微妙な10センチ。〜最終〜
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#737 [あき]
黒い闇に悪魔の声が聞こえる。その声に一瞬心が揺れた。揺れてそして。

『……最低…』

そう呟き、涙が溢れた。情けなくて悔しくて涙が止まらなかった。
この言葉は誰に向けられた言葉でもない。

(今までこんなに薬を飲んでんだから…飲み続ければ大丈夫…)

悪魔の…いや私自身の声が聞こえ、それに頷いたのも、また私自身。
おぞましい私自身
に向けた言葉だった。

⏰:09/11/17 22:53 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#738 [あき]
頭を抱え、溢れる涙をそのままに、ただひたすら言葉を吐き続けた。
今はただ、そうするしか出来なかった。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

本当は
気付いてた―…


あの時あの瞬間から。
起きるかもしれない奇跡に、覚悟をした筈なのに。

私は…
私という人間は…

⏰:09/11/17 23:19 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#739 [あき]
湧き出る感情は。

歓び

でも

希望でも

なく―…


恐怖。

であるという事が。

どうゆう意味なのか。

⏰:09/11/17 23:20 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#740 [あき]
そして今、現実になるかもしれないと思えば思う程。私は恐怖に怯えた。

それは
間違いなく。
その小さな奇跡を起こそうとした彼の想いへの裏切りだという事に。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

起きているのかもしれない0.1パーセントの奇跡を、瞬時に自分の保身の為だけに消そうとした事に。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

⏰:09/11/17 23:30 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#741 [あき]
『ごめんなさい…
ごめんなさい…』


とっくの前から
わかってたのに…
彼を突き放せなかった。
一人になるのが怖かった。

彼の心を裏切った。



『ごめん…ごめんね…』

信じてくれてたのに。
私の全てを受け止めてくれてたのに。

その一番大切で一番大好きな温もりを

裏切った。

⏰:09/11/17 23:49 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#742 [あき]
――――――――

―ピッ。

《んん?》


『あっ…あたしぃ〃』

《おうっ》

『あのね…あたしね疲れちゃって。でもね、すっごく苦しくて…』

《はぁ?》


『…助けて…なおちゃん…』


《おいっ。何言ってんの?あきっ!》

―――――――――

⏰:09/11/18 00:40 📱:W64S 🆔:6mvq7ihU


#743 [あき]
ただの鎮痛剤。

ペットボトルの空と
ありったけの白い錠剤の脱け殻。

それが、テーブルの上、乱雑に視界に広がっている。

バクバクする心臓とクラクラする頭に、ぼんやりと見つめていた。

見つめていたのに。


耳から伝わる、大好きななおちゃんの声で。


涙で滲んで
見えなくなった―…

⏰:09/11/18 00:50 📱:W64S 🆔:6mvq7ihU


#744 [我輩は匿名である]
あげ(^ω^)

⏰:09/11/19 12:50 📱:P904i 🆔:fI9Ge5BQ


#745 [我輩は匿名である]
(。・ω・。)

⏰:09/11/26 17:15 📱:P904i 🆔:fg2YixCw


#746 [あき]
――――――――

つんと鼻につく消毒液の部屋に、また私は寝かされてる。
数分前から白衣の天使が、私に繋がれた細い管の後片付けをしていた。

『体調はどう?起きれる?』

『…まぁ…』

『廊下で彼が待ってるわよ。もう心配かけちゃダメだからね。』

『…はぃ…』

硬いベッドから体を起こして、私は頭を下げた。
消毒液の臭いのする部屋を抜けて、しんと静まり返った廊下に出ると。
そこに、なおちゃんがいた。

⏰:09/11/28 03:14 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


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