夏祭り、恋花火
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#205 [七瀬]
あの人は、自分から
自分のことを話す人じゃない。
本人はなんも、ゆうてへんし、
お母さんらの間違いかも。
だから、ほんまは嘘なんかも。
そんな淡い期待を抱く。
『子供できたって
ほんまなん?』
:09/03/22 22:09 :N703iD :0553rOCs
#206 [七瀬]
そうであってほしかった。
お母さんらの勘違い、
もしくは私の聞き間違い。
あの人は
「ほんまやで。」
サラリと答えた。
:09/03/22 22:12 :N703iD :0553rOCs
#207 [七瀬]
それから、私は何も言わずあの人も何も話さなず。
あるのは沈黙だけ。
その夜、布団に入りながらなかなか寝付けなかった。
忙しくって疲れてるはずなのに。
私の気持ちが睡眠の邪魔をした。
:09/03/22 22:16 :N703iD :0553rOCs
#208 [七瀬]
そして、ある決心をする。
翌日。
『原田さん。』
あの人に声を掛ける。
:09/03/22 22:20 :N703iD :0553rOCs
#209 [七瀬]
「どしたんや、まつり。」
最近は
あの人が話し掛けて来ても、ほぼ無反応やったのに
しゃべって来た私に驚くあの人。
『…幸せにな。』
:09/03/22 22:27 :N703iD :0553rOCs
#210 [七瀬]
え?
とでも聞くように目を丸くするあの人。
『だからっ!
…幸せになってな
ってゆうてんねんっ!!』
照れ隠しのため、少し声を荒げる。
:09/03/22 22:30 :N703iD :0553rOCs
#211 [七瀬]
そんな私に気付いてるように、あの人は言った。
「ありがとう、まつり。」
すごい嬉しそぉに笑うあの人に
今までの嫉妬や醜い感情が全てアホらしく思えた。
『それだけやから。』
そう言って、
素早くその場から立ち去った。
:09/03/22 22:34 :N703iD :0553rOCs
#212 [七瀬]
それからとゆうものの、
また私は質問攻めにした。
『男の子?女の子?』
「さあ、どっちやろな。」
『どっちがいい?』
「男やったら、一緒に遊んであげたいし、
女やったら、手料理とか食べたいしなあ。
…どっちでもええわ。」
『親バカや。』
二人の間に笑いが起こる。
:09/03/22 22:47 :N703iD :0553rOCs
#213 [七瀬]
『名前は?』
「いくつか候補はあるよ。」
『例えば?』
「内緒。」
『ケチ。』
こんな感じで
前みたいに戻った。
:09/03/22 22:50 :N703iD :0553rOCs
#214 [七瀬]
そして冬になった。
お初天神。
新年にみんなの心がウキウキしている時。
年が空け、大忙し。
日本一長い商店街の中、
金魚とたこ焼きは隣同士。
:09/03/22 22:53 :N703iD :0553rOCs
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