06YQ


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