夏祭り、恋花火
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#415 [七瀬]
 
さん


ありがとうヾ(=^▽^=)ノ
 

⏰:09/04/02 08:57 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#416 [七瀬]
 
 
 
『いらっしゃい!』

「1000円の二つ。」

焼きたてホカホカのカステラを、袋に詰めてゆく。


『はい、1000円の二つ。
おおきに〜!!』


あんなに降っていた雨が
奇跡的に止んで

カステラには長蛇の列が
出来ていた。

⏰:09/04/02 09:01 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#417 [七瀬]
 
 
あまり星の見えない大阪。

だけど祭は無数ライトと
人々の目の輝きでキラキラしてる。



雨が降らなかったら
ほんまは、もっと売れてたけれど…


「500円の一つ下さい。」

小さな5歳くらいの女の子が立っていた。

⏰:09/04/02 09:06 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#418 [七瀬]
 
はぁーいと返事しながら見ると、カステラは一つしかなくて遊希が焼いている最中だった。


遊希は汗だくだった。

と言っても当たり前かな。


だって、
この8月に、こんな機械の前にいて汗を流さない人はいない。

少し離れたところにおる私も、その熱気は伝わってくる。

⏰:09/04/02 09:10 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#419 [七瀬]
 
機械とは、もちろんカステラを焼く機械。


大きなフタがあって、
それを開けると、小さな穴がたくさん規則的に並んでいる。

その穴に粉を入れて、
フタを閉める。

そして、一定時間待って
再び開けると、


丸くて甘いカステラの完成とゆうわけ。
 

⏰:09/04/02 09:15 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#420 [七瀬]
でも、カステラを焼くのは難しい。


粉を入れる量。

たくさんある穴に、すべてを同じ量にするのは、考えただけでも…


フタを開くタイミングも、大切。

早すぎると、中が生で冷たかったりする。

中には、生が好きで、
わざと生にしてとゆう人もおるけど、ごくまれだ。

⏰:09/04/02 09:19 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#421 [七瀬]
 
だから商品にならない。


かといって、焼きすぎてももちろんダメ。

このタイミングが一番、
大切で難しい。



ポンポンポンポンと
軽やかに穴からカステラを取り出してゆく遊希。


「なにしてんねん。」
 

⏰:09/04/02 09:32 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#422 [七瀬]
 
『へ!?』


「“へ”ちゃうわ。
はよ入れぇや。」

『ああ、ごめん。』


私がボンヤリしてる間に、焼き上がって
湯気の出ているカステラたち。


「お、毎年、来てくれる子やんな。」
 

⏰:09/04/02 09:36 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#423 [七瀬]
 
遊希が女の子に笑いかけると、その子は笑った。


「この子、毎年カステラ買いに来てくれんねん。」

うれしそうな遊希。


「いつもは、お父さんと一緒やのに…お父さんは?」

「そこ。」

女の子の指差す。

その先に目を向けると、男性が一人、軽く会釈した。

⏰:09/04/02 09:41 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#424 [七瀬]
「はい。」

私が、急いで詰めてる間に遊希は残ってたカステラを一つ、女の子の手に握らせた。

「ありがと。」

カステラを口一杯に頬張る女の子に遊希は


「こちらこそ、いつもありがとぉな。
また来年も来てな。」

と言った。

⏰:09/04/02 09:46 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


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