別れさせ屋
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#651 [歩美]
たった1人、
新幹線で大阪へと向かう。
付き合ってた頃、
私が大阪に行ったことはなかった。
初めて会いに行くのが、
別れた後だなんてね。
しかも、
龍太郎には家庭がある。
だから会える保証もないし、
家庭に割り込む勇気は持ち合わせていなかった。
なぜ会いに行くのか。
それは私にもわからなかった。
でも、
『会いに行くしかない』
と思ったんだ。
:10/11/14 20:15
:F02A
:B8YkoYUY
#652 [歩美]
龍一には、
気分転換したいから一週間仕事を休んだ。
と連絡はしておいた。
責めるわけでもなく、
「ゆっくりしろよ」
と言う龍一。
まさか元彼に会いに行くなんて思ってもみないよね。
ごめんなさい・・・。
やがて、
新幹線は新大阪へ到着した。
大阪に知り合いは何人かいるけど、親しい間柄じゃないから会っていくつもりもなく、
あくまで目的は龍太郎だった。
誕生日プレゼントのお礼は言っておきたい。
:10/11/15 11:02
:F02A
:o5gk6qNc
#653 [我輩は匿名である]
すっげー面白い!
続き早く書けよ
:10/11/15 16:33
:PC
:☆☆☆
#654 [キララ]
更新待ってます


:10/11/15 23:38
:P03B
:WiBBWdjQ
#655 [歩美]
匿名さん
キララさん
ありがとうございます

:10/11/16 00:53
:F02A
:MbF4GZRQ
#656 [歩美]
メモしてきた龍太郎の住所を見て、駅員さんに行き方を訪ねる。
見慣れない電車を乗り継ぎ、
見慣れない景色を眺め、
龍太郎の家の最寄り駅らしき場所へ着いた。
駅に着くと、
ここでようやく緊張し始めた。
「まじで来てしまった。」
こんな心境だった。
行き交う人は関西弁。
まさか龍太郎も関西弁になってしまってるんだろうか。
:10/11/16 00:57
:F02A
:MbF4GZRQ
#657 [歩美]
ネックレスを握りしめ、
龍太郎の住所へとゆっくり歩き始めた。
今日、私の胸にあるのは、
龍一のネックレスじゃなかった。
龍太郎にもらったリングを通したネックレス。
徒歩でたぶん10分くらい経った。
メモとマンションの番地を何度も何度も確認する。
ここだ・・・。
そこは5階建てで、
普通のマンション
・・・じゃなく、
明らかにワンルームマンションだった。
:10/11/16 01:01
:F02A
:MbF4GZRQ
#658 [歩美]
マンションの下から見上げた各部屋のベランダは、
一つずつで狭い。
どうしてワンルームマンションなんだろう・・・。
1階の集合ポストで名前を調べる。
201号室。
メモと同じ部屋番号。
龍太郎の名前があった。
間違いない。ここだ。
でもなかなか階段を上がれなかった。
周りから見たらただの不審者だと思う。
:10/11/16 01:04
:F02A
:MbF4GZRQ
#659 [歩美]
どれくらい躊躇してか、
ようやく私は階段を登った。
201号室の前に立ち、
心臓なのかなんなのかわからない音を必死に押さえようとした。
でも音は激しさを増す。
死ぬ気でインターホンを押してみた。
ピンポン
応答はない。
今日は平日。
しかも真っ昼間。
仕事か・・・。
:10/11/16 01:07
:F02A
:MbF4GZRQ
#660 [歩美]
一分くらい待ってみたけど、
誰も出てこなかった。
ひとまずマンションを出て、
辺りをフラつき喫茶店に入った。
紅茶を頼み、一服した。
そして頭の中で整理した。
あのマンション、
龍太郎、
1人暮らしなんだろうか。
家族は?
家庭は?
離婚したとか・・・?
誕生日に突然の贈り物。
ワンルームマンションに住んでいる。
どう考えても離婚したんだと思った。
:10/11/16 01:11
:F02A
:MbF4GZRQ
#661 [歩美]
一家の主なら、
普通に考えて元カノに住所まで書いた贈り物なんてしない。
そっか。
龍太郎、離婚したんだ。
私は勝手に推測し、
龍太郎は離婚して独り身だと決めつけた。
大阪まで押しかけてきて良かった。
そう思った。
独り身なら、なおさら絶対に会って帰りたかった。
夜、
また部屋を訪ねようと思い、
時間を潰すことにした。
:10/11/16 01:17
:F02A
:MbF4GZRQ
#662 [774ch]
:10/11/16 06:00
:SH04A
:☆☆☆
#663 [我輩は匿名である]
面白いし気になる(^O^)
:10/11/16 07:19
:auSH3I
:JnfXjHoU
#664 [ゆず]
気になります

頑張って下さい

:10/11/16 18:49
:P03A
:iNZFmBBg
#665 [キララ]
:10/11/16 20:19
:P03B
:6FbzLgaA
#666 [
るぃ
]
:10/11/17 00:37
:SH01B
:nsgHG9oU
#667 [歩美]
時間潰しのために、
駅前にあったパチンコ屋に入り予想外の大当たり。
ツイてる(笑)
6時頃になり、
もう一度龍太郎のマンションへと向かう。
外から部屋を見ると、
まだ電気はついていなかった。
まだ帰ってないんだ・・・。
それから1時間ほど、マンションの下で待っていた。
少し遠くに、汚れた作業服姿の男が見えた。
:10/11/17 13:32
:F02A
:s6O0Fmxo
#668 [歩美]
私は立ち上がり、
目を凝らした。
向こうは携帯をいじっているため、
正面は見えないけど、
・・・龍太郎だ。
・・・会えた。
龍太郎は私に気付いた。
お互い動きは止まり、
まるで、
一瞬時間が止まったみたいだった。
龍太郎「えっ?えっ?・・・えーっっ!??」
龍太郎は相当驚いていた。
:10/11/17 13:35
:F02A
:s6O0Fmxo
#669 [歩美]
私「久しぶり。」
軽く笑ってみた。
龍太郎は挙動不審になっていたけど、ようやく状況を把握し、私の顔を両手で触ってこう言った。
龍太郎「本当に歩美か?」
それが面白くて思わず噴き出してしまった。
とりあえず龍太郎は部屋が散らかってるからと、私を連れて近くの居酒屋に向かった。
生ビールを2つ頼み、
龍太郎はタバコに火をつけた。
:10/11/17 13:39
:F02A
:s6O0Fmxo
#670 [我輩は匿名である]
気になる!やばい!
:10/11/18 00:24
:F02B
:wdMKK9Ww
#671 [我輩は匿名である]
:10/11/18 17:23
:SH01B
:R3GmigVM
#672 [歩美]
ビールが来るまでに、
タバコに火をつける龍太郎の横顔。
その顔は、
大好きだった横顔。
龍太郎と目が合い、
照れたように笑い、
すぐに目をそらす龍太郎。
変わらない彼がそこにいた。
目をそらした龍太郎はすぐに私の方を真っ直ぐ見て言った。
「本当に悪かった・・・」
まさか一言目で謝ってもらえるとは思わなかった。
:10/11/19 09:15
:F02A
:1jxOjSoA
#673 [歩美]
色々言いたかった。
めちゃくちゃに攻めたかった。でも私が選んだ言葉は、
「もういいよ。」
だった。
優しくそう答えた。
それは、龍太郎を嫌いになれていないという動かぬ証拠だった。
やがてビールが来て、
龍太郎が慣れたようにポンポン注文する。
私と付き合ってた頃、
頼んでた系統と変わらない。
ちゃんと私の好みも覚えていてくれた。
:10/11/19 09:18
:F02A
:1jxOjSoA
#674 [歩美]
諦めた小さな幸せがたくさんあった。
もう、龍太郎と横に並ぶこともないと思っていた。
この横顔を見ることも、
この声を聞くことも。
小さく乾杯し、
少しずつ料理が並ぶと共にお互い話し始めた。
龍太郎「離婚したんだ。」
龍太郎は私と別れてからの事を話してくれた。
結婚して、
たった1年で離婚したこと。
:10/11/19 09:23
:F02A
:1jxOjSoA
#675 [歩美]
理由は色々だと濁したけど、
問い詰めると一番の原因は、
嫁の浮気だとか。
元々お水だった嫁は、
よく龍太郎に黙って客と会っていたらしい。
そしてある日、
子供を連れて出て行った。
なんとか話し合うことになったけど、恐らく嫁と子供には、すでに他に住む場所があった。
そして龍太郎は嫁から恐ろしいことを言われた。
「この子も、ほんまにあんたの子かわからへんし」
どんなに辛かっただろう。
そんなこと言われて・・・。
:10/11/19 09:28
:F02A
:1jxOjSoA
#676 [℃゜]
すごい経験してますね!
age
:10/11/21 15:43
:re
:tXwQu6TY
#677 [歩美]
許せない。
大切な龍太郎を盗られて、
その上そんなひどい話・・・。
話題が話題だけに、
私たちは静かにしんみりと飲んでいた。
龍太郎「歩美は?
元気してたか?」
それもひどい質問だよ。
ボロボロだったよ。
私「大好きな人と別れて元気なわけないじゃんか(笑)」
冗談っぽく笑いながら言ったのに・・・。
:10/11/21 22:44
:F02A
:H0pw6/ys
#678 [歩美]
龍太郎は下を向き、
小さく言った。
龍太郎「ごめんな・・・。」
さらに空気は暗くなってしまった。あらあら。
私「でも会いに来て良かった♪プレゼント、ありがとう。」
微笑みながら言った。
龍太郎はホッとした感じで、少し笑ってくれた。
龍太郎「彼氏は・・・
そりゃ、いる・・・よな?」
私「い・・・るよ。」
:10/11/21 22:47
:F02A
:H0pw6/ys
#679 [歩美]
言ってしまった。
隠すつもりだったけど。
なぜ真実を話したのかわからなかった。
龍太郎「・・・だよな。
まさか元彼に会いに来たなんて言ってないよな?(笑)」
私「言ってないよ(笑)」
それからお互いにこれまでのことを話した。
龍太郎は順調に仕事も頑張っているみたい。
でも、まだしばらく大阪にいることになりそうとか。
私も、話した。
またホステスをしていることも。
:10/11/21 22:51
:F02A
:H0pw6/ys
#680 [歩美]
付き合い始めた頃みたいに、
ホステスという職業に嫌な顔はしなかった。
できないよね、そんな顔。
私と付き合ってたのに、
こっちのホステスとできちゃったんだもんね。
ダメだ。
思い出したくない。
今はまたこうして目の前に龍太郎がいるんだから。
忘れよう、
辛い過去なんて。
二時間くらい居酒屋にいて、
おあいそをした。
:10/11/21 22:53
:F02A
:H0pw6/ys
#681 [我輩は匿名である]
:10/11/25 05:31
:SH01B
:W9UYt1EE
#682 [歩美]
居酒屋を出て、
龍太郎の部屋に行くことになった。
龍太郎「うち寄ってけよ。」
って誘われた時はすごくドキドキしてしまった。
何かあるかもしれない・・・
ううん、
あってほしい。
そう思ったよ。
できることなら、
もう一度龍太郎に抱きしめられたかった。
叶うなら、
もう一度龍太郎を独り占めしたかった。
:10/11/25 07:37
:F02A
:aAeAn2Rg
#683 [歩美]
龍太郎「汚ぇんだけど気にすんなよ(笑)」
覚悟して部屋の中に入ると、
散らかってはいるけど、
そんなに驚くほどではなかった。
朝から仕事に行って、
疲れて帰ってくるだけという生活がにじみ出ているような、
シンプルな部屋だった。
一杯だけ、
とビールを開けて乾杯した。
ふと、視界に入った赤ちゃんの写真・・・。
:10/11/25 09:06
:F02A
:aAeAn2Rg
#684 [歩美]
あれはきっと龍太郎の子。
「自分の子かどうかわからない」赤ん坊の写真を、貼っている龍太郎のことがたまらなく健気に思えた。
私は突然後ろから龍太郎を抱きしめた。
龍太郎は何も言わない。
私も何も言わない。
静かすぎて、まるで時間が止まってるようだった。
:10/11/25 09:09
:F02A
:aAeAn2Rg
#685 [我輩は匿名である]
リアルタイムで読んでます

なんかドキドキで楽しいです
:10/11/25 09:13
:SH01B
:W9UYt1EE
#686 [歩美]
しばらくお互い黙ったのち、
龍太郎が言った。
龍太郎「泊まってけよ。」
私は龍太郎を抱きしめたまま、ちゃんとうなずいた。
龍太郎の
『泊まってけよ』が、
『泊まっていってほしい』
に聞こえたのは、
私が龍太郎のことちゃんと知ってるからだよ。
龍太郎のこと大好きだからだよ。
そう心の中で言った。
:10/11/26 01:31
:F02A
:PFHi43qE
#687 [歩美]
龍太郎がお風呂に入ってる間に、携帯を開いた。
龍一からのメールが一件。
いつもと変わらない内容。
簡単に翌日の予定を書き、
おやすみのメール。
いつも通り。
今まさに私が浮気してるなんて思いもしないよね。
私の気持ちが離れかかっていたのに気付いていても。
それが龍一なんだ。
お風呂からあがった龍太郎は、私が携帯を触っているのに気付き心配してきた。
:10/11/26 01:35
:F02A
:PFHi43qE
#688 [歩美]
龍太郎「彼氏・・・大丈夫か?」
パンツ一枚姿で、
タオルで髪をワシャワシャとふいてる龍太郎は妙に色っぽかった。
建築関係で引き締まった体、
厚い胸板。
私「大丈夫だよ。」
それ以降、彼氏の話はしてこなくなった。
そして、
私もシャワーを借りた。
:10/11/26 01:39
:F02A
:PFHi43qE
#689 [歩美]
――その日、久しぶりに龍太郎の腕の中で眠った。
私は言った。
『大好き』と。
龍太郎は言った。
『愛してる』と。
龍太郎はそんな言葉を言うキャラじゃない。
でも、付き合ってた頃と比べものにならないくらいに優しくて、強く私を抱いてくれたのはわかった。
浮気という形で、
龍太郎をまた抱きしめることができた。
:10/11/26 01:43
:F02A
:PFHi43qE
#690 [歩美]
――翌朝、
目が覚めると龍太郎はいなかった。
仕事に行ってしまった。
裸のままの自分に気付き、
昨夜の龍太郎の感触を思い出していた。
まるでドラマのような、
衝撃的な一晩だった。
携帯を開いた。
時間は10時をまわっていて、メールが二件。
一件は龍一から。
おはようメールだった。
:10/11/26 01:50
:F02A
:PFHi43qE
#691 [は〜たん♀]
この小説めっちゃ好きで いつも楽しみにしてます(≧∇≦)
更新頑張ってくださいね♪
:10/11/26 23:11
:SH004
:.PSepfFo
#692 [我輩は匿名である]
:10/11/26 23:14
:T001
:ELEhEvaA
#693 [我輩は匿名である]
:10/11/27 12:47
:F02B
:xYteNx9o
#694 [歩美]
:10/11/29 02:57
:F02A
:BNdaVEaQ
#695 [歩美]
20≫決着。 〜続き〜
何も知らない龍一からのおはようメールに、
ようやく罪悪感が湧いた。
でも、罪悪感はすぐに忘れてしまった。
龍太郎からのメール。
〈7時までには帰る。〉
ただそれだけの文章。
愛想もない。
でも、待ってていいんだ、って嬉しくなっちゃったよ。
あなたは私を喜ばせるのが上手だね。
:10/11/29 03:01
:F02A
:BNdaVEaQ
#696 [歩美]
夢なら覚めないでほしい。
でも一番の願いは、
龍太郎と別れる前に戻りたい。
こうやって大阪まで来ていれば、他のホステスなんかに盗られなかったかもしれない。
そしたら、
約束どおり、
今ごろ私は龍太郎の奥さんだったかもしれない。
幸せな日々だったかもしれない・・・。
悔しい。
とにかく悔しい。
:10/11/29 03:04
:F02A
:BNdaVEaQ
#697 [歩美]
昨夜、
ベッドで龍太郎が言った。
「ごめん」
何度も何度も。
「謝らないで」
って言ったら、
強く抱きしめてきた。
子供ができたなんて、
きっと龍太郎も複雑だったはずなんだ。
きっと私を想っててくれたはずなんだ。
本当に切ない再会。
:10/11/29 03:08
:F02A
:BNdaVEaQ
#698 [歩美]
私は近くのスーパーに買い物に行き、夜ご飯の支度をして龍太郎の帰りを待った。
肉じゃがを作った。
龍太郎に食べてもらうのは初めて。
家庭的な料理で迎えてあげたかった。
別れさせ屋は、
実は尽くすタイプなんです。
――7時。
龍太郎が帰ってきた。
私「おかえり」
龍太郎「おぉ。」
:10/11/29 03:11
:F02A
:BNdaVEaQ
#699 [歩美]
照れくさくて
「ただいま」
とは言わない龍太郎がまた妙に可愛かった。
それに、
本当は私が待ってるか心配だったと思う。
大阪に着いた時は、
宿泊する気なんて全くなかった。
朝、龍太郎からメールが入ってなかったらきっと帰ってた。
龍太郎とは、
昔からそういうタイミングやフィーリングが合う。
恋愛において最も重要だと私は思う。
:10/11/29 03:14
:F02A
:BNdaVEaQ
#700 [歩美]
龍太郎がシャワーを浴びてる間に、料理を並べておいた。
上がってきた龍太郎は驚いていた。
珍しく素直に感情をあらわにして、喜んでくれた。
龍太郎「うまい♪」
あぁー、たまらんこの笑顔。
持って帰りたーーい。(笑)
作って良かった。
いや違う。
会いに来て良かった。
本当に心底思った。
:10/11/29 03:17
:F02A
:BNdaVEaQ
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