微妙な10センチ。〜最終〜
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#70 [あき]
午後からの仕事もそつなくこなし…
というか、そもそも
まだまだ下っ端なのに、意に反して、現場を離れ知識だけを叩き込んでいる、しかも地方者の私より?
ベテランの粋に達するはずが、まだまだ現役で現場に立ち続けている、現地人の西条さんの方が
遥かに合理的かつ、スムーズかつ、何事にも詳しい訳で…
だけど、立場的には、私の方に権限がある訳で…
《…でいいですか?》
《…の方がいいと思いますが。どうしますか?》
私は結局、ただただ、言われる事に、うんうんと頷いているだけ。
彼に仕事をこなしてもらった。と言っても過言ではないのである。
そんな日中を過ごし、ホテルに戻ったのは、19時を回っていた。
:09/07/12 19:47
:W65T
:6jrEfyzs
#71 [あき]
『今日もお疲れ様でした。有難うございました〃』
車を降りる時、そう言った私に、運転席に座る西条さんは、にこりと笑って言った。
『携帯聞いてていいですか?』
初日に交換した私の名刺には、携帯までは印刷されていない。
個人情報保護法なんちゃらというやつのおかげらしい。
確かに、あと4日も一緒に組むのだから、彼の判断は的確。いつかは必要になるだろう。
私は、ポケットから携帯を取り出して、じゃ、鳴らしますねと笑って言った。
:09/07/12 19:55
:W65T
:6jrEfyzs
#72 [あき]
彼の携帯が短く鳴って、頂きました。と笑って言ったのを確認すると、私はまた、携帯をポケットにしまう。
『じゃ、明日も9時に迎えに来ます。』
『はい。宜しくお願いします〃』
走り去る車に、私は手を振って、フロントから鍵を受け取ると、また狭苦しい部屋に入った。
ポケットの携帯電話を、テーブルに置いて、重すぎる鞄を椅子に置いて。
ジャケットを脱いで…
バックから、もう一つの携帯を取り出した。
マナーモードを解除しつつ、そのまま、ベッドに転がって、しばらく睨めっこしてみた。念力すら込めてみる。
しばらくして、バカバカしくなって…
今夜も諦めた。
そして、あの夜からずっと。こうやって、心のどこかで、待ってる自分が、悲しくなった。
:09/07/12 20:12
:W65T
:6jrEfyzs
#73 [あき]
走り去る車に、私は手を振って、フロントから鍵を受け取ると、また狭苦しい部屋に入る。
ポケットの携帯電話を、テーブルに置いて、マナーモードに設定する。
重すぎる鞄を椅子に置いて。堅苦しいスーツを脱いで。さっと持参した部屋着に着替える。
パチンとテレビを点けて、タバコを一本吸って。
今日もお疲れ様。
と自分を労ってあげる。
そして…
バックから、もう一つの携帯を取り出した。
:09/07/12 20:16
:W65T
:6jrEfyzs
#74 [あき]
マナーモードを解除して、確認していく。
この時間が、一番至福の瞬間で、開放感に溢れる瞬間だった。
記された内容に、一件一件、返事をしながら、私自身の時間を楽しむ時間なのだ。
だけど最近は違う。
確認だけして、そのまま閉じる。返事する気分になれないのだ。
そして、ベッドに転がって携帯電話を見つめる。
なんなら少し念力まで送ってみる。
そして、諦める…
あの夜からずっと。
こんな事を繰り返す自分。心のどこかでは待ってる自分。
そんな自分に悲しくなる時間だった。
:09/07/12 20:26
:W65T
:6jrEfyzs
#75 [あき]
すると、テーブルに置いたマナーモードの携帯が、ブルブル震えた。
テーブルの上で震えるもんだから、不愉快極まりない異音を奏でている。
時計を見ると、19時30分を過ぎた頃。
ほんの30分前に、今日1日を終えた所なのに。
肩の荷物を下ろした所なのに。
こんな時、仕事関係者しかしらないこの携帯が震えるのは、ほんとに嫌だ。
だけど、無視を出来ないのが、また、仕事用携帯電話の特性だった。
私は仕方なくベッドから起き上がり、手に取った。画面を確認してみる。
:09/07/12 20:35
:W65T
:6jrEfyzs
#76 [あき]
―ピッ
『はい。○×です』(※名字)
11文字の数字が並ぶ相手に私は返事をする。
《お疲れ様です。西条です》
『ああっ!!お疲れ様でした〃』
しまった。
登録忘れてた〃
警戒むき出しで、出てしまったジャマイカ。
しかも、ああっ!とか言っちゃったし。
登録してない事、バレバレだし。
やる気あるのかって感じだしっ。
なんて、一人アタフタしてしまった。
:09/07/12 20:48
:W65T
:6jrEfyzs
#77 [あき]
『どうされました?〃何か変更ですか?』
無礼を取り繕うように、務めて明るい声を出して仕事モードに切り替えてみた。
《いえ。今の所はありません。飯、食いました?》
この無礼がバレてないのか、彼は、さらりと、わけの分からない質問。
『へ?いや…まだですけど。』
突然の質問に、私は、思わず答えていた。
なんて素直なお馬鹿ちゃんなんだろう。
:09/07/12 20:58
:W65T
:6jrEfyzs
#78 [あき]
《飯、ちゃんと食って下さいね!一応、業務連絡でした。》
『はぁ…わかりました。』
《あと、俺の番号は、せめて、この一週間位は登録しといて下さい〃》
『はっ…はい!〃ごめんなさいっ!』
《じゃ、お疲れ様でした。》
―プッ…プーップーッ…
ご飯を食べたか否かの確認業務?初めて経験する業務連絡電話は30秒で切れた。挙げ句にきっちり嫌み?だけを残されて?
西条 祐介。
恐るべし。
後々、この西条祐介は、もっと、驚くべきすご業を持ってくるが、それはもう少し後の話になる。
:09/07/12 21:06
:W65T
:6jrEfyzs
#79 [我輩は匿名である]
あげ(*^Д^)
:09/07/17 07:36
:P904i
:oIL4B.q.
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