星とぽんず
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#310 [七瀬]
お弁当の時間がやってきた。
もちろん林原とは気まずいし、一緒に食べてない。
アイツはどこで、誰と食べるんだろう?
またまた私はストーカーになることにした。笑
:09/03/04 15:49
:N703iD
:xIwV6ta2
#311 [七瀬]
歩志の後を着いていこう。
「何着いてきてんの?」
バレちゃいました。
廊下を歩いていた、歩志は軽くにらみながら言う。
蛇に睨まれるカエル
ってこういうこと?
:09/03/04 16:41
:N703iD
:xIwV6ta2
#312 [七瀬]
「俺と、ごはん食べたいなら、そう言えば?
ストーカーぽんずちゃん。」
私はぽんずちゃんから
ストーカーぽんずちゃんに
昇格?した。
何か言い返したかったけれど、アイツの言うとおりなので、黙って着いていった。
悔しいけど。
:09/03/04 16:44
:N703iD
:xIwV6ta2
#313 [七瀬]
着いた先は、中庭。
相変わらず、男だらけ。
お日さまいっぱいの光が差し込んでいる。
花草もたくさんで、楽しくなる。
人気なワケは分かる。
でも女の私には、かなりキツいし男臭い。
:09/03/04 23:00
:N703iD
:xIwV6ta2
#314 [七瀬]
そんなことは構わずに歩志は、どんどん奧へと進んで行く。
ちょっとぐらい待ってくれてもいいのに。
冷たい奴。
そういえば、昨日もここに来てたよね。
なんで、わざわざこんなとこで、
ごはんを食べるんだろう。
食欲湧かないじゃん。
:09/03/04 23:04
:N703iD
:xIwV6ta2
#315 [七瀬]
すると、歩志はまた一番端っこのイスに座って、お弁当を食べ始めた。
また何か見てる。
私も歩志の隣にちょこんと座った。
『何、見てんの?』
無視ですか、歩志クン。
:09/03/04 23:07
:N703iD
:xIwV6ta2
#316 [七瀬]
私は、仕方なく歩志の真剣な目線と同じところに目を向ける。
技術室?
歩志の目先には、窓から見える技術室。
中では機械たちが、規則的に動いてるのが、ちょっとだけ見えている。
:09/03/04 23:11
:N703iD
:xIwV6ta2
#317 [七瀬]
すると、しばらくして機械は止まった。
先生たちが機械の様子を見ていることから、
定期検査でも、しているんだろうか。
私は初めて見る技術室に、胸が高鳴った。
歩志は、機械が止まったのを確認すると、
お弁当に目を戻した。
:09/03/04 23:16
:N703iD
:xIwV6ta2
#318 [七瀬]
『ね、なんで技術室見てたの?』
「…。」
またまた無視。
『ねぇ!ねぇってば〜!!』
ムキになる私。
そんな私を、スルーし続ける歩志。
『もう!歩志!!なんで無視するのよ!』
とうとうキレてしまった。
:09/03/04 23:20
:N703iD
:xIwV6ta2
#319 [七瀬]
「プッ、ハハハハハ…。」
いきなり笑いだす歩志に、訳の分からない私。
何笑ってんの、こいつ!?
余計に腹が立つ。
私はすねて歩志に背中を向けた。
「ごめんごめーん。
いや〜。初めて俺の名前呼んだなぁ、と思って。」
振り返って、歩志を見る私。
:09/03/04 23:25
:N703iD
:xIwV6ta2
#320 [七瀬]
「なんなの、その目。
そんな怒らなくってもいーでしょ?ぽんずちゃん。」
歩志を睨んだ。
すると歩志は私の顔に、これでもか!
ていうくらいに顔を近付け言った。
「ちょっと意地悪してみたくなっただけ。」
こいつってやつは〜!!
:09/03/04 23:29
:N703iD
:xIwV6ta2
#321 [七瀬]
私は多分、ゆでタコみたいに真っ赤だったと思う。
「かーわいっ」
そういってアイツは、顔を戻し、またお弁当を食べ始めた。
なんなんだ、アイツは。
ドキドキうるさい胸。
なんなんだ、この気持ちは。
:09/03/04 23:33
:N703iD
:xIwV6ta2
#322 [七瀬]
あれから私は何も言えなくって、
時間だけが過ぎた。
歩志も何も言わずに、
ドキドキしっぱなしの私を見て、喜んでた。
アイツは本当の悪魔だ。
そのおかげで、私はお弁当の味がよく分からなかった。
:09/03/05 16:17
:N703iD
:k5.OS8TM
#323 [七瀬]
6限目の技術。
マッキーが私を睨んだ。
殺されるかと思った。
今も生きた心地がしない。
とりあえず
生きているけど……。
:09/03/05 16:22
:N703iD
:k5.OS8TM
#324 [七瀬]
マッキーは教室に入ってきた時から、異様な雰囲気だった。
日直が起立を言おうとした時、
「この中に俺の授業に文句がある奴がいるようだ。」
と言った。
教室が凍った瞬間だった。
ヤバっ!
私はマッキーから顔を背ける。
:09/03/05 16:26
:N703iD
:k5.OS8TM
#325 [七瀬]
顔を背けていても、マッキーが私を睨んでいるのが分かる。
マッキーの眼力は強烈だ。
うぅ〜。
どうしよぉ。
ビビりまくる。
だって、めちゃくちゃ怖いんだもん!!
:09/03/05 16:29
:N703iD
:k5.OS8TM
#326 [七瀬]
「そいつは、俺が技術室に連れていかないのが気に入らないらしい。」
もう終わった。
私の人生は終わってしまった。
「…が、
俺に意見するなんて、良い根性しているじゃないか。」
あれ?
助かった??
:09/03/05 16:44
:N703iD
:k5.OS8TM
#327 [七瀬]
「その根性に免じて、今回は許してやろう。」
とりあえず助かったみたい。
やっぱ技術室には連れてってくれないのかな?
ま、命があっただけ良かったよね。
贅沢は止めとこ。
:09/03/05 16:47
:N703iD
:k5.OS8TM
#328 [七瀬]
「だから今日は、お前らに技術室に連れてってやる、チャンスをやろう。」
チャ…ンス……?
うそ!
あのマッキーが?
やった、やったー!!
教室からも、嬉しそうな声が飛びかっていた。
教室中が歓喜に浸っていた。
なのに…。
:09/03/05 16:52
:N703iD
:k5.OS8TM
#329 [七瀬]
マッキーは何かを配り始めた。
前から後ろの私の席まで、送られてくる。
鉄?
それは長さ50センチくらい、太さは5センチくらいの鉄の棒だった。
なにこれ。
:09/03/05 17:15
:N703iD
:k5.OS8TM
#330 [七瀬]
みんなポカーンとしてる。
私もその一人。
「お前らは、これで“ぶんちん”を作ってくれ。」
は?
ぶんちん……??
ぶんちんって
何ですか?
:09/03/05 17:19
:N703iD
:k5.OS8TM
#331 [七瀬]
前の歩志は真剣な様子。
『“ぶんちん”ってなぁに?』
「は?お前、ぶんちんも知らねぇの?」
『…うん。
だから!“ぶんちん”って何なのよ!!』
「小学生の時に使ったろ。書道の時間に。」
呆れたような歩志。
:09/03/05 17:52
:N703iD
:k5.OS8TM
#332 [七瀬]
あぁ、なんだ。
あの書道の時に、紙がズレないようにするために、置くやつのことかあ。
歩志に言われ、
ようやく“ぶんちん”という平仮名が
“文鎮”という漢字になった。
…でも、どうやって作るんだろう。
新たな謎が生まれた。
:09/03/05 17:57
:N703iD
:k5.OS8TM
#333 [七瀬]
「じゃ、今日はそれをどうやって文鎮にするのか、考えてろ。
考えが固まったら、俺のところへ来い。
技術室へ連れてってやるよ。」
マッキーはそれだけ言うと、出ていってしまった。
どうしよ。
全然わかんない。
:09/03/05 18:02
:N703iD
:k5.OS8TM
#334 [七瀬]
私は机の上で、ただの鉄を転がしてみる。
丸まっていて、よく転がる。
これを四角くしなきゃなぁ。
それに取っ手もいる。
その前に、もっと短く細くしなくっちゃ。
これじゃ、長すぎる。
考えれば考えるほど、やらなければならない試練が増えてゆく。
:09/03/05 18:05
:N703iD
:k5.OS8TM
#335 [七瀬]
20分ほど、鉄の棒とにらめっこ。
ダメだ。
ほんとわからない。
周りを見てみると、みんなも同じのようだ。
ジーっと、にらめっこ中。
少し安心した。
でも前のヤツは、周りと違って、分かったように余裕な感じ。
:09/03/05 18:08
:N703iD
:k5.OS8TM
#336 [七瀬]
『ねえ、分かったの?文鎮の作り方。』
「ん、まぁ大体な。」
『どうやって!?』
「そんなもん自分で考えろ。」
冷たいなあ。
でもうらやましい。
ほんとに分かったのかな?
:09/03/05 18:12
:N703iD
:k5.OS8TM
#337 [七瀬]
『鉄を溶かすの?』
「それじゃ、取っ手が出来ないじゃん。」
『じゃあ打つの?』
「それじゃ、やっぱり一回は溶かさないとダメだしー。」
はぐらかす歩志。
『もう、教えてよっ』
:09/03/05 18:14
:N703iD
:k5.OS8TM
#338 [七瀬]
「しょーがないなぁ。教えてあげる。
みんなには内緒だよ?ぽんずちゃんだけだから。」
うん、と頷く。
「削るんだよ。」
削る…?
:09/03/05 18:43
:N703iD
:k5.OS8TM
#339 [七瀬]
『削る……
ってどうやって?』
「もー、教科書185ページ開いてみ?」
『……教科書忘れた。』
「はぁ。」
歩志は本当に呆れたように、机に手を入れた。
「はい、どうぞ。」
『…ありがと。』
歩志の出してくれた教科書を見る。
:09/03/05 20:53
:N703iD
:k5.OS8TM
#340 [七瀬]
そこには、カンナの写真。
カンナは木の面を削って、平らにする大工道具。
でも、これは鉄だよ?
というように、歩志を見る。
「鉄とかの金属を削るカンナもあるんだよ。」
私の思いを感じ取ったらしく、そう教えてくれた。
そうなんだ。
:09/03/05 23:56
:N703iD
:k5.OS8TM
#341 [七瀬]
私は木を切ったり、それで何かを作ったりするのは得意。
だけどそれ以外は、ほとんど無知で、こんな道具があることさえ知らなかった。
機械について勉強したいと思ったのも、おじいちゃんに影響されただけだし。
恥ずかしくなる。
こんなことで、技術に自信があったなんて。
:09/03/06 00:01
:N703iD
:T7heHAt6
#342 [七瀬]
でも、
なんでこいつは、こんなに詳しいんだろう。
学校を1日も休んでいない私と、
1週間以上、出遅れている歩志。
何が、こんなにも差をつけるのだろう。
思い切って聞いてみる。
『なんで、こんなに詳しいの?』
歩志の切れ長の目をジッと見つめた。
:09/03/06 00:06
:N703iD
:T7heHAt6
#343 [七瀬]
歩志は見返してくる。
思わず吸い込まれそう。
見とれていると、
「俺んち、
オヤジが大工。」
へぇ、そうなんだ。
「学校に1週間以上、来れなかったのも、
オヤジを手伝ってたから。」
歩志はすごい。
:09/03/06 00:11
:N703iD
:T7heHAt6
#344 [七瀬]
「うちのオヤジ、今近所の家を建て直してんの。
昔、オヤジが建てた家なんだけど、だいぶボロが来ちまったみたいで。
そんで、人手が足りなかったから俺が手伝ってたワケ。」
そういう歩志は、とても誇らしげだった。
『自慢のお父さんなんだね。』
私は優しい気持ちがあふれ出て、
自然と口が動いていた。
:09/03/06 00:15
:N703iD
:T7heHAt6
#345 [七瀬]
歩志はちょっと驚いてたけど、
「まーな。」
と笑った。
あの温かい目で。
まるで、パズルのピースが一つ一つ埋まっていくように、
歩志のことを知ると、
私まで心が温かくなる。
なんか幸せ。
:09/03/06 00:19
:N703iD
:T7heHAt6
#346 [七瀬]
「だけど、
うちのオヤジは頑固者で、未だに機械もほとんど使わず、手作業でやってる。
だから、俺がオヤジのために勉強しよっかなと思ってこの学校に入った。」
歩志は照れてた。
「ま、オヤジには
そんなもんはいらーん!
って怒られちまったけどな。」
白い歯を見せて、ニカッと笑う歩志。
:09/03/06 00:23
:N703iD
:T7heHAt6
#347 [七瀬]
それから、やり方の分かった私たちは、マッキーの元へ。
「ほぉ、本当に分かったのか?」
マッキーは信じられない様子。
私は念願の技術室へ行けるので、心が浮き足立っていた。
歩志は真剣だった。
:09/03/06 07:10
:N703iD
:T7heHAt6
#348 [七瀬]
『わー、めちゃくちゃ広ーい。』
「当たり前じゃないか、松田。
ここには、たくさんの機械があるんだからな。」
『へぇー!!』
私は機械に手を触れようとした時、
「こらっ!」
マッキーの怒声。
「勝手に触んな!」
『ごめんなさーい。』
:09/03/06 07:15
:N703iD
:T7heHAt6
#349 [七瀬]
「お前ら、どうやって文鎮を作る気?」
歩志の言う奴だと、機械は一切使わないしなぁ。
なんかつまんない。
嘘ついちゃおっかなぁ。
『はい、機械を使って……』
「カンナ貸してください。」
歩志の声に遮られた。
:09/03/06 07:19
:N703iD
:T7heHAt6
#350 [七瀬]
マッキーの目が光った。
「ちょっと待ってろ。
松田、何も触んじゃねぇぞ。」
『は、はいっ!!』
マッキーは技術室の奧へと消えてった。
「嘘、つくなよ。」
歩志の冷たい目。
『…ごめんなさい。』
:09/03/06 07:22
:N703iD
:T7heHAt6
#351 [七瀬]
すると、笑顔に戻って
「安心しろ。すぐに俺が、技術室に行けるようにしてやるよ。」
ドキッ!
心臓が一気に跳ねた。
『わ、私も頑張るし!』
「カンナ使うの初めてでしょ?
ぽんずちゃんには難しいよ。」
:09/03/06 07:27
:N703iD
:T7heHAt6
#352 [七瀬]
『木には使ったことあるもん。』
「あー、全然違うよ。
ザラザラしてるし、もっと堅いし。」
なんか意地悪?
冷たくなったり、
優しくなったり、
意地悪になったり…。
歩志は忙しいなぁ。
と笑う私。
:09/03/06 07:31
:N703iD
:T7heHAt6
#353 [七瀬]
「何笑ってんの?」
『べーつにっ!』
「本当になんで?」
『だーからっ!何でもないって!!』
今度は私が意地悪をしてやる。
ざまあみろ。笑
歩志は自分はするのに、されたら必死。
:09/03/06 07:34
:N703iD
:T7heHAt6
#354 [七瀬]
しばらくして、マッキーがカゴを持って出てきた。
「正解。」
そういってマッキーは、私たちを連れて、技術室から出た。
どこに行くんだろう?
連れていかれた先は、体育館だった。
:09/03/07 01:46
:N703iD
:ml8DPkWM
#355 [七瀬]
「ここで作業しろ。」
とマッキーが言った。
『えーっ!技術室でじゃ、ないの!?』
「ボケ。
大切な機械がたくさんあるところにお前らを放っておけるか。」
『そんなぁ。』
私とマッキーが、こんなやりとりをしている中でも、
アイツは真剣な眼差し。
:09/03/07 01:52
:N703iD
:ml8DPkWM
#356 [七瀬]
「じゃーなぁ。」
マッキーは、そう言って出ていった。
もう!!
とふてくされる。
私が、そんなことをしている間にも、歩志は作業に取り掛かっていた。
さっきと違って、全然しゃべらない。
私もやろうかな。
歩志の横に座った。
:09/03/07 01:58
:N703iD
:ml8DPkWM
#357 [七瀬]
…といっても、
やり方分かんないし!
仕方なく、歩志の作業を観察する。
やっぱりカンナで鉄を削ってる。
よぉーし!
私もやってみよう!!
見よう見まねで、鉄とカンナを手に持つ。
頑張るぞぉー!
:09/03/07 02:01
:N703iD
:ml8DPkWM
#358 [七瀬]
1時間…、
いや2時間が経ったんじゃないだろうか。
私の作業は全然、進んでいない。
ってゆーか飽きた。
だって、ずーっと同じことばっか、してるんだもん。
ずっと削りっぱなし。
もう手が痛い。
肩も凝ったし。
:09/03/07 02:04
:N703iD
:ml8DPkWM
#359 [七瀬]
これ、かなり地味で地道な作業。
ほんとに、ただ削るだけ。
ほんとに堅くって、木と全然違う。
もうやだ。
横の歩志を見ると、まだやってる。
飽きないのかな?
手は痛くならないの?
肩は?
:09/03/07 02:09
:N703iD
:ml8DPkWM
#360 [七瀬]
そんな疑問が生まれた。
きれいな横顔に汗が、滝のように流れている。
私は拭いてあげたくなったけれど、出来なかった。
歩志は、私とは違う。
劣等感を覚えた。
軽い嫉妬みたいな感情。
でも、甘くてほろ苦さが胸に染みた。
:09/03/07 02:13
:N703iD
:ml8DPkWM
#361 [七瀬]
「おーい。起きろ。」
『んっ…』
ん!?
「お前、いつまで寝てんの?」
『歩志…。あれ、私……?』
「あれから、寝てたんだよ。ずーっと。」
:09/03/07 17:18
:N703iD
:ml8DPkWM
#362 [七瀬]
『えぇぇえ!?』
私は起き上がる。
体育館の外は、日が暮れて暗くなっていた。
『今、何時…?』
「7時過ぎ。」
『うそっ!!早く帰らないと!』
慌てて起き上がる。
っていうか、
『なんで起こしてくれなかったの!?』
:09/03/07 17:23
:N703iD
:ml8DPkWM
#363 [七瀬]
「だって、俺は作業に没頭してたし。
お前も気持ち良さそうに寝てたし。」
うぅ…。
今から帰ったら、8時半過ぎるじゃん。
「しゃーねぇなあ、送ってやるよ。」
『え、いいの!?』
「うん。」
こうして歩志に送ってもらうことになった。
:09/03/07 17:29
:N703iD
:ml8DPkWM
#364 [七瀬]
二人で学校を出た。
「すごい爆睡してたね、ぽんずちゃん。
ヨダレだらだら。」
『もうっ!言わないでよっ!!』
駅に着いた。
「ぽんずちゃんは、どこで降りるの?」
『私は、この駅。』
切符売場の上の表に指を差して言った。
:09/03/07 22:44
:N703iD
:ml8DPkWM
#365 [七瀬]
「じゃあ、俺と反対方向じゃん。」
『へぇ、送ってくれてありがとう。
じゃっ、また明日!』
切符を機械に通そうとした瞬間……。
「待って!」
振り向くと、
「家まで、送るよ。」
:09/03/08 01:03
:N703iD
:PY5xI9.2
#366 [七瀬]
『え…。』
「送るよ。」
『い、いいよ!
悪いし!!歩志が帰るの遅くなっちゃうよ。』
すると歩志は
「いーよ。
女の子を夜道の中、一人で歩かせるような男じゃないし。」
そういって、強引に切符を機械に入れた。
:09/03/08 01:06
:N703iD
:PY5xI9.2
#367 [七瀬]
「ぽんずちゃんも一応、女の子だしね〜。」
『一応じゃないっ!
かわいいかわいい女の子ですっ!』
「ハハハっ」
そう無邪気に笑う歩志。
ムカつくけど、うれしい。
ダメだ。
どんどん歩志にハマっていく。
:09/03/08 01:10
:N703iD
:PY5xI9.2
#368 [七瀬]
「松田…?」
『林…原。』
私はとっさに歩志の後ろに身を隠していた。
:09/03/08 01:13
:N703iD
:PY5xI9.2
#369 [七瀬]
「久しぶりだな。」
目を反らしながらいう林原。
そんな目、しないでよ。
「そいつ誰?」
林原が歩志を見て言う。
あの時の林原と同じ。
喧嘩した日の林原と。
怒ってる。
でも、その中で淋しそうに瞳が揺れてた。
:09/03/08 01:17
:N703iD
:PY5xI9.2
#370 [七瀬]
私は何も言わない。
言えない。
何も言わずに黙っている。歩志も、私も、
林原も。
かなり気まずい。
その時、林原が
「柚子っ!」
:09/03/08 01:20
:N703iD
:PY5xI9.2
#371 [七瀬]
柚子……?
今、林原が
“柚子”って呼んだ?
呼んだよね。
私の耳、間違ってないよね。
思わず疑ってしまう。
だってあの林原が、こんなうわずった声で
“柚子”って呼ぶんだよ?
:09/03/08 01:23
:N703iD
:PY5xI9.2
#372 [七瀬]
林原は私に背を向けた。
「悪かった。」
後ろを向いていたから、林原がどんな顔してるかは見えなかった。
ただ小さな林原の肩が小刻みに震えているだけ。
もう我慢できない。
ここから逃げ出したい。
:09/03/08 01:27
:N703iD
:PY5xI9.2
#373 [七瀬]
「ほんとごめん。
あの時、お前があんなこと聞くから…。
つい焦っちまって。
でもなこれだけは聞いてくれ。
俺がJ高を止めて、G高にしたのは、
また、お前と一緒に3年間過ごしたかったから。」
:09/03/08 01:30
:N703iD
:PY5xI9.2
#374 [七瀬]
「俺は、松田…、
柚子のことが……」
「まあ、林原クン。
柚子うれしいわぁー!!」
:09/03/08 01:32
:N703iD
:PY5xI9.2
#375 [七瀬]
「どうしたの?林原クン。振り向いた顔もかっこいー。柚子、大好きー!」
「お前…。
八田歩志だろ?」
「なーんだ、知ってたんだ。ぽんずちゃんにわざわざ、聞かなくても良かったじゃん。
それとも何?
あいつの口から聞きたかったの?
“歩志はただの友達だよ”って。」
:09/03/08 01:37
:N703iD
:PY5xI9.2
#376 [七瀬]
「ぽんずちゃんなら、さっきの電車に乗って帰っちゃったよ?」
「柚子にちょっかいだすな。」
「ぽんずちゃん、さっき泣いてたよ?
あんたにそんなこと言われたくない。
ね、林原クン?」
「お前…っ!」
「暴力はんたーい。
じゃあねー、林原クンっ!」
:09/03/08 01:44
:N703iD
:PY5xI9.2
#377 [七瀬]
「ばいばーい。」
「なんなんだよ、あいつ。
八田歩志……。
柚子、ごめんな。」
:09/03/08 01:46
:N703iD
:PY5xI9.2
#378 [七瀬]
電車に乗った瞬間、溜めていた涙があふれ出た。
周りの人たちが、じろじろ見てたけど、
そんなこと、どうでも良かった。
『ぐずっ、うぅ〜。』
泣いても泣いても、枯れない涙。
私はいつから、こんなに泣き虫になったんだろ。
:09/03/08 01:51
:N703iD
:PY5xI9.2
#379 [七瀬]
今日も、また1日が始まる。
私はどうなるんだろうか…。
「今日のラッキーさんは、おひつじ座のあなた。
何事もスムーズにいく1日。あなたの勇気が運命を動かす日となるでしょう。
ラッキーカラーは赤。」
テレビの前のアナウンサーが、はつらつと言う。
:09/03/08 03:21
:N703iD
:PY5xI9.2
#380 [七瀬]
ほんとかな?
おひつじ座の私はテレビをガン見。
ほんとだといいな。
少し期待してしまう。
淡い希望と昨日から固めた覚悟を胸に学校へ出発。
占いで言ってたような、1日になりますように…。
:09/03/08 03:24
:N703iD
:PY5xI9.2
#381 [七瀬]
あ〜、学校に行きたくない。
電車から降り、学校への道のりの中、思ってしまう。
昨日、布団の中で1日かけて固めた覚悟は、もろかった。
そのおかげで、一睡もしなかった。
寝てないのと、泣いたので、私の目は腫れて、ブサイク丸出し。
:09/03/08 03:29
:N703iD
:PY5xI9.2
#382 [七瀬]
行きたくない理由は2つ。
1つは、やっぱりまだ林原に会いたくない。
2つ目は、
歩志に会いたくない。
正確に言うと、どういう顔で会っていいのか分からない。
:09/03/08 03:31
:N703iD
:PY5xI9.2
#383 [七瀬]
だって、
昨日の私は、
歩志に家まで送ってもらう約束をした。
なのに結局、私の都合で、勝手に帰ってしまった。
バイバイも言わずに。
怒ってるかな?
怒ってるよね……。
歩志のせっかくの善意を踏みにじってしまったし。
:09/03/08 03:35
:N703iD
:PY5xI9.2
#384 [七瀬]
階段を上る、足取りは重たい。
歩志だって、きっと謝れば、許してくれるよね。
よし、素直に謝ろう。
“昨日はごめん”
って。
:09/03/08 03:39
:N703iD
:PY5xI9.2
#385 [七瀬]
ガラッ。
気合いを入れて、勢い良く教室のドアを開けた。
…はずなのに、
歩志は、まだ来ていなかった。
いつもは、私が来るころには席に着いて、窓の外見てるのに。
注入した気合いは、すっと抜けてしまった。
:09/03/08 03:43
:N703iD
:PY5xI9.2
#386 [七瀬]
なぁんだ。
私は席に着く。
歩志がいなくてヒマだったからか、
それとも謝るつもりが予定が狂ってしまったからか。
机に頬杖をつく。
昨日のことを思い出していた。
昨日の夜は……。
:09/03/08 03:46
:N703iD
:PY5xI9.2
#387 [七瀬]
“柚子っ!”
昨日の林原の声。
今、思い出しても全身が熱くなる。
今まで、ずっと
“松田”とか“お前”
だったのに、
急に下の名前で言うんだもん。
びっくりするし、
なんか照れる。
:09/03/08 12:58
:N703iD
:PY5xI9.2
#388 [七瀬]
“悪かった。”
この言葉を聞いたあと、涙がどんどん溜まっていた。
林原が謝ってくれて、
せっかく仲直りが出来そうだった。
なのに、なぜかうれし涙ではなくって、
悲しくって涙が出た。
うれしいはずなのに。
:09/03/08 13:02
:N703iD
:PY5xI9.2
#389 [七瀬]
私の小さな涙に気付かれたくなくて、
逃げてしまった。
あの後、林原が何か言ってたような気がするけど、
私の耳には届かなかった。
何、言ってたんだろう?
ガラッ
:09/03/08 13:05
:N703iD
:PY5xI9.2
#390 [七瀬]
『歩志!!』
「何?どうしたの??
ぽんずちゃん。」
あれ、怒ってない?
『昨日はごめんね。』
「は、何が?」
『先に帰っちゃって…。』
「別にいいよ。それくらい気にしなくって。」
:09/03/08 13:09
:N703iD
:PY5xI9.2
#391 [七瀬]
あれれ?
なんか優しい。
「それより昨日は、きちんと帰れた?」
『うん。帰れたよ。』
「そっか、じゃ良かった。」
やっぱり優しい。
:09/03/08 13:16
:N703iD
:PY5xI9.2
#392 [七瀬]
いつもなら
“あっそ。”
とか冷たい態度か、
“ぽんずちゃんは女の子じゃないもんね。”
とか意地悪なこと言うのに。
まるで別人。
戸惑ってしまう。
怒ってないなら、いいけど、
これはこれで、どうすればいいか分からない。
:09/03/08 13:19
:N703iD
:PY5xI9.2
#393 [七瀬]
“スムーズにいく1日”
頭に思い浮かぶ。
結局、あれから何もなくって、ほんとびっくり。
占い当たってる?
そして放課後。
歩志と私は、また同じ作業に打ち込む。
:09/03/08 16:45
:N703iD
:PY5xI9.2
#394 [七瀬]
やっぱり歩志は真剣で、何も話さない。
私も黙っている。
鉄の削れる鈍い音だけが、この広い体育館に響く。
何も変わらない。
以前と全く変わらない。
ただ、私の気持ちが違うだけ。
:09/03/08 16:48
:N703iD
:PY5xI9.2
#395 [七瀬]
この空気のおかげで、話すこともなく作業もスムーズに進んだ。
“すること”があるのが今の私にはありがたかった。
「俺、用事があるから、先に帰るな。」
『じゃあ、私も帰るよ。』
時計は6時をさしている。
この体育館で歩志としゃべったのは、これだけだった。
:09/03/08 16:54
:N703iD
:PY5xI9.2
#396 [七瀬]
駅まで歩く。
ふぅ。
何もなくて良かったあ。
チカチカチカ…。
あっ、やば!!
信号が赤に変わっちゃう。
全力疾走。
……が間に合わず。
最悪。
:09/03/08 23:43
:N703iD
:PY5xI9.2
#397 [七瀬]
仕方なく、待つ。
この信号、なかなか変わらないんだよなあ〜。
コツコツコツコツ…。
後ろから聞こえてくる靴音。
元々、人気のないところ。
振り返る。
:09/03/08 23:47
:N703iD
:PY5xI9.2
#398 [七瀬]
すると、小さく林原が見えた。
私には気付いていない感じ。
うそ〜!
信号、早く変わってよ!!
そんな私の思いを、
あざ笑うかのように、信号が変わる気配すらしない。
コツコツコツコツ…。
だんだん大きくなる靴音。
覚悟を決めた。
:09/03/08 23:50
:N703iD
:PY5xI9.2
#399 [七瀬]
「松田。」
昨日、“柚子”と呼んだ声が私の中を響く。
今にも顔が赤くなりそう。
『林原、久しぶりだねっ!』
「いや、昨日会ったし。」
しまった!
緊張して、変なこと言っちゃった。
:09/03/08 23:54
:N703iD
:PY5xI9.2
#400 [七瀬]
でも、いつもの林原と話したのは私にとっては久しぶり。
だから“久しぶりだねっ”は全く変ではないよ?
「どうした、松田。」
林原の声で我に帰る。
『う、ううん。
でも、話すのは久しぶりじゃん。』
:09/03/09 00:12
:N703iD
:W7rSt6Q.
#401 [七瀬]
とりあえず、ごまかす。
「そうだな。」
なんか、うれしそうな林原。
「それより、松田。
昨日のことだけど…。」
林原の真剣な光の宿った目が私を捕える。
『もういいよ!』
「え?」
『謝ってくれたし、もういいから。』
:09/03/09 00:16
:N703iD
:W7rSt6Q.
#402 [七瀬]
昨日のことは話したくないので避けた。
「ん、そうだな。」
今度は、淋しそうに言う林原。
ごめんね、私が臆病者で。
林原が、せっかく向き合ってくれようとしたのに、
私は自分から逃げてしまった。
:09/03/09 00:20
:N703iD
:W7rSt6Q.
#403 [七瀬]
信号が変わる。
私たちは並んで歩きだす。
無言のままで。
林原と仲直り?したとはいえ、気まずい。
駅までの道が長く感じる。
横目で林原を見ると、半袖から伸びている手が見えた。
あ、赤くなってる。
なにか細いもので、叩かれたような線。
:09/03/09 00:25
:N703iD
:W7rSt6Q.
#404 [七瀬]
部活だったのかな。
林原が剣道部だったことを思い出す。
『部活だったの?』
「まーな。」
ぎこちない会話。
それからまた長い沈黙。
:09/03/09 00:29
:N703iD
:W7rSt6Q.
#405 [七瀬]
やっと駅に着く。
少し安心する。
だって、すごく長く感じて、
もしかしたら二度と駅に着かないんじゃないかな?
とバカな心配をしてたから。
ほんとバカだけど、それくらい気まずかったんだな、私たちは。
でも電車の中はもっと苦痛だった。
:09/03/09 00:33
:N703iD
:W7rSt6Q.
#406 [七瀬]
何も話さない。
1時間近くある、電車の中で、お互い一言も口にしない。
それから、時間だけが過ぎ、電車を降りた。
前は、あんなに楽しくって短く感じたのになあ。
それから歩いて、別れ道。
:09/03/09 00:37
:N703iD
:W7rSt6Q.
#407 [七瀬]
『じゃ、バイバイ。』
「ん、じゃーな。」
家に向かって歩きだす。
「松田っ!」
振り向くと30メートルほど先に林原がいた。
:09/03/09 00:40
:N703iD
:W7rSt6Q.
#408 [七瀬]
「好き。」
え…?
“柚子”と呼ばれた以上に耳を疑う。
:09/03/09 00:42
:N703iD
:W7rSt6Q.
#409 [七瀬]
真っ赤な顔の林原。
「それだけ。
じゃーな。また明日。」
『…う、うん。また明日。』
林原の背中が遠ざかっていった。
私、告白された?
呆然と立ち尽くす。
:09/03/09 00:46
:N703iD
:W7rSt6Q.
#410 [七瀬]
私はまた、家へと向かいだす。
赤信号。
赤い林原の腕。
そして、
さっきの真っ赤な林原。
“ラッキーカラーは赤。”
という言葉がよみがえる。
:09/03/09 00:49
:N703iD
:W7rSt6Q.
#411 [七瀬]
そして、もう一つ。
“あなたの勇気が運命を動かす日”
私の勇気…?
運命を動かす??
私は急ぐ。
さっき別れた林原の元へと。
:09/03/09 00:53
:N703iD
:W7rSt6Q.
#412 [七瀬]
ラッキーカラーなんて、ただのこぎつけかもしれない。
占いなんて、当たってるように思うだけ。
だけど、走らずにはいられなかった。
そういえば、林原に走らされてばっかりだな、私。
卒業式の後の公園。
久しぶりにヒグマに会って、林原のことを聞かされたとき。
そして今。
:09/03/09 17:43
:N703iD
:W7rSt6Q.
#413 [七瀬]
ほんと、走ってばっか。
林原のせいで、私は泣き虫なマラソン選手になってしまったみたい。
『はぁはぁ。』
走ったせいか息が荒くなる。
いた。
:09/03/09 17:47
:N703iD
:W7rSt6Q.
#414 [七瀬]
暗闇の中、小さな背中。
見つけた。
『林原!』
まだ息が整っていないまま、力いっぱい叫ぶ。
林原が振り向く。
「松田…。」
林原に近づいた。
:09/03/09 17:49
:N703iD
:W7rSt6Q.
#415 [七瀬]
2人の距離は1メートルほど。
深呼吸のため酸素をいっぱい吸い込む。
息は元通りになっていた。
「どうした?」
まるで、さっき告白したのがなかったみたいに言う林原。
:09/03/09 17:54
:N703iD
:W7rSt6Q.
#416 [七瀬]
でも、嘘じゃない。
夢でもない。
確かに聞いた。
林原の
「好き。」という言葉。
忘れられない。
林原の高い声。
真っ赤な顔。
茶色い瞳。
すべてが私の体を熱くさせる。
:09/03/09 17:56
:N703iD
:W7rSt6Q.
#417 [七瀬]
『あのね、私……。』
トクン。
心臓の音が聞こえた。
:09/03/09 17:58
:N703iD
:W7rSt6Q.
#418 [七瀬]
私は今、林原の胸の中。
とても心地良い。
林原の髪の甘い匂い。
どこのシャンプー使ってんだろ。
柑橘類の甘酸っぱい香が私をマヒさせる。
ずっと、このままでいたいよ。
:09/03/09 18:02
:N703iD
:W7rSt6Q.
#419 [七瀬]
そんな時、なぜか歩志の顔が浮かんだ。
意地悪な勝ち誇った顔。
冷たい眼差し。
そして、あの笑顔。
なんで?
せっかく今、林原の中にいるのに。
:09/03/09 18:04
:N703iD
:W7rSt6Q.
#420 [七瀬]
別に林原と歩志を重ね合わせてるワケでもない。
今、私は幸せなはずなのに。
なんで喜べないのよ。
歩志。
歩志。
歩志…。
ドキドキしてた心臓は、キュッと締めつけられた感じがした。
:09/03/09 18:07
:N703iD
:W7rSt6Q.
#421 [七瀬]
「もういいよ、松田。」
『え?』
「俺のとこへ来てくれて、ありがとう。」
『なんで、そんなこと言うの?』
「だって…、」
:09/03/09 18:10
:N703iD
:W7rSt6Q.
#422 [七瀬]
林原は言った。
「だって…、
お前、泣いてる。」
泣いてる?
うそ…っ。
気が付くと私の頬には、いくつもの涙たちが伝っていた。
:09/03/09 18:13
:N703iD
:W7rSt6Q.
#423 [七瀬]
嘘だ。
嘘だ。
嘘だっ!
そんなはずないじゃん。
ねぇ、林原。
嘘だって言って。
笑って。
そんな悲しそうに見ないで。
私は泣いてなんかない。
涙なんて出てたまるか。
:09/03/09 18:48
:N703iD
:W7rSt6Q.
#424 [七瀬]
目を擦っても、擦っても涙はとめどなく出てきた。
「お前はほんと泣き虫だな。」
誰のせいよ。
アンタのせいじゃない。
「そんなに目、ゴシゴシすんな。
ブサイクが余計にブサイクになる。」
私の頭をポンポンする林原。
:09/03/09 18:51
:N703iD
:W7rSt6Q.
#425 [七瀬]
トゲのある言い方。
だけどぶきっちょな林原の優しさがにじみ出てて、
余計に涙が溢れた。
『うっ、ブサイク…じっ、じゃない!』
泣きながら反論する私に、林原は、
「そうだな。松田はかわいいよ。」
こんな恥ずかしくなるような一言。
:09/03/09 18:55
:N703iD
:W7rSt6Q.
#426 [七瀬]
「俺は、お前のかわいさに何回も心臓がブッ壊れそうになった。」
また顔を真っ赤にして、林原は言った。
それは、こっちのセリフだよ!
って言ってやりたかった。
林原って、こんなにロマンチストだったっけ?
またまたドキドキが襲ってきた。
:09/03/09 18:59
:N703iD
:W7rSt6Q.
#427 [七瀬]
『そっ、それはこっちのセリフよ!』
意を決して言った。
が、その直後にはお互い笑い合っていた。
こんなに林原と笑い合うなんて、久しぶり。
心のモヤモヤが消えていった。
:09/03/09 19:02
:N703iD
:W7rSt6Q.
#428 [七瀬]
あれから、私たちは本当の仲直りをした。
林原の告白は、うやむやになったまま。
私は林原をフッたのかな?
林原を嫌いになったわけじゃない。
ただ歩志が心から出ていかない。
いつもいつも私の心は支配されてしまう。
:09/03/09 22:27
:N703iD
:W7rSt6Q.
#429 [七瀬]
占いは当たったのかな?
私の運命は変わった?
疑問だらけ。
それでも、前より気持ちが楽になったのは確実。
でも、そのおかげで気付いてしまう。
:09/03/09 22:30
:N703iD
:W7rSt6Q.
#430 [七瀬]
私を泣き虫にしたのは、林原だけじゃない。
私がドキドキしたのは、きっとアイツのせい。
私は好きなんだ。
歩志のことが。
:09/03/09 22:32
:N703iD
:W7rSt6Q.
#431 [七瀬]
信じられない。
自分でも、こんなにすんなりと、
“歩志が好き”
ってことを認めてしまうなんて。
会ってまだ、数か月。
だけど、
意地悪で冷たいアイツが
好きなんです。
:09/03/09 22:35
:N703iD
:W7rSt6Q.
#432 [七瀬]
『お、おはよー。』
「おはよ、ぽんずちゃん。」
ほんとの気持ちに気付いたからには、どんどん行くしかないでしょ!!
でも、どうしたらいいのか分からない。
松田柚子。
15歳。
男の気持ちなんて、知るわけないじゃーん!
:09/03/09 22:38
:N703iD
:W7rSt6Q.
#433 [七瀬]
私はまだまだガキだ。
はあ。
「どうしたの?」
私の顔を覗き込むアイツ。
わっ!
朝からそんな顔で見ないでよ〜!!
好きだと解ると、つい意識してしまう。
:09/03/09 22:41
:N703iD
:W7rSt6Q.
#434 [七瀬]
「ねぇ、俺は今日から放課後、ずっと残るけど、
ぽんずちゃんはどうする?」
チャンス到来!
『私も一緒に残る!』
やったあ!
これで歩志と長くいれるね。
しかも二人っきりで。
うれしさがこぼれそう。
:09/03/09 22:44
:N703iD
:W7rSt6Q.
#435 [七瀬]
「そ。」
『うんっ!』
あまりのうれしさに、歩志の素っ気ない返事にも、
ルンルンで返した。
そんな私を見て、歩志は
「なんかぽんずちゃん、元に戻った。」
『えっ、そう?』
「うん。元気のないぽんずちゃんから、
元気いっぱいの、ぽんずちゃんに戻った。」
:09/03/09 22:48
:N703iD
:W7rSt6Q.
#436 [七瀬]
歩志は、ちゃんと私を見ていてくれたんだ…。
そう思うと泣きそうになった。
また私、泣かされる。笑
とりあえず、涙は堪えて、席に着く。
授業中も、前のアイツが頭から離れない。
:09/03/09 22:51
:N703iD
:W7rSt6Q.
#437 [七瀬]
昼休み。
私は、中庭で歩志と食べた。
『歩志の誕生日って、いつ?』
「4月7日。」
『へぇー、過ぎちゃったね。』
:09/03/10 18:32
:N703iD
:7bD3bGNs
#438 [七瀬]
『血液型は?』
「AB。」
『ふーん、そう言われたらそうっぽいね。』
『好きな食べ物は?』
「りんご。」
『かわいい。』
そう笑うと、歩志はりんごみたいな顔になった。笑
:09/03/10 18:35
:N703iD
:7bD3bGNs
#439 [七瀬]
そんな歩志を見て、ずっと笑っていると、
「次の質問は?ぽんず姫。」
と歩志。
やり返された。
今度は私がりんごになってしまった。
『じゃ、家族構成。』
「オヤジ、おふくろ、にぃちゃん。」
:09/03/10 18:39
:N703iD
:7bD3bGNs
#440 [七瀬]
『兄弟いるんだ。』
「意外?」
『うん。歩志ってなんか一人っ子っぽいし。』
「そう?」
『一人っ子独特の雰囲気がする。』
こんな感じで、とりあえず質問責めにしてみた。
いっぱい歩志のことを知れた幸せと、
次々、現われる驚きで私の心は満たされた。
:09/03/11 22:20
:N703iD
:guC0zZjc
#441 [七瀬]
今までのことをまとめるとこうなった。
八田歩志。
4月7日生まれの16歳。
血液型はAB型で
好きな食べ物はりんご。
父、母、兄の4人家族で、お父さんは大工をしている。
こんな感じ?
:09/03/11 22:24
:N703iD
:guC0zZjc
#442 [七瀬]
うーん。なんか違う。
私が思ってたのと違う。
歩志の答えが違うんじゃなくって、
聞きたいこと、
…つまり私の知りたいことが違う。
歩志のことを知れたのは、うれしい。
例え、どんなことでも。
でも、もっと内面的なことが知りたい。
:09/03/11 22:28
:N703iD
:guC0zZjc
#443 [七瀬]
放課後。
2人には沈黙が出来る。
いつものこと。
でも、この沈黙は嫌いじゃない。
慣れてしまったのと、
歩志の真剣な横顔を見ているだけで満足だから。
でも、いつもしゃべらない歩志が口を開いた。
:09/03/11 22:33
:N703iD
:guC0zZjc
#444 [七瀬]
「なあ、昼休みにさあ。」
『えっ、うん。』
いきなり話し掛けられたので、少しビックリした。
「お前、言ったよな。
“俺には一人っ子独特の雰囲気がある”って。」
『言ったけど。それがどうかした?』
「それ、あながち間違いじゃないかも。」
:09/03/11 22:37
:N703iD
:guC0zZjc
#445 [七瀬]
『どういうこと?』
「あんまよく分かんないんだよなぁ、俺。」
『何が?』
「にぃちゃんのことが。」
『兄弟なのに?』
「だって一緒に住んでたのが俺が5歳くらいまでなんだよ。」
『なんで?』
:09/03/11 23:36
:N703iD
:guC0zZjc
#446 [七瀬]
「俺とにぃちゃんは15歳も年が離れてるの。
それで、俺が5歳になって間もないころに、家を出てったらしい。」
歩志は、なんでもないことのように言った。
普通に驚いた。
その事実と、
歩志が淡々と、私にこんな話をしてくれたから。
:09/03/11 23:41
:N703iD
:guC0zZjc
#447 [七瀬]
『へぇ。うちじゃ考えらんない。』
「兄弟いるの?」
『うん。お姉ちゃんだけどね。』
「そうなんだ。
ねぇ、兄弟ってどんなんなの?」
『どんなのって言われても…。』
こんなことを、いきなり聞かれ、かなり戸惑った。
:09/03/12 16:59
:N703iD
:9WvOYkxk
#448 [七瀬]
『ん〜、なんだろ。難しいなあ。』
悩み、考える。
『うーん。
バカにされたり、ウザイと思うけど、
いると心強い存在……
かなぁ。』
「なにそれ。」
『よく分からない?』
「うん。全然わかんない。」
:09/03/13 18:22
:N703iD
:1P9d3jy6
#449 [七瀬]
う〜ん。
歩志がいることを忘れ、
必死に考える。
「じゃ〜あ、俺は?
俺はぽんずちゃんにとって、どんな存在?」
『そんなの今は関係ないじゃん!』
もう!
変なこと聞かないでよ!!
:09/03/13 18:28
:N703iD
:1P9d3jy6
#450 [七瀬]
またまた、いきなりそんなことを聞いてくる歩志。
“友達以上の大切な存在だよ”
とか言えたらいいのに。
……言えない。
『星…みたいな存在かな?』
目を丸くする歩志。
:09/03/13 18:31
:N703iD
:1P9d3jy6
#451 [七瀬]
「それは最初に“歩志”を“ほし”って呼んだから、先入観みたいなので
そう思ってるんじゃないの?」
うん、そうなの。
歩志、鋭いな。
でも…。
『それもあるけど、
なんか歩志自体が星みたいなの。』
「フッ、なにそれ。」
:09/03/14 01:28
:N703iD
:7n/kQCzw
#452 [七瀬]
『なんか歩志って、
星みたいにキラキラしてるもん。』
「うれしいこと言ってくれるじゃん。」
『そのキラキラした光で照らされてる気がして、
なんか温かくなるの。』
私は、ほとんど意識せずに遠い目をして言った。
歩志は、その間も手を休めずカンナを動かす。
:09/03/14 01:33
:N703iD
:7n/kQCzw
#453 [七瀬]
『でも遠いの。』
鉄の削れる音が止んだ。
歩志を見なくても、手が止まったのだと分かる。
『星って輝いてて、とても近いように見えるけど、
本当は地球から何億光年も離れてるじゃん。
近いようで遠い。
歩志は
分かるようで分からない。
アンタを知ってるようでほんとは何も知らない。』
:09/03/14 01:40
:N703iD
:7n/kQCzw
#454 [七瀬]
ああ、そうだ。
私は思い知る。
現実を。
歩志は無機質なようで優しい。
冷たいようで温かい。
私は歩志の、そういうところが好きなの。
でも、
壁があるの。
:09/03/14 01:43
:N703iD
:7n/kQCzw
#455 [七瀬]
見えない壁が。
私は絶対にその中に入れない。
ううん。
私だけじゃない。
歩志の今まで出会ってきたすべての人々もきっと同じ。
歩志だけにしか入れない、歩志が誰一人も入れさせない。
そういう歩志だけの世界がある。
:09/03/14 01:48
:N703iD
:7n/kQCzw
#456 [七瀬]
いくら質問責めにして、
歩志のことを知っても、
それは幻想にしか過ぎないの。
所詮、まぼろし。
ただの夢なの。
そう分かっているのに、なんて心地いいんだろう。
だから抜け出せない。
いつまでもアイツにハマったまま。
:09/03/14 01:53
:N703iD
:7n/kQCzw
#457 [七瀬]
「ぽんずちゃん、やっぱり面白い。」
クスクス笑う歩志。
ほらね、
今、苦しい私とは裏腹に歩志はこんなにも余裕。
そっか。
再確認させられる。
:09/03/14 01:57
:N703iD
:7n/kQCzw
#458 [七瀬]
私にとって歩志は、
大切で大好きな存在だけど
歩志にとって私は、
“今まで出会ってきた全ての人々の中の一人”
だけの存在なんだ
ってことを。
:09/03/14 02:13
:N703iD
:7n/kQCzw
#459 [七瀬]
『ごめん。
用、思い出したから帰るね。』
一方的に言って、立ち上り歩きだす。
「そ、じゃーね。
ばいばーい。」
後ろで歩志の声が聞こえたけど、
何も言わずに体育館を出た。
:09/03/14 02:18
:N703iD
:7n/kQCzw
#460 [七瀬]
さっきは、あんなに楽しかった。
歩志が私をちゃんと見ていてくれてた喜びと、
“これから”で
私の胸はドキドキでいっぱいだったのに。
一喜一憂しすぎだな。
口元に薄ら笑みを浮かべた。
一気に闇に突き落とされた感覚を味わいながら。
:09/03/14 02:23
:N703iD
:7n/kQCzw
#461 [七瀬]
次の日から歩志といると息が詰まった。
歩志は何も変わらないのに。
出会った時と同じなのに。
当たり前か。
だって変わったのは、
私だけだもんね。
昨日の何気ない会話から、勝手に私が考え込んでるだけだし。
:09/03/14 19:09
:N703iD
:7n/kQCzw
#462 [七瀬]
あれから放課後に残ることもなくなった。
なんとなく歩志を避けてた。
そんな私に歩志は気付いてただろうけど、
普通に接してくれた。
そのたびに胸が締め付けられた。
そんなこんなで、私が最後に体育館に行ってから、
もう1ヶ月近くが経とうとしていた。
もう7月。
:09/03/14 19:13
:N703iD
:7n/kQCzw
#463 [七瀬]
少し暑くなってきた。
座っているだけで
じんわりと汗が出る。
一学期も、もう残りわずか。
相変わらずの私。
何もない毎日。
また入学当時と戻ってしまったみたい。
ほんとつまんない。
:09/03/14 22:07
:N703iD
:7n/kQCzw
#464 [七瀬]
歩志は、まだ体育館に通ってるみたい。
つまんないけど、
学校に行きたくないほど
ではないかな。
だって
林原がいてくれるから。
仲直りした日から、林原はちょくちょく会いに来てくれた。
昼休みを一緒に食べたり、
休み時間に1ー2の教室に来てくれたり。
:09/03/15 02:02
:N703iD
:hr2Oe0pM
#465 [七瀬]
いつも林原は私を助けてくれる。
今も林原に救われてる。
林原は告白のことは、
何も言ってこない。
だから私も何も言わない。
またいつもの二人に戻った。
穏やかな日々。
:09/03/15 02:06
:N703iD
:hr2Oe0pM
#466 [七瀬]
もう、このままでいいかも。
そう思ってしまう。
だってここが一番安らぐし。
安心する。
私の居場所はここ。
林原なんだ。
:09/03/15 02:08
:N703iD
:hr2Oe0pM
#467 [七瀬]
だってアイツのところへ
行ったら、
絶対つらいもん。
林原以上に泣かされる。
あの壁にぶつかって虚しくなるだけ。
惨めになるだけ。
こんなことなら、もういいや。
:09/03/15 02:11
:N703iD
:hr2Oe0pM
#468 [七瀬]
そう思っていたのに…。
学校が終わり、鞄に教科書を詰め込んだ。
今日は林原が部活ないし、一緒に帰る約束してたっけ。
あ、急がないと。
ガタッ。
席を立つ。
:09/03/15 02:15
:N703iD
:hr2Oe0pM
#469 [七瀬]
ガラ。
後ろのドアが開いた。
「ぽんずちゃん。」
『何?』
歩志を見ずに言う。
「ちょっと来て。」
私のそばに来ると、腕を掴んだ。
:09/03/15 02:18
:N703iD
:hr2Oe0pM
#470 [七瀬]
『へ!?』
何!?
何が起こったの?
すごい力が腕から伝わってくる。
歩志の大きな手のひらは、私の腕を完全に捕えている。
でも、そんなこと以上に
歩志のすごい剣幕に圧倒されて、
抵抗することも忘れた。
:09/03/15 02:22
:N703iD
:hr2Oe0pM
#471 [七瀬]
このまま連れていかれ、
体育館に到着。
「これ。」
歩志の差し出された手には
…文鎮。
『これ…、
歩志が作ったの?』
「もちろん。」
うれしそうに言う歩志。
:09/03/15 02:25
:N703iD
:hr2Oe0pM
#472 [七瀬]
すごいきれいな文鎮。
…だけど、
意味不明!
なんで文鎮?
あんなにすごい剣幕で、
文鎮ですか?
目が点になった。
:09/03/15 02:28
:N703iD
:hr2Oe0pM
#473 [七瀬]
『……で?』
今度は歩志の目が点になった。
『あんなすごい剣幕で文鎮!?』
「ああ。」
歩志は合点したように頷いた。
「これだけじゃダメ?」
は?
:09/03/15 02:32
:N703iD
:hr2Oe0pM
#474 [七瀬]
「だって、俺の作った文鎮見たかったでしょ?」
うん、見たかった。
見たかったけど、なんでこのタイミング?
なぜあの剣幕?
『…見たかったけど。』
「正直でよろしい。」
歩志は満足そうに笑った。
:09/03/15 02:36
:N703iD
:hr2Oe0pM
#475 [七瀬]
「これで技術室に行ける。」
忘れてたワケじゃないけど“どうでもいいや”
と思っていたのは事実。
その間にも、歩志は諦めてなかったんだ。
『うん。そうだね…。』
気力なく言う私。
そんな私を見て、うんざりしたように歩志は言った。
:09/03/15 16:40
:N703iD
:hr2Oe0pM
#476 [七瀬]
「ね、
お前、技術室に行きたくないの?」
ううん。
そんなんじゃない。
『…行きたいよ。』
「じゃ、なんでそんな顔してんの?
変だぞ。」
なんでって、
アンタのせいじゃん。
私の思い込みって言われても仕方ないけど、
アンタの壁があるからじゃん。
:09/03/15 16:45
:N703iD
:hr2Oe0pM
#477 [七瀬]
「なんか話し掛けても、上の空だし。
避けてるよね?俺のこと。」
図星なのと、
さっきより、すごい歩志の剣幕で何も言えなかった。
「あの林原ってヤツと付き合ったから?
あれから、うまくいったわけ?」
うつむいてた顔を歩志に戻した。
:09/03/15 16:51
:N703iD
:hr2Oe0pM
#478 [七瀬]
『…なにそれ。』
なにそれ。
なにそれ。
ますます意味分からない。
はぁ。
歩志はため息混じりの声で言った。
「だから、付き合ってんだろ、その林原クンと。」
何、その呆れた声…。
ため息をつきたいのは、
こっちだよ!
:09/03/15 18:53
:N703iD
:hr2Oe0pM
#479 [七瀬]
『付き合ってないよ。』
やっとのことで口を開いた。
弱々しい声。
「ふーん。
まあ、どーでもいいけど。」
どうでもいい?
『じゃあ何で聞くのよ!』
立ち去ろうとする歩志に怒鳴る。
:09/03/15 18:57
:N703iD
:hr2Oe0pM
#480 [七瀬]
『なんで…、なんでそんなこと聞くのよっ!
もう意味分かんない!
いきなりこんなとこに
連れてこられたかと思えばなんか責められるし。
さっきまで、うれしそうに文鎮見せびらかしてたくせに、キレだすし!
“林原と付き合ってる”
とかゆーし…。
そのくせ、どうでもいい?
ふざけんなっ!!』
:09/03/15 21:04
:N703iD
:hr2Oe0pM
#481 [七瀬]
私は声を荒げる。
私が悪いのは分かってるのに。
勝手に歩志を避けて、
林原とばっかりいて、
歩志が誤解しても仕方ないのに。
でも悲しかった。
歩志に誤解されて、
悔しかった。
逆ギレなんかして最低だ。
:09/03/15 21:09
:N703iD
:hr2Oe0pM
#482 [七瀬]
最低だって分かってるのに私の口は止まることを知らない。
『…付き合ってるよ。』
歩志の視線が痛い。
『林原と付き合ってる。』
「あっそ。
頑張ってね。」
冷たく言って歩志は出ていった。
:09/03/15 21:13
:N703iD
:hr2Oe0pM
#483 [七瀬]
次の日。
歩志はもう口を聞いてくれない。
そう思っていた。
「おはよ。ぽんずちゃん。」
『…おはよう。』
びっくりしたというより、悲しくなった。
:09/03/15 21:18
:N703iD
:hr2Oe0pM
#484 [七瀬]
「どうしたの?そのマヌケ顔。」
『マヌケ顔で悪かったね!』
ハハッと歩志が笑う。
昨日は夢でも見てたのかもと思ってしまう。
不自然なとこなんて、一つもなかった。
私は気付かなかった。
余りにも自然すぎて。
:09/03/15 23:53
:N703iD
:hr2Oe0pM
#485 [七瀬]
見えない壁がどんどん厚くなっていることに。
放課後。
「ねぇ、ぽんずちゃん。」
『なぁに?』
宿題忘れで、その倍の宿題をしていた私は、
机に顔を向けたまま答えた。
:09/03/15 23:58
:N703iD
:hr2Oe0pM
#486 [七瀬]
「俺たち、ずっといい友達でいようね。」
心臓が加速してゆく。
『ハッ…ハハ。
何を急に言ってんの?』
私は少し引きつった顔を歩志へ移動させた。
ドクンドクンドクン。
心臓は速くなってゆく一方。
:09/03/16 00:06
:N703iD
:3DtPCs2w
#487 [七瀬]
「だから俺らはいい友達だろ?
これからも、ずぅっと。」
目が怖い。
作りすぎた笑顔がより怖さを増している。
歩志のニッコリ顔に、私は背中がゾクッとなった。
『あ…歩志。』
声が震える。
:09/03/16 00:10
:N703iD
:3DtPCs2w
#488 [七瀬]
「そうだよね?」
何も言えず、頷いた。
「よかった。安心した。
じゃあね、ぽんずちゃん。」
『…バイバイ。』
元気なく手を振った。
歩志が教室から出ていった。
私には大量の宿題と、胸の重い痛みだけが残された。
:09/03/16 00:37
:N703iD
:3DtPCs2w
#489 [七瀬]
“俺たち、ずっといい友達でいようね。”
さっきの言葉が頭の中でうるさく響く。
友達。
友達。
“ずっと”友達。
ずっと。
ずっと。
ずっと…。
:09/03/17 01:29
:N703iD
:GUMwiLbY
#490 [七瀬]
それは私は一生、友達以上にはなれないってこと?
歩志にとって1番の人にはなれないってこと?
あ、なんか
めまいがしてきた…。
ゆらゆらと立ち上がる。
早く帰ろう。
早く帰りたいよ。
:09/03/17 01:33
:N703iD
:GUMwiLbY
#491 [七瀬]
校門から出る。
「どうしたんだよ、松田。」
『あ…、林原。』
「なんか顔色悪いぞ。」
『…ん。大丈夫。』
「大丈夫って…。
ちょっと待ってろ。」
そういって、林原はどっかへ行った。
:09/03/17 01:38
:N703iD
:GUMwiLbY
#492 [七瀬]
仕方なく、校門前で待つ。
遅いなあ。
早く帰りたいのに。
でも無言で帰るわけにもいかないし。
「悪い悪い!」
振りかえると林原。
「行こっか。」
『え?どこに?』
:09/03/17 01:41
:N703iD
:GUMwiLbY
#493 [七瀬]
『どこって、決まってるじゃん。』
いやいや、何が決まってるの?
「思いっきり笑えるところ。」
そう林原はニカッと笑った。
『なにそれ。全然分かんな…って林原ぁ!?』
言い終わる前に林原は私の手を握って歩きだした。
:09/03/17 01:44
:N703iD
:GUMwiLbY
#494 [七瀬]
びっくりした。
だっていきなり手、繋ぐんだもん。
『え、え!?
ほんとにどこ行くの?』
かなりテンパる。
「お前はいーから、黙ってついて来て。」
今日の林原、なんか強引。
:09/03/17 01:48
:N703iD
:GUMwiLbY
#495 [七瀬]
なんか私の知らない林原がここにいる。
やっぱり私は何も林原のことを知らなかったみたい。
だって中学生の時は知らなかったもん。
こんな強引な林原。
そんなことを思いながら、また背が伸びたらしい林原の後ろ姿を眺めてた。
:09/03/17 01:52
:N703iD
:GUMwiLbY
#496 [七瀬]
駅に着くと、やっと手を離してくれた。
少し手が汗ばんでた。
「はい。」
『ありがと。…ん?
これ家と反対方向の切符…。』
「あ、電車来た!
松田、走って!!」
『え?ちょ、ちょっと〜。』
:09/03/17 01:58
:N703iD
:GUMwiLbY
#497 [七瀬]
林原に急かされ、電車に乗った。
やっぱりこの電車、家と反対方向じゃん。
『ねぇ、ほんとにどこ行くの?』
「だーから…。」
『“思いっきり笑えるところ”とか言わないでよねっ!』
「分かってるじゃん。」
はぁ、ダメだこりゃ。
:09/03/17 02:02
:N703iD
:GUMwiLbY
#498 [七瀬]
さっきから、もったいぶって全然教えてくんない。
林原、一人だけルンルンして…
なんかズルい!!
よーし、こうなったら林原以上に楽しんでやる!
黙って林原に宣戦布告した。
さっきより心は軽くなっていた。
:09/03/17 02:07
:N703iD
:GUMwiLbY
#499 [七瀬]
『え…、ここ?』
そこには
“1時間350円”の文字。
「うん。」
楽しそうな林原。
上には“カラオケハウス”の看板。
:09/03/17 02:10
:N703iD
:GUMwiLbY
#500 [七瀬]
『こ、ここ…入るの?』
「もちろん。」
私はまたもや強引に手をひかれ中へ。
えええぇぇ〜!
私は“ド”のつく音痴だ。
:09/03/17 02:13
:N703iD
:GUMwiLbY
#501 [七瀬]
自慢じゃないけど、もう5年近くカラオケには行っていない。
だって人前で歌えないんだもん。
恥ずかしいの。
自分のド音痴が。
これにもトラウマがあって……。
話は10年前にさかのぼる。
松田柚子。
5歳。
:09/03/17 02:17
:N703iD
:GUMwiLbY
#502 [七瀬]
私の家族はめちゃめちゃカラオケ好き。
私が生まれる前から、週に一回はカラオケへ通っていた。
お母さんも、
お父さんも、
お姉ちゃんも、
おじいちゃんも。
私は5歳のころ、初めてカラオケへ行った。
:09/03/17 02:20
:N703iD
:GUMwiLbY
#503 [七瀬]
いつもは、
“まだ子供なんだからカラオケなんてダメ!”
ってお母さんに言われてた。
でも私は、
行きたくて行きたくって
仕方なかった。
だって私だけ仲間外れだもん。
“夜遅いから寝なさい”
って。
そのたび、私は諦めてた。だってお母さん怖いし。笑
:09/03/17 02:27
:N703iD
:GUMwiLbY
#504 [七瀬]
でも、この日は違った。
鬼と戦うことを誓った私は、引き下がらなかった。
『なんで?
なんでお姉ちゃんは連れてってもらえるのに、
なんで柚子はダメなの〜?』
「お姉ちゃんは小学生で大人だしね〜。
それにおとなしくできるし。
柚子は出来ないでしょ?」
そばを見るとお姉ちゃんが勝ち誇ったように、私を見ていた。
:09/03/17 02:32
:N703iD
:GUMwiLbY
#505 [七瀬]
『できるっ!できるよっ!!柚子できるから〜!
連れてってよぉ〜!!』
「もう!
いい加減にしなさ…」
「いいじゃないか。」
「おじいちゃん、あまり甘やかさないで下さい。」
「まあまあ、
柚子、おじいちゃんと行こう。」
そう言って私の手をとってカラオケへ連れてってくれた。
:09/03/17 02:38
:N703iD
:GUMwiLbY
#506 [七瀬]
初めてのカラオケ。
私の胸は希望でいっぱい。
…のはずだった。
「柚子、何か飲むかい?」
優しく聞くおじいちゃんに
『カルピス!』
と答える。
その後、ポテトやらカラアゲやら、美味しい食べ物が出てきて、最高だった。
:09/03/17 02:43
:N703iD
:GUMwiLbY
#507 [七瀬]
食べたり飲んだり。
カラオケって楽園〜!
とか思っていると、
「柚子も何か歌うか〜?」
ほろ酔いのお父さんが聞いてきた。
『え〜っとねぇ…。』
それから、
その当時、女の子に人気のアニメの歌を歌うことにした。
:09/03/17 02:46
:N703iD
:GUMwiLbY
#508 [七瀬]
カラオケを出た後の私はご機嫌ナナメ。
「ちょっと、あなたが笑うからよ〜。
柚子、泣いてるじゃない。」
「ママだって笑ってたじゃないかあ。」
「あら、私は笑ってなんかいません!」
「嘘だ。クスクス笑ってたじゃないか。
柚子、ごめんなあ。」
:09/03/17 02:51
:N703iD
:GUMwiLbY
#509 [七瀬]
フイ!
お父さんの言葉に私は首を横に反らした。
確かに
今思っても、私は下手だったと思う。
子どもの音が外れてる
とかのレベルじゃない。
でも!
あんなに笑うことないじゃん!!
今でも心に深い傷がある。
:09/03/17 02:55
:N703iD
:GUMwiLbY
#510 [七瀬]
それからというもの
家族の週1で行くカラオケには一回も行ってないし、
友達から誘われても、行くだけ行って、何も歌わなかったり。
とりあえず
歌うことだけは避けてる。
これからも人前で歌うことは二度とない!
って思ってたのに…。
:09/03/17 02:59
:N703iD
:GUMwiLbY
#511 [七瀬]
「えーと、502だな。
502。502…。
あった。この部屋。」
指をさして林原は言った。
502号室。
中へ入る。
あー、早く出たい。
入ったばっかりなのに、そう思ってしまう。
:09/03/17 03:35
:N703iD
:GUMwiLbY
#512 [七瀬]
二人部屋だし、狭い。
「松田、さっきから何もしゃべらないな。」
『そ、そんなことないよ!あ、何か飲む?』
「ああ、じゃあコーラ。」
『分かった。』
窓際の私は、すぐ横にある受話器に手を伸ばした。
:09/03/17 03:40
:N703iD
:GUMwiLbY
#513 [七瀬]
プルルルル…
コーラとカルピス。
とりあえず飲み物だけ頼んだ。
その間、林原は曲を入れるためか機械をタッチペンでつついている。
もうやだ。
林原がずっと機械に向かっていてくれることを願った。
:09/03/17 03:44
:N703iD
:GUMwiLbY
#514 [ちぃ]
:09/03/17 08:28
:SH03A
:CJOnWXdk
#515 [七瀬]
ちぃさん
ありかとう(´∀`)
:09/03/17 12:54
:N703iD
:GUMwiLbY
#516 [七瀬]
飲み物が来て、
林原は曲を入れた。
林原が歌う…。
なんか聞きたいかも。
私は興味本意で耳を傾ける。
ドキドキとワクワクが入り交じる。
:09/03/17 13:07
:N703iD
:GUMwiLbY
#517 [七瀬]
林原は
私に負けないくらい、
音痴だった。
:09/03/17 13:08
:N703iD
:GUMwiLbY
#518 [七瀬]
『ブッ!』
私は吹き出すと共に、大声を出して爆笑していた。
そんな私には目もくれず、林原は完全に自分の世界に入って歌い続ける。
ってか高い声が、歌うとあんな風になるんだ〜。
私も人のこと言えないけど林原もヒドい!
:09/03/17 13:13
:N703iD
:GUMwiLbY
#519 [七瀬]
もうお腹痛い!
笑い過ぎて、目に涙が溜まっていた。
林原が歌い終わる。
「なかなか、良かっただろ?」
『フフッ、あんた絶対歌わない方がいい。』
「ひどいな。」
そう言いながらも、林原は笑ってる。
:09/03/17 13:16
:N703iD
:GUMwiLbY
#520 [七瀬]
「松田も何か歌えよ。」
そういって、機械とタッチペンを渡してきた。
ちょっと戸惑ったけど、
こうなったら歌うしかないでしょ!
意を決してというより、
ほぼ自分の意思でマイクを手にとった。
林原は、そんな私を楽しそうに見ている。
:09/03/17 13:19
:N703iD
:GUMwiLbY
#521 [七瀬]
曲が流れる。
楽しい。
カラオケでこんなに楽しいのは久しぶり、
ってか初めて!!
一緒にいる人が音痴だと、
どうでもいいや〜!
ってなる。
カラオケってこんなに楽しかったんだ。
:09/03/17 13:22
:N703iD
:GUMwiLbY
#522 [七瀬]
歌い終わると林原が
「お前は絶対歌わない方がいい。」
『うっさい!』
笑いながら、軽く林原の腹にパンチを食らわす。
「乱暴だな〜。」
こうして私のトラウマが一つ解消されていく。
:09/03/17 13:25
:N703iD
:GUMwiLbY
#523 [七瀬]
あれから歌って歌って、
歌い続け、外はもう真っ暗。
3時間近くいた。
帰ると、お母さんに完全に怒られるな。
でもいっか。
モヤモヤが全て消えてゆく気がした。
:09/03/17 13:28
:N703iD
:GUMwiLbY
#524 [七瀬]
「松田はよく歌うなあ。マイク持ったら、離さないし。」
『ごめーん。』
お互い笑いながらカラオケを出る。
また行きたいな。
音痴の林原と一緒に。
:09/03/17 13:32
:N703iD
:GUMwiLbY
#525 [七瀬]
朝の目覚めは最悪。
昨日はお母さんに散々、怒られたのと、
カラオケで暴飲暴食しすぎて胃がもたれる。
歌い過ぎて喉もカラカラ。
でも気分は最高。
昨日は本当に楽しかったもん。
:09/03/17 15:50
:N703iD
:GUMwiLbY
#526 [七瀬]
学校に行きたくて溜まらない。
歩志と会うのは怖くない。
というのは嘘。
だけど
確かに前よりも心が軽くなったの。
これだけは間違いない。
胸張って言える。
:09/03/17 17:04
:N703iD
:GUMwiLbY
#527 [七瀬]
怖くても、私はもう逃げない。
そう心に誓った。
林原のおかげで。
林原はやっぱり何も言わなかった。
「頑張れよ」
とか励ますこともしなかったし、
「何があったの?」
とも聞かなかった。
:09/03/17 17:11
:N703iD
:GUMwiLbY
#528 [七瀬]
そして私もやっぱり林原のそういう優しさに弱いんだ。
ほんと林原には
何回“ありがとう”を言っても言いきれないなあ。
だから私は決めたの。
もう逃げない。
友達がなんだっていうの?
壁なんて壊してやるだけ。
:09/03/17 17:24
:N703iD
:GUMwiLbY
#529 [七瀬]
すぅ。
息を吸い込む。
ガラッ
ダダダダダダ…
『歩志、おはよっ!』
:09/03/17 17:26
:N703iD
:GUMwiLbY
#530 [七瀬]
「おはよう、ぽんずちゃん。」
座って片手をついてる歩志は、
立ったままの私を上目遣いで見た。
「昨日は楽しかった?」
え…?
:09/03/17 18:05
:N703iD
:GUMwiLbY
#531 [七瀬]
「だから、カラオケは楽しかった?
彼氏さんとのカラオケは。」
見られてた…?
固まっている私に、歩志は言った。
「駅前のカラオケはあんまりオススメできないな。
音質悪いし。」
見られてたんだ。
:09/03/17 18:08
:N703iD
:GUMwiLbY
#532 [七瀬]
でも……。
『楽しかったよっ!』
私は挑むように歩志を目を見る。
ここで逃げちゃいけない。
私は闘うって決めたんだから、
悪魔のコイツと
弱い自分と。
:09/03/17 18:11
:N703iD
:GUMwiLbY
#533 [七瀬]
一瞬、歩志が驚いたような気がした。
でもまた、すぐにいつもの歩志に戻って
「へぇー。
それは良かった。」
ニヤッっと笑う歩志。
『まあね。』
そういって席に着いた。
:09/03/17 18:18
:N703iD
:GUMwiLbY
#534 [七瀬]
少しだけ。
少しだけだけど
前に進めたんだ、私は。
自分に自信がついた。
男の気持ちなんて分からない。
ましてやコイツなんて…。
私の好きになってしまったのは、とんでもないヤツ。
:09/03/17 18:58
:N703iD
:GUMwiLbY
#535 [七瀬]
不安でいっぱい。
だけど、
だからこそ…
好きなんだ。
今思っていることをアイツに…。
:09/03/17 19:02
:N703iD
:GUMwiLbY
#536 [七瀬]
それから休み時間になるたび、私は歩志に話し掛けた。
前みたいに下らない、どうでもいいようなことを話す。
これじゃあ、
本当に友達のままじゃん!!
どうにかしないと…。
:09/03/17 20:26
:N703iD
:GUMwiLbY
#537 [七瀬]
えーっとえーっと、
焦ってても仕方ないし…。
そうだ!
とりあえず
“林原と付き合ってる”
という誤解を解かなければ。
でも、いつ言おう。
なかなかタイミングが掴めず、時間だけが過ぎてゆく。
:09/03/17 20:30
:N703iD
:GUMwiLbY
#538 [七瀬]
とうとう昼休みになってしまった。
しょーがないっ!
お弁当食べてる時に言おう。
なんか緊張するなあ。
『歩志!
…その、どこで食べる?』
:09/03/17 20:32
:N703iD
:GUMwiLbY
#539 [七瀬]
いきなり聞く。
だって
“一緒に食べよ?”
とか聞いて断られたら、
さすがに立ち直れないし…。
でもっ!
やっぱいきなり
“どこで食べる?”
はキツかったかなあ…。
図々しいというか、なんというか。
:09/03/17 20:36
:N703iD
:GUMwiLbY
#540 [七瀬]
心の中で支離滅裂なことを考えてると
「食堂にしよっか?」
ふぅー。
胸を撫で下ろす。
一つの難関を突破した。
:09/03/17 20:40
:N703iD
:GUMwiLbY
#541 [七瀬]
食堂はやっぱりいつもみたいに男共で溢れかえっていた。
奇跡的に席を2つ発見し、そこに腰を下ろす。
な、なんて切り出そう…。
「ねえ、彼氏と食べなくてもいーの?」
:09/03/17 20:44
:N703iD
:GUMwiLbY
#542 [七瀬]
私から話す必要はなかったみたい。
『う、うん…。あのね歩志。
私、実は……
林原と付き合ってないの!』
言った。
とうとう言ったぞ!
「うん。知ってた。」
:09/03/17 20:47
:N703iD
:GUMwiLbY
#543 [七瀬]
『はあ!?』
すっとんきょうな声を上げる。
歩志は何でもないように続ける。
「最初っから分かってたよ。
だって、ぽんずちゃんは嘘が下手だもん。
すぐ顔に出るし。」
『じゃあ何で林原のこと、ずっと彼氏呼ばわりしたのよっ!』
:09/03/17 20:52
:N703iD
:GUMwiLbY
#544 [七瀬]
だんだんムカついてきた。
「んー、面白かったから。」
食堂のうどんを啜りながら歩志は言った。
面白かった?
なんじゃそりゃ。
聞いた途端に気が抜けてしまった。
:09/03/17 20:56
:N703iD
:GUMwiLbY
#545 [七瀬]
「面白かったんだもん。仕方ないじゃん。
ってか、ぽんずちゃんほどからかい甲斐ある人いないよ?
ってか、
からかわれてること自体、気付いてなかったし。」
笑いながら言う歩志。
『もっと早く言ってよねっ!』
「ごめんごめん。
だって見たかったし。」
:09/03/17 21:03
:N703iD
:GUMwiLbY
#546 [七瀬]
『何が?』
「ぽんずちゃんの
焦ってるとーころっ!」
やっぱりコイツは悪魔だ。
人間の私が適うわけない。
「…でどうなの?」
『ん?何が?』
:09/03/17 21:07
:N703iD
:GUMwiLbY
#547 [七瀬]
「だから…、
実際、林原君とは何もないわけ?」
『ああ、なにもないよ。
あるわけないじゃん!』
「そっか。
……良かった。」
:09/03/17 21:10
:N703iD
:GUMwiLbY
#548 [七瀬]
『ってか、久しぶりだね。歩志と一緒にお弁当食べるの。』
「そうだったね。
ぽんずちゃんはずっと彼氏と食べてたし。」
『だからっ、彼氏じゃないってば!』
「えー?でも前に聞いた時“付き合ってる”
って確かに、この耳で聞いたんだけどなあ。」
:09/03/17 21:23
:N703iD
:GUMwiLbY
#549 [七瀬]
私も聞いたよ。
確かに、この耳で。
歩志の
“良かった”
っていう小さな声。
:09/03/17 21:25
:N703iD
:GUMwiLbY
#550 [七瀬]
『私、嫌だった。』
「なーにが?」
『歩志に
“林原と付き合ってる”
って思われて。』
「フッ、だってぽんずちゃん好きだもんね。
俺のこと。」
:09/03/17 21:28
:N703iD
:GUMwiLbY
#551 [七瀬]
前にも同じこと聞かれたっけ。
“そんなに俺のこと、好きなの?”
って。
あの時は
“そんなわけないじゃん”って言ったっけ。
そんなに時間が経っているわけじゃないのに、
すごく昔のことに思えるよ。
:09/03/17 21:31
:N703iD
:GUMwiLbY
#552 [七瀬]
『…んなわけないじゃん。』
また同じこと言ってる、私。
まだまだ成長しないなあ。
「嘘つき。
ほんとは好きなくせに。」
:09/03/17 21:34
:N703iD
:GUMwiLbY
#553 [七瀬]
好きだよ。
大好き。
『歩志のナルシスト!
変態!!バカっ!』
「ひどいな、ぽんずちゃん。」
:09/03/17 21:37
:N703iD
:GUMwiLbY
#554 [七瀬]
「俺は好きだよ。」
:09/03/17 21:38
:N703iD
:GUMwiLbY
#555 [七瀬]
ほら、またそんなこと言って私を惑わす。
「柚子。」
そんなアイツは私の星。
:09/03/17 21:41
:N703iD
:GUMwiLbY
#556 [七瀬]
まだ始まったばかり。
アイツと私。
歩志と柚子。
星とぽんず…。
:09/03/17 21:43
:N703iD
:GUMwiLbY
#557 [七瀬]
おーしまいっ
:09/03/17 21:44
:N703iD
:GUMwiLbY
#558 [七瀬]
やっと完結しましたーっ
(><)
今はただただ、やりきった感に浸っています。
読んでくれた方ありがと!!
また感想下さいね♪
待ってますヽ(´▽`)/
:09/03/17 21:48
:N703iD
:GUMwiLbY
#559 [七瀬]
えーっと、
“結局、歩志と柚子はどうなったの?”
とお思いの方がいると思います。
中途半端な終わり方ですいません(_´Д`)ノ~~
:09/03/17 21:50
:N703iD
:GUMwiLbY
#560 [七瀬]
が!
これには一応、続きがあります。
いわゆる“続編”というやつです(*/ω\*)
また書きたいと思いますが別の話を書いてからにしたいと思います(´Д`)
“別の話”が一話になるのか二話になるのかは、
まだ決めていません。
:09/03/17 21:53
:N703iD
:GUMwiLbY
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